笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

文字の大きさ
47 / 199

外堀から埋める

しおりを挟む
【 ヒューゴの視点 】

セルヴィー伯爵は険しい顔をしたまま視線を俺に向けた。

『教えてくださりありがとうございます。
婚約はクリスティーナが口にしたことではなく、私が娘の気持ちを察してヘインズ伯爵と交渉したのです。これは私の失態です。
それで、ジオ公子は何をなさりたいのですか?』

『俺はクリスティーナ嬢を愛しています。あんな顔だけクズより俺の方が絶対に幸せにできます』

『ですが娘は…』

『少しずつ、彼女は異性に大事にされることの良さを自覚しています。彼女が酔い潰れたときに心配だったので夜通し付き添ったのです。容態が変わるかもしれませんし嘔吐して喉を詰まらすかもしれません。俺が添い寝をしたことに怒っていましたが理由を知ると表情を変えました。

正直、出会いでは俺の態度は最悪でした。
モルゾン公子がお節介で令嬢を紹介しようとしていると勘違いしてしまったからです。
何度も謝罪をしてここまでになりました。

夫人もお分かりでしょう?
結婚しても愛人を作り、愛人や愛人との子を迎えることを快く承諾しろだなんて。気持ちがあるクリスティーナ嬢にとって地獄ですよ。場合によっては命だって狙われるのですよ?
クリスティーナ嬢は愛されるべき女性です』

『その通りですけど、クリスティーナにとって誤魔化してまで継続させたい婚約ですのよ?』

『ヘインズはクリスティーナにも恋人や愛人を認めていますし、純潔や貞操などといったものも不要と断言しています。
俺はクリスティーナの恋人の座を勝ち取って、ヘインズとの婚約を壊すつもりです』

『無理矢理ではなく娘の心を動かすということですね?』

『はい、伯爵。ですからこの滞在を認めてください。クリスティーナ嬢の側にいることをお許しください。見張りを付けてくださって結構です。
クリスティーナ嬢の部屋に滞在させてください』

『ティナの部屋なんてダメですよ!』

『既に同じベッドで一晩過ごしています。何もありませんでしたけど。
もちろん俺も正常な男ですから愛するクリスティーナ嬢と結ばれたいという気持ちはあります。
ですが今ではないんです。
クリスティーナ嬢の気持ちがしっかり動くまで我慢してみせます。試練を与えているとでも思ってください』

深々と頭を下げた。

『そちらの封筒は?』

『エンブレーズ大公女の従兄王子からの手紙です。
実は、大公と大公女が帰国する馬車を止めて脅しました。大公女が全く反省しておらず、いずれ大公女がクリスティーナ嬢に仕返しをしかねないと思いました。ですから大公に体の自由を奪う毒を渡したのです』

王子からの手紙を伯爵に渡した。

“心の友よ
眠り姫をありがとう。
お陰で棘の月を使うことができる。
一月の休憩を与えながら使い続けるよ。
まだ年月はかかるが 次代の王となったら
友とその愛する姫と、公式に友好を結びたい。
愚女の従兄として 君の姫に心より詫びていたと
伝えてくれ。
心の友 アローシャより”

『大公相手に公子は怖いことをなさいましたね』

『大公は娘を庇う気はありませんでした。
娘の躾が甘くて子育ては失敗しましたが、馬鹿ではありません。ジオ家のことも知っていましたし、セルヴィー家についても敬いの気持ちが感じ取れました。
ジオ家の騎士達で囲んだ時も、すぐに状況を把握して冷静に対応しました。さすが王弟。暗殺されかけたことがあったのでしょう。騒いだり罵ったりすることなく、会話を交わし薬を受け取り真っ直ぐ国境へ向かいました。
護衛達に一切の攻撃をしないよう命じていましたからね』

