名探偵の条件

ヒロト

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34被害者

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「被害者の名前は『松本亮一』 
高校3年生だ。周りからの評価は・・・
正直、良いとはいえないな。」

「続けて。」

「被害者は女関係がかなり派手だったようで、それだけでも相当評判が悪い。
まあ、これは相手もあることなので、一方的に被害者が悪いと言えるかは疑問だが・・・まあ、周りによく思われていなかったのは確かだ。

また、小学生の頃から野球をやっていたこともあり、腕っ節も強かったようだ。

・・・そして、どうやらそれが立場の弱いものに向けられることが多かったらしい。

『欲しいものは力ずくでも奪う』
『自分さえ良ければそれでいい』

・・・どうも、被害者にはそんなところがあったようだ。」


「・・・評価、『良いとはいえない』どころじゃないね。
聞く限り『最低』の部類に入るんじゃないのかい。」
冬弥がため息をつく。

「こういっちゃなんだけど、犯人の味方をしたくなってきたよ。」
僕もうなずく。


「まあ、警察としては犯人を見つけなくてはいけない。
・・・犯人にどんな理由があったのだとしてもだ。」


羽鳥刑事の言葉に冬弥が肩をすくめる。

「なんとも不自由だね。
・・・まあ、そんなことはどうでもいいや。
これ以上の被害者についての詳しい情報は、後で警察資料を見させてもらえれば十分だよ。
羽鳥さん、もちろん用意してあるよね。」

「・・・本当は部外者に見せられるものじゃないんだぞ。」
「ん。ありがとう。助かるよ。」

あっさりと警察の極秘書類を入手する冬弥。
・・・困ったものだ。『守秘義務』が全く守られていないではないか。

まあ、後で読ませてもらおうと考えている自分も、十分に『同じ穴のムジナ』だということは、よくわかっているつもりだ。


「さてと。次は『凶器』について教えてもらおうかな。
『入手経路』『指紋』『凶器と、被害者の傷とは一致したのか』
・・・そのあたりをよろしく。」
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