二つの異世界物語 ~時空の迷子とアルタミルの娘

サクラ近衛将監

文字の大きさ
6 / 99
第二章 それぞれの出会い

2-1 マルス ~楽師との出会い

しおりを挟む
 マルスが9歳を迎えた初冬に、カルベック荘園に楽師の一行が訪れた。
 バルディアスのみならず、エルモ大陸全域をいくつかの楽師団が巡回している。

 其の多くは、バルディアスを訪れた際には必ず王都サドベランスに立ち寄り、その周辺の一つか二つの荘園領にも立ち寄ることになる。
 カルベック荘園を楽師団が訪れるのは8年ぶりのことであった。

 カルベックの屋敷にも楽師はいるが、こうした巡回の楽師団に比べると数段技量が劣るのが常である。
 王宮お抱えの楽師でさえ巡回楽師団には敵わないのだから無理もないことではある。

 その年、カルベック荘園領に入った楽師団は青色楽師団であった。
 巡回楽師団は色で区別されているが、最も技量の高いのは赤色と青色であり、その次が黄色、緑色と続き、紫色が一番技量も劣るだろうと言うのが市井の噂であるが、その紫色楽師団でさえ王宮の楽師団を超える技量の持ち主で構成されているらしい。

 ハヤ月12日、慰問を兼ねて館の公会堂で行われた久々の演奏会には多数の領民が集まった。
 もっとも、一人20ラドの拝聴料は安くは無いから、楽音に興味のないものが集まるわけではない。

 10ラド銀貨一枚が有れば親子三人が結構贅沢な昼食を楽しめるはずである。
 それでも100名を超える男女が思い思いに着飾って公会堂に集まっていた。

 そうした中に伯爵夫妻とマルスもいたのである。
 楽師団は総勢で24名、それなりの年齢であり、若い楽師は少ない。

 20代と思われる楽師が2人、30代と思われる楽師が3人ほどだけで、あとは40代以上の楽師である。
 団長を務めるマイヤー・デリスはよわい61になると言う。

 団長自らが演奏の前にそれら構成員の説明をしていた。
 そうして演奏が始まった。

 休憩を挟んで4曲が演奏されていた。
 巡回公演の際には必ず演奏される古の名曲「四季」、巡回の時期に合わせた季節の曲は「冬の大地」、五穀豊穣を願っての祭り曲は「収穫祭」そして訪れた土地に因んだ曲は「タナルの流れ」である。

 タナルとはこのカルベック荘園領の境界付近を流れる川で、カルベック荘園領の大部分はここからの取水で農園を営んでいるのである。
 休憩のとき以外、マルスはじっと身じろぎもせずに傾聴していた。

 演奏会の翌日夕刻、ノームの招きで恒例の晩餐会が伯爵邸で開催された。
 楽師全員が招かれ酒食の供応を受けるのである。

 その代わりに楽師団も1曲だけ答礼の演奏をするのが習わしであった。
 最初に宴があり、その後に演奏することになっている。

 宴の中でマルスもホスト側として紹介を受けた。
 マイヤーは目を見張り、それから言った。

「マルス殿の噂は王都サドベランスで様々お聞きいたしました。
 9歳にして学問を収め、武術についても並ぶもの無き天才とか。
 9歳という年齢からして、今少し小さき方かと思うておりましたが、これほどの偉丈夫とは・・・。
 マルス殿、昨夜の我らの演奏を聞かれ如何思召おぼしめされましたかな?」

 微笑をたたえてマイヤーがたずねた。
 マルスはその目をまっすぐに見ながら言った。

「はい、さすがに噂に高い青色楽師団の演奏にございます。
 見事な音色に聞き惚れておりました。
 ただ、一つ、不躾ぶしつけながら師にお伺いしても宜しいでしょうか?」

「はてさて、なんの問いでござりましょうや。
 楽音ならばともかくその他の事にはうとい我らです。
 我らにお答えできるご質問なれば如何様いかようにもどうぞ。」

「はい、昨夜三曲目の演目である「収穫祭」の中ほどで、二人の方が少し出遅れた部分があるように感じましたが、あれは元々そのような演奏方法であったのかどうか確認をいたしたかったのです。」

 途端にマイヤーの笑みが消えた。
 その上で静かに問い返した。

「それはどのあたりか覚えておられましょうか?」

「おそらくは収穫に励む農民が大声で音頭を取る場面をイメージした曲想の辺りでしょう。
 私は楽譜を見ておりませんので定かではありませんが、次のような音階の直後です。」