『大丈夫でしょうか』

『クリスティーナ嬢が羽毛布団を割り引いて渡したので大丈夫ですよ。欲しい物を手に入れた少年のような顔をしていましたから』

『私は賛成ですわ。
その代わり、セルヴィー家の信頼を裏切らないでくださいね』

『ありがとうございます、夫人』

『そうしよう』

『ありがとうございます、伯爵』

『ティナを不幸にしたら、』

『クリスティーナ嬢の兄君を敵に回すようなことはしません』


こうして俺はクリスティーナの家族の協力を得て一緒に寝ている。

ペタペタ さすさす

だけどこの娘は胸筋や腹筋が珍しいのか、ペタペタと叩き 撫で回す。

アレを掴まれたときは大変な葛藤があった。
ソフトな閨教育だったらしく、アレが硬く大きくなるのを知らなかったようだ。
青ざめるクリスティーナがとても可愛いかった。

馬車ではなく、馬に相乗りして領内を見て回るのも作戦のうちだ。俺に触れられることも、体を委ねることにも慣れてもらいたかったからだ。

今では、文句を言わずにベッドに入り、こうして俺で暖を取る。

残り半月でどこまでクリスティーナが許してくれるか…





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

諦めた令嬢と悩んでばかりの元婚約者

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
愛しい恋人ができた僕は、婚約者アリシアに一方的な婚約破棄を申し出る。 どんな態度をとられても仕方がないと覚悟していた。 だが、アリシアの態度は僕の想像もしていなかったものだった。 短編。全6話。 ※女性たちの心情描写はありません。 彼女たちはどう考えてこういう行動をしたんだろう? と、考えていただくようなお話になっております。 ※本作は、私の頭のストレッチ作品第一弾のため感想欄は開けておりません。 (投稿中は。最終話投稿後に開けることを考えております) ※1/14 完結しました。 感想欄を開けさせていただきます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

アシュリーの願いごと

ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」 もしかして。そう思うことはありました。 でも、まさか本当だっただなんて。 「…それならもう我慢する必要は無いわね?」 嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。 すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。 愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。 「でも、もう変わらなくてはね」 この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。 だって。私には願いがあるのだから。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ✻1/19、タグを2つ追加しました ✻1/27、短編から長編に変更しました ✻2/2、タグを変更しました

手放したくない理由

ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。 しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。 話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、 「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」 と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。 同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。 大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

記憶喪失の婚約者は私を侍女だと思ってる

きまま
恋愛
王家に仕える名門ラングフォード家の令嬢セレナは王太子サフィルと婚約を結んだばかりだった。 穏やかで優しい彼との未来を疑いもしなかった。 ——あの日までは。 突如として王都を揺るがした 「王太子サフィル、重傷」の報せ。 駆けつけた医務室でセレナを待っていたのは、彼女を“知らない”婚約者の姿だった。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」  そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。    私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。  ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。  その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。 「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」  お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。 「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」  

今度こそ君と結婚するために生まれ変わったんだ。そう言った人は明日、わたしの妹と結婚します

柚木ゆず
恋愛
「俺はね、前世で果たせなかった約束を守るために――君と結婚をするために、生まれ変わったんだ」  ある日突然レトローザ伯爵令息ロドルフ様がいらっしゃり、ロドルフ様から前世で婚約関係にあったと知らされました。  ――生まれ変わる前は相思相愛で式を心待ちにしていたものの、結婚直前でロドルフ様が亡くなってしまい来世での結婚を誓い合った――。  わたしにはその記憶はありませんでしたがやがて生まれ変わりを信じるようになり、わたし達は婚約をすることとなりました。  ロドルフ様は、とてもお優しい方。そのため記憶が戻らずとも好意を抱いており、結婚式を心待ちにしていたのですが――。  直前になってロドルフ様は、わたしの妹アンジェルと結婚すると言い出したのでした。  ※9月26日、本編完結いたしました。時期は未定ではございますが、エピローグ後のエピソードの投稿を考えております。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

処理中です...