転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監

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第二章 ハンターとして

2ー23 スタンピードの事後 その二

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 そのほかにも、公爵になれば、王都内に屋敷を賜ることにもなっており、そこに住めることにはなっているんだけれど、生憎と現在手配中なんだ。
 何でも15年ほど前に自殺した侯爵の屋敷で、祟りなのか呪いなのか色々と瑕疵かしのある物件だったようで、侯爵が自殺した後に入居する者が居なかったようなんだ。

 前世で云うところの不動産業者が王都にも存在するんだが、貴族相手の不動産業者は二人、格式みたいのが有って、伯爵以上の土地・邸を扱うのは、ラムゼイ・バルクと云う不動産屋の男だけのようだ。
 事前に王宮官吏から彼のところに打診があったようなのだけれど、生憎と適切な空きが無いと言われたようだ。

 あるのはこの業界で瑕疵物件として扱われている旧セントリード侯爵邸のみなのだそうだ。
 因みに、この物件は周囲にも祟りか呪い的な被害をもたらしていて、隣の子爵邸も既に空き家になっているようだ。

 実のところ、不動産としてはこの二軒を一軒として扱われているようであり、広さから言えば、二邸分もあるので公爵邸としては最も大きな敷地を有する屋敷になるそうだ。
 実はこれも、表彰式典に先立って王宮サイドから僕に打診があったんだ。

 王宮としては何とか下賜できる王都内の屋敷を手配したいらしいのだが、子爵以下の貴族の屋敷ならばともかく、伯爵以上の貴族に割り当てられる屋敷は曰く付きの旧セントリード侯爵邸のみしかないが、ここに住む気があるかとじかに僕に聞いてきたんだよ。
 ある意味では随分と失礼な対応ではあるはずなのだが、平民の僕自身は気にしない。

 僕としては診療所に隣り合った宿舎もあるし、維持管理に経費の掛かる新たな屋敷など要らないけれどと言うと、それでは困るというんだよね。
 僕にとっては至極面倒な話ではあるけれど、これから種々世話になるかもしれない官吏が困っているのを放置もできないんで、仕方がないから不動産業者を通して実際に住めるものなのかどうかを現地に視察に行くことにしたよ。

 ◇◇◇◇

 正直なところ、子爵邸の方はまだしも、旧侯爵邸の方は、すごく荒れ果てていた。
 雑草が生い茂っていて、整備されている王都の中で異様な風景になっているんだ。

 城壁の外と違って、モンスターが住み着くような場所ではないはずだけれど、空を飛べる魔物ならば或いは住み着くかもしれない。
 尤も、王都の場合、城壁まで大きな結界を張っているために、簡単には侵入できないようになっている。

 但し、ワイバーンやドラゴン並みに魔力を有するような飛翔型モンスターならば中に入ることは可能だろうね。
 実際に、ラムゼイ・バルクの甥である不動産屋の従業員の案内で旧セントリード邸を訪れた際には、明らかなモンスターの気配を敷地外からでも感知したよ。

 ただまぁ、今回のスタンピードの影響もあって、僕のレベルが物凄く上がっているからね。
 僕が実際に討伐した五百体ほどのモンスターだけでもかなりのレベルアップをしていたんだけれど、イフリートが討伐した残り千五百体ほどのモンスターの功績も召喚した僕のものになっており、本当にびっくりするほどのレベルアップを果たしているんだ。

 今の僕ならばドラゴン級のモンスターでも討伐が可能なはずなんだ。
 だから、少々のモンスターが居てもどうにでもできるだろうと考えているんだけれど、流石に下見に来ている貴族街区の邸宅内でドンパチはしたくないから取り敢えずは慎重に様子見をすることにする。

 案内役で来ていたメッカス・バルクの話では、15年前に当主が自殺して以来、半年ほどは親族により細々と家の整備も行われていたらしいけれど、従者や庭師などが不審死を遂げるに至って、この屋敷に誰も入らなくなったらしい。
 因みに臨家の子爵邸の方は三年ほど前に、種々の異変が邸内で起きるようになって、特にセントリード邸に接する庭や建造物から異変が多発することから、子爵一家が王都内のべつの屋敷に転居したようだ。

 最初に起きたのは、屋敷の境にある塀を超えて無人のセントリード邸側からつた植物が越境を始めたことから始まったようだ。
 子爵お抱えの庭師が、毎日のように伐採をしていたのだが、その庭師が突然の病で倒れたようだ。

 庭師に変わって、従者が伐採の手入れを行ったが、この従者も入れ代わり立ち代わり伐採の際に不注意から怪我をするようになり、気味悪がって隔日になり、二日開け、さらには三日開けるようになって、伐採が遅れ気味になると、見かけたことのない濃い緑色の植物が塀の近傍に育ち始め、同時期に屋敷の住人が次々と病で倒れるに及んで、子爵の判断で邸を出た経緯があるようだ。
 不思議なことに子爵邸を離れると子爵邸の住人の病は快癒したのである。

 この結果から、何らかの祟りもし悔いは呪いと判断され、子爵が教会に多額の献金をして解呪のための祈りを頼んだのだが、王都内のいずれの教会の司祭が聖魔法による解呪を試みるも一向に改善できず、子爵は邸を手放すことにしたのである。
 子爵の屋敷は王家から下賜されたものであるからそれを勝手に売り渡すなどはできないのだが、半年ほどのすったもんだの挙句、子爵は別の屋敷を拝領することに落ち着いたらしい。

