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母からのプレッシャー
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「ただいま」
希美は家に帰るとバックを玄関に置き、靴を脱ぐ。脱ぎ終わった靴はきちんと揃える。揃えなかったら、母からまたいろいろと小言を言われるに決まっている。
リビングに行くと
「お帰り」と母、尚美が夕食の準備をしながら言う。
「ただいま」と希美は返事をし、バックを自分の部屋に置いてくる。やはり自分の部屋が一番落ち着く。このまま暫くボーっと過ごそうかと思ったが、
「荷物置いたんならこっち手伝って」
と母からお呼びがかかる。
「今から着替えるの。着替えてから行く」と返事をすると、
「ボサボサしてないで、早く着替えてこっちへ来なさい」と返ってくる。まあ、いつものことだ。帰ってきても希美はすぐにのんびりすることができない。過干渉な母はたいてい希美のやることにいちいち口を出す。34歳にもなって、いちいち言われるのははっきり言って嫌なのだが、機嫌を損ねられるとまた長いお説教が始まるので、希美は聞き流すように努力をしている。
だが、今日は希美も職場での出来事があったので機嫌が悪く、
「お母さん、帰ってから少しぐらいは自分の部屋にいたっていいじゃないの?」と言うと母が、
「何を言っているの?希美は部屋に入ると少しじゃなくてずっと部屋に閉じこもっているでしょ?それを心配していってるのよ」とまるでこっちが悪いかのように言ってくる。
流石に今日は我慢ならなかったので、
「もう34なのよ、別に少しくらい自分の部屋でのんびりしたっていいじゃない?毎日手伝っているんだし、お母さんはすぐ出てこないといっつも文句言うよね」と言うといつもは反論してこない希美が珍しく反論してきたことに驚いた様子をみせた。
その後、何か言いたげな様子であったが、母は黙っていた。
少し気まずい空気になったが、夕食の支度を手伝い、それが終わるとテーブルに並べる。今日は焼き魚とひじきの炒め煮と卵焼きだ。母は料理上手なので、出されたものに不満を持つことは少ない。私自身があまり料理が得意ではないので、素直にすごいと思う。
「いただきます」と二人は言い、静かにご飯を食べ始めた。父は仕事が終わるのが遅いので、まだ帰ってこないし、妹の美佳はすでに結婚をして、外で暮らしているので実家に帰ってくるのは3ケ月に1回くらいだ。
「希美、今日会社でなんかあったの?」と母が聞いてくる。
そんなに強く怒っただろうかと思い、
「なんで?」と聞く。
すると母は、
「なんとなく、ピリピリしているようだったからね」
と答えた。
ピリピリさせた原因は母にもあるだろうが、と思ったがそれは口に出さず、
「会社でね、上司に無理やり飲み会に誘われて参加しなきゃいけなくなったの」
と答えると、母は、
「珍しいわね、いつもは断るのに」
と言い
「独身者の飲み会だから参加しなさいって。断ろうと思ったんだけど、苦手な上司で強引に押し切られてね」
と困ったように希美は言った。
すると母は、
「まあ、いい上司じゃないの」と声をいつもよりワントーン上げて答えた。
「何がよ、独身者が集まるって言っても、中年のおじさんと新人が何回か参加するものよ、どうせ酒を注がされるだけよ」とうんざりして答えたが母は、
「何言ってるの、こういうところに出会いがあるかもしれないのよ?嫌がっていないで進んで出たらいいじゃないの?」と嬉々として話す。
始まった。母は結婚の話になると嬉々として私に話始める。こういうところは葉子と大して変わらない。年をとるとそうなるのかしら。
「私があんたの歳にはもう美佳が幼稚園に行ってるのよ。希美も早く結婚しなさいよ」
ほら始まった。このセリフを聞いたのは何回目だろうか?はっきり言ってまだ結婚する気のない希美からしてみたらウザい以外何物でもない。
「別に一人でいるほうが楽だし、美佳が結婚して孫だって見られたんだからいいじゃないの?私はもう少し一人で気楽に過ごしたいの」と反論すると、
「そういって、希美、何年経ったんだい、またのんびりしているとあっという間に時間が経っちゃうわよ」と言ってくる。
…確かに、もう何年も同じことを言っているが、彼氏を連れてきたときは、ものすごく難色を示していたから、それで結婚が遠のいたかもしれないんだ、と心の中で言い訳をした。どちらにせよ結婚はしなかった気がするが。
「34歳になったんだから、そろそろそういうところでも私を安心させて頂戴な」と言った。さっき希美に反論されたことの意趣返しだろうか?母はそういう執念深いところがある。ハッキリ言ってこういうところは母の嫌なところだ。
「そろそろ、真剣になってくれないと私も落ち着けないわよ」とダメ押しで言ってきたので私は、
「もういいでしょ?私は別に結婚したいなんてまだこれっぽっちも思ってないの」と親指と人差し指で〈ちょっと〉を表現しながら言い、
「第一、結婚に焦って離婚でもしたらお母さんまたいろいろ言うでしょ?それだったらほっといてよ」と言うと、
「私はただ、希美のことを心配して…」と不満そうに言うので、
「心配してくれるのはありがたいけど、それならもう少しほっといてよ。職場でも結婚、家でも結婚って言われたら気が休まらないわよ、もうしばらく一人にさせて」
と言うと母は
「でも」…と何か言いたげだったので、希美はご馳走様と言い食器を片付けると部屋に戻り、ドアを閉めると大きくため息をついた。心配してくれるのはありがたいが、私はまだ一人のほうがいいのだ。それを母にしろ、葉子にしろ、本当に嫌になる。できることならほっておいてほしい。それに本当に結婚してほしいと思うのなら、黙って見守っててほしい、かえってやりにくくなるわ。もう一度ため息をつき希美はベットに寝転んだ。
希美は家に帰るとバックを玄関に置き、靴を脱ぐ。脱ぎ終わった靴はきちんと揃える。揃えなかったら、母からまたいろいろと小言を言われるに決まっている。
リビングに行くと
「お帰り」と母、尚美が夕食の準備をしながら言う。
「ただいま」と希美は返事をし、バックを自分の部屋に置いてくる。やはり自分の部屋が一番落ち着く。このまま暫くボーっと過ごそうかと思ったが、
「荷物置いたんならこっち手伝って」
と母からお呼びがかかる。
「今から着替えるの。着替えてから行く」と返事をすると、
「ボサボサしてないで、早く着替えてこっちへ来なさい」と返ってくる。まあ、いつものことだ。帰ってきても希美はすぐにのんびりすることができない。過干渉な母はたいてい希美のやることにいちいち口を出す。34歳にもなって、いちいち言われるのははっきり言って嫌なのだが、機嫌を損ねられるとまた長いお説教が始まるので、希美は聞き流すように努力をしている。
だが、今日は希美も職場での出来事があったので機嫌が悪く、
「お母さん、帰ってから少しぐらいは自分の部屋にいたっていいじゃないの?」と言うと母が、
「何を言っているの?希美は部屋に入ると少しじゃなくてずっと部屋に閉じこもっているでしょ?それを心配していってるのよ」とまるでこっちが悪いかのように言ってくる。
流石に今日は我慢ならなかったので、
「もう34なのよ、別に少しくらい自分の部屋でのんびりしたっていいじゃない?毎日手伝っているんだし、お母さんはすぐ出てこないといっつも文句言うよね」と言うといつもは反論してこない希美が珍しく反論してきたことに驚いた様子をみせた。
その後、何か言いたげな様子であったが、母は黙っていた。
少し気まずい空気になったが、夕食の支度を手伝い、それが終わるとテーブルに並べる。今日は焼き魚とひじきの炒め煮と卵焼きだ。母は料理上手なので、出されたものに不満を持つことは少ない。私自身があまり料理が得意ではないので、素直にすごいと思う。
「いただきます」と二人は言い、静かにご飯を食べ始めた。父は仕事が終わるのが遅いので、まだ帰ってこないし、妹の美佳はすでに結婚をして、外で暮らしているので実家に帰ってくるのは3ケ月に1回くらいだ。
「希美、今日会社でなんかあったの?」と母が聞いてくる。
そんなに強く怒っただろうかと思い、
「なんで?」と聞く。
すると母は、
「なんとなく、ピリピリしているようだったからね」
と答えた。
ピリピリさせた原因は母にもあるだろうが、と思ったがそれは口に出さず、
「会社でね、上司に無理やり飲み会に誘われて参加しなきゃいけなくなったの」
と答えると、母は、
「珍しいわね、いつもは断るのに」
と言い
「独身者の飲み会だから参加しなさいって。断ろうと思ったんだけど、苦手な上司で強引に押し切られてね」
と困ったように希美は言った。
すると母は、
「まあ、いい上司じゃないの」と声をいつもよりワントーン上げて答えた。
「何がよ、独身者が集まるって言っても、中年のおじさんと新人が何回か参加するものよ、どうせ酒を注がされるだけよ」とうんざりして答えたが母は、
「何言ってるの、こういうところに出会いがあるかもしれないのよ?嫌がっていないで進んで出たらいいじゃないの?」と嬉々として話す。
始まった。母は結婚の話になると嬉々として私に話始める。こういうところは葉子と大して変わらない。年をとるとそうなるのかしら。
「私があんたの歳にはもう美佳が幼稚園に行ってるのよ。希美も早く結婚しなさいよ」
ほら始まった。このセリフを聞いたのは何回目だろうか?はっきり言ってまだ結婚する気のない希美からしてみたらウザい以外何物でもない。
「別に一人でいるほうが楽だし、美佳が結婚して孫だって見られたんだからいいじゃないの?私はもう少し一人で気楽に過ごしたいの」と反論すると、
「そういって、希美、何年経ったんだい、またのんびりしているとあっという間に時間が経っちゃうわよ」と言ってくる。
…確かに、もう何年も同じことを言っているが、彼氏を連れてきたときは、ものすごく難色を示していたから、それで結婚が遠のいたかもしれないんだ、と心の中で言い訳をした。どちらにせよ結婚はしなかった気がするが。
「34歳になったんだから、そろそろそういうところでも私を安心させて頂戴な」と言った。さっき希美に反論されたことの意趣返しだろうか?母はそういう執念深いところがある。ハッキリ言ってこういうところは母の嫌なところだ。
「そろそろ、真剣になってくれないと私も落ち着けないわよ」とダメ押しで言ってきたので私は、
「もういいでしょ?私は別に結婚したいなんてまだこれっぽっちも思ってないの」と親指と人差し指で〈ちょっと〉を表現しながら言い、
「第一、結婚に焦って離婚でもしたらお母さんまたいろいろ言うでしょ?それだったらほっといてよ」と言うと、
「私はただ、希美のことを心配して…」と不満そうに言うので、
「心配してくれるのはありがたいけど、それならもう少しほっといてよ。職場でも結婚、家でも結婚って言われたら気が休まらないわよ、もうしばらく一人にさせて」
と言うと母は
「でも」…と何か言いたげだったので、希美はご馳走様と言い食器を片付けると部屋に戻り、ドアを閉めると大きくため息をついた。心配してくれるのはありがたいが、私はまだ一人のほうがいいのだ。それを母にしろ、葉子にしろ、本当に嫌になる。できることならほっておいてほしい。それに本当に結婚してほしいと思うのなら、黙って見守っててほしい、かえってやりにくくなるわ。もう一度ため息をつき希美はベットに寝転んだ。
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