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Intermezzo-間章-
間章-珈琲とロクムに砂糖【前編】-
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ガムラ魔術学園の研究棟の中のシナモンに割り振られた一室で、コーヒーハウスの首都への進出に向けての新商品開発が行われている…
部屋の主であるシナモンは外出中である代わりに、コーヒーハウスの責任者であるキシルと、首都の国立魔術学校のシュタット学校から視察に訪れているファイネスト…そして、客観的な意見の要員としてキシルと同じクラスのブルボンがいる。
「よし、完成…」
そう一息ついたキシルが右頬の汗を拭う代わりに、白い粉が付く…
「まったく…キシルさん、粉砂糖が付いたわよ。」
作業机を挟んで真正面で作業をするブルボンが、自身の右頬を指差しながら注意する。
「本当だ、ありがとう…それにしても『ロクム』を柔らかくする為には、デンプン粉が要るって良く知っていたねブルボンさん。」
そう称賛したキシルの目の前には、宝石のような多種多様な色合いの四角く程よい食感の菓子『ロクム』が並んでいる。
「まぁ、まぁね…中等部の頃にパティシエ部にいたから、その時の経験から導き出しただけよ。」
照れ隠しの為に、誇らしげな顔を見せたブルボンは、オレンジ果汁で僅かに着色されたロクムを頬張り…口角が緩む。
「あっ!モンちゃんが帰って来てから試食しようって言ったのに…それで…ファイネストさんの方はどんな感じかな?」
はぁ…っとため息を漏らしたキシルは、もう一方の進捗率を確認する。
「うん…あとは挽いた粉を、バスケットに平らになるように入れて…」
そう答えたファイネストの隣には、小型の金属製のポット『モカポット』が置かれている…
このモカポットは、キシルからの助言を元に、シナモンが創作系の術式を駆使し試作した物である。
そのモカポットのパーツの一つであるバスケットに、ファイネストは深煎りの細挽きのコーヒーの粉を擦りきりいっぱいに詰めて…スプーンの裏でならしている。
「誰かさんが言っていた、エスプレッソ・ナントカ・ウンヌン・ドッピオとは違って…家庭的ななんちゃって『モカポット式コーヒー』だけど、甘いロクムに合う濃いコーヒーになるはずだよね…」
わざとらしく掘り返したキシルがにやけながらも…推測を述べる。
「がぁっ!…これから、火を扱うんだから…変な事を言わんでクレマいか…」
動揺を隠しきれないファイネストは、モカポットの下部に水を入れ…その上にコーヒーの粉を詰めたバスケット部分をセットし…更にその上に残る上部のパーツを組み合わせると、きつく閉める。
「ぷふっ、エスプレッソと掛けたつもり?まぁ、とは言え…本格的なエスプレッソを淹れる為の機械も、技術も持っていない私達には、こっちの方が身の丈に合っているよね。」
キシルも人数分あるモカポットの準備を手伝う。
火を付けたアルコールランプよりも背の高い三脚に、各モカポットを置いていく…
すると、コトコト…っと蒸気の音が聞こえ始めてくる…
「うん…良い感じ…」
キシルが沸騰するモカポットの上部の蓋を開けると…モカポットの中心部にある抽出部分から、深煎り特有の燻製のような強い香りと共にコーヒーが涌き出てくる…
「皆さん、着々と進んでいるみたいですね…」
そのタイミングで、部屋の主であるシナモンが戻ってくる…
「モンちゃんおかえり~丁度良くモカコーヒーが入ったタイミングだから、ロクムと一緒に味見してみてよ。」
そうシナモンを歓迎したキシルは、ドリップ式のコーヒーを飲む時よりも小さいカップに、モカポットから抽出されたコーヒーを注ぎ…手渡す。
「それでは…頂きます。」
今までに飲んできた物よりも、濃い色と香りに対してシナモンは、恐る恐る口にする…
それに釣られるようにして…キシル、ブルボン、ファイネストも試飲する。
「これは…かなり苦いですね…しかし、ドリップ式やサイフォン式に比べるとコクがハッキリと感じられますね。」
初めての苦味に対して困惑しつつも、シナモンは吟味した感想を述べる。
「これはこれで美味しいけども…私は、やっぱりシティロースト位が一番の好みかしら…」
ブルボンはすかさずロクムを頬張り、苦味を甘味で中和する。
「(この独特な香りと強い味は、モカポットでしか味わえないんだよね…)」
キシルは、元いた世界での味の記憶とすり合わせる…
「もう少しパンチが欲しいけど、これもあり…」
ファイネストも概ね肯定する。
「うん…この香り高い苦味のコーヒーと、見た目も映え…じゃなくて、魅力的なロクムの組み合わせなら…首都でも受け入れられるはず…」
キシルを始め、ブルボンとファイネストは頷いているが…シナモンは浮かない顔を見せる。
「新しいコーヒーとそれに合うお菓子が完成したのは、喜ばしいことなのですが…皆さんにお伝えしないといけないことがあります…」
シナモンが言葉を詰まらせる様子に、キシル達が息を飲む…