 マルスは、激しく上下する音階をハミングした。
 マイヤーは目をつむった。

 それから首を振った。

「ケルガー、それにアセル、このように確かな耳をお持ちの方もいる。
 精進せねばならぬぞ。」

 名を呼ばれた二人の若い楽師は真っ赤になってうつむいた。

「さてさて、マルス殿。
 お手前の耳は信じられぬほど確かにございます。
 僅かに32分の1ほど出遅れた二人の出だしを正確に言い当てられました。
 あそこはこの二人の未熟が招いた失敗でございます。
 但し、マルス殿のハミングにあるとおり極めて音階の上下が激しい部分にございます。
 あの失策を見逃さないのは楽師でもかなりの力量をお持ちでなければ難しいと思われます。
 サーナム殿、お手前は気づかれていましたか?」

「いや、正直なところ、私は気づかなかった。
 何となく違和感はあったが、それが何かわからぬうちに演奏は進んでいた。」

 マイヤーは頷いた。

「楽師であってもこの通りにございます。
 我が楽師団の中でもそれに気づいたは半数ほどでしょう。
 残りは、違和感はぬぐえなくとも自らの役割に没頭しておりました。
 マルス殿は楽音にも天分をお持ちなのかもしれませぬ。
 マルス殿、他に我らの演奏で気づいた点があれば教えて頂けませぬか?」

 マルスは、少し躊躇ためらったようだったがやがて口を開いた。

「師のせっかくのお言葉ですので、敢えて申し上げます。
 三つほど・・・。
 モノビスを弾かれた方のお名前は存じませんが・・・。」

「サルミにございます。」

 40代の男が答えた。

「サルミ殿、弓を弾く右手を痛められましたか?
 弓の扱いにやや硬さが見られました。
 肘の辺りを後で我が家の薬師に見て頂いては如何でしょうか?
 薬師のマリクドは、良き薬草を持っています。
 数日の治療で元に戻ると思いますが、そのまま放置すれば日々痛みが残るようになるかも知れません。」

 驚きの表情を浮かべながらサルミが答えた。

「はい、確かに王都からこちらに参る途中凍った道に足を滑らせて荷馬車に嫌と言うほど右肘を打ち付けました。
 多少の青あざができているものの、演奏に支障はないものと思っておりましたが、落ち度がありましたでしょうか?」

「いいえ、演奏は正確なものであったように思います。
 但し、モノビス本来の音色に伸びがございませんでした。」

「なるほど、音色の伸びですか・・・。
 これは、私も精進せねばなりますまいな。」

 次いでマルスが口を開いた。

「クルードを弾かれた方は?」

 50代の男が緊張しながら言った。

「私、ノムレーヌでございます。」

「高音部を弾かれるときに僅かに歪みがありました。
 おそらくは胴板の中の横木の一部に接着剤の剥がれができているのではないかと思います。
 低音部では目立ちませんが、高音部では共振して歪んだ音が僅かに生み出されているようでした。
 おそらく冬場の移動により暖かい場所と寒い場所の繰り返しが接着剤の剥がれを生じさせたのでしょう。」
 
 ノムレーヌもまた驚愕きょうがくの表情を浮かべていた。

「私だけしか知らぬことと思っていましたが、・・・。
 マイヤー様、気づいておられましたか?」

「いや、それは知らなんだ。」

あごにかけた胴板が高音部でやや振動するのです。
 音はほとんど変わらないと思っていたのですが、そうではなかったようです。
 できるだけ早めに直したいと考えておりますが、この辺りではサドベランスまで戻らなければ修理は難しいかもしれません。」

 だがマルスが異論を唱えた。

「失礼ながら、修理をすると共鳴板に大きな変化が生ずるかも知れません。
 一つには、古くなった部材に新たな接着剤を使用することは、乾いて安定するまでに時間がかかるのでできるだけ避けた方が良いこと。
 今一つは、既に横木が僅かに変形している可能性がありますので、仮に横木を取り換えるとなればどうしても新たな部材が経年変化により曲がりを生じます。
 その修正には何年もかかることになるでしょうから、叶うならば新たな楽器をお求めになる方が宜しいと存じます。」
 