 王家サイドの者が検証のために数人で邸を訪れ、そのうちの半数以上が一刻も経たずに気分が悪くなり嘔吐するような症状を呈するのは流石に異常と判断されたようである。
 それ以後、セントリード邸と子爵邸は住人が居ないのである。

 その屋敷に公爵に叙爵される予定の者に下賜しようとするのはいかにも業腹だよね。
 ただまぁ、王都の英雄とも称される僕ならばなんとかしてくれるのではと言う意図が透けて見えるよ。

 そんな話に乗っからずに即座に断ることもできるけれど、おそらくは上司から命じられてやってきたペーペーの叔父さんをいじめても仕方がないから、下見に来たわけです。
 元凶であろうセントリード邸の門扉のところで、気配を探り、なおかつ、闇の妖精数体にお願いして、内部の確認をしてもらったよ。

 うん、妖精達が、セントリード邸の地下に問題が有るのを見つけてくれた。
 屋敷の地下に秘密の地下室があり、そこに瘴気が溜まっているようなんだ。

 この地下が何に使われていたのかは今となっては不明なのだが、鉄柵の付いた檻の区画が少なくとも8室あり、拷問に用いられるおぞましい器具のある部屋が有ることから察して、おそらくは監獄の用途であったものと推測されるのだ。
 単なる罪を犯した者を収監するする設備ならばわざわざ入り口をわからぬように秘密にする必要もあるまいと思われる。

 この地下室、実は当主の部屋の本棚の裏に隠された秘密の通路と階段、若しくは、敷地の北西隅にある使われていない空井戸からでなければ出入りできないのである。
 おそらくは、人に知られては拙い行為を為していたのではないかと思われる節もある。

 但し、埃の堆積状況からみて、ここ数十年は使われた形跡がないようだ。
 つまりはセントリード侯爵の先祖、若しくは、それ以前にこの屋敷に住んでいた人物が使っていたということになるだろう。

 闇の妖精達の報告では、この瘴気が色々悪さをして、魔素を吸収した植物や虫が病を媒介しているという。
 子爵邸の祟りのような症状は、その被害が拡大してできたもののようだ。

 ならば、僕のすることは簡単である。
 聖属性魔法を大規模に発動して、邸内に籠る瘴気を一掃することだ。

 瘴気の発生源が更に地下深くにあるものならば、そこまで影響を及ぼすようにしておけば当面の予防対策にはなるだろう。
 そのために土の妖精にお願いして、瘴気の発生源を確認してもらったよ。

 どうやら地下二百メートル以上の深さの場所に龍脈のような流れがあり、その龍脈の流れに触れた特殊な鉱石が瘴気を発生しているようだ。
 従って、この鉱石を取り除き、同時にそこから地表近くへの瘴気の流路を浄化すれば、取り敢えずは問題は取り除けると思う。

 瘴気を浴びて偏した植物や虫は浄化で正常に戻ると思うけれど、もう一つ、幼いモンスターが邸に棲み着いていたんだ。
 モンスターの名は、エルピュア。

 鳩のような鳥型だけれど夜行性の肉食と鳥で、成鳥は嘴から尾先端までの長さが80センチを超えるし、翼を広げれば2mほどの大きさになる鳥のモンスターだ。
 どうしてこいつが邸の中にいるのかは不明なのだが、卵の殻が天井裏に合ったそうなので、親鳥がこの屋敷に卵を産んだのかもしれないね。

 おそらくは生まれて1年か2年ぐらいの体長らしく成鳥ではないようだ。
 大きくなると或いは近所に悪さをするかもしれないが、実は羽を怪我していてこいつは跳べないようだ。

 それでも俊敏に動ける様で、屋敷の中で繁殖していた瘴気を帯びたネズミを食糧にして生き残っていたようだ。
 モンスターは本来であれば討伐対象だけれど、・・・・。

 どうしようか?
 僕にはテイム能力もありそうだから、テイムしてペット代わりに買うのもありかも知れないな。

 いずれにせよ、まずは邸の浄化だよね。
 僕は、メッカス・バルクに予め言ってから、門扉の中に入って浄化魔法を繰り出した。
 
 勿論、旧セントリード邸と隣の子爵邸の両方だよ。
 浄化魔法を発動した途端、周囲に金色の靄が広がり、その中で瘴気に侵された植物や小動物から黒い靄が立ち上った。

 これだけでは済まないから邸の地下深くにある特殊鉱石を転移させて僕の亜空間倉庫に放り込み、次いで地下室とそこに至る瘴気の流路全体を浄化した。
 時間は多分10分ほどかな?

 その間に大きな光のドームが広がったので近隣の人には見えたかもしれないけれど、この際、そうした騒ぎは放置する。
 それが終わって、埃だらけの二つの邸内を見分した。

 因みに、埃だらけなのでまずは掃除だよね。
 風や水の妖精も手伝ってくれて、短い時間で邸内の清掃は済んだ。

 繁茂した雑草類は取り敢えず、通路の分だけは刈り取ったけれど、後は雇用することになるだろう邸の使用人に任せることになる。
 住めるようにするには、一月ほどはかかるかな?


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