51 / 79
4章.モネータとハンムラビ
43『マルゲリータとジョーカー』
しおりを挟む
帝国西圏側の第一騎士団内にあるセーフハウスの一つであり、表向きはレンガ造りのパン屋となっているハンムラビの書庫へ移動した南花達6人。
今の時間帯は、南花とアリサが2階部分から監視をしており…主であるハンムラビを含め、サクラ・コマチ・アオイの3人は書庫部分にいる。
室内の中心部にある木造のテーブルの席に座るコマチとアオイの眼前には、パン屋の石窯で焼いたマルゲリータとカフェラテが並ぶ…
「うん、いい焼き加減…」
パン屋に備蓄されていた保存食である…トマトソース、モッツァレラチーズ、燻製のサーモンを使用したマルゲリータを、南花と共に調理したアオイは一段と美味しく感じる。
その隣に座るコマチは、トマト特有の僅かに甘いソースと濃厚なチーズの組み合わせの感想を、無言で頷きまくり表現している。
「本当に凄い量ですね…」
自身の背丈を優に越え…様々な本がギッチリと敷き詰められた本棚に四方を囲まれるサクラが驚嘆の声を漏らす。
「はい…主に魔術書や第一騎士団の報告書を保管していますね。」
そう応えたハンムラビは、サクラの首元にある地下道化師としての枷を凝視しながら続ける。
「これは…恐らくヨルムンガンド型の魔術式ですね…少々、お持ち下さいね…」
魔術師としての見識を頼りに、大量の書物の中から、ハンムラビは目的の魔術書を探し出す。
はい…っと短く頷いたサクラを始め、コマチとアオイは要領を得ない表情を見せる。
「えっと…あった、あった…」
そう呟いたハンムラビは、一冊の魔術書を持ったまま、小さい脚立からヒョイっと飛び降りる。
「ハンムラビさん、この書物は?」
本棚の近くにいたサクラだけではなく、アオイとコマチもハンムラビが持つ書物に興味を示す。
「恐らく…サクラさん、コマチさん、アオイさんの首に施された魔術と同じ物はこちらかと…そして、解除出来ると思います。」
「ええっ!本当ですか?」
ほぼ同時に3人から、驚きと希望が溢れる。
「はい…我々、第一騎士団は、直接的な攻撃魔術よりも相手の術式に干渉し妨害したり…隠密に関する魔術を得意とする人間が多い組織ですので。」
サクラに向けていた視線を、手にする魔術書へ移したハンムラビは、とあるページを開き…そして、自身が持つトランプカードのジョーカーを栞の様に挟み込む。
木槌を取り出したハンムラビは、ジョーカーを挟んだ魔術書を軽く叩く…
すると、僅かにトランプカードが発光する。
そして、取り出されたカードには、最初から描かれていたジョーカーのイラストの周りをぐるりと囲む様にして…世界蛇の絵が追加されている。
「目には目を、歯には歯を…蛇には蛇を…」
ハンムラビが詠唱すると、一枚だったジョーカーが三枚に増え…
術者の手から飛び立ち…サクラ、コマチ、アオイの各チョーカーと融合したかと思いきや…閃光を放ち消える。
「えっ…本当に無効果出来たんですか?」
アオイは特に変化がないチョーカーを擦りながら、疑念を現す。
「はい、解除自体は完了しました。しかし…」
魔術書を書庫へ戻したハンムラビが続ける。
「敢えてチョーカー自体は残しました…そちらの方が、そのチョーカーに関する魔術を扱いたいと考える人間を欺けるので…」
「なるほど…一度だけしか効かないけれど、一瞬の隙を作れると言うことですね。」
サクラが、ハンムラビの意図を汲み取る。
「その通りです。これで少しは動きやすくなると思い、僅ながら助力させて頂きました。」
またしてもヒョイっと脚立から飛び降りたハンムラビは、微笑む。
「いや…ハンさん、とても助かるぞ!」
「こら!コマチってば!…ハンムラビさん、ありがとうございます。」
アオイとコマチは礼を告げ、軽く頭を下げる。
「ふっふふ…いいえ、ハンさんって呼んで頂いても良いですよ。」
「そうですか、ハンさんありがとうございます。」
サクラは、敢えて呼び方を変えて感謝を告げる。
