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4・国から追放されそうな魔女は、どうせ追い出されるならと、恋人と駆け落ちしちゃいました。【全4話】
03そう言った。
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「ねえ、海に行った時のこと覚えてる? 貴方は海を見るのが初めてでとてもはしゃいでた。二人で泳いで、お弁当を食べて、水平線の先に沈む夕日が綺麗だった」
横たわる彼に、私は語りかける。
無論、返事は無い。
「私が薬を作るのに失敗して、この辺り一帯の猫が家に押し寄せてきた時は、驚いてたけど喜んでたの知ってるんだから」
彼は病気などでとこに伏せているわけではないので、薬や魔法でどうにか出来るものではない。
時間切れが近いのだ。
「初めて会った時の貴方の優しい笑顔を私は今でも思い出せる、だって貴方の笑顔はいつだって優しかったから、私の話を驚きながらも真摯に聞いてくれた。私はその時に貴方はを好きになった」
思い出が、記憶が、溢れ出すの止められない。
全ての日々が今の私を作り上げている。
「…………、えっと……」
言いたいこと、伝えたいこと、想いが愛が気持ちが、溢れて、沢山ありすぎて言葉に詰まってしまう。
語りを止めると、静かな部屋に時計の秒針が進む音が妙に目立つ。
否が応でも彼の残り時間が見て取れてしまう。
今日中、いや数時間も待たずに終わりを迎えるだろう。
ああ、やっぱりダメだ私には耐えられない。
覚悟なんか出来るわけない、別れたくない。
私は彼を失いたくない。
彼が居なくなった世界で、私はどうやって生きていけば良いの。
耐えられない。
そう確信した私は魔法を使う。
魔法で延命は行えないし、死者を生き返らせることも出来ない。
それに彼はそれを望んでいない。
でも、一つだけ、もう一度彼に会うために。
私は、彼の魂に色を付けた。
今ではまだ非科学的なものに過ぎないかもしれないけれど、生物には目には見えない生まれ落ちる為に必要な根幹となるものが存在する。
それを私は便宜上、魂と呼ぶ。
魂は肉体の死とともに別の時空を経由して新たな肉体の誕生時にまた根幹として宿る。
輪廻転生だとか、生まれ変わりだとかそういった意味ではそうなのかもしれないが、魂自体に記憶情報もなければ人格が保存されている訳ではない。
ただその人間がどう作られるのか遺伝子配列よりも、より根本的なところを決める役割を担っている。
そんな仕組みがあったとして、同じ魂を有するからといって同一人物だということは出来ないだろう。
しかし私は、魔女である為魂を視認することができる。
私にだけわかる色を付けておけば、私はまた生れ落ちた彼の魂を探し出すことが出来るだろう。
見つけることが出来れば、私はまた彼の魂を感じることが出来る。
「必ず見つける、また会いましょう」
そう言って横たわる彼に唇を重ねて、彼の中から色が抜けるのを見届けた。
そして更に、二十余年の月日が流れた。
私は世界中をしらみ潰しに巡りに巡って、彼を探した。
一度行った国も時期をずらして何度も行った。
人が住んでいなかったところにも人が住み出していないか探してまわった。
飛んで、歩いて、探して、巡って、戻って、進んで、回って、そして。
ようやく私は再び出会った。
彼は造船技師として港街で船の整備や制作を行っていた。
堪らず彼に声をかける。
不安が身体中を駆け巡り、心臓を握り、締め付ける。
色は同じでも、同じ人間ではない。
嫌われたらどうしよう。
好きになれなかったらどうしよう。
彼を探す為に二十余年は生きてこれた。
もしダメだったら、私はこれからをどうやって生きていけば良いのだろう。
当たり障りのない会話をしながらそんな不安に苛まれる。
すると彼は慌てて。
「ど、どうしたんですか? 大丈夫ですか? これ、飲んでください。僕の昼飯だけど、サンドイッチもあげますから」
と、言ってから続けて。
「だから、泣かないで」
優しい笑顔で、そう言った。
横たわる彼に、私は語りかける。
無論、返事は無い。
「私が薬を作るのに失敗して、この辺り一帯の猫が家に押し寄せてきた時は、驚いてたけど喜んでたの知ってるんだから」
彼は病気などでとこに伏せているわけではないので、薬や魔法でどうにか出来るものではない。
時間切れが近いのだ。
「初めて会った時の貴方の優しい笑顔を私は今でも思い出せる、だって貴方の笑顔はいつだって優しかったから、私の話を驚きながらも真摯に聞いてくれた。私はその時に貴方はを好きになった」
思い出が、記憶が、溢れ出すの止められない。
全ての日々が今の私を作り上げている。
「…………、えっと……」
言いたいこと、伝えたいこと、想いが愛が気持ちが、溢れて、沢山ありすぎて言葉に詰まってしまう。
語りを止めると、静かな部屋に時計の秒針が進む音が妙に目立つ。
否が応でも彼の残り時間が見て取れてしまう。
今日中、いや数時間も待たずに終わりを迎えるだろう。
ああ、やっぱりダメだ私には耐えられない。
覚悟なんか出来るわけない、別れたくない。
私は彼を失いたくない。
彼が居なくなった世界で、私はどうやって生きていけば良いの。
耐えられない。
そう確信した私は魔法を使う。
魔法で延命は行えないし、死者を生き返らせることも出来ない。
それに彼はそれを望んでいない。
でも、一つだけ、もう一度彼に会うために。
私は、彼の魂に色を付けた。
今ではまだ非科学的なものに過ぎないかもしれないけれど、生物には目には見えない生まれ落ちる為に必要な根幹となるものが存在する。
それを私は便宜上、魂と呼ぶ。
魂は肉体の死とともに別の時空を経由して新たな肉体の誕生時にまた根幹として宿る。
輪廻転生だとか、生まれ変わりだとかそういった意味ではそうなのかもしれないが、魂自体に記憶情報もなければ人格が保存されている訳ではない。
ただその人間がどう作られるのか遺伝子配列よりも、より根本的なところを決める役割を担っている。
そんな仕組みがあったとして、同じ魂を有するからといって同一人物だということは出来ないだろう。
しかし私は、魔女である為魂を視認することができる。
私にだけわかる色を付けておけば、私はまた生れ落ちた彼の魂を探し出すことが出来るだろう。
見つけることが出来れば、私はまた彼の魂を感じることが出来る。
「必ず見つける、また会いましょう」
そう言って横たわる彼に唇を重ねて、彼の中から色が抜けるのを見届けた。
そして更に、二十余年の月日が流れた。
私は世界中をしらみ潰しに巡りに巡って、彼を探した。
一度行った国も時期をずらして何度も行った。
人が住んでいなかったところにも人が住み出していないか探してまわった。
飛んで、歩いて、探して、巡って、戻って、進んで、回って、そして。
ようやく私は再び出会った。
彼は造船技師として港街で船の整備や制作を行っていた。
堪らず彼に声をかける。
不安が身体中を駆け巡り、心臓を握り、締め付ける。
色は同じでも、同じ人間ではない。
嫌われたらどうしよう。
好きになれなかったらどうしよう。
彼を探す為に二十余年は生きてこれた。
もしダメだったら、私はこれからをどうやって生きていけば良いのだろう。
当たり障りのない会話をしながらそんな不安に苛まれる。
すると彼は慌てて。
「ど、どうしたんですか? 大丈夫ですか? これ、飲んでください。僕の昼飯だけど、サンドイッチもあげますから」
と、言ってから続けて。
「だから、泣かないで」
優しい笑顔で、そう言った。
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