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神獣
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ハナは力なくうつむく。アランはそんなハナを見てなんと声をかけたら良いものかと思案したが、良い言葉が見つからなかった。ほとなくして顔を上げたハナを見てアランはマズイと感じた。こういう顔をする女はいつもロクでもないことを言う。自分の中でもう決意してしまっている顔だ。
「私はヴァンとサクラちゃんを探しに行くわ」
「ハナ……」
「だいたいヴァンもアランも私をナメすぎよ。誰も最初から守って貰おうなんて思ってない! 私だって今日は自分の身は自分で守るつもりで来たんだから!」
ハナは感情的になっていて、涙が目の端に溜まっていた。
「私は……私のせいで、アランがらしくないことするのはやだよ」
アランは、はぁっとため息をついた。
「分かったよ。行こう」
「ホントに? いいの?」
ハナの目が輝く。
「ああ。そのかわり自分の身は極力自分で守るつもりでな」
「うん。分かった」
ハナはそういうとせっせと自分の荷物をまとめだした。先程とうって変わって何やら上機嫌だ。やれやれとアランは思う。つくづくロアー家の男は女に弱い。アランはヴァンとサクラが残していった荷物を見てまたため息をついた。当然ながらアランが持って行かなければならない。
「ねぇ、ヴァン? この子なんだと思う?」
ヴァンが助けた生物を膝に抱いてそのほっぺをツンツンしながらサクラが問いかける。先程の大きな虎は完全にふりきっっていた。サクラの攻撃魔法で脚と地面を凍結させたのでしばらくは動けないはずだった。ヴァンとサクラは風上に距離をとって今は茂みの中に身を隠していた。
「さぁ? なんだろうね。だけど、神獣であることは確かだよ」
「神獣かぁ。私初めて見るわ」
「身体は緑色だからカエルっぽく見えるけど、尻尾があるからトカゲかな?」
「うーん、トカゲ? かしら」
サクラは神獣の小さな腕を持ち上げてみたり、身体をひっくり返したりした。カエルっぽい外見なのでヌメヌメしていると思いきや、その肌はスベスベしていて、柔らかくて触り心地が良かった。サクラは失神している顔を覗き込んでみると、なんだか可愛いと感じた。
「ねぇヴァン……。私この子飼いたい」
ヴァンは慌てる。
「いやいや、そんな犬や猫じゃないんだから」
「ダメかなぁ?」
サクラは心底残念そうにしている。
「一応、意思や思考を持つ生き物だからね。ペット扱いしたら失礼だよ」
「そっかぁ……。ごめんね」
失礼な発言を謝りつつ、サクラは神獣の広い額を撫でた。
「う……んん……」
神獣の額にシワがより今にも起きそうになった。
「ヴァン! 起きそうだよ!」
サクラはワタワタと慌てている。
「サクラ落ち着いて。まずは敵意がないことを示さないといけないよ」
「うん、分かった」
サクラは素直に応じる。神獣のまぶたがゆっくりと開く。
「大丈夫?」
まだ意識がはっきりしていない様子の神獣にサクラが優しく問いかける。聞こえていないのか、上半身を起こしても神獣はまだボーっとしていた。やがてハッとしてあたりを見渡す。
「あの大虎ならもういないよ」
状況を読めていない様子の神獣にヴァンが声をかける。
「……?」
まだ意識がはっきりしていないようだ。
「ヴァンが君を助けたんだよ」
「サクラと二人でね」
ヴァンが付け足す。神獣はようやく合点がいったようだ。
「左様でございましたか。それは誠にありがとうございました」
サクラの膝から降りた神獣は深々と頭を下げた。
「申し遅れました。小生、グルナイユと申します」
「私はヴァンとサクラちゃんを探しに行くわ」
「ハナ……」
「だいたいヴァンもアランも私をナメすぎよ。誰も最初から守って貰おうなんて思ってない! 私だって今日は自分の身は自分で守るつもりで来たんだから!」
ハナは感情的になっていて、涙が目の端に溜まっていた。
「私は……私のせいで、アランがらしくないことするのはやだよ」
アランは、はぁっとため息をついた。
「分かったよ。行こう」
「ホントに? いいの?」
ハナの目が輝く。
「ああ。そのかわり自分の身は極力自分で守るつもりでな」
「うん。分かった」
ハナはそういうとせっせと自分の荷物をまとめだした。先程とうって変わって何やら上機嫌だ。やれやれとアランは思う。つくづくロアー家の男は女に弱い。アランはヴァンとサクラが残していった荷物を見てまたため息をついた。当然ながらアランが持って行かなければならない。
「ねぇ、ヴァン? この子なんだと思う?」
ヴァンが助けた生物を膝に抱いてそのほっぺをツンツンしながらサクラが問いかける。先程の大きな虎は完全にふりきっっていた。サクラの攻撃魔法で脚と地面を凍結させたのでしばらくは動けないはずだった。ヴァンとサクラは風上に距離をとって今は茂みの中に身を隠していた。
「さぁ? なんだろうね。だけど、神獣であることは確かだよ」
「神獣かぁ。私初めて見るわ」
「身体は緑色だからカエルっぽく見えるけど、尻尾があるからトカゲかな?」
「うーん、トカゲ? かしら」
サクラは神獣の小さな腕を持ち上げてみたり、身体をひっくり返したりした。カエルっぽい外見なのでヌメヌメしていると思いきや、その肌はスベスベしていて、柔らかくて触り心地が良かった。サクラは失神している顔を覗き込んでみると、なんだか可愛いと感じた。
「ねぇヴァン……。私この子飼いたい」
ヴァンは慌てる。
「いやいや、そんな犬や猫じゃないんだから」
「ダメかなぁ?」
サクラは心底残念そうにしている。
「一応、意思や思考を持つ生き物だからね。ペット扱いしたら失礼だよ」
「そっかぁ……。ごめんね」
失礼な発言を謝りつつ、サクラは神獣の広い額を撫でた。
「う……んん……」
神獣の額にシワがより今にも起きそうになった。
「ヴァン! 起きそうだよ!」
サクラはワタワタと慌てている。
「サクラ落ち着いて。まずは敵意がないことを示さないといけないよ」
「うん、分かった」
サクラは素直に応じる。神獣のまぶたがゆっくりと開く。
「大丈夫?」
まだ意識がはっきりしていない様子の神獣にサクラが優しく問いかける。聞こえていないのか、上半身を起こしても神獣はまだボーっとしていた。やがてハッとしてあたりを見渡す。
「あの大虎ならもういないよ」
状況を読めていない様子の神獣にヴァンが声をかける。
「……?」
まだ意識がはっきりしていないようだ。
「ヴァンが君を助けたんだよ」
「サクラと二人でね」
ヴァンが付け足す。神獣はようやく合点がいったようだ。
「左様でございましたか。それは誠にありがとうございました」
サクラの膝から降りた神獣は深々と頭を下げた。
「申し遅れました。小生、グルナイユと申します」
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