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第三章 大学生活
3-11 X-1抗体の成果
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色々と試行錯誤で実験した結果、抗体薬に融合させる金属としては、アルカリ金属である「リチウム」、「ナトリウム」、「カリウム」、「ルビジウム」、「セシウム」「フランシウム」が最も効果があることが判明したけれど、このうちルビジウム、セシウム、フランシウムの三つは放射性物質なので健康上は使わないほうが良いと考えたよ。
また、このアルカリ金属という奴は、水と激しく反応するんで取り扱いには十分に注意をしなければならない物質なんだ。
物質融合そのものは俺にしかできないことだから、梓ちゃんにはやらせないし、作業は原則として俺一人の時にやっている。
多糖体の末端に融合したアルカリ金属は、非常に安定しており、これが水と反応して化学反応を起こすことは無いことが分かっている。
塩化ナトリウムや塩化カリウムのようなもので、食べても大丈夫なはずなんだが・・・・。
こいつばかりは、実際に治験で試すしかないんだよな。
更なる検証で、40.96182576の同位体質量を有する安定同位体であるカリウム41(通常知られているのはカリウム39)を融合させた多糖体分子、(C6H10O5)nの(n=15)+K6が最も効果が高いと判明したよ。
今のところ、こいつは化学合成ができないのがちょっと問題ではある。
これまでの検証では、この変性多糖体に出会うとX-1病原体は、ほぼ瞬時に死滅することが分かっている。
多糖体(C6H10O5)n(n=15)単独では、数日程度の毒素放出活動停止だけの効能しか無いし、カリウム単独では全く効果が認められないんだが、(C6H10O5)n(n=15)+K6ならば、ほぼ即座にX-1は死滅し、放出された毒素も消滅することは分かっている。
理屈はわからないが、異界の変異病原体であるX-1とその関連毒素にとって、この新たな抗体は天敵であるようだ。
で、この多糖カリウムと、モルモット代わりの小動物を使って実験を繰り返したんだが、色々やってほぼ全部の実験動物について効果があることが判明したのは、2038年11月初めの事だったよ。
この治験に際しては、梓ちゃんが大いに手伝ってくれたせいもあると思っているよ。
これ以後は、この特効薬がカザフ出血熱に効果があるかどうかを試さねばならないんだが・・・・。
出来るだけ早いうちに、最前線である地域に赴いて、人知れず人体実験をするしかないんだろうな。
ド素人がよくわかりもせずに人体実験をするなど世間から非難されるかも知れないが、異界からの病原体を撲滅するためには、避けては通れない過程ではあるんだ。
本来ならば、政府等の権威ある組織に抗体薬を提供、正式な形で病院等における治験を繰り返して、新薬として発表しなければならないモノだろうけれど、俺の立場上それはできない。
やるとしても、SNSを使って例のTan Yǒngxiáng名義で公表し、どこかの研究所にでも対抗薬を送り付けることになるんだろうけれど、組織も不詳、人物も不詳のところから送り付けられた薬品を公的機関が簡単に信用するわけもない。
きっと国際的に対抗薬として認知され、WHOあたりから承認を受けるまでには、相当の時間がかかるんだろうね。
その前に秘密裏にでも治験を実施しておけば、その時期を早めることもできるんじゃないかと思う。
だから使用するのは本当に死期が迫った危険領域にいる患者を対象にするんだ。
但し、俺が作成できる対抗薬の量は、一日に3600リットル(バスタブに10杯程度かな?)程度が限度だな。
体重50キロから70キロの人体に使用する量はおよそ15CC程度なんだけれど、この対抗薬は服用でも注射でも構わない。
とにかく体内の循環器系に取り込めさせれば良いんだ。
その意味では点滴が最も手軽のような気がするな。
ちょっと寒くなる時期ではあるんだが、トルコ北西部のカルスに跳んで、Caucasus University Health Research Centerに隔離されている患者に二人、アルメニアキュムリにあるGyumri Medical Centreで二人、アゼルバイジャンのバクーにあるTrauma Center Hospitalで二人、トルクメニスタンのアシガハードのSemashko Hospitalで二人の患者を対象に点滴の中に人知れず抗体薬を投与したよ。
