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15・悪役どころか邪悪な貴族令嬢は、国外追放後も悪行を貫きます。【全3話】
01気に入らない。
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私、ロバート・ワイリーはリリィ様に仕える付き人というか秘書というか従者というか元執事というか、まあ小間使いだ。
私が仕えるリリィ様は、メルバリア王国の貴族であるアイルワード侯爵家の元令嬢だ。
もう既に家からは勘当され婚約も破棄され国王から直々に国外追放をされている為、今はただのリリィと名乗っている。
何故リリィ様はそんな壮絶な経歴を持つのか。
それはリリィ様が、他の貴族に冤罪をかけられて、裁判という名の糾弾会により嵌められて、貶められ、汚名を着せられたから。
なんてことは、ひとつもなく。
リリィ様が悪事の限りを尽くし、単語他の貴族を嵌めて貶めるだけではなく、直接的な暴力や恫喝、ゴロツキ共を使って襲わせたり、屋敷を焼いたり、それ以上のことも。
とにかく無茶苦茶だったから婚約も破棄され、家を勘当され、裁判にかけられて国外追放となった。
ぐうの音も出ないほどに順当な結果である。
何故そんなことをしたのか? という問いにリリィ様は。
「だって、気に入らないのですもの」
と、答えるのがお気に入りなようだった。
まあ、もうそれも十年も前の話だ。
ティーンエイジャーだった時の話だ。
今はもっと手に負えない。
リリィ様は国外追放後も「気に入らない」と言うお気に入りの理由から、悪行の限りを尽くし。
あっという間に、裏社会をも掻き乱し、食い散らかし。
今じゃこの大陸の裏社会を統べる組織のボスだ。
人身売買、薬物密輸に売買、売春斡旋、地上げ、拷問、殺し、なんでもあり。
冷酷に、より非道に、リリィ様は淡々と悪行をこなす。
劣悪で、険悪で、邪悪。
それがこの組織のボス、リリィ様である。
つい先日も、メルバリア王国にある、とある孤児院併設の教会の司祭を殺すように殺しを専門にする名前のない女の部下に命じた。
その司祭は、その土地では神の教えに殉じる模範的な聖教者であり、善行の権化のような者だ。
孤児院の子供たちへの教育や自立に熱心であり、市民たちからも慕われ修道士たちからも尊敬されてやまない。
そんな立派な男を何故、殺すのか。
私は理由を問うと。
「だって神様なんかに尽くしてる程度で、みんなに愛されてるなんて気に入らないじゃないのよ」
と、リリィ様は相変わらずな理由を答える。
だけど私は知っている。
この殺された司祭は、併設した孤児院から自分好みの男児を夜な夜な自室に連れ込み性的な行為を強制している変態野郎であることを。
さらに変態司祭は、飽きた子供たちを異国に売り飛ばして私腹を肥やしていることを。
本当は、それが気に入らないのでしょうに。
まあ、そんなことを指摘しても「へぇ興味無いわね、無駄なご意見ありがとう」なんて無関心を決め込まれてしまうし、あんまりしつこく問いただしても皮を鞣されて剥製にされて飾られてしまうので、私の心の中だけに留めておく。
ただ私はリリィ様の「気に入らない」の素を、知っている。
侯爵令嬢時代に学園に通う平民の生徒を平手打ちどころか、グーで殴ったことに関しても、リリィ様は今と変わらず。
「平民ごときが、私と同じ校舎を使っているのが気に入らなかったのですわ」
と、宣っていたが、私は知っている。
その平民の生徒が、貴族に買収されて他の貴族を貶める為に嘘の証言をする準備を進めていたことを。
さらに学園に通う御学友の貴族を学業成績に対する不正や男女交際の不貞を捏造し、貶めて学園から追放した際にも。
「あんな田舎物の成金貴族の令嬢風情が、私と同じ制服を着ているのが気に入らなかっただけですの」
と、またもや宣っていたが、私は知っている。
その貴族が平民の生徒を買収して派閥を作り平民同士のいじめや対立を煽り、徒にそれを楽しんでいたことを。
ゴロツキを雇い、その土地の貴族を追い詰めて集団で暴行した後に屋敷に火をつけた際にも。
「あの貴族然とした自分は民のために尽くしてますよ顔が、気に入らなかったのですわ」
と、お気に入りのその台詞が聞けたが、私は知っている。
その貴族が他国と通じ、メルバリア王国の鉱物資源を横流して、私腹を肥やすだけではなく、他国と秘密裏に兵器開発まで行い国家転覆を目論んでいたことを。
私が仕えるリリィ様は、メルバリア王国の貴族であるアイルワード侯爵家の元令嬢だ。
もう既に家からは勘当され婚約も破棄され国王から直々に国外追放をされている為、今はただのリリィと名乗っている。
何故リリィ様はそんな壮絶な経歴を持つのか。
それはリリィ様が、他の貴族に冤罪をかけられて、裁判という名の糾弾会により嵌められて、貶められ、汚名を着せられたから。
なんてことは、ひとつもなく。
リリィ様が悪事の限りを尽くし、単語他の貴族を嵌めて貶めるだけではなく、直接的な暴力や恫喝、ゴロツキ共を使って襲わせたり、屋敷を焼いたり、それ以上のことも。
とにかく無茶苦茶だったから婚約も破棄され、家を勘当され、裁判にかけられて国外追放となった。
ぐうの音も出ないほどに順当な結果である。
何故そんなことをしたのか? という問いにリリィ様は。
「だって、気に入らないのですもの」
と、答えるのがお気に入りなようだった。
まあ、もうそれも十年も前の話だ。
ティーンエイジャーだった時の話だ。
今はもっと手に負えない。
リリィ様は国外追放後も「気に入らない」と言うお気に入りの理由から、悪行の限りを尽くし。
あっという間に、裏社会をも掻き乱し、食い散らかし。
今じゃこの大陸の裏社会を統べる組織のボスだ。
人身売買、薬物密輸に売買、売春斡旋、地上げ、拷問、殺し、なんでもあり。
冷酷に、より非道に、リリィ様は淡々と悪行をこなす。
劣悪で、険悪で、邪悪。
それがこの組織のボス、リリィ様である。
つい先日も、メルバリア王国にある、とある孤児院併設の教会の司祭を殺すように殺しを専門にする名前のない女の部下に命じた。
その司祭は、その土地では神の教えに殉じる模範的な聖教者であり、善行の権化のような者だ。
孤児院の子供たちへの教育や自立に熱心であり、市民たちからも慕われ修道士たちからも尊敬されてやまない。
そんな立派な男を何故、殺すのか。
私は理由を問うと。
「だって神様なんかに尽くしてる程度で、みんなに愛されてるなんて気に入らないじゃないのよ」
と、リリィ様は相変わらずな理由を答える。
だけど私は知っている。
この殺された司祭は、併設した孤児院から自分好みの男児を夜な夜な自室に連れ込み性的な行為を強制している変態野郎であることを。
さらに変態司祭は、飽きた子供たちを異国に売り飛ばして私腹を肥やしていることを。
本当は、それが気に入らないのでしょうに。
まあ、そんなことを指摘しても「へぇ興味無いわね、無駄なご意見ありがとう」なんて無関心を決め込まれてしまうし、あんまりしつこく問いただしても皮を鞣されて剥製にされて飾られてしまうので、私の心の中だけに留めておく。
ただ私はリリィ様の「気に入らない」の素を、知っている。
侯爵令嬢時代に学園に通う平民の生徒を平手打ちどころか、グーで殴ったことに関しても、リリィ様は今と変わらず。
「平民ごときが、私と同じ校舎を使っているのが気に入らなかったのですわ」
と、宣っていたが、私は知っている。
その平民の生徒が、貴族に買収されて他の貴族を貶める為に嘘の証言をする準備を進めていたことを。
さらに学園に通う御学友の貴族を学業成績に対する不正や男女交際の不貞を捏造し、貶めて学園から追放した際にも。
「あんな田舎物の成金貴族の令嬢風情が、私と同じ制服を着ているのが気に入らなかっただけですの」
と、またもや宣っていたが、私は知っている。
その貴族が平民の生徒を買収して派閥を作り平民同士のいじめや対立を煽り、徒にそれを楽しんでいたことを。
ゴロツキを雇い、その土地の貴族を追い詰めて集団で暴行した後に屋敷に火をつけた際にも。
「あの貴族然とした自分は民のために尽くしてますよ顔が、気に入らなかったのですわ」
と、お気に入りのその台詞が聞けたが、私は知っている。
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