笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

文字の大きさ
48 / 215

これが普通?

しおりを挟む
「ん…」

目覚めると、またヒューゴ様に抱き付いていた。
目覚めるとき、夢と現実の狭間で、彼の胸やお腹を撫で回していた記憶が薄らある。
目を開けて、私の手が彼の胸の上にあるのだから それは現実だということだ。

多分、腕あたりに頭を乗せて脚を絡めているのも私のせいなのだろう。
だって頭を持ち上げられて腕を通されたら起きると思う。

ヒューゴ様はそのことには触れずに、更に抱き寄せて頭や額にキスをして“おはよう”と言う。
麗しい微笑み付きだ。

「チュッ おはよう」

「おはようございます…」

「寒くなかった?」

「はい」

この布団で寒いはずはない。
だけど最初から暖かいわけではない。
ヒューゴ様が一緒に寝ているから最初から寒くないし、朝までぐっすり眠り 起きるとポカポカしている。

そして彼は毎夜全裸だ。


身支度をして食堂へ行くとお母様が一緒に食事をしてくださる。ヒューゴ様は一緒にいるけどコーヒーを飲んでいるだけ。まだ学生の未婚の娘が婚約者以外の男と毎晩同じベッドで寝ているのに、何もなかったかのように接する。
私がおかしいの?

ヒューゴ様は2日目からはお父様とお兄様と同じ時間に一度起きて食堂に行き、一緒に朝食をとっているらしい。
起こしてくれたらいいのに、“寝顔を見たら起こせない”とか言って起こしてくれない。
そもそも服を着て食事をした後に、また服を全部脱いでベッドに戻る必要ある?

夕食で顔を合わせるお父様もお兄様も、全く気にせずにヒューゴ様と談笑をしていたし。

「カイル卿、ヒューゴ様は洗脳師か魔法使いか何かですか?」

「え?どうしてですか?」

「父達がヒューゴ様を家族の一員みたいに扱うし、ティアラまで懐いちゃって…」

今ではティアラはヒューゴ様が呼ぶと喜んで近寄っていく。そして甘えるのだ。

「ティアラくん、可愛いですよね。
気品のある大きな猫で毛はフサフサ。そして大人しい。私も老後はティアラくんのような猫を飼いたいです」

「じゃあ、ティアラを繁殖させようかしら」

「俺と繁殖してもいいんだぞ?」

「カイル卿、もしかして私の背後に変態がいます?」

「へ、変態ではなく、クリスティーナ様をお慕いする素敵な貴公子が見えます」

「あら、カイル卿。ティアラと繁殖したいだなんて、変態じゃない。淘汰されても仕方のないレベルよ?」

「俺とクリスティーナの繁殖の話だ。何でオス猫相手に繁殖できるんだよ」

「繁殖なさりたいのなら、他のご令嬢を追いかけてください」

「クリスティーナとしか繁殖しない」

爽やかな朝は消し飛んだわね。

「今日はカイル卿の馬に乗せてもらおうかしら」

「馬はカイルのでも俺が乗るからな」

「馬車にしようかしら」

「密室もいいな」

「馬でお願いします」

「いい子だ。今日は義母上のお使いに隣町まで行くからな」

「分かりました」

こうして日中も体を密着させている。
これが当たり前になってきてしまった。


隣町に到着し、目的のお店にやってきた。

「すごい!」

雑貨店だったけど、犬用品と猫用品が並べてある棚があった。首輪とか爪切りとかブラシとか、猫用の飾りや玩具、オヤツまで。

「これ、猫の皿とかベッドもあるぞ」

「可愛いけど、うちの子には小さ過ぎますね」

「そうだな。玩具とオヤツを買って帰ろう」

「はい」


隣町もお店が増えたり入れ替わっていたりして、つい長居をしてしまった。屋敷に戻ろうとしたときに雨が降り出してしまった。

「急いで雨宿りしないと!」

何故ならこのふわふわコートは雨に弱かった。
上から外套を羽織ろうとしたけど、

「ヒューゴ様、雨はしばらく止まないかもしれません。時間的にも日が出ているうちに帰りつかないでしょう」

「ごめんなさい。私が他の店も見たいなんて言ってしまったから」

「クリスティーナのせいじゃない。雨の神のせいだ」

「そんな神様いましたか?」

「現に降っているのだからいるはずだ。
仕方ない。宿を取ろう」

すぐ近くの宿へ向かった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?

四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】 私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。 そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、 死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。 「でも、子供たちの心だけは、 必ず取り戻す」 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。 それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。 これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...