108 / 215
混乱
しおりを挟む
アルゼン夫人はすぐに学園長に報告をしたらしく、2日後には私が学園長に呼び出された。
「つまり、セルヴィーさんは処罰を望んでいないということだね?」
「今までの嫌がらせに比べたら甘噛みみたいなものです。ただ関わってこないでもらえたらそれでかまいません」
「同じ教室でも?」
「はい」
「セルヴィーさんは慈悲深いのだな。アルゼン夫人がセルヴィーさんを褒めちぎっていたよ」
「アルゼン夫人は素晴らしい方です。今回傷付かれたと思いますので心配です」
「ショックを受けたようだが立ち直るはずだ。
話を戻すが、ビクセンさんが妊娠したかどうかはまだ分からないので登校をさせることにする。別室に登校させることも可能だが」
「別室となるとビクセン嬢のためだけに先生をつけることになります。それは先生方に負担になります。同じ教室でかまいません」
「分かった」
学園長はビクセン嬢に登校の許可を出した。3ヶ月後に医師に診てもらってどうするか決めるらしい。
ヒソヒソ ヒソヒソ
まだ騒がしいけど、みんなもすぐに飽きて話題にも出さなくなるだろう。
エルザとジネットには関わらないようお願いをした。特にエルザは第二王子妃になる人だから。
「ねえ。卒業パーティだけど3人でお揃いのドレスにしない?」
「お揃い?」
「そう。色違い」
「のったわ」
「うちで手配するわね。緑をもらっていい?」
「私は紫」
「ティナはヒューゴ様の色で作っておくわね」
「壁の色でいいわ」
「何言ってるの。
数日中にパートナーのお願いをするのよ。まだまだ先だけど衣装のことがあるから。デザインが決まったらゼオロエン家からジオ家に連絡するからね」
「う、うん」
週末にはテストの結果が出た。
ビクセン嬢はギリギリの10位だった。
【 シャルルの視点 】
どうしていいのか分からない。
あの女が現れるまでは、クリスティーナとゆっくり関係を築こうと思っていた。一緒にいる時間を作って彼女のことを知ろうとしていた。
妊娠が確定しない以上、退学にはさせられず今もクリスティーナと同じ教室で授業を受けているという。クリスティーナは何を思っているのだろう。
「ビクセン伯爵が到着しました」
「今行く」
応接間に行くと父とビクセン伯爵が挨拶を交わしていた。
「息子のシャルルです」
「ダン・ビクセンです」
「どうぞお掛けください」
「アルゼン邸に行きましたが、娘はご子息と相思相愛で望まれたと思っております」
「そのような事実はありません。挨拶も交わした事のない令嬢に相思相愛だなんてあり得ません」
「娘は純潔でした」
「純潔でも夜会で男を求める令嬢もいます。現に純潔の令嬢から声をかけられるのは初めてではありません。お疑いであれば調査をなさってください。令嬢の方から誘ってきたことも、強引に個室へ向かったのではないことも何人かは目撃しています」
「そうですか」
「ビクセン伯爵、問題はお嬢さんが息子との一夜のことを学園の教室で婚約者に告げたことです。相手はセルヴィー伯爵家のご令嬢ですよ。身を引けだの婚約を解消しろだのと迫るなんて信じられませんよ。しかも妊娠を望んでいるなどと…」
「娘を娶ってはいただけませんか」
「何のメリットがあって仰るのですか」
「確かにメリットはありませんが…つまりは純潔だけがアマリアの価値だったのです」
「だとしたら夜会に出席して男を誘うような行為は慎むよう教育すべきでしたね」
「ですがシャルル殿も妊娠させるかもしれない行為をしたのですから責任を取るべきです」
「もし妊娠していて産まれた際にシャルルに似ていたら子は引き取りましょう。それ以外の譲歩はできません。それよりセルヴィー家にどう詫びを入れるつもりですか」
「どうと言われましても、ただ謝るしかビクセン家にはできません」
この後も意味のない話は続き、一泊泊めて送り出した。
数日後、父上に呼ばれると開封済みの手紙を渡された。
