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第二章 ハンターとして
2ー24 叙爵のための準備
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それと二つの屋敷の間に仕切りの壁が有るのは邪魔だから、いずれ間に門を設けるか取り除くことも考えているし、そもそも屋敷が二つと言うのもなぁ。
何だか使いにくいよね。
少し離れているから将来的に二つ目の屋敷を使う予定もないし・・・・。
もしかすると建築年次の新しい子爵邸だけを残して、侯爵邸の方は庭として利用するのもありかも知れない。
どちらにしろ、僕が本当にここに住むとしたなら、色々と大改造しなければならないところが多いんだ。
おそらくはこれから雇うことになるであろう従者達の福利厚生のためにも、色々設備したいものもあるしね。
取り敢えず、先ずは従者のまとめ役になるであろう執事長やメイド長を内定してしまえば、必然的にその伝手で必要な従者やメイドを彼らが手配してくれるだろうと思っている。
実はそうした貴族御用達の従者専用ギルドが王都には有るらしい。
そこに行けば、必要な人手を雇用できるようだ。
候補である邸の見分と浄化作業も終わったから、僕もそこに行ってみるつもりなんだ。
何しろ、王宮へ赴くのは明後日だから、それまでに色々とできることは決めておかねばならないんだ。
王宮サイドの事前連絡では、叙爵に伴い、一時金と年金が下賜されるみたいだね。
尤も、過去三回の名誉伯爵授与と褒章により、少なからぬ報奨金や年金が僕の懐には入っているので、数十人程度の従者ならば、雇える余裕はあると思うよ。
◇◇◇◇
王都の貴族街の一角に従者ギルドはあった。
このギルドは貴族専用であって、商家などは相手にしていないし、一代限りの名誉爵位も相手にはしない。
法衣貴族の場合でも、子爵以上でなければ斡旋も受けられないようだ。
僕は未だ叙爵されてはいないのだけれど、受付で名前を告げて近々公爵に叙爵されると云うと、流石に従者ギルドだね。
その辺の事前情報は既に抑えていて、僕はすぐさまに上客として最上の待遇を受けることになった。
通常の場合、騎士を除いて従者の数は、男爵であれば最低でも8名前後、子爵であれば最低12名前後、伯爵で15名前後、侯爵であれば最低20名、辺境伯と公爵であれば25名程度を雇用するのが常識的であるらしい。
それも、領地ではなく、王都に賜る別邸での従者の話である。
王都における別邸に務める従者の役割は、往々にして各種対外折衝をも含むのである。
各貴族との折衝、王都の大店との折衝、王宮からの連絡窓口等々、往々にして政治向きの話も多い。
従って、特に侍従長は政治的手腕と経理手腕を持っている者でなければ務まらないようだ。
僕の場合、領地については当面代官に任せることにして、王都滞在が多くなるだろうから、その点、取次の仕事が多くなると思うが、それとて柔軟に対応できる能力が無ければ難しいものだ。
そうして僕がギルドを訪ねて四半時後、ギルドは各五名の候補者の面接を用意したのである。
おそらくは、僕が侯爵位を賜るとの情報を聞きつけてからすぐに準備し、ギルド内若しくは近傍で待機させていたに違いない。
僕は面接により、侍従長としてマイク・ラバンズを、メイド長としてシェリア・ウェルメスを選んだ。
マイク・ラバンズは当年とって52歳の老練執事である。
健康上の問題も無いし、今後とも10年以上は執事長の任に堪えられると判断した。
マイクの出自は商家の三男坊であり、家督を継げるわけでもなく、実家が支店を造るほどの裕福な商家でもなかったことから、成人して間もなくハンターとなった経歴がある。
だがハンターとなって8年ほどで伴侶候補が見つかったことから、すっぱりとハンターを辞め、従者の養成所に入って執事となった変わり者である。
商家であるから経理に詳しく、種々の見識も深い。
また、ハンターでは剣士として活躍したようで相応の武術や体術も会得している。
面接での質問にもはきはきと答えながら、裏では素早く思考を巡らせている様子であり、慎重であることが窺えた。
また、生来の能力なのかもしれないが、彼の立ち居振る舞いが非常に綺麗に見えたことが、彼を雇った一番の理由である。
侍従長は公爵邸の顔にもなる人物であるから、見栄えは大事なんだ。
彼がだらしない態度で接すればそれだけで、相手から見下されることになるだろう。
