14 / 29
二章-首都の御三家-
12『平家のマキナ』
しおりを挟む
首都にある空軍管轄の藤原研究所、ユキノの事務室の扉を強くノックし部屋の主の許可を得る前に、来訪者がズカズカっと入って来る…
「藤原博士、赤坂村での一件での事後処理はどういうつもりか教えてくれ!」
入って来るや否やユキノへ問い詰めた軍人の男の肩章には、黒と黄色のラインの上に桜の花が左側から二つ並んでいる。
「はぁ…これは、これは…【平影盛】中尉ではないですか…赤坂村の件とは一体、なんの事でしょうか?」
不躾な態度に対して白を切るユキノは、中年の影盛の後から金魚の糞の様にずらずらと入って来た少女3人に、視線を奪われる。
「海軍も、もう完成していたの…」
ユキノの隣に立つ桜が、小声で呟く。
「私達のご主人様が述べられている件とは…卜部レイを拘束した件についてで御座います。」
桜と同様のセーラー服を纏い、ベッコウバチが刺繍された赤いブーツを履き…長い銀髪、どこか自我を感じさせない虚ろな瞳が特徴である少女が機械的に答える。
「はい…ご主人様が言いたい事は、御三家の間で交わされた『戦マキナ万型』の素体候補に関する協議違反ではないかと…」
右の一人目と瓜二つの姿である少女が続けて答える。
「はい…博士の藤原家と源坂家ひいては、源家が結託し、ご主人様の平家を出し抜こうとしているのではと危惧しておられます。」
右の一人目と真ん中の二人目と同じ姿をした、三人目の少女が更に続ける。
「おい!?お前達は黙っていろ!それとご主人様って呼ぶなと言っただろ…ったく、これだから女は困る…」
統率を取れていない少女達に対して、更なる悪態をついた影盛は、部屋の主の許可無しに来客用の装飾が施された椅子へとドカっと座る。
「それは私達のオリジナルに対する侮蔑でしょうか?」
主に注意された3人の少女達は、文字通り口を揃えて歯に衣着せぬ問い掛けをした後、同時に犬の様に首を同じ方向に傾げる。
「ふっ…戦マキナの中でも開発時期が最も遅かった『共鳴特異・量産型【有左】』達をもう育成容器から出したのですか…それと、中尉、これからの時代において女性を軽視する様な発言は控えた方が身のためですよ。」
何かを思い出し思わず笑ってしまったユキノが提言する。
「異邦の目新しい技術をちらつかせて、御三家の各家に寄生した魔女達が調子に乗るなよ…」
更に悪態をついた影盛は、軍服の内ポケットからウィスキーが入ったスキットルを取り出し一口飲む。
そのタイミングで、有左達はベルトで肩に掛けていた7.7mm口径の短式少銃『アリサ式M型短式少銃』を下ろし…銃口に両手を起き、休めの姿勢を取る。
「私達のオリジナルがもたらした蒸留技術を元に開発した、国産初のウィスキー『平揚羽』は影盛様の欲と平家の懐も潤しております。」
一番左に立つ有左が機械的に余計な捕捉説明する。
「寄生とは失礼な物言いじゃないですか…相利共生に該当するのでは?」
そう反論したユキノが僅かに口角を上げる。
「ぬかすな、片利共生の間違いだろ…それよりも、卜部レイの件について答えて欲しい。」
影盛が話題を本筋に戻す。
「あぁ…それは、戦マキナ達の設定年齢に近い、一般のベッコウ師の少女と雷クモの討伐数を競わせて実戦におけるデータを得る事が目的ですよ。」
考えを述べたユキノは珈琲を一口飲む。
「ふん、藤原家の現当主に気に入られているからってあまり勝手な事をするなよ…カラスについばまれるぞ…」
一回り年下の口の上手い女性のユキノへ対して、影盛は更に嫌味を告げる。
「それはお互い様だと思いますよ、影盛中尉もあまり横暴な態度を取らない方が良いですよ。」
またしても不敵な笑みを見せたユキノを横目に、影盛は立ち上がる。
「用件は以上だ、失礼する。」
そう短く別れを告げた影盛が踵を返し、事務室を後にする。
その後に続く有左たちが、再び振り返り同じく戦マキナの桜を見つめる。
見つめられた桜は思わず首を傾げる。
そして、桜に合わせるように首を傾げた有左たちは、軽く手を振って別れを伝える。
それに対して桜が手を振って応えていると、影盛が有左たちに早く付いて来る様に急かし…唐突な来客達が去っていく。
「藤原博士、赤坂村での一件での事後処理はどういうつもりか教えてくれ!」
入って来るや否やユキノへ問い詰めた軍人の男の肩章には、黒と黄色のラインの上に桜の花が左側から二つ並んでいる。
「はぁ…これは、これは…【平影盛】中尉ではないですか…赤坂村の件とは一体、なんの事でしょうか?」
不躾な態度に対して白を切るユキノは、中年の影盛の後から金魚の糞の様にずらずらと入って来た少女3人に、視線を奪われる。
