63 / 69
前編
ひとつになる二人2
しおりを挟む折れたのはアルトゥスの方だった。今のウィリディスは、こうでもしなければ納得しないだろう。
けれど、壊れてしまわないか不安になる。悪魔から負った傷が深すぎて、本来ならもっと時間をかけるべきだということはわかっているのだ。
「んっ…ふっ…んんっ」
しっかりと唇を重ね、貪るようにキスをすれば舌を絡めとる。悪魔に汚されたすべてを上書きするように、アルトゥスは優しく抱こうと決めた。
「女になれ…応えてやるから……」
不安が出ないように耳元で囁く。自分が不安がれば、それは間違いなくウィリディスに伝わってしまう。同じように不安にさせてしまうかもしれないと思えば、いつものように強気でいなくてはと視線を向けた。
「アルトゥス…」
「アルだ…」
そう呼べと言われれば、わかったと頷く。身体が女に変わるまで、それほど時間はかからなかった。
こんなにあっさりと変わるものなのか、と思わず驚いたほどだ。
アルトゥス自身は、一度も女になりたいと思ったことがなかったことから、身体はずっと男のままだった。一度も変化を起こしたことがない、という意味では、おそらくレアなタイプだろう。
震える身体を片手で力強く抱きしめる。自分がここにいるのだと、ウィリディスに感じさせるためだ。
悪魔を意識させてはいけない。それしか思いつかなかったのだが、問題は悪魔が自分の幻を見せていたことだろうか。
「あっ…あぁっ…」
膨らみのある胸を揉めば、身体の震えは止まらないが、ウィリディスは感じている。少なくとも、気持ち悪いとかではなく、快楽を得てくれているならよかったと安堵した。
もしも触れられることに不快を示すなら、さすがにやめるべきと思っていたのだ。
「んっ…ああぁ…アルっ」
「怖いか?」
触れられて怖いかと問われ、ウィリディスは首を振る。怖くはないと、伝えなくてはいけないと思ったのだ。
身体の震えはどうすることもできず、どこかでやめろと言いたくなる自分もいる。それでも、やめてほしくはない。触れているのはアルトゥスだとわかっているからだ。
「アルの手、ゴツゴツしてる…」
幻のアルトゥスとの違いを探しているのか。なんとなくだが、そうな気がした。
こうすることで、今触れているのは本物のアルトゥスだと自分へ言い聞かせているのだ。
少しずつ下へ下がっていく手。ここに触れたら、どうなってしまうのか。先に進むためには触れる必要があると、アルトゥスの手が女の部分を指で撫でる。
それは本当に、優しくなでただけだ。
「あぁっ!」
身体が跳ねたと思えばさらに酷くなる震えに、やはり無理だと手を引きそうになった。
次の瞬間、離れそうになった手を抑え込むのはウィリディスの手だ。やめさせないというような行動に、しっかりと目を合わせる。
「やめ…るな……やめないで、くれよ……」
求めるような視線だけなら、まだどうにか振り払えたかもしれない。けれど、ウィリディスはどこか切なそうで、今にも涙が零れ落ちそうな状態だった。
「お前の覚悟は、十分伝わってる」
なにがなんても受け入れるのだという覚悟。アルトゥスに抱かれたいという強い願い。
これに応えるのは自分の役目であり、ウィリディスを自分のものにしたいというのは、完全に彼の願望でもあった。今度こそ、すべてを自分のものにするのだ。
誰にも触れさせるものか、と思えば、それまで心のどこかにあった迷いがすべて吹っ切れる。
「はっあっ…あぁっ…もっとぉ…」
なにかを考える余裕を奪うよう、アルトゥスが指で掻き乱せば、彼に抱かれているのだと言い聞かせるためにか、しっかりと見つめ続けるウィリディス。
片手はずっと互いの手を握り締め、互いの視線を逸らすことなく合わせる。右手が蜜で潤う女の部分を責め続け、快楽で身体が跳ねているのか、それとも拒絶からなのかわからない状態。
潤んだ目で見つめられ続け、アルトゥスは己の理性が吹っ飛びそうだと歯を食いしばる。本能のままに抱くのは、さすがに獣がやることだと思っているのだ。
悪魔と同じ行為にすら思え、絶対にやれないと気持ちを立て直す。
すでに何度も行っている行動であり、それだけウィリディスをめちゃくちゃにしたいという衝動が強かった。
「あぁぁっ…いいっ…アルっ」
「気持ちいいんだろ。ここからたくさん溢れてくるからな」
わかっていると囁きかければ、ずっと繋いでいた手を離す。そろそろいいかと思ったのだ。ウィリディスは、十分に自分が抱いていると認識できている。
欠片も悪魔のことを考えていない、とは言い切れないが、それでも行為を受け入れ始めているように見えたのだ。
足を広げた状態でしっかりと抑えれば、女の部分に舌を這わせる。溢れた蜜を舐める行為に、今まで以上の声を上げた。
「ひゃっ…あっあぁ…アルっ…アルぅ!」
どこを舐められているのか、一瞬理解できなかったウィリディスは、理解すると同時に恥ずかしさで顔を真っ赤にする。
舐められているということは、当然だがその部分を見られているということだ。
「大丈夫だ、ここはすっげぇきれいだから」
恥ずかしがるなと言われても、無理だと布団を握り締める。なによりも、指でされるのとはまた違う快感に、もっとと言いたくなる自分にも驚いていた。
「ふあぁっ…アル? 舌…舌入ってっ…」
中に入ってきた舌に、もはやどうしたらいいのかわからない。身を任せるだけでいいのだろうか。
いや、もうなにかを考えるのはやめようと、ウィリディスの手がアルトゥスの頭を抑え込む。この快楽をもっと感じていたい。
今大事なことはこれだけだと思えたのだ。
「あっ…くっ…はぁはぁ…アルっ…アルぅっ!」
ビクビクと身体を震わせ、そのまま力を失う。自分が彼にイかされたのだと気付くのに、少しばかりの時間を要した。
.
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言
夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので……
短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
このお話は小説家になろう様にも掲載しています。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる