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第十一章 ファンデンダルク侯爵
11ー11 ヴェリャニャの商人ギルド
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因みに俺が現在滞在中のヴェリャニャの人口は、およそ15万人で、最寄りの長城の北にある地域の都市としては三番目に大きい都市のようだ。
他にも長城で守られた地域が北半球には二つあり、それらを含めると7番目の大都市になるようだ。
更に南半球にある広範囲の区画の都市を含めると二十番目以降になるのだが、それでもこの世界では大都市に違いない。
周辺の農村部を含めるとおよそ25万の人口を擁しているシュバルツァイヤ―公国というらしい。
前回、俺は、大陸の南北で生き物が海岸辺りに棲んでいると言ったが、正確に言えば海岸部には人類(ヒト族及び亜人を含む)は余り沢山は住んでいない。
セカンダリオは、弱肉強食であって強いモノが跋扈する世界だから、どちらかと言うと海岸部には強い魔物や魔獣が集まる傾向にある。
このヴェリャニャ周辺で言うならば、長城よりも南に棲む魔物と同程度の脅威が海岸周辺部には存在するわけで、危険地帯でもある。
そのために、この世界の人類は初期の頃には住みにくい内陸部に生活域を押しやられ、銃砲が開発されてからようやく海岸部の一部を開放できたにすぎない。
長城を挟んでの魔物や魔獣との戦い、それに海岸部を確保するための戦いが続いている厳しい世界なんだ。
海岸部を制圧するための傭兵団は長城内の各都市が協力し合って人員を出し、このヴェリャニャでも百人規模の傭兵団二つを遠征に行かせている様だ。
このセカンダリアで俺の居場所を作るにあたっては、傭兵ギルドに入るのも一つの方法だったが、どちらかと言うと傭兵になれば都市部を離れて人の居留地の外縁部で仕事をするのがメインになりそうなので野外での生活が多くなる。
どのみち街中でも地球世界のような便利さは求められるわけではないが、これ以上不便だと流石にセカンダリオに居られなくなるな。
で、俺は商人ギルドを訪れて商人としての登録を為した。
売り物は塩にした。
このヴェリャニャで手に入る塩は岩塩であり、地表層の浅いところで採れる塩ではあるが、岩塩の採掘層が褶曲断層の極薄い地層の間に紛れ込んでいるために、掘り出すのが結構手間暇がかかるようだ。
その為に塩の値段が高くなっている。
しかしながら、たまたま俺は、高々度偵察のできるドローンを使って山脈の中に、ギアナ高地のような断崖絶壁が続く台地状盆地の一角に塩を見つけていた。
恐らく、この塩がある盆地は、昔は海だったところであり、隆起して海盆が湖になり、海水が干上がって塩が露出、塩湖になったのだろうと推測している。
表面から10mほど掘っても底が見えないからかなり厚い塩の堆積層だ。
ここから塩を掘り出して、町で売れば一儲けできることになる。
但し、これまで岩塩の採掘で生計を立てていた者も多数いるわけだから、大量の塩を持ち込むんで急激な値下げを齎すのは遠慮しておこう。
いずれこの秘境に近い高地の塩湖の場所も教えてやれば、ここから塩を採掘する生産・輸送体制が出来上がるだろう。
但し、断崖絶壁を登る方法は別としても、最寄りの都市「エガルディナ」からでも直線距離で300キロほどの距離がある。
当然のことながら、そこに至るのにまともな道などなく、三千mを超える山脈に分け入って、千mを超える断崖を何とか登らねば塩湖には辿り着けないから、輸送だけでも相当の労力がかかるな。
まぁそれでも、岩塩を炭鉱宜しく掘り出すのに比べると方法次第では安上がりの塩が手に入る筈だ。
この塩湖がある場所の地名?
秘境とも言える場所だからな。
名前なんてあるわけもないが、一応俺が命名して「メセタ・デ・サル」と名付けておいた。
断崖絶壁には上りやすいように階段を作ってやってもいいのだが、そうすると断崖絶壁の真下に棲む動物が台地に上がってしまう可能性もある。
この台地の上は何というか肉食の動物は、ごく少数の猛禽類しかいないから、どちらかと言うと小動物にとっては楽園に近いところなんだ。
そこに崖下の凶暴な肉食獣が大量に進出すると大地の上の生態系が変わってしまうだろうな。
おまけに珍しい植物の宝庫でもあり、薬草の類もかなり多い。
当然にホブランドの薬草とは植生も性状も違うようだが、どうもセカンダリオの薬師に見せたら狂喜乱舞する品のようだ。
これもまた間違いなく金になるな。
いずれにしろ、小袋に二キロほどの精製塩を入れて、商人ギルドを訪れ、塩商人としての登録を頼んだ。
受付嬢は、結構年増のお嬢さん?お姉さん?それともオバさん?なんだが、昔は美人だったという面影はあるな。
「塩の商人として登録をしたいということですが、どこの塩鉱山と提携する予定でしょうか?
それにより塩の等級とグレードが決まりますので・・・。」
受付嬢の言うことには、採掘される場所により塩の等級が異なり、ひいてはそれを扱う商人のグレードも変化するようだ。
俺の場合、従来の岩塩採掘場から掘り出したものじゃないし、当面は、産地を内緒にしておきたい。
「産地は秘密にしておきますが、私の扱う塩はこれです。」
そう言って、ガラスの小瓶に入れたサンプルの精製塩をみせた。
途端に笑顔を張り付けていた受付嬢の表情が一変した。
受付嬢がバタバタと動き出し、わざわざ応接室に俺を招き入れ、そこに商人ギルドの幹部三人が集まって、俺の精製塩を吟味しだした。
まぁな、このヴェリャニャの市場で売られている岩塩は、基本的に赤若しくは赤黒い色付きだ。
ヴェリャニャよりも東側の都市では赤みの薄いピンク色の岩塩も売られているようだが、生憎とヴェリャニャには出回っていない。
そこでまさかの真っ白な塩の出現だ。
岩塩は掘り出すのが土や岩の中だから当然にかなりの不純物も含まれている。
従ってこちらでは塩を水に溶かして布で濾して液体として使うのが一般的なんだ。
食卓塩のように食物に振りかけて使うには、余程丁寧に不純物を取り除くなど結構な手間暇がかかるようだ。
無論、岩塩を煮だして再結晶させることで白っぽい塩を作ることもできるが、ただでさえ高い塩がより高くなってしまうのである。
俺が持ち込んだ塩は、そうした煮出しで造った高級塩よりも真っ白であったから、皆が驚いたようだ。
当然産地を聞かれたし、煮出しの再生結晶ではないかと疑われもしたが、苦みを取り除くために精製はしたが再生結晶の塩ではないと説明し、産地は秘密にした。
商人ギルドは、持ち込んだ塩の色、味、形状から最高ランクの等級と認定し、俺を一級商人として登録することになった。
その上で商人ギルドのギルマスが俺に頼み込んで来た。
「この塩を1クロム(ヴェリャニャを含めて大陸北部の都市間で使用されている300cc程度の容量がある計量升で量れる容積単位。)当たり銀貨二枚で購入したいので、是非ともギルドに納品してほしい。」
というお願いであった。
このクロム升に一杯に容れた塩の重量は600グラム程度になるのだが、それで銀貨二枚と言うのは、相場の16倍を超える単価になる。
流石にそれは高すぎると思われたので、逆に俺から卸値を下げて1クロム当たり大銅貨8枚で商人ギルドに卸すことにした。
俺が取り敢えずリュックに入れている2キロの塩でさえ、大銅貨26枚程度にはなるんだ。
次回からはきりの良い20クロム(約12キロ)を銀貨16枚で卸すことにした。
単純な話、俺の亜空間にはメセタ・デ・サル産の塩がトン単位で入っているから、いつでも大金に変えられる。
塩一トン当たりの卸値は大銅貨13000枚(銀貨1300枚=大銀貨130枚=金貨13枚≒650万円)にもなる。
取り敢えず、このセカンダリオでの居場所とタツキは得られたな。
本来ならば店でも構えるところなのだろうが、ギルドへの卸専門にすれば店も不要だ。
寝起きは今泊っている宿でも構わないだろう。
因みに商人の商売については税金がかかる。
年間の売り上げ額について利益が有ろうが無かろうが、その一割が税金として召し上げられるのだ。
このために商人ギルドとの取引では最初から一割引かれた値段が俺の懐に入ることになっており、税金分はギルドが代理で収めてもらえるようだ。
本来は代理で収めてもらうと手数料がかかるらしいのだが、塩を継続的に収める約束で手数料はタダになっている。
約1トンの塩では、金貨11枚と大銀貨7枚がギルドから俺に支払われ、金貨一枚と銀貨三枚が税金として領主様に収められることになっている様だ。
この方式は、他の都市でも同じらしいが、都市によってはこのほかに人頭税を課しているところもあるようだな。
まぁ、江戸時代の六公四民なんかに比べたら余程ましな方だろう。
但し、人頭税なんてものは値段が決まっているものじゃないから統治者が勝手に引き上げたりすることもできる。
こいつが高額になったりすれば、貧しい庶民には随分と厳しい制度になるよな。
例によって、俺の亜空間の時間を遅らせることで、俺はこのセカンダリオの世界でも、ホブランドの時間線に縛られずに比較的自由に活動できるんだが、その為に開けておいた亜空間に予期せぬ侵入者があった。
最初に長男フェルディナンドと長女アグネスが二人して亜空間に潜り込むことに成功し、次いで年長組の子供たちがそれを真似して次々に潜り込んで来たんだ。
その上で俺にアグネスが念話を送って来た。
『お父様ぁ。
私達もお父様のいるところに行けそうなんですけれど、行ってもいいですか?』
『ん?
アグネス、それに他にも・・・。
お前たちどうしてその場所を知ったんだ?』
「お父様の気配が工房で消えたたので、フェル兄ちゃんと一緒に探しに来たの。
前にも何度かそういうことがあったから気になっていたの。
お父様の気配が消えるのはほんのわずかの間なんだけれど、その間はお父様がどこにいるのかわからないから、今度もし同じことがあったなら、お父様の工房に入って調べてみようと思っていたの。
工房に入ったら、なんだかおもしろい空間があってそこに入ったらお父様の気配が小さな穴から感じられたので、お父様が穴の向こうに居ることがわかったのよ。
お父様の居場所がわかったって言ったら年長組がみんな集まって来たの。
それで、・・・。
そっちに行ってもいい?』
『ウーン、今のところはダメだな。
もうちょっとお父さんが調べて安全ということががわかったら、今度連れてきてあげよう。
それまでは、家で待っていてくれるかい?」
『はい、わかりました。
じゃぁね、家で待ってます。』
聞き分けの良い子達で助かったが、これは困ったことになったな。
俺の作った亜空間に入り込めるということは、俺の子供たちも亜空間を生み出し、そうして別世界への穴を見つけて異世界へ入れる可能性もあることになる。
この亜空間で見つけた穴は、他にもある可能性は捨てきれないんだ。
しかも異世界でありながら俺が行き来できるから、子供たちも能力さえあれば自由に行き来できる可能性は高い。
放置すると、子供たちが勝手に異世界に行って迷子になりかねん。
=======================
2022年も今日が大晦日ですね。
来年こそは皆さまにとっても良き年であれと祈っております。
By サクラ近衛将監
他にも長城で守られた地域が北半球には二つあり、それらを含めると7番目の大都市になるようだ。
更に南半球にある広範囲の区画の都市を含めると二十番目以降になるのだが、それでもこの世界では大都市に違いない。
周辺の農村部を含めるとおよそ25万の人口を擁しているシュバルツァイヤ―公国というらしい。
前回、俺は、大陸の南北で生き物が海岸辺りに棲んでいると言ったが、正確に言えば海岸部には人類(ヒト族及び亜人を含む)は余り沢山は住んでいない。
セカンダリオは、弱肉強食であって強いモノが跋扈する世界だから、どちらかと言うと海岸部には強い魔物や魔獣が集まる傾向にある。
このヴェリャニャ周辺で言うならば、長城よりも南に棲む魔物と同程度の脅威が海岸周辺部には存在するわけで、危険地帯でもある。
そのために、この世界の人類は初期の頃には住みにくい内陸部に生活域を押しやられ、銃砲が開発されてからようやく海岸部の一部を開放できたにすぎない。
長城を挟んでの魔物や魔獣との戦い、それに海岸部を確保するための戦いが続いている厳しい世界なんだ。
海岸部を制圧するための傭兵団は長城内の各都市が協力し合って人員を出し、このヴェリャニャでも百人規模の傭兵団二つを遠征に行かせている様だ。
このセカンダリアで俺の居場所を作るにあたっては、傭兵ギルドに入るのも一つの方法だったが、どちらかと言うと傭兵になれば都市部を離れて人の居留地の外縁部で仕事をするのがメインになりそうなので野外での生活が多くなる。
どのみち街中でも地球世界のような便利さは求められるわけではないが、これ以上不便だと流石にセカンダリオに居られなくなるな。
で、俺は商人ギルドを訪れて商人としての登録を為した。
売り物は塩にした。
このヴェリャニャで手に入る塩は岩塩であり、地表層の浅いところで採れる塩ではあるが、岩塩の採掘層が褶曲断層の極薄い地層の間に紛れ込んでいるために、掘り出すのが結構手間暇がかかるようだ。
その為に塩の値段が高くなっている。
しかしながら、たまたま俺は、高々度偵察のできるドローンを使って山脈の中に、ギアナ高地のような断崖絶壁が続く台地状盆地の一角に塩を見つけていた。
恐らく、この塩がある盆地は、昔は海だったところであり、隆起して海盆が湖になり、海水が干上がって塩が露出、塩湖になったのだろうと推測している。
表面から10mほど掘っても底が見えないからかなり厚い塩の堆積層だ。
ここから塩を掘り出して、町で売れば一儲けできることになる。
但し、これまで岩塩の採掘で生計を立てていた者も多数いるわけだから、大量の塩を持ち込むんで急激な値下げを齎すのは遠慮しておこう。
いずれこの秘境に近い高地の塩湖の場所も教えてやれば、ここから塩を採掘する生産・輸送体制が出来上がるだろう。
但し、断崖絶壁を登る方法は別としても、最寄りの都市「エガルディナ」からでも直線距離で300キロほどの距離がある。
当然のことながら、そこに至るのにまともな道などなく、三千mを超える山脈に分け入って、千mを超える断崖を何とか登らねば塩湖には辿り着けないから、輸送だけでも相当の労力がかかるな。
まぁそれでも、岩塩を炭鉱宜しく掘り出すのに比べると方法次第では安上がりの塩が手に入る筈だ。
この塩湖がある場所の地名?
秘境とも言える場所だからな。
名前なんてあるわけもないが、一応俺が命名して「メセタ・デ・サル」と名付けておいた。
断崖絶壁には上りやすいように階段を作ってやってもいいのだが、そうすると断崖絶壁の真下に棲む動物が台地に上がってしまう可能性もある。
この台地の上は何というか肉食の動物は、ごく少数の猛禽類しかいないから、どちらかと言うと小動物にとっては楽園に近いところなんだ。
そこに崖下の凶暴な肉食獣が大量に進出すると大地の上の生態系が変わってしまうだろうな。
おまけに珍しい植物の宝庫でもあり、薬草の類もかなり多い。
当然にホブランドの薬草とは植生も性状も違うようだが、どうもセカンダリオの薬師に見せたら狂喜乱舞する品のようだ。
これもまた間違いなく金になるな。
いずれにしろ、小袋に二キロほどの精製塩を入れて、商人ギルドを訪れ、塩商人としての登録を頼んだ。
受付嬢は、結構年増のお嬢さん?お姉さん?それともオバさん?なんだが、昔は美人だったという面影はあるな。
「塩の商人として登録をしたいということですが、どこの塩鉱山と提携する予定でしょうか?
それにより塩の等級とグレードが決まりますので・・・。」
受付嬢の言うことには、採掘される場所により塩の等級が異なり、ひいてはそれを扱う商人のグレードも変化するようだ。
俺の場合、従来の岩塩採掘場から掘り出したものじゃないし、当面は、産地を内緒にしておきたい。
「産地は秘密にしておきますが、私の扱う塩はこれです。」
そう言って、ガラスの小瓶に入れたサンプルの精製塩をみせた。
途端に笑顔を張り付けていた受付嬢の表情が一変した。
受付嬢がバタバタと動き出し、わざわざ応接室に俺を招き入れ、そこに商人ギルドの幹部三人が集まって、俺の精製塩を吟味しだした。
まぁな、このヴェリャニャの市場で売られている岩塩は、基本的に赤若しくは赤黒い色付きだ。
ヴェリャニャよりも東側の都市では赤みの薄いピンク色の岩塩も売られているようだが、生憎とヴェリャニャには出回っていない。
そこでまさかの真っ白な塩の出現だ。
岩塩は掘り出すのが土や岩の中だから当然にかなりの不純物も含まれている。
従ってこちらでは塩を水に溶かして布で濾して液体として使うのが一般的なんだ。
食卓塩のように食物に振りかけて使うには、余程丁寧に不純物を取り除くなど結構な手間暇がかかるようだ。
無論、岩塩を煮だして再結晶させることで白っぽい塩を作ることもできるが、ただでさえ高い塩がより高くなってしまうのである。
俺が持ち込んだ塩は、そうした煮出しで造った高級塩よりも真っ白であったから、皆が驚いたようだ。
当然産地を聞かれたし、煮出しの再生結晶ではないかと疑われもしたが、苦みを取り除くために精製はしたが再生結晶の塩ではないと説明し、産地は秘密にした。
商人ギルドは、持ち込んだ塩の色、味、形状から最高ランクの等級と認定し、俺を一級商人として登録することになった。
その上で商人ギルドのギルマスが俺に頼み込んで来た。
「この塩を1クロム(ヴェリャニャを含めて大陸北部の都市間で使用されている300cc程度の容量がある計量升で量れる容積単位。)当たり銀貨二枚で購入したいので、是非ともギルドに納品してほしい。」
というお願いであった。
このクロム升に一杯に容れた塩の重量は600グラム程度になるのだが、それで銀貨二枚と言うのは、相場の16倍を超える単価になる。
流石にそれは高すぎると思われたので、逆に俺から卸値を下げて1クロム当たり大銅貨8枚で商人ギルドに卸すことにした。
俺が取り敢えずリュックに入れている2キロの塩でさえ、大銅貨26枚程度にはなるんだ。
次回からはきりの良い20クロム(約12キロ)を銀貨16枚で卸すことにした。
単純な話、俺の亜空間にはメセタ・デ・サル産の塩がトン単位で入っているから、いつでも大金に変えられる。
塩一トン当たりの卸値は大銅貨13000枚(銀貨1300枚=大銀貨130枚=金貨13枚≒650万円)にもなる。
取り敢えず、このセカンダリオでの居場所とタツキは得られたな。
本来ならば店でも構えるところなのだろうが、ギルドへの卸専門にすれば店も不要だ。
寝起きは今泊っている宿でも構わないだろう。
因みに商人の商売については税金がかかる。
年間の売り上げ額について利益が有ろうが無かろうが、その一割が税金として召し上げられるのだ。
このために商人ギルドとの取引では最初から一割引かれた値段が俺の懐に入ることになっており、税金分はギルドが代理で収めてもらえるようだ。
本来は代理で収めてもらうと手数料がかかるらしいのだが、塩を継続的に収める約束で手数料はタダになっている。
約1トンの塩では、金貨11枚と大銀貨7枚がギルドから俺に支払われ、金貨一枚と銀貨三枚が税金として領主様に収められることになっている様だ。
この方式は、他の都市でも同じらしいが、都市によってはこのほかに人頭税を課しているところもあるようだな。
まぁ、江戸時代の六公四民なんかに比べたら余程ましな方だろう。
但し、人頭税なんてものは値段が決まっているものじゃないから統治者が勝手に引き上げたりすることもできる。
こいつが高額になったりすれば、貧しい庶民には随分と厳しい制度になるよな。
例によって、俺の亜空間の時間を遅らせることで、俺はこのセカンダリオの世界でも、ホブランドの時間線に縛られずに比較的自由に活動できるんだが、その為に開けておいた亜空間に予期せぬ侵入者があった。
最初に長男フェルディナンドと長女アグネスが二人して亜空間に潜り込むことに成功し、次いで年長組の子供たちがそれを真似して次々に潜り込んで来たんだ。
その上で俺にアグネスが念話を送って来た。
『お父様ぁ。
私達もお父様のいるところに行けそうなんですけれど、行ってもいいですか?』
『ん?
アグネス、それに他にも・・・。
お前たちどうしてその場所を知ったんだ?』
「お父様の気配が工房で消えたたので、フェル兄ちゃんと一緒に探しに来たの。
前にも何度かそういうことがあったから気になっていたの。
お父様の気配が消えるのはほんのわずかの間なんだけれど、その間はお父様がどこにいるのかわからないから、今度もし同じことがあったなら、お父様の工房に入って調べてみようと思っていたの。
工房に入ったら、なんだかおもしろい空間があってそこに入ったらお父様の気配が小さな穴から感じられたので、お父様が穴の向こうに居ることがわかったのよ。
お父様の居場所がわかったって言ったら年長組がみんな集まって来たの。
それで、・・・。
そっちに行ってもいい?』
『ウーン、今のところはダメだな。
もうちょっとお父さんが調べて安全ということががわかったら、今度連れてきてあげよう。
それまでは、家で待っていてくれるかい?」
『はい、わかりました。
じゃぁね、家で待ってます。』
聞き分けの良い子達で助かったが、これは困ったことになったな。
俺の作った亜空間に入り込めるということは、俺の子供たちも亜空間を生み出し、そうして別世界への穴を見つけて異世界へ入れる可能性もあることになる。
この亜空間で見つけた穴は、他にもある可能性は捨てきれないんだ。
しかも異世界でありながら俺が行き来できるから、子供たちも能力さえあれば自由に行き来できる可能性は高い。
放置すると、子供たちが勝手に異世界に行って迷子になりかねん。
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2022年も今日が大晦日ですね。
来年こそは皆さまにとっても良き年であれと祈っております。
By サクラ近衛将監
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