 ノムレーヌは困惑していた。
 使っている楽器には愛着があるのである。
 
 だが、そうした楽器もダメになることがあるのは重々承知してはいたが、これほど早い時期に来るとは思っていなかったのである。

「接着剤の剥がれは、寒暖の繰り返しでより大きくなります。
 この冬を旅で過ごされるならば、春が来るころには高音部の歪は演奏自体を難しくするほどに大きくなるでしょう。
 楽師の方々がそれぞれの楽器に愛着を感じておられるのは重々承知しておりますが、楽器にも寿命があります。
 元の音色の復元を目的として修理を成されるならばある意味で大修理。
 腕の良い工房で先ず5年を見て頂かねばならないかも知れません。」

 衝撃的な話である。
 図体は大人ほどにもあるが僅かに9歳の子が言える話ではない。

「失礼ながら、マルス殿。
 貴方様のお言葉はまるで工房の親方が言う様でさえもございます。
 どこでそのような知識を手に入れられましたかな?」

「私の知識は耳学問、それに書籍しかありません。
 但し、木材の知識を覚えれば、寒暖の差が木材にどのような影響を与えるか、楽器のように微妙な力関係にある筐体きょうたいに応力がどのように作用するかはおおよそ推測できます。
 楽器の構造については、お抱え楽師のサーナム殿に教えていただきました。」

 マイヤーはまたも首を振った。

「いやはや、とてもマルス殿が9歳とは思えなくなり申した。
 私と同年代の練達者としか思えないほどです。
 マルス殿は最初に三つと申されましたが、あと一つは?」

「これも申しあげてよいものやら迷いますが、曲の解釈になるのかもしれません。
 「四季」は春夏秋冬を表す演奏かと存じます。
 春は生き物がその生を謳歌おうかする爛漫らんまんを表し、夏はその生が最も力強い時期、秋は物悲しくも来たるべき冬に備えて準備に入る時期であり、収穫の時期でもあります。
 祭りが多いのもこの秋の時期、そうして冬はひたすら耐えて来たるべき春に備える雌伏しふくの時なのだと思います。
 皆様はその四季折々でテンポを変えられておりました。
 ですが、春夏秋冬はそれぞれの季節ごとに同じテンポであったように思います。
 四季はそれぞれ移ろいます。
 その時期は実は明確ではないのです。
 冬に近い春、夏に近い春、夏に近い秋、冬に近い秋、夏と冬にもそのような移ろいがあるはず。
 春夏秋冬を演奏するに当たりそのテンポを微妙に変えて行くことで自然の移り変わりをより表すことができるのではないかと感じました。
 其の分、昨夜の演奏はやや硬い演奏だったと感じています。」

 マイヤーを始め、楽師の一同は唖然あぜんとしていた。
 彼らに曲想から来る解釈でテンポをも徐々に変えるなどと言う発想は無かったからである。

 彼らは忠実に楽譜を再現し、和音をいかに美しく聞かせるかを競っていた。
 テンポは楽譜にも書いてあるが、ある意味でそこは自由裁量の分野でもあった。

 そうして彼らが演奏する時には、四季折々の最初のテンポに概ね合せるだけであったのである。
 春なら春で一定のテンポを保ち続けるだけでよいと考えていた。

 だが、わずかに9歳の神童がその既成概念を打ち破ったのである。

「なるほど、マルス殿の御説は判りました。
 だが、我らにしてもその実現はかなりの努力が必要です。
 一同一層の精進をせねばなりますまいな。」

 晩餐会のうたげの後の演奏はこれまでになく気合の入ったものになった。
 そうして、この年の後、5つの楽師団の演奏場所にサドベランスの他に必ずカルベック伯爵領が含まれるようになった。

 彼らの巡回は連絡をし合って、それぞれに手分けして行っており、楽団同志が同じ国でかち合うことのないようにしているのであるが、マルスと言う若き楽音の天才がいるという一事で、毎年バルディアス王国には一つの楽師団が訪れるようになったのである。
 そうして青色楽師団の演奏会の後、マルスの部屋からは色々な楽器の音色が聞こえるようになっていた。

 最初の1日だけは楽器ごとにお抱え楽師がつくが、翌日からは暫く独演が続き、半年ほどで、館に有る楽器の全てをマルスは演奏できるようになっていた。
 しかも、当然のようにその演奏はお抱え楽師の技量を超える水準であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

処理中です...