帰還方法は、コーヒーブレイクののちに…文学少女の小国開拓譚

蒼伊シヲン

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 Intermezzo-間章-

間章-珈琲とロクムに砂糖【後編】-

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 シナモンからの砂糖不足に陥ると聞かされたキシルたちは、一瞬の間…思考停止する…

「どうして、砂糖が不足するの?」
キシルが切り出す。

「それは、このウリ・バルデンのみの要因ではなく…隣接する大国である南側の『ラインクラヒ』と東側の『プロイラント連邦』の対立が激化したことで…プロイラント連邦側が、周辺国に対して、ラインクラヒの植民地で生産されている砂糖の輸入を制限する措置を出したからです。」
その問い掛けに対して応じたシナモンが更に続ける。

「私の一家である、サイフォン家としても何とか砂糖の輸入ルートを模索したようですが…それでも、以前に比べて輸入量が4割程は落ちてしまうと聞かされました。」
シナモンが暗い表情を見せる。

「私のシュタット学校に出入りする首都の役人達が言っていた事は、あながち間違いではなかったみたい…」
ファイネストが思い出したかの様にこぼす。

「それにしても、4割減は痛手ね…」
ブルボンが続けて、苦言を述べる。
「うん…何とかしないとね…」
キシルはそのまま考え込む。

「ウリ・バルデンの周辺国ルートから調達するのではなくて…東の果ての大国『シン都』との貿易に頼れば…」
ファイネストが大胆な策を提案するが…
「いいえ、それではコストもリスクも掛かりすぎてしまう…」
ブルボンが問題点を指摘する。

行き詰まった空気が流れるなか、キシルが口を開く…

「今、ウリ・バルデンとその周辺国で使用されている砂糖の原料って熱帯地域で育つサトウキビだよね…だったら、寒冷地でよく育つテンサイを使えば良いんじゃない?…この町『ルカノロ』の市場の片隅で、家畜の飼料用として売られているのを思い出してさ…」
キシルの口から出た『テンサイ』という単語に対して、他の面子は首を傾げる。

「テンサイって、確か根菜類の一種で…僅かに甘味は感じますが、灰汁が強すぎて食用には向かないと聞いたことがあります。」
シナモンが苦言を述べる。

「確かにそのままだと、苦味が強いけど…テンサイを細かく切って、それを煮出して…余計な水分を蒸発させれば…サトウキビと同様に砂糖になると思うでも問題は…どうすれば白い砂糖になるのか分からないことかな…」
キシルは解決案とその問題点を述べる。

頭を悩ませるキシルの姿を、見かねたブルボンが切り出す。

「それは、不純物の多い状態だからよ…糖液と合わせて洗うことで汚れを落として、それを遠心力で分離させて…分離した砂糖に、お湯と炭酸カルシウムを混ぜた状態で濾過して…それを細かい活性炭で汚れを吸着させた上で、再び細かいフィルターで濾過し…それを結晶化させたら限りなく白い砂糖になるわ…」
研究室の黒板でイラストを交えて、ブルボンが説明する。

「ありがとう…でも、どうしてそんな事を知っているの?」
キシルが率直に聞く。
「そ、それは…私がA級の魔術師として閲覧出来る資料の中で見た、錬金術キミアに関する情報でチラッと見たのを思い出したのよ…」
ブルボンが、誇らしげな顔を見せる。

「そんな資料があったなんて…私としたものが見落としていましたわ…ブルボンさんありがとうございます。遠心力で分離する機器と濾過フィルターに関しては、私の方で何とか作ってみますので…少しお時間を下さい。」
シナモンが研究者として至らない点を、反省する。

「モンちゃん、この件もよろしくね…ブルボンさんもよかったら手伝ってあげて…」
「そうね、私が言い出した事だしね…」
キシルの依頼に対してブルボン二つ返事で、シナモンは短くハイっと快諾する。

「私は、テンサイ由来の砂糖に合うようにロクムと珈琲の調整でもするかな…」
キシルも己の新たな仕事を見つける。
「えっ、えぇと…それじゃ私は…」
直ぐに新たな仕事が思い付かないファイネストがあたふたする。

「ファイネストさんは、エスプレッソマシンの開発すれば?飲みたいんでしょ?エスプレッソ・ナントカ・ウンヌン・ドッピオだっけ?」
キシルがまたしてもイジル。

「がぁっ!…ふん、キシルさん見ときなさいよ!」
散々、いじられたファイネストにやる気が溢れる。

キシルを始め高等部の生徒に囲まれ…背丈の低さが顕著になった一人だけ中等部のファイネストの様子に対して、他の面子は微笑む。
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