笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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混乱

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【 シャルルの視点 】

セルヴィー邸に先触れを出しても不在だと返ってきた。学園がある日も。
学園に行くと令嬢達からクリスティーナは休んでいると聞いた。
泊まりでどこかへ行っているということか?

先触れではなく 直接セルヴィー邸を訪ねたが、セルヴィー伯爵と出かけているとしか答えてくれなかった。


そして…

「ユーグがセルヴィー家の馬車に乗っていたらしい。
ジオ家の馬車も車列にいたそうだ」

「ユーグが!?」

「どうなっているんだ、何か聞いていないのか」

「パーティでクリスティーナが友人になったと言っていただけです」

「何の話をしていた」

「セルヴィー産の化粧品です」

「車列の護衛の数が多かったらしいから遠出なのだろう」

「実は学園を休んで伯爵と出かけたと聞きました」

「共通点なんか無いから 何か事業計画があるのかもしれない」

メルト邸に確かめに行き 戻って来た父上は苛立っていた。

「全く分からん!メルト家所有の別荘に行ったらしい。ユーグもどういうつもりだ!うちの嫁になる娘と遠くに行くのなら うちに話を通すのが普通だろう!」

「……」


その後もユーグは戻って来なかったが、クリスティーナは王都に戻っていた。

やっと約束を取り付けて会いに行った。

「クリスティーナ」

「シャルル様、ご機嫌よう」

「ご機嫌ようじゃない。ユーグとどこに行っていたんだ」

「あの…何か?」

「君と伯爵とジオ公子とユーグで別荘に行ったらしいな。何をしに行ったんだ」

「仕事です」

「君は僕の婚約者だろう。メルト家はヘインズ家と代々交流のある家門なのだから、事前に説明をすべきじゃないのか」

「シャルル様、私は仕事と申し上げました。いくらヘインズ家とメルト家に昔からの交流があったとしてもお伝えすることはございません」

「クリスティーナ?」

「ヘインズ家に関わりのないことです。報告の義務がありますか?」

「だが、君とユーグはうちのパーティで知り合ったのだろう」

「どこで知り合ったとしてもセルヴィー家とメルト家の仕事の話であれば断りも報告も必要ありません。
シャルル様は多くのパーティなどに出席なさっていますが、そこで知り合った方と個人的に会うのに、主催者の許可を得ているのですか?」

「君の場合は泊まりだろう」

「こんなことは申し上げたくありませんが、シャルル様は女性とお会いして、全て日付が変わる前に別れて帰宅なさっていましたか?」

「それとこれとは違う」

「違いません。というより私とユーグ様の方が健全です。父も一緒なのですから。
私がヘインズ家の資産で事業をしない限り口出しはご遠慮ください」

「クリスティーナ…」

「他にご用がなければお引き取りください」

「待ってくれ」

「何でしょう」

「本当にユーグとは仕事上の関係なのだな?」

「友人も兼ねていますが、そうです。
シャルル様、そもそも私が恋人を作ろうが愛人を作ろうが構わないと仰ったのはシャルル様ですよね?いずれは愛人との子を産んでも構わないとまで仰ったのに?
相手がユーグ様だからですか?」

「っ!」

「シャルル様と婚約してからずっと 辛い思いも悲しい思いも悔しい思いも全て胸の中に収めて約束を守ってまいりました。
令嬢達から酷いことを言われても、ぶつかられても足を掛けられても、飲み物などを掛けられても我慢してきました。私にはどの令嬢がシャルル様の本命か分かりませんでしたし、いずれ結婚後に愛人として屋敷に連れて来るかもしれないと思ったからです。ですから段差のある場所で突き飛ばされても我慢したのです。
ご自身で求めた契約内容は守ってくださいませんか」

「僕は…」

その後は言葉にならなかった。

彼女が応接間から去ると執事が退席を促した。

「お嬢様の予定は詰まっております。
また日を改めていただきたくお願い申し上げます」

「クリスティーナは長期休暇に領地に行くのだったよな」

「はい」

「同行する貴族はいるのか?例えばジオ公子かメルト子爵か」

「…ジオ公爵令息様がご同行なさいます」

「それはクリスティーナが誘ったのか?」

「いいえ。ジオ公爵令息様が直接旦那様に許可を得たそうです」

「そうか」


屋敷に戻り、領地のセルヴィー邸に手紙を出した。クリスティーナの長期休暇に合わせてセルヴィー領に滞在したいという申し入れだった。
だけど間際に届いた手紙はクリスティーナの兄からだった。

“父が不在のため判断致しかねます
父は仕事のため領地におらず 戻る日程は未定です
先客もありますのでまたの機会にお越しください”

クシャッ

「僕は婚約者だぞ」

「シャルル様?」

手紙を持ってきた執事が 手紙を受け取り中身を読んで握り潰した僕を見て驚いていた。

「今夜は遅くなる」

「ロマーヌ家の夜会に行かれるのですね?ご用意いたします」

苛立ちの矛先を別の女に向けるしかなかった。


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