笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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混乱

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アルゼン夫人はすぐに学園長に報告をしたらしく、2日後には私が学園長に呼び出された。

「つまり、セルヴィーさんは処罰を望んでいないということだね?」

「今までの嫌がらせに比べたら甘噛みみたいなものです。ただ関わってこないでもらえたらそれでかまいません」

「同じ教室でも?」

「はい」

「セルヴィーさんは慈悲深いのだな。アルゼン夫人がセルヴィーさんを褒めちぎっていたよ」

「アルゼン夫人は素晴らしい方です。今回傷付かれたと思いますので心配です」

「ショックを受けたようだが立ち直るはずだ。
話を戻すが、ビクセンさんが妊娠したかどうかはまだ分からないので登校をさせることにする。別室に登校させることも可能だが」

「別室となるとビクセン嬢のためだけに先生をつけることになります。それは先生方に負担になります。同じ教室でかまいません」

「分かった」


学園長はビクセン嬢に登校の許可を出した。3ヶ月後に医師に診てもらってどうするか決めるらしい。

ヒソヒソ ヒソヒソ

まだ騒がしいけど、みんなもすぐに飽きて話題にも出さなくなるだろう。

エルザとジネットには関わらないようお願いをした。特にエルザは第二王子妃になる人だから。

「ねえ。卒業パーティだけど3人でお揃いのドレスにしない?」

「お揃い?」

「そう。色違い」

「のったわ」

「うちで手配するわね。緑をもらっていい?」

「私は紫」

「ティナはヒューゴ様の色で作っておくわね」

「壁の色でいいわ」

「何言ってるの。
数日中にパートナーのお願いをするのよ。まだまだ先だけど衣装のことがあるから。デザインが決まったらゼオロエン家うちからジオ家に連絡するからね」

「う、うん」

週末にはテストの結果が出た。
ビクセン嬢はギリギリの10位だった。



【 シャルルの視点 】

どうしていいのか分からない。
あの女が現れるまでは、クリスティーナとゆっくり関係を築こうと思っていた。一緒にいる時間を作って彼女のことを知ろうとしていた。

妊娠が確定しない以上、退学にはさせられず今もクリスティーナと同じ教室で授業を受けているという。クリスティーナは何を思っているのだろう。

「ビクセン伯爵が到着しました」

「今行く」

応接間に行くと父とビクセン伯爵が挨拶を交わしていた。

「息子のシャルルです」

「ダン・ビクセンです」

「どうぞお掛けください」

「アルゼン邸に行きましたが、娘はご子息と相思相愛で望まれたと思っております」

「そのような事実はありません。挨拶も交わした事のない令嬢に相思相愛だなんてあり得ません」

「娘は純潔でした」

「純潔でも夜会で男を求める令嬢もいます。現に純潔の令嬢から声をかけられるのは初めてではありません。お疑いであれば調査をなさってください。令嬢の方から誘ってきたことも、強引に個室へ向かったのではないことも何人かは目撃しています」

「そうですか」

「ビクセン伯爵、問題はお嬢さんが息子との一夜のことを学園の教室で婚約者に告げたことです。相手はセルヴィー伯爵家のご令嬢ですよ。身を引けだの婚約を解消しろだのと迫るなんて信じられませんよ。しかも妊娠を望んでいるなどと…」

「娘を娶ってはいただけませんか」

「何のメリットがあって仰るのですか」

「確かにメリットはありませんが…つまりは純潔だけがアマリアの価値だったのです」

「だとしたら夜会に出席して男を誘うような行為は慎むよう教育すべきでしたね」

「ですがシャルル殿も妊娠させるかもしれない行為をしたのですから責任を取るべきです」

「もし妊娠していて産まれた際にシャルルに似ていたら子は引き取りましょう。それ以外の譲歩はできません。それよりセルヴィー家にどう詫びを入れるつもりですか」

「どうと言われましても、ただ謝るしかビクセン家にはできません」

この後も意味のない話は続き、一泊泊めて送り出した。


数日後、父上に呼ばれると開封済みの手紙を渡された。

「あ…」

今回のことがあるのにクリスティーナが口に出さないから忘れていた。セルヴィー伯爵からの手紙を読んで思い出した。

“2人が結婚する前にシャルル殿が他の女性と子を成した場合、婚約破棄をする旨をお伝え済みですが覚えておられますか”

そうだった…

「シャルル、妊娠していないことを祈り、それが駄目なら微塵も似ていないことを祈ろう。似た部分があれば終わりだ」

「僕はクリスティーナと結婚します!」

「おまえがクリスティーナを大事にしていたら最後の過ちとして許しを得ることができたかもしれないが、今度こそは無理だろう」

「でもクリスティーナはあの女とのことを知っても破棄のことは口にしませんでした」

「判断がつかないからな。妊娠していない可能性だってあるのだから」

クリスティーナとの婚約がなくなるかもしれない。
以前はそれを願って止まなかったのに今は…  


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