【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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婚約破棄

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【 シャルルの視点 】

あの後セルヴィー邸へ行っても門番が全く対応をしてくれなかった。

『僕が来たと伝えてくれ!』

『ヘインズ伯爵令息様はお取り継ぎしてはならないと命じられております。お引き取りください』

『僕は婚約者なんだぞ!』

『婚約者だろうが夫だろうが、ここはセルヴィー伯爵邸です。他家の方の指図は受けません』

長く粘ったが無駄だった。屋敷に戻ると既にタリー伯爵夫人から連絡がきていた。

『シャルル!どういうことなの!』

『こっちに来て座りなさい』

『タリー邸で何があったの』

仕方なく休憩室での事を話した。

『婚約破棄を宣言されたのだな』

『きっと気の迷いです。腹を立てて今は気が高ぶっているだけです』

『今まで何があろうと解消を求めなかったのにか?』

『なんてことなの。クリスティーナにとって屈辱的だったのよ。信じられないわ!妊娠騒動を乗り越えたばかりじゃないの!』

『明日セルヴィー家に連絡を入れよう』

翌日、父が面会の申し入れをしようと準備していたところにセルヴィー家の使用人がいくつかの箱を届けに来た。使用人はクリスティーナは王都にいないと告げた。
蓋を開けると全てクリスティーナに贈った物だった。添えられたメッセージカードには“花や食べ物や茶葉はお返しできません”とだけ書かれていた。何もかも拒絶されてしまった。

動きがあったのは10日後のことだった。セルヴィー伯爵から面会の申し入れがあった。



10日後、

「これはこれは、セルヴィー伯爵。お久しぶりです」

「お久しぶりです、ヘインズ伯爵、伯爵夫人、シャルル殿。早速ですがクリスティーナとシャルル殿の婚約はなくなりましたので後処理をしに参りました」

「ど、どうやらちょっと誤解があったようで、」

「複数人から証言が取れています。クリスティーナと一緒にいたフォステルト嬢と、シャルル殿が一緒にいた令息達から証言書に署名をしてもらいました。シャルル殿は確かにクリスティーナとの婚約を嫌がり解消したがっていたと」

「伯爵、誤解なんです!あれは昔のことで、今はクリスティーナが好きなんです!」

「ならば友人が笑いながら侮辱と取れる事を口にしたときに否定するなり叱りつけるなりするべきだったな」

「あれは昔のことを肯定しただけであって、」

「娘はどんな気持ちで耐えてきたと思っているんだ。本来なら楽しい学園生活を送るはずだったのに君のせいで令嬢達から嫌がらせを受けていた。君自身も娘に冷たくしていたじゃないか。パーティで娘を置き去りにして他の令嬢と寝るために消えたりしていただろう。娘はひたすら理不尽な条件を守りながら耐えてきた。その上妊娠騒動もあった。その間、いくらでも改心して周囲の認識を改めさせる機会はあったはずだ。だが君はそれをしなかった。君の口から婚約解消を望むという言葉を聞いて娘は受け入れた。娘が破棄を告げたのはヘインズ伯爵夫妻からの圧力で君が覆すだろうと思ったからだ。ヘインズ家が同意しなくとも、君がいかに婚約者として不適格かを並べれば一方の申し立てで十分破棄は認められる。最後のチャンスだ。素直に署名するのなら慰謝料は請求しない」

「クリスティーナが好きなんです、もう一度チャンスをください!最近は彼女に寄り添ってきたつもりです」

「私は娘の気持ちを察してヘインズ家に縁談を申し入れた。つまり今は娘の気持ちを汲んでここにいるんだ。もう娘が君を愛することはない。元々娘の気持ちが冷めてきていたのは気付いていたのだろう?」

「っ!」

「伯爵、同意しなければ、かなりの額の慰謝料を請求することになりますがどうしますか?貴族裁判をしても勝ち目はありませんよ」

「考え直してはくれませんか。シャルルには一生償わせますので」

「冷めているのに酷いことをした過去を持つ男に嫁がせても娘の幸せには結びつきませんよ。私は愛する娘を崖から突き落とすような真似はしたくはありません。ちなみに請求額はこちらです。階段から突き落とされたこともありましたしサリモア公女のこともありましたし、ドレスや制服も何着と無駄にしてきたのです。その原因はわかりますよね?
元在学生から証言を集めても構いませんが請求額は跳ね上がりますよ」

テーブルの上の請求書にはかなりの額が記されていた。

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