「海軍も、もう完成していたの…」
ユキノの隣に立つ桜が、小声で呟く。
「私達のご主人様が述べられている件とは…卜部レイを拘束した件についてで御座います。」
桜と同様のセーラー服を纏い、ベッコウバチが刺繍された赤いブーツを履き…長い銀髪、どこか自我を感じさせない虚ろな瞳が特徴である少女が機械的に答える。
「はい…ご主人様が言いたい事は、御三家の間で交わされた『戦マキナ万型』の素体候補に関する協議違反ではないかと…」
右の一人目と瓜二つの姿である少女が続けて答える。
「はい…博士の藤原家と源坂家ひいては、源家が結託し、ご主人様の平家を出し抜こうとしているのではと危惧しておられます。」
右の一人目と真ん中の二人目と同じ姿をした、三人目の少女が更に続ける。
「おい!?お前達は黙っていろ!それとご主人様って呼ぶなと言っただろ…ったく、これだから女は困る…」
統率を取れていない少女達に対して、更なる悪態をついた影盛は、部屋の主の許可無しに来客用の装飾が施された椅子へとドカっと座る。
「それは私達のオリジナルに対する侮蔑でしょうか?」
主に注意された3人の少女達は、文字通り口を揃えて歯に衣着せぬ問い掛けをした後、同時に犬の様に首を同じ方向に傾げる。
「ふっ…戦マキナの中でも開発時期が最も遅かった『共鳴特異・量産型【有左】』達をもう育成容器から出したのですか…それと、中尉、これからの時代において女性を軽視する様な発言は控えた方が身のためですよ。」
何かを思い出し思わず笑ってしまったユキノが提言する。
「異邦の目新しい技術をちらつかせて、御三家の各家に寄生した魔女達が調子に乗るなよ…」
更に悪態をついた影盛は、軍服の内ポケットからウィスキーが入ったスキットルを取り出し一口飲む。
そのタイミングで、有左達はベルトで肩に掛けていた7.7mm口径の短式少銃『アリサ式M型短式少銃』を下ろし…銃口に両手を起き、休めの姿勢を取る。
「私達のオリジナルがもたらした蒸留技術を元に開発した、国産初のウィスキー『平揚羽』は影盛様の欲と平家の懐も潤しております。」
一番左に立つ有左が機械的に余計な捕捉説明する。
「寄生とは失礼な物言いじゃないですか…相利共生に該当するのでは?」
そう反論したユキノが僅かに口角を上げる。
「ぬかすな、片利共生の間違いだろ…それよりも、卜部レイの件について答えて欲しい。」
影盛が話題を本筋に戻す。
「あぁ…それは、戦マキナ達の設定年齢に近い、一般のベッコウ師の少女と雷クモの討伐数を競わせて実戦におけるデータを得る事が目的ですよ。」
考えを述べたユキノは珈琲を一口飲む。
「ふん、藤原家の現当主に気に入られているからってあまり勝手な事をするなよ…カラスについばまれるぞ…」
一回り年下の口の上手い女性のユキノへ対して、影盛は更に嫌味を告げる。
「それはお互い様だと思いますよ、影盛中尉もあまり横暴な態度を取らない方が良いですよ。」
またしても不敵な笑みを見せたユキノを横目に、影盛は立ち上がる。
「用件は以上だ、失礼する。」
そう短く別れを告げた影盛が踵を返し、事務室を後にする。
その後に続く有左たちが、再び振り返り同じく戦マキナの桜を見つめる。
見つめられた桜は思わず首を傾げる。
そして、桜に合わせるように首を傾げた有左たちは、軽く手を振って別れを伝える。
それに対して桜が手を振って応えていると、影盛が有左たちに早く付いて来る様に急かし…唐突な来客達が去っていく。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~
タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。
時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま!
「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」
ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは――
公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!?
おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。
「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」
精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる