笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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人攫い

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だけど、贈り物と先触れ攻撃は毎日続いた。週末も翌週も。

そしてついに、あのパーティから数えて14日目の金曜日、授業を終えて馬車停車場に行くと騒ぎになっていた。

「クリスティーナ!」

は!? なんでジオ公子が!?
ストーカーじゃない!!

無視よ、無視。クリスティーナという名は他にもいるわ。

「ひゃあっ」

ジオ公子に子供を抱っこするように抱えられた。

「俺を無視するのはおまえくらいだぞ」

「ちょっと!触らないで!持ち上げないで!近寄らないで!姿を見せないで!関わらないで!記憶から消して!!」

「…随分出て来たな。さすがに傷付くぞ?」

「本望です」

「…じゃあ、行こうか」

「助けて~!警備兵さん!! モゴッ」

口を塞がれた。

「見かけに寄らずジャジャ馬だな」

「ん~!!」

「セルヴィー家の馬車は返したから、安心しろ」

何を安心しろと!?

「ん~!! ん~!!」

馬車に乗せられた後も膝の上に乗せられ腰に腕を回されて逃げられない。

「ちょっと!放して!」

「放したら逃げようとするだろう?走る馬車から飛び降りられたら大変なことになる」

「御者さ~ん!止めてくださ~い!人攫いの片棒を担いでいますよ~」

〔えっ?〕

小さく御者が驚く声が聞こえた。

「違うから、気にするな」

〔はいっ〕

ゴトゴトゴトゴト

「信じられない」

「やっと大人しくなったか。股間の上で暴れるから気不味い思いをするところだったよ」

「変態っ!!変態っ!!!」

「だから動くな、わざとか?」

ピタッ

「よしよし、いい子だ」

「こんなことをしてまで私に文句を言いたいの?公子は暇なのね」

「敬語はどうした」

「ストーカーの人攫いに敬語を使わなくちゃダメなんて法律はないから。
しかも変態暇公子だし」

「暇でも変態でもない」

「ストーカーと人攫いは認めたわね」

「パーティの時と全然違うじゃないか」

「当たり前よ。ジネットとモルゾン家の顔を立てていたのだから」

「……悪かったな」

「はい?」

「悪かった!」

「え?…急に何?怖いんだけど」

「おまえなぁ」

「犯罪進行中なので謝ってもらっても効果ないから」

「……誤解してた。エステルに こっ酷く叱られたよ」

「ぷっ」

「おまえから許しを得るまで出禁だって言われたよ。公爵も公爵夫人もおまえの味方だし、ゼインには呆れられるし」

「初対面でアレじゃ、モルゾン家の立場はなくなるわ。叱られる程度で済んでラッキーよ。最悪は絶縁になるもの。ジオ公爵家に生まれたことに感謝するのね」

「辛辣だな」

「お陰様で、あなたのファンからワインを掛けられたから」

「それも聞いた。悪かったな」

「モルゾン夫人がお相手の令嬢にドレス代を請求してくださるの。楽しみだわ」

「1着のドレス代が楽しみ?」

「セルヴィー産の最高グレードの絹織物をふんだんに使ったドレスなのよ?レースも高級品だし刺繍も高いの。きっと気を失うかもね」

「いくらなんだ?」

「貴族のタウンハウスが2~3割近く建つくらい」

「はあ!?」

「大陸一の高級品なのよ?生産量は少ないし」

「なんでそんなものを着てきたんだ」

「宣伝に決まっているじゃない」

「今日は…制服だな」

「ちょっと!制服だからって変なこと考えないでよね」

「俺、5つ歳上だからな」

「あっそ」

「……」

「まだ着かないの?何処にあるのよ」

「本当に興味が無いんだな」

「何であると思うのよ」

「まあ、いいや」

「呆れているのは私の方なの!」

「はいはい」



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