そして、テーブルの席についた4人は、マルゲリータとカフェラテを堪能しながら談笑する。
今の時間帯は、南花とアリサが2階部分から監視をしており…主であるハンムラビを含め、サクラ・コマチ・アオイの3人は書庫部分にいる。
室内の中心部にある木造のテーブルの席に座るコマチとアオイの眼前には、パン屋の石窯で焼いたマルゲリータとカフェラテが並ぶ…
「うん、いい焼き加減…」
パン屋に備蓄されていた保存食である…トマトソース、モッツァレラチーズ、燻製のサーモンを使用したマルゲリータを、南花と共に調理したアオイは一段と美味しく感じる。
その隣に座るコマチは、トマト特有の僅かに甘いソースと濃厚なチーズの組み合わせの感想を、無言で頷きまくり表現している。
「本当に凄い量ですね…」
自身の背丈を優に越え…様々な本がギッチリと敷き詰められた本棚に四方を囲まれるサクラが驚嘆の声を漏らす。
「はい…主に魔術書や第一騎士団の報告書を保管していますね。」
そう応えたハンムラビは、サクラの首元にある地下道化師としての枷を凝視しながら続ける。
「これは…恐らくヨルムンガンド型の魔術式ですね…少々、お持ち下さいね…」
魔術師としての見識を頼りに、大量の書物の中から、ハンムラビは目的の魔術書を探し出す。
はい…っと短く頷いたサクラを始め、コマチとアオイは要領を得ない表情を見せる。
「えっと…あった、あった…」
そう呟いたハンムラビは、一冊の魔術書を持ったまま、小さい脚立からヒョイっと飛び降りる。
「ハンムラビさん、この書物は?」
本棚の近くにいたサクラだけではなく、アオイとコマチもハンムラビが持つ書物に興味を示す。
「恐らく…サクラさん、コマチさん、アオイさんの首に施された魔術と同じ物はこちらかと…そして、解除出来ると思います。」
「ええっ!本当ですか?」
ほぼ同時に3人から、驚きと希望が溢れる。
「はい…我々、第一騎士団は、直接的な攻撃魔術よりも相手の術式に干渉し妨害したり…隠密に関する魔術を得意とする人間が多い組織ですので。」
サクラに向けていた視線を、手にする魔術書へ移したハンムラビは、とあるページを開き…そして、自身が持つトランプカードのジョーカーを栞の様に挟み込む。
木槌を取り出したハンムラビは、ジョーカーを挟んだ魔術書を軽く叩く…
すると、僅かにトランプカードが発光する。
そして、取り出されたカードには、最初から描かれていたジョーカーのイラストの周りをぐるりと囲む様にして…世界蛇の絵が追加されている。
「目には目を、歯には歯を…蛇には蛇を…」
ハンムラビが詠唱すると、一枚だったジョーカーが三枚に増え…
術者の手から飛び立ち…サクラ、コマチ、アオイの各チョーカーと融合したかと思いきや…閃光を放ち消える。
「えっ…本当に無効果出来たんですか?」
アオイは特に変化がないチョーカーを擦りながら、疑念を現す。
「はい、解除自体は完了しました。しかし…」
魔術書を書庫へ戻したハンムラビが続ける。
「敢えてチョーカー自体は残しました…そちらの方が、そのチョーカーに関する魔術を扱いたいと考える人間を欺けるので…」
「なるほど…一度だけしか効かないけれど、一瞬の隙を作れると言うことですね。」
サクラが、ハンムラビの意図を汲み取る。
「その通りです。これで少しは動きやすくなると思い、僅ながら助力させて頂きました。」
またしてもヒョイっと脚立から飛び降りたハンムラビは、微笑む。
「いや…ハンさん、とても助かるぞ!」
「こら!コマチってば!…ハンムラビさん、ありがとうございます。」
アオイとコマチは礼を告げ、軽く頭を下げる。
「ふっふふ…いいえ、ハンさんって呼んで頂いても良いですよ。」
「そうですか、ハンさんありがとうございます。」
サクラは、敢えて呼び方を変えて感謝を告げる。
そして、テーブルの席についた4人は、マルゲリータとカフェラテを堪能しながら談笑する。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる