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2・平民の私が聖女に選ばれたと思ったら、早速追放の危機なんて……。【全4話】
04男色趣味で小児愛者の変態野郎。
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そう決めて、機を待ち、一番彼の部屋周辺の警備が手薄になる時に実行に移した。
シスターの生活する宿舎から闇に紛れ、隠れつつ時には見回りをやり過ごし。
私は彼の部屋の前へと辿り着いた。
部屋の鍵を音を立てずに解錠する。
珍しく、というか最初の数回以来なかったことだが。
私は今、緊張をしている。
もしこの仕事を終えることが出来なかったら、私はどうやって生きていくのだろうか。
組織からも、狙われる立場になるのだろうか。
いや、私は私を始末できる同業者を知らない。
返り討ちになるのが目に見えているなら、そんなリスキーな仕事を受けるようなプロはいないので、案外あっさり抜けられそうだな。そこに関する心配はいらないか。
いや、なんかそういえばこの国には八極令嬢とかいう古武術を極めた化け物がいたとか噂で聞いた気がするけど、もうこの国にはいないんだっけな……、まあ裏の仕事なんかしないだろう。令嬢なんていうくらいだ、恐らく金には困ってない。
なんてことを考えて緊張を紛らわす。
さあ、神様とやらは私をどう導くのか。
私は彼の部屋のドアと一緒に、運命の扉を開く。
「は」
「……あっ」
扉を開いた先には。
全裸の孤児院の男児を寝かし。
全裸で男児の下着を頭に被って。
男児に覆い被さろうとしている。
男色趣味で小児愛者の変態野郎である。
この教会の司祭様であった。
「…………はぁ……」
と、ため息をつく前に私の初恋相手であった変態司祭様の首は跳ねてしまった。
あ、つい反射的に殺してしまった。
男児に見られてないか不安に思ったが、薬でぐっすりと眠らされていたようで心配には至らなかった。
なるほど。
孤児院に力を入れているのも、自分好みの可愛い男の子を集める為であり。
孤児院の子供たちに異様なほど優しかったのも、子供たちが逃げ出さないように信頼を勝ち得ようとしたわけであり。
見回りをつけるほどに消灯後出歩くことに厳しかったのも、夜間に行為に及ぶ為の人払いであり。
こっそり子供たちにお菓子を与えていたのも、薬入りの菓子で抵抗されないように眠らせる為であり。
私の露骨なアプローチに反応しなかったのも、聖人君子なわけではなく男色趣味で小児愛者の変態野郎だから大人の女に興味がなかっただけであり。
こいつをぶっ殺せた以上、少なくともこの場に神様なんかいないのだった。
変態司祭の首が床に転がったところで私の初恋と、その終わりについての話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るならば、まず私は眠らされた男の子に飛んだ血しぶきを拭いてから服を着せて、毛布に包んで孤児院の廊下に転がしておいた。
一応疑われぬように次の日も教会での仕事に勤めたが、司祭が殺されたとシスター達も子供たちも大騒ぎであった。
告別式を執り行うとのことだったが、そろそろ煙草も吸いたかったので忙しさに乗じてとんずらこいてきた。
「っ…………ふぅー………………やっべ、うっま」
私は修道服を燃やしながら久しぶりとなる煙草を吹かす。
久しぶりに吸った煙草は思っていた以上に美味かった。これは止められない。
私の人生を変えかねないほどに、初めて誰かに恋をしたが相手はどうしようもない変態野郎だったわけだが、私は彼に感謝しなくてはならないことがある。
それは、恋するということを教えてくれたことだ。
誰かに恋をすることが、これほどまでに心を踊らせることだとは知らなかった。
それを知った私はきっと。
きっと私はまた誰かに恋をする。
そしてまた人を殺せなくなるのだろう。
それならそれで、私はその時まで、私は私として生きていくだけなのだ。
そういう意味で、私は彼のことをきっと忘れることはない。
「………………あれ? 結局名前聞いてないわ」
シスターの生活する宿舎から闇に紛れ、隠れつつ時には見回りをやり過ごし。
私は彼の部屋の前へと辿り着いた。
部屋の鍵を音を立てずに解錠する。
珍しく、というか最初の数回以来なかったことだが。
私は今、緊張をしている。
もしこの仕事を終えることが出来なかったら、私はどうやって生きていくのだろうか。
組織からも、狙われる立場になるのだろうか。
いや、私は私を始末できる同業者を知らない。
返り討ちになるのが目に見えているなら、そんなリスキーな仕事を受けるようなプロはいないので、案外あっさり抜けられそうだな。そこに関する心配はいらないか。
いや、なんかそういえばこの国には八極令嬢とかいう古武術を極めた化け物がいたとか噂で聞いた気がするけど、もうこの国にはいないんだっけな……、まあ裏の仕事なんかしないだろう。令嬢なんていうくらいだ、恐らく金には困ってない。
なんてことを考えて緊張を紛らわす。
さあ、神様とやらは私をどう導くのか。
私は彼の部屋のドアと一緒に、運命の扉を開く。
「は」
「……あっ」
扉を開いた先には。
全裸の孤児院の男児を寝かし。
全裸で男児の下着を頭に被って。
男児に覆い被さろうとしている。
男色趣味で小児愛者の変態野郎である。
この教会の司祭様であった。
「…………はぁ……」
と、ため息をつく前に私の初恋相手であった変態司祭様の首は跳ねてしまった。
あ、つい反射的に殺してしまった。
男児に見られてないか不安に思ったが、薬でぐっすりと眠らされていたようで心配には至らなかった。
なるほど。
孤児院に力を入れているのも、自分好みの可愛い男の子を集める為であり。
孤児院の子供たちに異様なほど優しかったのも、子供たちが逃げ出さないように信頼を勝ち得ようとしたわけであり。
見回りをつけるほどに消灯後出歩くことに厳しかったのも、夜間に行為に及ぶ為の人払いであり。
こっそり子供たちにお菓子を与えていたのも、薬入りの菓子で抵抗されないように眠らせる為であり。
私の露骨なアプローチに反応しなかったのも、聖人君子なわけではなく男色趣味で小児愛者の変態野郎だから大人の女に興味がなかっただけであり。
こいつをぶっ殺せた以上、少なくともこの場に神様なんかいないのだった。
変態司祭の首が床に転がったところで私の初恋と、その終わりについての話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るならば、まず私は眠らされた男の子に飛んだ血しぶきを拭いてから服を着せて、毛布に包んで孤児院の廊下に転がしておいた。
一応疑われぬように次の日も教会での仕事に勤めたが、司祭が殺されたとシスター達も子供たちも大騒ぎであった。
告別式を執り行うとのことだったが、そろそろ煙草も吸いたかったので忙しさに乗じてとんずらこいてきた。
「っ…………ふぅー………………やっべ、うっま」
私は修道服を燃やしながら久しぶりとなる煙草を吹かす。
久しぶりに吸った煙草は思っていた以上に美味かった。これは止められない。
私の人生を変えかねないほどに、初めて誰かに恋をしたが相手はどうしようもない変態野郎だったわけだが、私は彼に感謝しなくてはならないことがある。
それは、恋するということを教えてくれたことだ。
誰かに恋をすることが、これほどまでに心を踊らせることだとは知らなかった。
それを知った私はきっと。
きっと私はまた誰かに恋をする。
そしてまた人を殺せなくなるのだろう。
それならそれで、私はその時まで、私は私として生きていくだけなのだ。
そういう意味で、私は彼のことをきっと忘れることはない。
「………………あれ? 結局名前聞いてないわ」
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