笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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パーティは一人で出席

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私の片想いで成された婚約なので、パートナーとしてパーティに参加したとしてもそれだけで、彼は婚約者などいないかのように楽しむ。私が一緒であれば帰りも一緒だけど、そうでなければ他の女性と……。

考えたくない。彼の正妻となれることに感謝して物分かりのいい女を演じなければ。
たとえ私に向けたことのないような微笑みを他の令嬢に向けていたとしても、腰に手を回して引き寄せて唇を他の令嬢に近付けていたとしても。



翌日、授業が終わり、帰る支度をしているとシャルル様が2年生の教室に現れた。
まだ残っている女生徒は頬を染め黄色い声を上げている。

「クリスティーナ」

出入口へ向かい、笑顔を向けた。

「シャルル様」

「明日は何か予定が入っているのかい?」

「はい、モルゾン公子の誕生日パーティに招待されています」

「一人で?」

「はい。一人で出席します」  

「そう……楽しんでおいで」

「ありがとうございます」

私が他の令息をパートナーにして出席するのか心配になって聞いているのだと思った私は 嬉しいと感じていた。入学以来、一人で出席するパーティがあると今みたいに聞いてくることが何度かあったから。

シャルル様がいなくなると 一人になった私に遠くから令嬢達が陰口を言い始めた。

「よく一人でパーティに出席できるわね」

「男漁りに出掛けるのに婚約者がいたら困るからよ」

「モルゾン家にすり寄るばかりか第二王子殿下にまで媚を売って」

私から一度もお願いしたことはない。
ジネットとエルザの心遣いだし、王子殿下と公爵家からの招待を私なんかがお断りできるわけがないじゃない。たとえ月のモノがきてフラフラしていても行かなくてはならないのよ。

「シャルル様もお嘆きになるわけね」

は?

令嬢達は言うだけ言って帰っていった。



翌日の午前中はセルヴィー家の手掛けるお店を見に行って、明日発売の化粧品の新色を確認した。

屋敷に戻り、時間になると支度をしてモルゾン公爵邸に向かった。
公爵邸にお邪魔するのは今日で7回目。
公子様 12歳の公女様 公爵夫人の誕生日パーティや、お茶会に去年から招待されている。

「いらっしゃい、クリスティーナ」

「公爵夫人にクリスティーナ・セルヴィーがご挨拶を申し上げます。ご招待いただきありがとうございます」

「そんなに堅苦しくしないでって言っているじゃない」

「……」

「もう1年もお付き合いしているのよ?
気難しいエステルもクリスティーナに懐いているし。…あら?唇…初めて見る色だわ。頬も…」

「あ、これは、」

「お姉様!」

モルゾン公爵家のエステル公女が駆け寄り抱き付いてきた。

「エステル公女様、ごきげんよう」

「もう。いつになったらエステルと呼んでくれるの?」

「私は伯爵家の娘ですから、公女様を呼び捨てにはできません」

「エステル。クリスティーナ様にご挨拶は?」

「クリスティーナお姉様、ようこそモルゾン邸へ。
あれ?すごく素敵!薄いオレンジ色の薔薇の花びらみたいな色だわ!頬も?」

「明日発売の新色です」

「エステルも欲しい!」

「お持ちしております。どうぞエステル公女様」

「すごい!入れ物も綺麗!ありがとう!」

「流行りそうね」

「この色は似合わない人もいますから、流行るかは分かりません。ですが色を選べるというささやかな幸せを感じることができますし、ドレッサーの上に置いておくだけでも楽しめます」

人の肌に使える色素などを探し出し配合するのはとても難しい。だから口紅は赤を中心として少し異なる色を作っているのが今まで。他にも色はあるけど、顔や唇に使えるものだと化粧の色として相応しくなかった。

「私が使っても大丈夫なのよね?」

「もちろんですわ、エステル公女様」

「ちょっと待っていてね、つけ直してもらうから」

「残念ながら、今日のお召し物には合いません。
次回楽しみにしていますわ」

「え~」

「クリスティーナ嬢、よく来てくれたね」

「公子様、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとう」

「クリスティーナ、素敵な色ね」

「ありがとう、ジネット」

「クリスティーナ嬢、ヒューゴ達が待っているから行こう」

「いえ、私は…」

「行きましょう、ね?」

ジネットに手を引かれて仕方なくついていった。
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