「あ…」
今回のことがあるのにクリスティーナが口に出さないから忘れていた。セルヴィー伯爵からの手紙を読んで思い出した。
“2人が結婚する前にシャルル殿が他の女性と子を成した場合、婚約破棄をする旨をお伝え済みですが覚えておられますか”
そうだった…
「シャルル、妊娠していないことを祈り、それが駄目なら微塵も似ていないことを祈ろう。似た部分があれば終わりだ」
「僕はクリスティーナと結婚します!」
「おまえがクリスティーナを大事にしていたら最後の過ちとして許しを得ることができたかもしれないが、今度こそは無理だろう」
「でもクリスティーナはあの女とのことを知っても破棄のことは口にしませんでした」
「判断がつかないからな。妊娠していない可能性だってあるのだから」
クリスティーナとの婚約がなくなるかもしれない。
以前はそれを願って止まなかったのに今は…
「つまり、セルヴィーさんは処罰を望んでいないということだね?」
「今までの嫌がらせに比べたら甘噛みみたいなものです。ただ関わってこないでもらえたらそれでかまいません」
「同じ教室でも?」
「はい」
「セルヴィーさんは慈悲深いのだな。アルゼン夫人がセルヴィーさんを褒めちぎっていたよ」
「アルゼン夫人は素晴らしい方です。今回傷付かれたと思いますので心配です」
「ショックを受けたようだが立ち直るはずだ。
話を戻すが、ビクセンさんが妊娠したかどうかはまだ分からないので登校をさせることにする。別室に登校させることも可能だが」
「別室となるとビクセン嬢のためだけに先生をつけることになります。それは先生方に負担になります。同じ教室でかまいません」
「分かった」
学園長はビクセン嬢に登校の許可を出した。3ヶ月後に医師に診てもらってどうするか決めるらしい。
ヒソヒソ ヒソヒソ
まだ騒がしいけど、みんなもすぐに飽きて話題にも出さなくなるだろう。
エルザとジネットには関わらないようお願いをした。特にエルザは第二王子妃になる人だから。
「ねえ。卒業パーティだけど3人でお揃いのドレスにしない?」
「お揃い?」
「そう。色違い」
「のったわ」
「うちで手配するわね。緑をもらっていい?」
「私は紫」
「ティナはヒューゴ様の色で作っておくわね」
「壁の色でいいわ」
「何言ってるの。
数日中にパートナーのお願いをするのよ。まだまだ先だけど衣装のことがあるから。デザインが決まったらゼオロエン家からジオ家に連絡するからね」
「う、うん」
週末にはテストの結果が出た。
ビクセン嬢はギリギリの10位だった。
【 シャルルの視点 】
どうしていいのか分からない。
あの女が現れるまでは、クリスティーナとゆっくり関係を築こうと思っていた。一緒にいる時間を作って彼女のことを知ろうとしていた。
妊娠が確定しない以上、退学にはさせられず今もクリスティーナと同じ教室で授業を受けているという。クリスティーナは何を思っているのだろう。
「ビクセン伯爵が到着しました」
「今行く」
応接間に行くと父とビクセン伯爵が挨拶を交わしていた。
「息子のシャルルです」
「ダン・ビクセンです」
「どうぞお掛けください」
「アルゼン邸に行きましたが、娘はご子息と相思相愛で望まれたと思っております」
「そのような事実はありません。挨拶も交わした事のない令嬢に相思相愛だなんてあり得ません」
「娘は純潔でした」
「純潔でも夜会で男を求める令嬢もいます。現に純潔の令嬢から声をかけられるのは初めてではありません。お疑いであれば調査をなさってください。令嬢の方から誘ってきたことも、強引に個室へ向かったのではないことも何人かは目撃しています」
「そうですか」
「ビクセン伯爵、問題はお嬢さんが息子との一夜のことを学園の教室で婚約者に告げたことです。相手はセルヴィー伯爵家のご令嬢ですよ。身を引けだの婚約を解消しろだのと迫るなんて信じられませんよ。しかも妊娠を望んでいるなどと…」
「娘を娶ってはいただけませんか」
「何のメリットがあって仰るのですか」
「確かにメリットはありませんが…つまりは純潔だけがアマリアの価値だったのです」
「だとしたら夜会に出席して男を誘うような行為は慎むよう教育すべきでしたね」
「ですがシャルル殿も妊娠させるかもしれない行為をしたのですから責任を取るべきです」
「もし妊娠していて産まれた際にシャルルに似ていたら子は引き取りましょう。それ以外の譲歩はできません。それよりセルヴィー家にどう詫びを入れるつもりですか」
「どうと言われましても、ただ謝るしかビクセン家にはできません」
この後も意味のない話は続き、一泊泊めて送り出した。
数日後、父上に呼ばれると開封済みの手紙を渡された。
「あ…」
今回のことがあるのにクリスティーナが口に出さないから忘れていた。セルヴィー伯爵からの手紙を読んで思い出した。
“2人が結婚する前にシャルル殿が他の女性と子を成した場合、婚約破棄をする旨をお伝え済みですが覚えておられますか”
そうだった…
「シャルル、妊娠していないことを祈り、それが駄目なら微塵も似ていないことを祈ろう。似た部分があれば終わりだ」
「僕はクリスティーナと結婚します!」
「おまえがクリスティーナを大事にしていたら最後の過ちとして許しを得ることができたかもしれないが、今度こそは無理だろう」
「でもクリスティーナはあの女とのことを知っても破棄のことは口にしませんでした」
「判断がつかないからな。妊娠していない可能性だってあるのだから」
クリスティーナとの婚約がなくなるかもしれない。
以前はそれを願って止まなかったのに今は…
3,091
あなたにおすすめの小説
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
だから何ですの? 〜王家の系譜に「愛」など不要です〜
柴田はつみ
恋愛
貴方の系譜、ここで断絶させてもよろしくて? 〜初夜に愛を否定された公爵令嬢、国庫と軍事と血統を掌握して無能な夫を過去にする〜
薔薇の花びらが散らされた初夜の寝室で、アルフォンスはあまりに卑俗で、あまりに使い古された台詞を吐く。
「私は君を愛することはない。私の心には、リリアーヌという真実の光があるのだ」
並の女なら、ここで真珠のような涙をこぼし、夫の情けを乞うだろう。
しかし、ミレーヌの脳裏をよぎったのは、絶望ではなく、深い「退屈」だった。
「……だから何ですの? 殿下」
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
当店では真実の愛は取り扱っておりません
鍛高譚
恋愛
「平民だから、言うことを聞くと思った?」
「……ふざけるのも大概にしてください。平民なめんな。」
公爵家令嬢ココア・ブレンディは、突然の婚約破棄を告げられる。
理由は“真実の愛”に目覚めたから──?
しかもそのお相手は、有力商会の娘、クレオ・パステル。
……って、えっ? 聞いてませんけど!? 会ったことすらないんですが!?
資産目当ての“真実の愛”を押しつけられた商人令嬢クレオは、
見事な啖呵で公爵家の目論見を一刀両断!
「商人の本気、見せてあげます。取引先ごと、手を引いていただきますね」
そして、婚約を一方的に破棄されたココアは、クレオとまさかのタッグを組む!
「ココア様、まずはお友達からよろしくなのです」
「ええ。ではまず、資本提携から始めましょうか」
名門貴族と平民商人――立場を超えて最強の令嬢コンビが誕生!
没落寸前のブラック公爵家を、“商売と優雅さ”でじわじわ追い詰める痛快ざまぁ劇!
――平民を侮る者には、優雅で冷酷な報いを。
“真実の愛”では買えない未来が、ここにある。
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる