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まとも?にレオン様とこんなに会話したのいつぶりかしら?
きっとこれまでの数年分は会話したわね

お昼を終えて、教室に戻ると騒ついてたのが途端に静かになって、生温い妙な視線で見られている気がする空気の中

とても楽しそうな顔をして近づいてくる人が居る
「で?どうだった?」
もうニヤニヤ笑が全く隠せていないよ?クラウド…

「もぅ辞めてよ、そうやって話のネタにして遊ぼうとするの」
と少し膨れてみる

「イヤだってこんな気になって面白そうな事中々ないよ?
昨日約束してるお友達になってあげたんだぞ!忘れたのか?レオン殿下に睨まれて怖かったわー!」
と絶対本当はなんとも思ってないくせに言ってくる

「他人事だと思って…そうやって面白がるんだから、こんな所で話せるわけないでしょ?」
周り見てみてよ!皆んなそれぞれお喋りしたり、次の授業の用意してるけど、何があったのか知りたくて耳がこっちに集中してるわよ?

今日朝のマーガレットから始まって、皆んなそんな感じなんだもん!何だか凄く居た堪れないわ!

「まぁ、そっか!でもあんなにイリアーナ相手に、必死になってる姿今まで見たことないんだからそりゃちょっと気になるじゃん」

ん、まぁその気持ちもわからなくない…

「今日帰りに寄り道してかえろーぜ!それならいいだろ?」

人の好奇心は恐ろしいわねー!
でもね
「ごめんねー!今日は家に帰ってからアイクお兄様とロイとお茶会する予定なの、ごめんなさいねぇー!」

ふふーん♪と得意げな顔して伝えると

途端にクラウドの顔が、つまらなさそうな顔になった

「それより、もう授業始まるわ用意しましょ」

とその場を終わらせた。

授業を受けているものイリアーナは、教室の窓から見える青空の中、風に流れながら形を変える雲眺めつつ上の空だった

レオン様には、二度とその話はするなと言われてしまったので、どうしようか考えていた
とりあえず、レオン様以外の人に婚約の解消の方向で何とかならないか、相談してみる事も考えておく
レオン様に話さなきゃいい

でも婚約を無かったことにしたからって、シナリオから外れるかもわからないなぁ

出来るだけ色々対策した方がいいわけよねー

うーん…

悩んでるうちに授業は終わってしまった

帰ればアイクお兄様とロイ様とお茶会が待っている、いそいそと帰り支度を始めた

校門をあと少しで出るところで
「イリアーナ!」とお兄様の声がした
「アイクお兄様!」と振り返ると
アイクお兄様と、その隣にはオスカー殿下がいた

転生前このゲームの中で1番やり込んでいたのがオスカー殿下のルート因みに、次点ではエドワードルート

お兄様もイケメンだし、もちろん攻略対象者であるレオン様も凄い

が、もうオスカー様に至っては、後光が眩しく見えてしまう
あぁ…キラキラ…
心の中で、その尊さに拝んでしまう

「久しぶりだな!イリアーナ!」

何と、またその笑顔の眩しい事、しかも名前まで読んでもらえた事にイリアーナは少し顔を赤らめる

「オスカー殿下お久しぶりです」

「休んでいたと聞いて心配していたが、元気そうで良かったよ」

とニコニコ言ってもらってこれはまたホッコリ

「ご心配をおかけいたしました、もうすっかり元気ですわ」
と返すと

「その様だね、昨日からこちらにまで色々話が回ってきているよ」とまた更に笑顔で言われた

…………こちらにまで、色々……とは?

とビシッと固まってしまっていたイリアーナに、お兄様が力の無い苦笑いで話しかける


「昨日のレオン殿下の様子と、今日のランチの事がね…こちらの学年でも…」

oh…

一体なんて広がっているのか、聞きたいような、聞きたくない様な…

「さようでございますか、お休み中お見舞いのお話をいただいてたのですが、お断りさせて頂いてたので、お見舞いの品のお礼とお休みしていた間のお話しさせてもらっただけですのよ?」

と困った表情をして
伝わっても問題無いありきたりな会話部分だけ切り取って伝える
オスカー殿下がいる為、周りの注目を浴びている今だからこそ、少し大きめの声で…

「そうなのかい?いつも君にはレオンが迷惑をかけてしまっていて…」

と普段のレオン様の素行に思う事があるのか、オスカー様はすままなそうな顔をしていた

オスカー様も大変だな…

一応兄弟ではあるが、攻略対象者でもある
3人の王子は母親が皆んなそれぞれ違う
オスカー様は正妃様との間の子
ハミルトン様とレオン様は別々の側室との子でしかも同じ歳に産まれている

国王陛下はおさかんだな…

母親は違えど兄弟は、小さい頃はとても仲が良かった
が気づいた頃には、遊ぶ何処ろか、ほとんど会話する姿をみなくなっていた

複雑なんだな、きっと色々

「そのような…オスカー殿下がお気になさる事ではございませんわ」

「それは…そうかもしれないけど、それでも何かできる事が、あればいつでも伝えて欲しい」

「お心遣いありがとうございます」

なんと…こんなモブにまで優しい…

「さぁ、ロイも待っているだろうからそろそろ帰ろう、オスカー様こちらで失礼させていただきます」

「あぁではまた明日、イリアーナも」

「はい、オスカー殿下、お先に失礼いたします、ご機嫌よう」

「あぁ」

オスカー様は笑顔で手を振ってくれた
背後に薔薇の花が見える気がする…
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