その点で彼が五人の中で一番印象が良かったのである。
メイド長に選んだシェリア・ウェルメスは若くて33歳である。
彼女の出自は、元男爵家令嬢である。
20年ほど前、王国の西部域にあったウェルメス男爵領は、スタンピードの発生により領都が壊滅し、その際にシェリアは家族や従者を失っているのである。
シェリアは、その時に王立高等学院に在学中であったので助かったのであるが、ウェルメス家の家督相続者はシェリアだけであったけれど、王宮サイドは、スタンピード発生と領都壊滅の責任を亡くなった男爵の管理不行き届きによるものと裁定し、ウェルメス家の家督相続を認めなかったのである。
このため、シェリアは貴族令嬢から一転して平民へと降格されたのであった。
彼女は、学院在学中に子爵家の次男坊との婚約もしていたのだが、平民に降格されたことで婚約そのものが破棄されたのであった。
シェリアの親族筋は少数ながら居たけれど、シェリアを擁護する者は居なかったため、シェリアは成人前から従者ギルドの門戸を叩き、養成所に入って貴族のメイドとなることを選んだのである。
そうして三年前には従者ギルドの難しい昇格試験に合格してメイド長の資格を得、この三月前まで子爵のメイド長として雇われて居たのである。
彼女の場合、貴族子女として幼い頃から貴族としての教育を受けていたことから礼儀作法に詳しく、女性ながら武術も相応の能力を持っていた。
無論6年以上にわたる学院生活を経て得た知識経験は、貴族子女でなければ得られないものでもあったのだ。
しかしながら、彼女の直近の雇い主であった当主の子爵が急死したことにより、嫡男が子爵家を継いだ時点で、メイド長としての仕事は解任されたのである。
これは、彼女の能力不足とか次代当主との確執があったわけではなく、古くからある貴族の慣行のひとつに過ぎない。
当主が変われば、騎士を除く従者のうち、『長』が付く職名の者は解雇されて、新規の『長』が雇用され、新体制に変えることが往々にして行われるので、それまでの長が浪人になるのである。
マイクも、シェリアも同じ理由で解雇された人材であり、暫しの浪人生活となっていた人物だった。
いずれにしろ鑑定でその為人を確認しているから、王都で拝領する屋敷については、両名に任せるつもりである。
マイクとシェリアについては、取り敢えず彼らの伝手で最大男性12名、女性14名までの人材確保をお願いした。
彼らのコネが強ければ、現に雇用されている貴族家からも引き抜くことができるらしいが、従者やメイドを急に引き抜かれた貴族が困る場合もあり、通常は一家の募集に際して精々二~三人までとする慣行が有るようだ。
そうでなくとも、従者ギルドには浪人中の従者候補が多数待機しており、マイクやシェリアはギルドにある会員名簿を活用して必要な人材を確保することになる。
但し、今回の場合は、かなり大変な事態ではある。
通常は陞爵により、位階が上がったことによる増員は、不足する人材の欠員補充が主であるのに、僕の場合は全く新たな公爵家の誕生であるから、その雇用規模が違うのである。
前述のとおり、通常、王都別邸における従者数は、男爵であれば(但し、男爵によっては王都別邸を下賜されていない場合もある)8名前後、子爵で12名前後、伯爵で15名前後、侯爵で20名前後、辺境伯及び公爵で25名前後若しくはそれ以上が相場であるらしい。
見栄を売り物にする貴族の考え方から生まれた慣行のようだね。
生憎とこうした慣行を無視するわけにもいかないようだ。
この辺は、少し、クロイム・サイルズとも議論はしてみたが、言い負かされたよ。
最後は国を捨てるかどうかになる話になってしまうんだ。
まぁ、貴族への叙爵を受けざるを得ない時点で勝負は決まっているんだよね。
うーん、この地で落ち着く前に国をオン出ていた方が良かったのかもしれないが既に後の祭りだし、どこの国へ行っても似たような状況に陥っていた可能性はあるよね。
ここはすっぱりと諦め、悪い慣行等是正が可能なものは必要に応じて変えて行くようにしよう。
ところで貴族の慣行の一つに『お披露目』と言うものが有るらしい。
これは、叙爵されて初めての爵位に就いた時、また陞爵によって爵位が上がった時に、その爵位を受けた当人が多数の貴族を招いて宴会を催すものらしい。
通常の場合だと派閥的なものが有って、寄り親とか寄り子とかを招待するのが普通らしいが、僕の場合、ポッと出の新興貴族だからね。