24時間後、この八人は全員が劇的な症状改善が認められ、病院側はその原因を探るために大騒ぎになった。
何せ、余命が数日と思われていた患者の症状が突如改善したのだから、そりゃぁ大騒ぎにもなる。
尤も、体内で出血している組織が戻るには、それから二週間ほどを要した。
そもそも人間の身体には相応の治癒力が有る。
心臓や脳などの一部の生体細胞は、一度死滅すると再生不可能であるけれど、意外と人体は強いんだ。
きっと、回復できると信じているし、何よりもカザフ出血熱にも俺の抗体(X-1抗体)が効果があることが判明した。
こいつは人体に後遺症を残さないはずなので、予防のためのワクチンとしても使えるはずだ。
その辺は専門の学者さんに任せることとして、俺は大量にこの抗体をジュネーブのWHO本部に運び込むつもりでいるよ。
その前に、SNSでの重大発表だな
今回の発表はインドで実施する。
インドの大都市コルカタにある某中学校に生徒用の備品として置いてあったPCを使って発信したよ。
監視カメラは無いことを確認して、PCを使わせてもらったんだ。
きっと発信元のPCは手繰られるだろうけれど、どんなに頑張っても俺までは辿り着けないはずだ。
当然のことながら黒づくめの衣装で手袋をしているし、足紋、指紋、フケ、体毛等は一切残さないようにしているぜ。
この発表は、日本時間11月30日の午前0時に行われたよ。
発表の概要は、
『カザフ出血熱の特効薬としてX-1抗体7200リットルを、スイスのジュネーブにあるWHO本部の地下倉庫に届けた。
当該特効薬の有効期限は常温25度C以下で半年程度と思われる。
当該抗体の効果は、トルコのカルス所在のCaucasus University Health Research Center、アルメニアのキュムリ所在のGyumri Medical Centre、アゼルバイジャンのバクー所在のTrauma Center Hospital、トルクメニスタンのアシガハード所在のSemashko Hospitaにおいてそれぞれ各2名の患者に対して秘密裏に点滴液中に投与し、有効と認めた
予防ワクチンとして注射も可能。
体重60キロ換算で約15CCが必要であり、7200リットルで約48万人分の投与量に相当する。
当該抗体薬が不足する場合は、WHOからその旨の広報を行なえば当方にて適宜補充することとする。』
この発表に沿って、前日の深夜(ジュネーブ時間)にはWHO本部の地下倉庫に容器に入れた約7トンのX-1抗体を転移しておいたんだ。
まぁ、当日の夜明け前から、この関係で各国のニュースキャスターが騒いでいるよね。
このX-1抗体が必ずしも万能ではないと思うけれど、少なくとも異界関連での病原体対策はできたんじゃないかと思う。
事後の抗体薬の開発には、偉い学者さんや専門家がやってくれるだろうと期待しているよ。
◇◇◇◇
因みに、例の美人留学生のアドリアナ嬢は、俺に特段の関心を寄せることなく10月初旬にはエストニアに戻って行ったな。
流石に大学の講義にまで俺を見張る必要も無かったんだろうね。
何せ、彼女はK大学大学院への留学だし、俺と彼女が顔をお合わせるのはゼミの時だけなのに加え、そもそもゼミでも専攻テーマが異なっていたからね。
精々ゼミ内での定期発表の際に俺と彼女が出会うぐらいだから、彼女としても俺の印象は薄かったと思うんだ。
彼女が居る間に俺が発表するのは、既に発表されている半導体研究に関する外国大学発の論文評価だけだからね。
それも彼女の専攻テーマから微妙に外れたものばかりを意図的に選んでいたから、彼女の興味を引くはずもないんだ。
尤も、彼女の産業スパイ的な役割からすれば、ゼミ関連で何でも吸収しようとする意欲はあってもおかしくは無いんだけれど、彼女の関心は、どうも主として産学共同研究の半導体生産技術にあったみたいだね。
俺の最終的な目標もその方向ではあるんだけれど、彼女に知られてはいけないから、ずっと的を外しっぱなしの発表をしているんだ。
きっと、能無しとでも思われているかも知れないな。
まぁ、それでもかまわないんだ。
或いは、将来的に彼女が日本に移住してきて、群馬に建設中の半導体工場や関連の研究施設にでも潜り込むようになったなら、場合によりその排除も考えねばならないかな?
まぁ、匿名で然るべきところにチクれば、それなりに誰かさんが対応してくれるだろうとは思っているけどね。
◇◇◇◇
ところでSNSでTan Yǒngxiáng名義で抗体薬を発表後のWHOの動きは早かったね。
とにかく試験的にでも治験を推進させ、年明けにはX-1抗体をカザフ出血熱の特効薬及び予防ワクチンとして公表したのだった。
但し、いくら成分分析を行ったところで、多糖体にカリウムをくっつけることは非常に難しく、その一週間後には、PEMBURU所属Tan Yǒngxiáng宛に、追加のX-1抗体をWHOに配分してほしいとネットでお願いし、なおかつ記者発表をしてきたのである。
量は指定していないで、やむを得ないから無駄になっても構わないので前回の倍の14.4トンをフランスのリヨンにあるWHOリヨン事務所に届けたよ。
この量は20リットルタンクで720個に相当するからね。
俺がアルミで作った一辺約27.2センチの特殊な立方体容器に抗体薬を入れたので、積み上げると高さ約1.1m、幅5.5m、長さ2.8mの容積を占めることになる。
まぁ、リヨンにある事務所倉庫の空きスペースのほとんどを使ったかな。
取り敢えず、これまでの送付分と合わせると144万人分はあるはずであり、今後も要請に応じて14.4トンを補給するつもりでは居るよ。
この量は俺の最大生産量の四日分のノルマ―なんだけれど、8時間労働で3600リットル/日だからね。
一日二時間労働だと、延べで半月はかかる計算になる。
まぁ、世のため人の為、人知れず頑張るしかないか。
俺ってつくづくお人よしだよね。
梓ちゃんがそんな俺のことを誉めてくれるのが唯一の原動力かもね。
また、このアルカリ金属という奴は、水と激しく反応するんで取り扱いには十分に注意をしなければならない物質なんだ。
物質融合そのものは俺にしかできないことだから、梓ちゃんにはやらせないし、作業は原則として俺一人の時にやっている。
多糖体の末端に融合したアルカリ金属は、非常に安定しており、これが水と反応して化学反応を起こすことは無いことが分かっている。
塩化ナトリウムや塩化カリウムのようなもので、食べても大丈夫なはずなんだが・・・・。
こいつばかりは、実際に治験で試すしかないんだよな。
更なる検証で、40.96182576の同位体質量を有する安定同位体であるカリウム41(通常知られているのはカリウム39)を融合させた多糖体分子、(C6H10O5)nの(n=15)+K6が最も効果が高いと判明したよ。
今のところ、こいつは化学合成ができないのがちょっと問題ではある。
これまでの検証では、この変性多糖体に出会うとX-1病原体は、ほぼ瞬時に死滅することが分かっている。
多糖体(C6H10O5)n(n=15)単独では、数日程度の毒素放出活動停止だけの効能しか無いし、カリウム単独では全く効果が認められないんだが、(C6H10O5)n(n=15)+K6ならば、ほぼ即座にX-1は死滅し、放出された毒素も消滅することは分かっている。
理屈はわからないが、異界の変異病原体であるX-1とその関連毒素にとって、この新たな抗体は天敵であるようだ。
で、この多糖カリウムと、モルモット代わりの小動物を使って実験を繰り返したんだが、色々やってほぼ全部の実験動物について効果があることが判明したのは、2038年11月初めの事だったよ。
この治験に際しては、梓ちゃんが大いに手伝ってくれたせいもあると思っているよ。
これ以後は、この特効薬がカザフ出血熱に効果があるかどうかを試さねばならないんだが・・・・。
出来るだけ早いうちに、最前線である地域に赴いて、人知れず人体実験をするしかないんだろうな。
ド素人がよくわかりもせずに人体実験をするなど世間から非難されるかも知れないが、異界からの病原体を撲滅するためには、避けては通れない過程ではあるんだ。
