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前編
ひとつになる二人3
しおりを挟む気が付けば、身体の震えは完全に治まっていた。いつの間に、と二人は同時に笑う。気付かないほどに、自分達は快楽に溺れていたとわかったからだ。
「アル…」
しかし、まだだとウィリディスが見つめる。手でされることは平気だった。気持ちよくて、もっとと強請ったのも一回や二回ではない。
けれど、自分はまだアルトゥスのものになってはいないとわかっているのだ。
「ウィリディス…」
わかっていると応えるよう、優しくキスをする。本番はこれからだと、自分自身を女の部分へ擦り付けた。
「俺も、さすがに限界だ…」
身体がビクリと反応したが、それよりも早く挿れたいという気持ちの方が強い。ここまでやれば、アルトゥスも引き返せないと思っていたのだ。
最後までやりたいという気持ちを、抑えることができない。
ウィリディスが抱かれたいと思っていたように、アルトゥスだって抱きたいと思っていた。それでも、未成年に手をだすのはよくないと、必死に抑えてきたのだ。
結果として、悪魔に奪われてしまった。早く取り戻したいと急かす気持ちを静めながら、ゆっくりと腰を沈めていく。
少しずつ挿れていくと、ウィリディスの腕は背に回される。怖がるかと思っていたが、身体が過剰に反応したのは擦りつけた瞬間だけ。
どこかうっとりと感じている姿に、アルトゥスの心が躍る。自分を感じてくれているのだから、これほど嬉しいことはない。
「泣くほど嬉しいか?」
頬を涙が伝うのを見て、指で拭う。問いかけに頷く姿を見れば、フッと笑みを浮かべた。
「やっと…アルのものになれた」
「あぁ。やっと、俺のものにできた」
もう手放さないと力強い視線を向ければ、ウィリディスが顔を真っ赤にさせる。彼は真っ直ぐに言葉をぶつけてくることから、照れてしまったのだろう。
わかれば可愛いと唇を重ねる。もっと可愛い姿を見たいとゆっくり腰を打ち付けると、潤んだ瞳が見つめてきた。
「幻じゃねぇぞ」
「んっ…わかってるっ」
嬉しくもないことに、散々に犯されたことからアルトゥスとは別だとわかる。まったく喜べないことなのだが、お陰で悪魔ではないと思うこともできた。
今はアルトゥスを感じられることを喜ぼうと思った辺りで、余計なことを考えるのをやめる。
「あっ…あぁぁっ…んぁっ…」
中をじっくりと感じ取るように動くアルトゥス。もっとと言いたくなるウィリディスだったが、漏れてくる吐息に心が歓喜する。
彼が自分の中を気持ちいいと感じてくれているのだ。見たこともない雄としての表情を浮かべる姿に、さらに惹かれていく。
(アルのためなら…)
ずっと悩んでいることだが、アルトゥスのためなら女になれるかもしれない。いまさらなにかを変えることはできないが、性別を女にすることぐらいなら、と思う。
どちらを選んでもアルトゥスは反対しないだろうが、なにかひとつぐらいは彼のためにと考えていたのだ。
「ひゃっ…」
少し油断していたウィリディスは、力強く突かれて腰が跳ねる。アルトゥスが、一番いいところを見つけ出したのだ。
「ダメっ…そこはっ…あぁぁっ…」
「逃げるな」
思わず逃げ出そうとしたウィリディスをしっかりと抑え込み、ここがいいならとアルトゥスが集中的に突く。
「ダメだってっ…んあぁぁっ」
そこはダメと訴える姿に、余裕ぶっているのがいけないとアルトゥスは意地悪く笑う。なにか考えていただろ、とまで言われてしまえば、その通りだけになにも言えない。
容赦なく与えられる快楽に、限界と訴えるウィリディス。強く締め付けられ、思わずアルトゥスから声が漏れた。
「アルっ…アルぅ…」
イクと訴える頃には、アルトゥスからも余裕は失われており、どちらが先にイクかという状態。それでも、先にイってなるものかと思うのは、男の意地だ。
「あぁぁっ…あっ…イクっ…イっちまう!」
身体をビクビクと跳ねさせながらウィリディスがイクのと同時に、アルトゥスが己の欲を放つ。辛うじてという状態に、ホッと息を吐く。
「んっ…ふぁっ…」
恍惚とした表情を浮かべるのを見れば、もう未成年だとは言えないなと笑う。ウィリディスがどちらを選ぶかわからないが、少なくとも今は女だ。
「アル…」
両手を伸ばすのを見て、しっかりと身体を抱きしめキスをする。啄むように何度も唇を重ね、どちらともなく舌を絡めた。
互いに互いの舌を絡めとると、アルトゥスの腰が緩く打ち付けていく。
「んっ…ふっ…」
漏れる吐息すら飲み込むようなキスを繰り返せば、ゆっくりと離れる上半身。抜くと勘違いしたウィリディスが物欲しそうな表情で見上げてくるから、アルトゥスは汗で顔に張り付く髪を掻き上げた。
まだ終わらないと伝えるように、再び激しく腰を打ち付けるアルトゥス。彼女が望むのなら、自分はそれに応えるだけのこと。
約束していたということもあるが、これは悪魔に抱かれた傷を癒す行為でもある。本人にとって、すべてを自分で塗り替えたいのだろうと感じていた。
「あぁっ…もっ…」
「もっとだろ。わかってる」
何度も求めてくる姿にそれしかない。前へ進むために必要なのだ。
その身体は完全な女となっており、見つめてくる視線は熱を帯びている。女として自分を求めてくれているのだ。これほど嬉しいことはない。
「んぁっ…いいっ…アルのっ」
ぎゅうぎゅうと締め付けながら喘ぐウィリディスに、腹が立つことだが悪魔の気持ちも理解できてしまう。あの悪魔はウィリディスを気に入っていたが、この良さならそうだろうと思ってしまったのだ。
「ウィリディス、二度と他の奴に触れさせねぇから」
「うんっ…俺は、アルのだからっ」
だからイかせてと言われれば、ニヤリと笑ったアルトゥスが激しく腰を打ち付ける。
「ふあぁぁぁっ」
今までで一番の声を上げ、そのままぐったりと横たわった。荒い呼吸を落ち着かせれば、嬉しそうに抱き着く。
さすがに疲れているだろうと、眠りを誘うように優しく撫でた。自分も限界だったのだ。
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