51 / 74
50 苦肉の策
しおりを挟む
天界か中有界にあったモノだなんて、何があるだろうか。
服はなぜかここで着ていた服に戻っているし……。
――あっ!
あるモノが頭に浮かび、私は急いでポケットの中から出したそれをルニーさんに見せた。
「このリボンはどうですか?」
「それは人間界のものだよ」
突然、ベリーの声がそう告げた。
「でも、これはシドがくれたものよ?」
「うん。それはシド様が人間界で用意したものだから」
「えっ……そうだったの!?」
「オーロラさんに似合う完璧なものを探すんだって、色々探し回ってたですっ……」
私が知らなかったが、どうやらこのリボンの入手方法をベリーとアールたちは知っていたみたいだ。
「オーロラに渡す前、ソワソワしながらずっと気にいるかなって言ってたよ」
ベリーのその言葉に、私は息を呑んだ。
まさか、シドがそこまで真剣に選んでくれていたとは、思ってもみなかったのだ。
心がズキンと痛んだ。
「そう言えば……」
ふと、ルニーさんが何かを閃いたような声を出した。
「どうしたんですか?」
「あのね、恐らく勘違いではないと思うんだけれど……。さっき来た水色の髪の人。あの男性が着けていた指輪から、天界のオーラを感じたの」
――ロイス陛下のあの指輪が、天界のモノ……?
精巧な造りをした、例の美麗な指輪を頭に思い浮かべる。そのとき、ベリーとアールが声をかけてきた。
「ボクも感じたよ!」
「ぼくもなのです!」
「……二人も感じたのね」
ということは、ほぼ確実にあの指輪は天界のモノなのだろう。
全員がそう思っているんだから、きっと間違いないはずだ。
ルニーさんの言う通り指輪を持って礼拝堂に行ったら、私はあちらの世界に戻ることができる。
だけど、ここで一つ気になることがあった。
「ルニーさん、戻ったとして……どこに戻るんですか?」
「実は、それが問題なのよ」
「問題って?」
ルニーさんに問いかけると、彼女は佇まいを整えるように羽を畳み直して告げた。
「戻った時、その指輪の本来の持ち主のところに行くことになるのよ」
「えっ……。じゃあ、あっちの世界のどこに戻るか分からないということですか?」
「ええ、いわゆる賭けになるわね」
なんてことだろうか。
シドを助けに行かないといけないというこの場面で、どこに戻れるかも不確かだなんて……。
しかし、それと同じくらい重大な問題があった。陛下の指輪を、どうやって入手するかということだ。
前に陛下が、あの指輪のことを“王が引き継ぎし指輪”と言っていた覚えがある。しかもあのとき、これだけは譲れないと謎の念押しまでされた。
――そんな指輪をどうやって……。
途方にくれたような気持ちになる。だが、そんなことは言っていられない。
私は必死にあの指輪を入手する方法を考えた。そして、ある一つの手段を思いついた。
こんなことはしたくない。嫌すぎる。
でも、今回ばかりは背に腹は代えられない。
そう、意を決して告げた。
「あの指輪を入手する作戦を一つ思いついたわ」
「どんな作戦?」
ルニーさんとベリーが声を重ねて訊ねてくる。
だけど――
「……言えないの。ただ、信じて待っててほしい」
「分かったですよ!」
間髪入れず、アールの気がいい返事が耳に届く。
続けて、ベリーとルニーさんが少し間を置き「分かった」返事してくれた。
信用してくれた三人には、心から感謝しかない。
「ありがとう。どんな手段を使ってでも、必ず指輪を手に入れるからっ……」
◇◇◇
作戦決行予定の夜になった。すると、案の定ロイス陛下は私の元へとお酒を持ってやってきた。
「オーロラ、このワインは美味いんだ。飲んでみてくれ」
「ありがとうございます。でも、私ばかり飲んでも楽しくないです。どうぞ、陛下の分をお注ぎいたします」
私はワインボトルを手に取り、陛下と目を合わせて持ち上げた。
すると、陛下は途端に頬を緩め私にしなだれかかるように抱き着いてきた。
本気で反吐が出そうだ。だが、作戦のためにもここは耐え、より良い状態に持っていくことにした。