本来ならば、政府等の権威ある組織に抗体薬を提供、正式な形で病院等における治験を繰り返して、新薬として発表しなければならないモノだろうけれど、俺の立場上それはできない。
やるとしても、SNSを使って例のTan Yǒngxiáng名義で公表し、どこかの研究所にでも対抗薬を送り付けることになるんだろうけれど、組織も不詳、人物も不詳のところから送り付けられた薬品を公的機関が簡単に信用するわけもない。
きっと国際的に対抗薬として認知され、WHOあたりから承認を受けるまでには、相当の時間がかかるんだろうね。
その前に秘密裏にでも治験を実施しておけば、その時期を早めることもできるんじゃないかと思う。
だから使用するのは本当に死期が迫った危険領域にいる患者を対象にするんだ。
但し、俺が作成できる対抗薬の量は、一日に3600リットル(バスタブに10杯程度かな?)程度が限度だな。
体重50キロから70キロの人体に使用する量はおよそ15CC程度なんだけれど、この対抗薬は服用でも注射でも構わない。
とにかく体内の循環器系に取り込めさせれば良いんだ。
その意味では点滴が最も手軽のような気がするな。
ちょっと寒くなる時期ではあるんだが、トルコ北西部のカルスに跳んで、Caucasus University Health Research Centerに隔離されている患者に二人、アルメニアキュムリにあるGyumri Medical Centreで二人、アゼルバイジャンのバクーにあるTrauma Center Hospitalで二人、トルクメニスタンのアシガハードのSemashko Hospitalで二人の患者を対象に点滴の中に人知れず抗体薬を投与したよ。
24時間後、この八人は全員が劇的な症状改善が認められ、病院側はその原因を探るために大騒ぎになった。
何せ、余命が数日と思われていた患者の症状が突如改善したのだから、そりゃぁ大騒ぎにもなる。
尤も、体内で出血している組織が戻るには、それから二週間ほどを要した。
そもそも人間の身体には相応の治癒力が有る。
心臓や脳などの一部の生体細胞は、一度死滅すると再生不可能であるけれど、意外と人体は強いんだ。
きっと、回復できると信じているし、何よりもカザフ出血熱にも俺の抗体(X-1抗体)が効果があることが判明した。
こいつは人体に後遺症を残さないはずなので、予防のためのワクチンとしても使えるはずだ。
その辺は専門の学者さんに任せることとして、俺は大量にこの抗体をジュネーブのWHO本部に運び込むつもりでいるよ。
その前に、SNSでの重大発表だな
今回の発表はインドで実施する。
インドの大都市コルカタにある某中学校に生徒用の備品として置いてあったPCを使って発信したよ。
監視カメラは無いことを確認して、PCを使わせてもらったんだ。
きっと発信元のPCは手繰られるだろうけれど、どんなに頑張っても俺までは辿り着けないはずだ。
当然のことながら黒づくめの衣装で手袋をしているし、足紋、指紋、フケ、体毛等は一切残さないようにしているぜ。
この発表は、日本時間11月30日の午前0時に行われたよ。
発表の概要は、
『カザフ出血熱の特効薬としてX-1抗体7200リットルを、スイスのジュネーブにあるWHO本部の地下倉庫に届けた。
当該特効薬の有効期限は常温25度C以下で半年程度と思われる。
当該抗体の効果は、トルコのカルス所在のCaucasus University Health Research Center、アルメニアのキュムリ所在のGyumri Medical Centre、アゼルバイジャンのバクー所在のTrauma Center Hospital、トルクメニスタンのアシガハード所在のSemashko Hospitaにおいてそれぞれ各2名の患者に対して秘密裏に点滴液中に投与し、有効と認めた
予防ワクチンとして注射も可能。
体重60キロ換算で約15CCが必要であり、7200リットルで約48万人分の投与量に相当する。
当該抗体薬が不足する場合は、WHOからその旨の広報を行なえば当方にて適宜補充することとする。』
この発表に沿って、前日の深夜(ジュネーブ時間)にはWHO本部の地下倉庫に容器に入れた約7トンのX-1抗体を転移しておいたんだ。
まぁ、当日の夜明け前から、この関係で各国のニュースキャスターが騒いでいるよね。
このX-1抗体が必ずしも万能ではないと思うけれど、少なくとも異界関連での病原体対策はできたんじゃないかと思う。
事後の抗体薬の開発には、偉い学者さんや専門家がやってくれるだろうと期待しているよ。
◇◇◇◇
因みに、例の美人留学生のアドリアナ嬢は、俺に特段の関心を寄せることなく10月初旬にはエストニアに戻って行ったな。
流石に大学の講義にまで俺を見張る必要も無かったんだろうね。
何せ、彼女はK大学大学院への留学だし、俺と彼女が顔をお合わせるのはゼミの時だけなのに加え、そもそもゼミでも専攻テーマが異なっていたからね。
精々ゼミ内での定期発表の際に俺と彼女が出会うぐらいだから、彼女としても俺の印象は薄かったと思うんだ。
彼女が居る間に俺が発表するのは、既に発表されている半導体研究に関する外国大学発の論文評価だけだからね。
それも彼女の専攻テーマから微妙に外れたものばかりを意図的に選んでいたから、彼女の興味を引くはずもないんだ。
尤も、彼女の産業スパイ的な役割からすれば、ゼミ関連で何でも吸収しようとする意欲はあってもおかしくは無いんだけれど、彼女の関心は、どうも主として産学共同研究の半導体生産技術にあったみたいだね。
俺の最終的な目標もその方向ではあるんだけれど、彼女に知られてはいけないから、ずっと的を外しっぱなしの発表をしているんだ。
きっと、能無しとでも思われているかも知れないな。
まぁ、それでもかまわないんだ。
或いは、将来的に彼女が日本に移住してきて、群馬に建設中の半導体工場や関連の研究施設にでも潜り込むようになったなら、場合によりその排除も考えねばならないかな?
まぁ、匿名で然るべきところにチクれば、それなりに誰かさんが対応してくれるだろうとは思っているけどね。
◇◇◇◇
ところでSNSでTan Yǒngxiáng名義で抗体薬を発表後のWHOの動きは早かったね。
とにかく試験的にでも治験を推進させ、年明けにはX-1抗体をカザフ出血熱の特効薬及び予防ワクチンとして公表したのだった。
但し、いくら成分分析を行ったところで、多糖体にカリウムをくっつけることは非常に難しく、その一週間後には、PEMBURU所属Tan Yǒngxiáng宛に、追加のX-1抗体をWHOに配分してほしいとネットでお願いし、なおかつ記者発表をしてきたのである。
量は指定していないで、やむを得ないから無駄になっても構わないので前回の倍の14.4トンをフランスのリヨンにあるWHOリヨン事務所に届けたよ。
この量は20リットルタンクで720個に相当するからね。
俺がアルミで作った一辺約27.2センチの特殊な立方体容器に抗体薬を入れたので、積み上げると高さ約1.1m、幅5.5m、長さ2.8mの容積を占めることになる。
まぁ、リヨンにある事務所倉庫の空きスペースのほとんどを使ったかな。
取り敢えず、これまでの送付分と合わせると144万人分はあるはずであり、今後も要請に応じて14.4トンを補給するつもりでは居るよ。
この量は俺の最大生産量の四日分のノルマ―なんだけれど、8時間労働で3600リットル/日だからね。
一日二時間労働だと、延べで半月はかかる計算になる。
まぁ、世のため人の為、人知れず頑張るしかないか。
俺ってつくづくお人よしだよね。
梓ちゃんがそんな俺のことを誉めてくれるのが唯一の原動力かもね。
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