堕天使の愛

朱璃 翼

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前編

ひとつになる二人2

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 折れたのはアルトゥスの方だった。今のウィリディスは、こうでもしなければ納得しないだろう。

 けれど、壊れてしまわないか不安になる。悪魔から負った傷が深すぎて、本来ならもっと時間をかけるべきだということはわかっているのだ。

「んっ…ふっ…んんっ」

 しっかりと唇を重ね、貪るようにキスをすれば舌を絡めとる。悪魔に汚されたすべてを上書きするように、アルトゥスは優しく抱こうと決めた。

「女になれ…応えてやるから……」

 不安が出ないように耳元で囁く。自分が不安がれば、それは間違いなくウィリディスに伝わってしまう。同じように不安にさせてしまうかもしれないと思えば、いつものように強気でいなくてはと視線を向けた。

「アルトゥス…」

「アルだ…」

 そう呼べと言われれば、わかったと頷く。身体が女に変わるまで、それほど時間はかからなかった。

 こんなにあっさりと変わるものなのか、と思わず驚いたほどだ。

 アルトゥス自身は、一度も女になりたいと思ったことがなかったことから、身体はずっと男のままだった。一度も変化を起こしたことがない、という意味では、おそらくレアなタイプだろう。

 震える身体を片手で力強く抱きしめる。自分がここにいるのだと、ウィリディスに感じさせるためだ。

 悪魔を意識させてはいけない。それしか思いつかなかったのだが、問題は悪魔が自分の幻を見せていたことだろうか。

「あっ…あぁっ…」

 膨らみのある胸を揉めば、身体の震えは止まらないが、ウィリディスは感じている。少なくとも、気持ち悪いとかではなく、快楽を得てくれているならよかったと安堵した。

 もしも触れられることに不快を示すなら、さすがにやめるべきと思っていたのだ。

「んっ…ああぁ…アルっ」

「怖いか?」

 触れられて怖いかと問われ、ウィリディスは首を振る。怖くはないと、伝えなくてはいけないと思ったのだ。

 身体の震えはどうすることもできず、どこかでやめろと言いたくなる自分もいる。それでも、やめてほしくはない。触れているのはアルトゥスだとわかっているからだ。

「アルの手、ゴツゴツしてる…」

 幻のアルトゥスとの違いを探しているのか。なんとなくだが、そうな気がした。

 こうすることで、今触れているのは本物のアルトゥスだと自分へ言い聞かせているのだ。

 少しずつ下へ下がっていく手。ここに触れたら、どうなってしまうのか。先に進むためには触れる必要があると、アルトゥスの手が女の部分を指で撫でる。

 それは本当に、優しくなでただけだ。

「あぁっ!」

 身体が跳ねたと思えばさらに酷くなる震えに、やはり無理だと手を引きそうになった。

 次の瞬間、離れそうになった手を抑え込むのはウィリディスの手だ。やめさせないというような行動に、しっかりと目を合わせる。

「やめ…るな……やめないで、くれよ……」

 求めるような視線だけなら、まだどうにか振り払えたかもしれない。けれど、ウィリディスはどこか切なそうで、今にも涙が零れ落ちそうな状態だった。

「お前の覚悟は、十分伝わってる」

 なにがなんても受け入れるのだという覚悟。アルトゥスに抱かれたいという強い願い。

 これに応えるのは自分の役目であり、ウィリディスを自分のものにしたいというのは、完全に彼の願望でもあった。今度こそ、すべてを自分のものにするのだ。

 誰にも触れさせるものか、と思えば、それまで心のどこかにあった迷いがすべて吹っ切れる。

「はっあっ…あぁっ…もっとぉ…」

 なにかを考える余裕を奪うよう、アルトゥスが指で掻き乱せば、彼に抱かれているのだと言い聞かせるためにか、しっかりと見つめ続けるウィリディス。

 片手はずっと互いの手を握り締め、互いの視線を逸らすことなく合わせる。右手が蜜で潤う女の部分を責め続け、快楽で身体が跳ねているのか、それとも拒絶からなのかわからない状態。

 潤んだ目で見つめられ続け、アルトゥスは己の理性が吹っ飛びそうだと歯を食いしばる。本能のままに抱くのは、さすがに獣がやることだと思っているのだ。

 悪魔と同じ行為にすら思え、絶対にやれないと気持ちを立て直す。

 すでに何度も行っている行動であり、それだけウィリディスをめちゃくちゃにしたいという衝動が強かった。

「あぁぁっ…いいっ…アルっ」

「気持ちいいんだろ。ここからたくさん溢れてくるからな」

 わかっていると囁きかければ、ずっと繋いでいた手を離す。そろそろいいかと思ったのだ。ウィリディスは、十分に自分が抱いていると認識できている。

 欠片も悪魔のことを考えていない、とは言い切れないが、それでも行為を受け入れ始めているように見えたのだ。

 足を広げた状態でしっかりと抑えれば、女の部分に舌を這わせる。溢れた蜜を舐める行為に、今まで以上の声を上げた。

「ひゃっ…あっあぁ…アルっ…アルぅ!」

 どこを舐められているのか、一瞬理解できなかったウィリディスは、理解すると同時に恥ずかしさで顔を真っ赤にする。

 舐められているということは、当然だがその部分を見られているということだ。

「大丈夫だ、ここはすっげぇきれいだから」

 恥ずかしがるなと言われても、無理だと布団を握り締める。なによりも、指でされるのとはまた違う快感に、もっとと言いたくなる自分にも驚いていた。

「ふあぁっ…アル? 舌…舌入ってっ…」

 中に入ってきた舌に、もはやどうしたらいいのかわからない。身を任せるだけでいいのだろうか。

 いや、もうなにかを考えるのはやめようと、ウィリディスの手がアルトゥスの頭を抑え込む。この快楽をもっと感じていたい。

 今大事なことはこれだけだと思えたのだ。

「あっ…くっ…はぁはぁ…アルっ…アルぅっ!」

 ビクビクと身体を震わせ、そのまま力を失う。自分が彼にイかされたのだと気付くのに、少しばかりの時間を要した。





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