バビロニア・オブ・リビルド『産業革命以降も、神と科学が併存する帝国への彼女達の再構築計画』【完結】

蒼伊シヲン

文字の大きさ
14 / 79
1章.地下遊演地

11『コルネッティとのディール』

しおりを挟む
 コルネッティの案内で通された応接室には、長いソファー2つの間に机が置かれている。

そして、入り口より奥側にあるソファーにコルネッティが、入り口の近くにあるソファーに南花とアリサが座る。
サクラ・コマチ・アオイの3人は、南花から見て右側に立って待機してる。

「ほぉ…あなたが、あの鉄之助氏のご息女である南花さんでしたか…以後、お見知りおきを。」
「えっと…はい、よろしくお願いします。」
「それで、早速ではありますが、協力して欲しい件についてですが…」

品定めをするかのような舐め回す視線に、困惑気味の南花へ、アリサが助け船を出す。

「なるほど…それで、この3人を貸して欲しいとのことですか。」
コルネッティは、ロイヤルミルクティーに角砂糖を複数個、ボチャボチャと入れながら応える。

「はい、射撃の腕前も十分な上に、私との親交も深い彼女らであればこそ、安心して背中を預けれますので…是非ともお願いします。」
アリサに釣られて、南花も頭を下げる。

「ふ~ん…」
コルネッティの思考に割り込むかの様に、アオイが口を開いてしまう。
「う~ん、私は首都へ行ってみたいかな~」
その発言が雇い主の勘に触る。

「おい、今はアオイの意見は聞いてはいないぞ…」
そう言ったコルネッティは、アオイに右手の人差し指を向けると…
その指先が僅かに光り、アオイの首元の蛇が動き出す。

「いやぁ…かあ、はぁ」
その蛇がアオイの首を強く締め付け始める。
痛みと息苦しさから、アオイは床に倒れ、踞ってしまう。

その苦しむ様に、南花の胸も苦しくなっていく…
「ご…ごめんなさい、許して…下さい。」
アオイの悲痛な願いに、ふんっと不満げに応えた
コルネッティは、チョーカーの縛りを緩める。

「分かれば良いんだよ…すいませんね、本題に戻しましょう。」
苦しそうに呼吸するアオイに、サクラが肩を貸して、立ち上がりやすい様に介抱する。

「オホン…この3人は、当地下遊演地でもトップクラスに優秀な人材ですから…討伐任務中に万が一ということがあれば、相当な痛手になってしまいますからね…」

優秀な人材?都合の良い駒の間違いでしょ?っと思った南花は、嫌悪感と不信感を抱く。

「確かに、そのリスクはあるとは思いますが…神獣を討伐した地下道化師トネリコがいるとなれば、この地下遊演地にも箔が付くかと。」
渋るコルネッティに対して、メリットを提示するアリサ。

「そうですね…こう言うのはどうでしょうか?」
南花とアリサの全身を見渡したコルネッティの口元が緩む。

「明日の夜に開催する演目『ディール迷宮杯クルム』にて、この3人が完全勝利パーフェクトゲームを達成する事が出来るか否かで、お二人が私との賭けに勝てたら、協力致しましょう。」

コルネッティの発言に驚きを隠せない地下道化師トネリコの3人達の様子を見た
南花が問いかける。
「その『ディール迷宮杯クルム』とは、どんな演目なんですか?」

「それはですね。暗闇の迷宮内に存在する3つの果物の木像を回収し、同じく迷宮内に点在する杯に捧げるという演目です。ただし…」
コルネッティは、ロイヤルミルクティーを一口、飲んでから続ける。

「化物達が徘徊する状態でね。」
南花のえっという驚きを見つつ、コルネッティは続ける。
「そして、完全勝利パーフェクトゲームの条件は、制限時間以内に全ての木像を杯に設置した上に、誰一人命を落とさずに、化物達を全て討伐する事です。」

紅茶を一口飲んだ、アリサが問いかける。
「制限時間と化物の数について教えて頂けますか?」
「良いですよ。制限時間は24分、化物は全部で14体を配置します。
因みにですが…初回となる、前回の結果は木像は2つ設置し、化物は12体討伐、参加者トネリコは3人とも命を落としました。」

南花とアリサは重たい空気の中、判断を迫られる。
そして、2人同時に口を開く。

「私も参加しても良いでしょうか?」
えっ!と顔を見合わせる2人

「いや危険だから、アリサは参加しなくても…」
「それは、南花も同じでしょ…そして、あなたは弾丸の開発をする上で必要不可欠
でしょ。」

言い合う2人の様子に、コルネッティの口角が僅かに上がる。
「私として、お二人に参加して頂いても結構ですよ。首都機関からの参加者とあれば、より多くの集客が見込めるでしょうし。」
「しかし、オーナー!あの演目は危険…」
サクラの進言を、コルネッティの右手の人差し指が沈黙させる。

「サクラ、ありがとう。でも、あなたも言ってたじゃない…この討伐任務は、地下道化師トネリコの為にもなるって。私は、サクラ達にも貢献したいのよ。」
遮られた心配の声を、アリサは拾い上げる。

そのお互いを思いやる言葉を面白く思わないコルネッティが水を差す。
「2人に参加して頂く場合は一筆書いて貰いますし…賭けに負けた上に、誰かが命を落としても文句は受け付けませんので悪しからず。」

嫌味を含ませた確認に、不快感を感じたアリサが反論しようとするが…
「えぇ、誰も命を落とすことなく、完全勝利パーフェクトゲームを達成出来たとしてもクレームは受け付けませんよ!」
我慢が限界突破した南花が、先に啖呵を切る。

いきなり立ち上がった南花に、目が点になりつつもコルネッティが応じる。
「お二人とも、それは参加表明ということで宜しいですか?」
「はい!」
南花とアリサはまたしても、ほぼ同時に参加表明をする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

処理中です...