「この小国『ウリ・バルデン』は…今後、砂糖不足に陥ることになります。」
シナモンの真面目な発言に対して、キシルたちはポカーンとなる。
部屋の主であるシナモンは外出中である代わりに、コーヒーハウスの責任者であるキシルと、首都の国立魔術学校のシュタット学校から視察に訪れているファイネスト…そして、客観的な意見の要員としてキシルと同じクラスのブルボンがいる。
「よし、完成…」
そう一息ついたキシルが右頬の汗を拭う代わりに、白い粉が付く…
「まったく…キシルさん、粉砂糖が付いたわよ。」
作業机を挟んで真正面で作業をするブルボンが、自身の右頬を指差しながら注意する。
「本当だ、ありがとう…それにしても『ロクム』を柔らかくする為には、デンプン粉が要るって良く知っていたねブルボンさん。」
そう称賛したキシルの目の前には、宝石のような多種多様な色合いの四角く程よい食感の菓子『ロクム』が並んでいる。
「まぁ、まぁね…中等部の頃にパティシエ部にいたから、その時の経験から導き出しただけよ。」
照れ隠しの為に、誇らしげな顔を見せたブルボンは、オレンジ果汁で僅かに着色されたロクムを頬張り…口角が緩む。
「あっ!モンちゃんが帰って来てから試食しようって言ったのに…それで…ファイネストさんの方はどんな感じかな?」
はぁ…っとため息を漏らしたキシルは、もう一方の進捗率を確認する。
「うん…あとは挽いた粉を、バスケットに平らになるように入れて…」
そう答えたファイネストの隣には、小型の金属製のポット『モカポット』が置かれている…
このモカポットは、キシルからの助言を元に、シナモンが創作系の術式を駆使し試作した物である。
そのモカポットのパーツの一つであるバスケットに、ファイネストは深煎りの細挽きのコーヒーの粉を擦りきりいっぱいに詰めて…スプーンの裏でならしている。
「誰かさんが言っていた、エスプレッソ・ナントカ・ウンヌン・ドッピオとは違って…家庭的ななんちゃって『モカポット式コーヒー』だけど、甘いロクムに合う濃いコーヒーになるはずだよね…」
わざとらしく掘り返したキシルがにやけながらも…推測を述べる。
「がぁっ!…これから、火を扱うんだから…変な事を言わんでクレマいか…」
動揺を隠しきれないファイネストは、モカポットの下部に水を入れ…その上にコーヒーの粉を詰めたバスケット部分をセットし…更にその上に残る上部のパーツを組み合わせると、きつく閉める。
「ぷふっ、エスプレッソと掛けたつもり?まぁ、とは言え…本格的なエスプレッソを淹れる為の機械も、技術も持っていない私達には、こっちの方が身の丈に合っているよね。」
キシルも人数分あるモカポットの準備を手伝う。
火を付けたアルコールランプよりも背の高い三脚に、各モカポットを置いていく…
すると、コトコト…っと蒸気の音が聞こえ始めてくる…
「うん…良い感じ…」
キシルが沸騰するモカポットの上部の蓋を開けると…モカポットの中心部にある抽出部分から、深煎り特有の燻製のような強い香りと共にコーヒーが涌き出てくる…
「皆さん、着々と進んでいるみたいですね…」
そのタイミングで、部屋の主であるシナモンが戻ってくる…
「モンちゃんおかえり~丁度良くモカコーヒーが入ったタイミングだから、ロクムと一緒に味見してみてよ。」
そうシナモンを歓迎したキシルは、ドリップ式のコーヒーを飲む時よりも小さいカップに、モカポットから抽出されたコーヒーを注ぎ…手渡す。
「それでは…頂きます。」
今までに飲んできた物よりも、濃い色と香りに対してシナモンは、恐る恐る口にする…
それに釣られるようにして…キシル、ブルボン、ファイネストも試飲する。
「これは…かなり苦いですね…しかし、ドリップ式やサイフォン式に比べるとコクがハッキリと感じられますね。」
初めての苦味に対して困惑しつつも、シナモンは吟味した感想を述べる。
「これはこれで美味しいけども…私は、やっぱりシティロースト位が一番の好みかしら…」
ブルボンはすかさずロクムを頬張り、苦味を甘味で中和する。
「(この独特な香りと強い味は、モカポットでしか味わえないんだよね…)」
キシルは、元いた世界での味の記憶とすり合わせる…
「もう少しパンチが欲しいけど、これもあり…」
ファイネストも概ね肯定する。
「うん…この香り高い苦味のコーヒーと、見た目も映え…じゃなくて、魅力的なロクムの組み合わせなら…首都でも受け入れられるはず…」
キシルを始め、ブルボンとファイネストは頷いているが…シナモンは浮かない顔を見せる。
「新しいコーヒーとそれに合うお菓子が完成したのは、喜ばしいことなのですが…皆さんにお伝えしないといけないことがあります…」
シナモンが言葉を詰まらせる様子に、キシル達が息を飲む…
「この小国『ウリ・バルデン』は…今後、砂糖不足に陥ることになります。」
シナモンの真面目な発言に対して、キシルたちはポカーンとなる。
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