【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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ごめんなさい

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翌朝、早めの朝食を食べて荷造りの最終チェックをして後は任せて出発した。今となっては店舗を従業員に任せるようにして良かった。急に王都を長く離れることになっても安心だもの。

ヘインズ家からの贈り物は手紙と一緒にヘインズ伯爵宛に届けるよう指示をしてある。手紙には婚約解消ではなく破棄にした経緯を記し、後日父から連絡すること、私は王都を離れることを書いておいた。あの感じだとシャルル様が屋敷に押しかけて来るはずだから。

あの瞬間、スッと気持ちが冷めた。
今思えば冷めてきていた自分を認めることができていなかったように思う。最近はシャルル様の優しさに触れて揺さぶられていた。そこだけは本当に感謝している。シャルル様のおかげでティアラの死からだいぶ立ち直ることができたから。
だけどもう彼との未来が全く見えなくなってしまった。シャルル様が別れを望んでいるのだから受け入れる方が最善だと思う。ただ今は契約のこともあるから引き止めようとしてるだけ。直ぐに自由を満喫するはずよ。



ジオ領まで残り3分の1という所で馬車が停車した。

「お嬢様、ジオ家の騎士です」

窓を開けるとカイル卿とロック卿だった。他にも3人の騎士がいた。

「お久しぶりです」

「クリスティーナ様をお守りするべくお迎えに参りました」

「ありがとうございます」

2人はヒューゴ様の側近といってもいいほど常に彼の護衛に就いている騎士達だ。その2人を迎えに来させてくれることに嬉しさを感じた。

順調に進み、ついには領地のジオ邸に到着した。

「クリスティーナ、よく来たね」

「疲れたでしょう、早く入って」

「突然申し訳ございません」

「謝らないで、嬉しいわ」

「鎖で繋がれていなければ直ぐにヒューゴも帰って来るのだが」

「え?鎖!?」

まさかお父様、ヒューゴ様を鎖で繋いでしまったの!?

「ふふっ、比喩よ。さあ いらっしゃい」

部屋に案内され、荷物をといて着替えた。
ゆっくり休み夕食をいただき湯浴みをして寝支度を済ませた頃にドアが開いた。ノック無しだから多分
彼だと思った。

「クリスティーナ!」

「ヒューゴ様」

「会いたかった」

ガバッと抱きしめられた。

「あ、風呂に入ってくる」

そう言って部屋から出て行った。
ヒューゴ様が帰ってきたのならお父様も一緒かもしれない。ガウンを着て一階に降りるとお父様がいた。

「パパ!」

駆け寄って抱き付いた。

「よく来たね」

「ごめんなさい。パパがせっかく結んでくれた婚約だったのに」

「クリスティーナが幸せになれない婚約なら何度破棄したって構わない。だから謝らなくていい。むしろずっと我慢させてきて悪かった」

「パパ、大好きよ」

「私もクリスティーナが大好きだよ。長旅だっただろう、疲れてないか?」

「パパこそ疲れたでしょう」

「そうだな。明日ゆっくり話そう」

「はい。でももう少し抱き付いていてもいい?」

「もちろんだ」

昔のようにパパ呼びして甘えた。

10分後にお父様を解放して部屋に戻った。
安心して眠れそう。眠気が一気に襲ってきたのでベッドに入り目を閉じた。



「おはようございます」

「ん…」

目を開けると公爵家のメイド服を着たメイドが立っていた。カーテンを開け起床を促した。だけど

「重い…ヒューゴ様、朝ですよ」

「ティナ」

「お腹空いて飢えそうです」

私に抱き付いていたヒューゴ様はパチっと目を開けるとムクっと起き上がった。

顔を洗って着替えて食堂へ行くと、既に公爵様とお父様がいた。私達が座ると公爵夫人が花を生けた花瓶を持ったメイドと食堂に入ってきた。

「クリスティーナが気にいると思って摘んできたの」

「いい香りですわ。ありがとうございます」

「さあ、食べましょう」

食事をしながら湧き水のある辺りの施設について説明を受けた。

「水源を含めた広範囲を立入禁止の柵で覆い、栽培研究施設、加工場、作業員や兵士の居住区、そして管理者用の小さな屋敷を建てた。内装も終わり、家具や備品などを搬入している最中だ。従業員や兵士には上から下まで漏れなく自白剤を飲ませて面接をしている」

「え!?」

「それに合格した者だけ使っている。不定期にまた飲ませると告げてあるので命が惜しければ善良であろうと努めるだろう」

チラリとお父様を見た。

「大丈夫。無理強いはしていない。志願した者達に同意を得て飲ませている。多少二日酔いみたいな症状はあったが安全だし、サブマ草エキス入りハーブティーを飲ませたらそれも直ぐに治った」

そんな効果もあるのね。本当に万能薬かも。
もう一度お父様をチラリと見た。

「合格した従業員と兵士は厳格な規律の中に身を投じる代わりに高待遇を与えることになっている。セルヴィーうちと同じだ」

「良かったです」

「様々な効果が確認できているから後で研究資料を見せよう」

「抜け毛にも効果ありますか?」

「抜け毛!?」

4人は私を見つめた。

「薄毛に悩む方は男女問わずです。男性は早くから悩む方もいますし、女性は高齢になると薄くなる方もいます。もし生える薬が開発できればそれはいくら出しても構わない商品になるはずです」

「確かに」

「カツラのご夫人もいらっしゃるわ」

「だが、まだ長持ちさせる研究が追いついていない」

「病院とは言いませんが、保養施設のようなものを開業するのもいいかもしれません。数人滞在させて担当を決めて施術を行うのです。研究次第ですが、例えば一度の滞在は1週間、それを数ヶ月後毎に来て施術を受けてもらうというのはどうですか?通う毎に毛が増えていって最終的にフサフサに。その間の食事や生活態度を健康的なものに変えられるよう指導するのです」

「そうだ、ティナの店の洗髪剤や石鹸を使えばいい。セルヴィーの料理人に健康を考えたメニューを作ってもらって指導してもらえると助かる。後は…」

次々と細かな提案をするヒューゴ様に少し驚いた。そんな話をする人じゃなかったのに。

「素敵なアイディアです、ヒューゴ様」

お父様をチラリと見ると

「サイモン達に指示を出しておこう」

サイモンとはセルヴィー領の石鹸類の開発責任者だ。

「素敵だわ。たくさん商品が開発されるのが今から楽しみよ」

公爵夫人も楽しみみたい。

そして食後はお茶を飲みながら婚約破棄の件の報告をすることになった。







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