そんな派閥や寄り親、寄り子もあるわけがない。
やむを得ないんで、僕の知己の者を中心に招待者の幅を広げることにする。
僕に関わりが有るのは、王家相談役のクロイムと、ダイノス侯爵家だけ。
まぁ、多少関わりのありそうな王宮官吏はいるけれどね。
実のところ、王国の貴族はかなり多くて約五百家にも達する。
そのうち領地持ちの貴族は150家余り、残り350家足らずが所謂法衣貴族と呼ばれる王宮勤めの官吏だね。
単純に言って法衣貴族の末端までを招いていては、大変なことになりかねないから、法衣貴族は精々大臣クラスかその下の副大臣クラスまで、領地持ち貴族は、原則として伯爵以上の者とし、ダイノス侯爵やクロイムのお勧めにより子爵まで含めることにしよう。
招待する場合は、妻女等の同伴も認めざるを得ないんだけれど、領地持ち貴族については本人を含めて3人まで、代理人の場合は二名まで、法衣貴族については二名までを原則とするつもりだよ。
それでも50家を招待すれば、それだけで百名を超える人数になる。
今の公爵邸にある晩餐会場用のホールでは少し狭すぎるかもしれない。
他の侯爵家の王都別邸を参考にして、大改造をしなければならないみたいだね。
当然に家具や食器などの準備も必要になるだろう。
マイクとシェリアには、最大150名規模の宴会が開催できるように2か月半後までに事前の準備してほしいと言って、必要な金子を渡したよ。
その中には新たに雇うであろう従者やメイドの給与や必要経費も含まれている。
当然に食器等も購入しなければならないんだけれど、一応の数の整備は二人に任せている。
但し、この世界の陶磁器はそれなりのものはあるけれど、何となく洗練されていないんだ。
そのために、彼らが用意するであろうモノとは別に、150から200セットの食器も新たに僕が造るつもりでもいるよ。
そのための備蓄倉庫もいるんだろうね。
あぁ、そういえば新たに雇用する従者の宿舎が無いんだっけ。
急遽、その日のうちに彼らのための寮を造ったよ。
飽くまで仮の宿舎にしか過ぎないんだけれど、ベッドやクローゼット、共用台所や食堂、トイレ、浴室等も完備したある意味簡易なプレハブ共同住宅だけれど、取り敢えずは少しの間ここで我慢してもらおう。
いずれ、侯爵邸の大改築に伴って従者たちの部屋もそこに整備する。
叙爵後も披露宴の準備等でいろいろと忙しくなりそうだ。
うーん、領主として、また、治療院の院長として、さらにはハンターとしての活動がこれからも兼務できるんだろうかとちょっと心配にもなるよね。
何だか使いにくいよね。
少し離れているから将来的に二つ目の屋敷を使う予定もないし・・・・。
もしかすると建築年次の新しい子爵邸だけを残して、侯爵邸の方は庭として利用するのもありかも知れない。
どちらにしろ、僕が本当にここに住むとしたなら、色々と大改造しなければならないところが多いんだ。
おそらくはこれから雇うことになるであろう従者達の福利厚生のためにも、色々設備したいものもあるしね。
取り敢えず、先ずは従者のまとめ役になるであろう執事長やメイド長を内定してしまえば、必然的にその伝手で必要な従者やメイドを彼らが手配してくれるだろうと思っている。
実はそうした貴族御用達の従者専用ギルドが王都には有るらしい。
そこに行けば、必要な人手を雇用できるようだ。
候補である邸の見分と浄化作業も終わったから、僕もそこに行ってみるつもりなんだ。
何しろ、王宮へ赴くのは明後日だから、それまでに色々とできることは決めておかねばならないんだ。
王宮サイドの事前連絡では、叙爵に伴い、一時金と年金が下賜されるみたいだね。
尤も、過去三回の名誉伯爵授与と褒章により、少なからぬ報奨金や年金が僕の懐には入っているので、数十人程度の従者ならば、雇える余裕はあると思うよ。
◇◇◇◇
王都の貴族街の一角に従者ギルドはあった。
このギルドは貴族専用であって、商家などは相手にしていないし、一代限りの名誉爵位も相手にはしない。
法衣貴族の場合でも、子爵以上でなければ斡旋も受けられないようだ。
僕は未だ叙爵されてはいないのだけれど、受付で名前を告げて近々公爵に叙爵されると云うと、流石に従者ギルドだね。
その辺の事前情報は既に抑えていて、僕はすぐさまに上客として最上の待遇を受けることになった。
通常の場合、騎士を除いて従者の数は、男爵であれば最低でも8名前後、子爵であれば最低12名前後、伯爵で15名前後、侯爵であれば最低20名、辺境伯と公爵であれば25名程度を雇用するのが常識的であるらしい。
それも、領地ではなく、王都に賜る別邸での従者の話である。
王都における別邸に務める従者の役割は、往々にして各種対外折衝をも含むのである。
各貴族との折衝、王都の大店との折衝、王宮からの連絡窓口等々、往々にして政治向きの話も多い。
従って、特に侍従長は政治的手腕と経理手腕を持っている者でなければ務まらないようだ。
僕の場合、領地については当面代官に任せることにして、王都滞在が多くなるだろうから、その点、取次の仕事が多くなると思うが、それとて柔軟に対応できる能力が無ければ難しいものだ。
そうして僕がギルドを訪ねて四半時後、ギルドは各五名の候補者の面接を用意したのである。
おそらくは、僕が侯爵位を賜るとの情報を聞きつけてからすぐに準備し、ギルド内若しくは近傍で待機させていたに違いない。
僕は面接により、侍従長としてマイク・ラバンズを、メイド長としてシェリア・ウェルメスを選んだ。
マイク・ラバンズは当年とって52歳の老練執事である。
健康上の問題も無いし、今後とも10年以上は執事長の任に堪えられると判断した。
マイクの出自は商家の三男坊であり、家督を継げるわけでもなく、実家が支店を造るほどの裕福な商家でもなかったことから、成人して間もなくハンターとなった経歴がある。
だがハンターとなって8年ほどで伴侶候補が見つかったことから、すっぱりとハンターを辞め、従者の養成所に入って執事となった変わり者である。
商家であるから経理に詳しく、種々の見識も深い。
また、ハンターでは剣士として活躍したようで相応の武術や体術も会得している。
面接での質問にもはきはきと答えながら、裏では素早く思考を巡らせている様子であり、慎重であることが窺えた。
また、生来の能力なのかもしれないが、彼の立ち居振る舞いが非常に綺麗に見えたことが、彼を雇った一番の理由である。
侍従長は公爵邸の顔にもなる人物であるから、見栄えは大事なんだ。
彼がだらしない態度で接すればそれだけで、相手から見下されることになるだろう。
その点で彼が五人の中で一番印象が良かったのである。
メイド長に選んだシェリア・ウェルメスは若くて33歳である。
彼女の出自は、元男爵家令嬢である。
20年ほど前、王国の西部域にあったウェルメス男爵領は、スタンピードの発生により領都が壊滅し、その際にシェリアは家族や従者を失っているのである。
シェリアは、その時に王立高等学院に在学中であったので助かったのであるが、ウェルメス家の家督相続者はシェリアだけであったけれど、王宮サイドは、スタンピード発生と領都壊滅の責任を亡くなった男爵の管理不行き届きによるものと裁定し、ウェルメス家の家督相続を認めなかったのである。
このため、シェリアは貴族令嬢から一転して平民へと降格されたのであった。
彼女は、学院在学中に子爵家の次男坊との婚約もしていたのだが、平民に降格されたことで婚約そのものが破棄されたのであった。
シェリアの親族筋は少数ながら居たけれど、シェリアを擁護する者は居なかったため、シェリアは成人前から従者ギルドの門戸を叩き、養成所に入って貴族のメイドとなることを選んだのである。
そうして三年前には従者ギルドの難しい昇格試験に合格してメイド長の資格を得、この三月前まで子爵のメイド長として雇われて居たのである。
彼女の場合、貴族子女として幼い頃から貴族としての教育を受けていたことから礼儀作法に詳しく、女性ながら武術も相応の能力を持っていた。
無論6年以上にわたる学院生活を経て得た知識経験は、貴族子女でなければ得られないものでもあったのだ。
しかしながら、彼女の直近の雇い主であった当主の子爵が急死したことにより、嫡男が子爵家を継いだ時点で、メイド長としての仕事は解任されたのである。
これは、彼女の能力不足とか次代当主との確執があったわけではなく、古くからある貴族の慣行のひとつに過ぎない。
当主が変われば、騎士を除く従者のうち、『長』が付く職名の者は解雇されて、新規の『長』が雇用され、新体制に変えることが往々にして行われるので、それまでの長が浪人になるのである。
マイクも、シェリアも同じ理由で解雇された人材であり、暫しの浪人生活となっていた人物だった。
いずれにしろ鑑定でその為人を確認しているから、王都で拝領する屋敷については、両名に任せるつもりである。
マイクとシェリアについては、取り敢えず彼らの伝手で最大男性12名、女性14名までの人材確保をお願いした。
彼らのコネが強ければ、現に雇用されている貴族家からも引き抜くことができるらしいが、従者やメイドを急に引き抜かれた貴族が困る場合もあり、通常は一家の募集に際して精々二~三人までとする慣行が有るようだ。
そうでなくとも、従者ギルドには浪人中の従者候補が多数待機しており、マイクやシェリアはギルドにある会員名簿を活用して必要な人材を確保することになる。
但し、今回の場合は、かなり大変な事態ではある。
通常は陞爵により、位階が上がったことによる増員は、不足する人材の欠員補充が主であるのに、僕の場合は全く新たな公爵家の誕生であるから、その雇用規模が違うのである。
前述のとおり、通常、王都別邸における従者数は、男爵であれば(但し、男爵によっては王都別邸を下賜されていない場合もある)8名前後、子爵で12名前後、伯爵で15名前後、侯爵で20名前後、辺境伯及び公爵で25名前後若しくはそれ以上が相場であるらしい。
見栄を売り物にする貴族の考え方から生まれた慣行のようだね。
生憎とこうした慣行を無視するわけにもいかないようだ。
この辺は、少し、クロイム・サイルズとも議論はしてみたが、言い負かされたよ。
最後は国を捨てるかどうかになる話になってしまうんだ。
まぁ、貴族への叙爵を受けざるを得ない時点で勝負は決まっているんだよね。
うーん、この地で落ち着く前に国をオン出ていた方が良かったのかもしれないが既に後の祭りだし、どこの国へ行っても似たような状況に陥っていた可能性はあるよね。
ここはすっぱりと諦め、悪い慣行等是正が可能なものは必要に応じて変えて行くようにしよう。
ところで貴族の慣行の一つに『お披露目』と言うものが有るらしい。
これは、叙爵されて初めての爵位に就いた時、また陞爵によって爵位が上がった時に、その爵位を受けた当人が多数の貴族を招いて宴会を催すものらしい。
通常の場合だと派閥的なものが有って、寄り親とか寄り子とかを招待するのが普通らしいが、僕の場合、ポッと出の新興貴族だからね。
そんな派閥や寄り親、寄り子もあるわけがない。
やむを得ないんで、僕の知己の者を中心に招待者の幅を広げることにする。
僕に関わりが有るのは、王家相談役のクロイムと、ダイノス侯爵家だけ。
まぁ、多少関わりのありそうな王宮官吏はいるけれどね。
実のところ、王国の貴族はかなり多くて約五百家にも達する。
そのうち領地持ちの貴族は150家余り、残り350家足らずが所謂法衣貴族と呼ばれる王宮勤めの官吏だね。
単純に言って法衣貴族の末端までを招いていては、大変なことになりかねないから、法衣貴族は精々大臣クラスかその下の副大臣クラスまで、領地持ち貴族は、原則として伯爵以上の者とし、ダイノス侯爵やクロイムのお勧めにより子爵まで含めることにしよう。
招待する場合は、妻女等の同伴も認めざるを得ないんだけれど、領地持ち貴族については本人を含めて3人まで、代理人の場合は二名まで、法衣貴族については二名までを原則とするつもりだよ。
それでも50家を招待すれば、それだけで百名を超える人数になる。
今の公爵邸にある晩餐会場用のホールでは少し狭すぎるかもしれない。
他の侯爵家の王都別邸を参考にして、大改造をしなければならないみたいだね。
当然に家具や食器などの準備も必要になるだろう。
マイクとシェリアには、最大150名規模の宴会が開催できるように2か月半後までに事前の準備してほしいと言って、必要な金子を渡したよ。
その中には新たに雇うであろう従者やメイドの給与や必要経費も含まれている。
当然に食器等も購入しなければならないんだけれど、一応の数の整備は二人に任せている。
但し、この世界の陶磁器はそれなりのものはあるけれど、何となく洗練されていないんだ。
そのために、彼らが用意するであろうモノとは別に、150から200セットの食器も新たに僕が造るつもりでもいるよ。
そのための備蓄倉庫もいるんだろうね。
あぁ、そういえば新たに雇用する従者の宿舎が無いんだっけ。
急遽、その日のうちに彼らのための寮を造ったよ。
飽くまで仮の宿舎にしか過ぎないんだけれど、ベッドやクローゼット、共用台所や食堂、トイレ、浴室等も完備したある意味簡易なプレハブ共同住宅だけれど、取り敢えずは少しの間ここで我慢してもらおう。
いずれ、侯爵邸の大改築に伴って従者たちの部屋もそこに整備する。
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