「陛下っ……」
「ん、どうした?」
陛下が嬉しそうに、私の顔を覗き込む。そのとき、私は近くにいた給仕の使用人たちに視線を移した。
「その……恥ずかしいですっ……」
陛下にだけ聞こえるように、耳元で小さく囁く。
すると、陛下はみるみると機嫌のよさが増した顔になり、給仕係に向かって払うように手を振った。
その瞬間、その場にいた給仕係たちは一礼をし、全員部屋から退室した。
「オーロラ、これで望み通り二人きりだな」
陛下はそう言って笑うと、私にワイングラスを差し出した。そして「今夜は飲み明かそう」と言い、私の手に持ったグラスにカチンとグラスを合わせた・
それから一刻が経った頃、陛下は完全に酔い潰れていた。乗せて乗せて、ワイン以外は度数の高いお酒を飲ませ続けたのだ。
「陛下、ベッドで休まれますか?」
「あ? ああ……そうらな、それあいい」
舌っ足らずになった陛下は、ベッドに行くことを所望した。その意に添うように、私は嫌悪感を押し殺し、陛下をベッドまで運んでいった。
ドサッ――
力が抜けきり重たくなった陛下を、何とか運びベッドに寝転がせる。
それからしばらくすると、陛下からスースーと寝息が聞こえてきた。
――よし、うまくいったわ!
つい上がりそうになる口角を抑え、私は指輪に目を向ける。
飲んでいる途中、何度目線を持っていきそうになるのを堪えたか。でも、今は眠っているから、いくら見ても陛下は気付かない。
この指輪をこっそり抜き取ったら、そのまま礼拝堂まで一直線に走る。そうやって脳内で入念なシミュレーションを繰り返す。
――よし、作戦決行よ。
ついに腹を括り、私は気持ちを引き締め直して、彼の指輪に手を伸ばした。
そのときだった。
「オーロラ」
「へ、陛下……?」
さきほどまで寝息を立てて眠っていた陛下が、突然目を開いた。かと思えば、指輪を取ろうと伸ばした方の手首を突然掴んできた。
そして、告げた。
「どこに行く気だ」
服はなぜかここで着ていた服に戻っているし……。
――あっ!
あるモノが頭に浮かび、私は急いでポケットの中から出したそれをルニーさんに見せた。
「このリボンはどうですか?」
「それは人間界のものだよ」
突然、ベリーの声がそう告げた。
「でも、これはシドがくれたものよ?」
「うん。それはシド様が人間界で用意したものだから」
「えっ……そうだったの!?」
「オーロラさんに似合う完璧なものを探すんだって、色々探し回ってたですっ……」
私が知らなかったが、どうやらこのリボンの入手方法をベリーとアールたちは知っていたみたいだ。
「オーロラに渡す前、ソワソワしながらずっと気にいるかなって言ってたよ」
ベリーのその言葉に、私は息を呑んだ。
まさか、シドがそこまで真剣に選んでくれていたとは、思ってもみなかったのだ。
心がズキンと痛んだ。
「そう言えば……」
ふと、ルニーさんが何かを閃いたような声を出した。
「どうしたんですか?」
「あのね、恐らく勘違いではないと思うんだけれど……。さっき来た水色の髪の人。あの男性が着けていた指輪から、天界のオーラを感じたの」
――ロイス陛下のあの指輪が、天界のモノ……?
精巧な造りをした、例の美麗な指輪を頭に思い浮かべる。そのとき、ベリーとアールが声をかけてきた。
「ボクも感じたよ!」
「ぼくもなのです!」
「……二人も感じたのね」
ということは、ほぼ確実にあの指輪は天界のモノなのだろう。
全員がそう思っているんだから、きっと間違いないはずだ。
ルニーさんの言う通り指輪を持って礼拝堂に行ったら、私はあちらの世界に戻ることができる。
だけど、ここで一つ気になることがあった。
「ルニーさん、戻ったとして……どこに戻るんですか?」
「実は、それが問題なのよ」
「問題って?」
ルニーさんに問いかけると、彼女は佇まいを整えるように羽を畳み直して告げた。
「戻った時、その指輪の本来の持ち主のところに行くことになるのよ」
「えっ……。じゃあ、あっちの世界のどこに戻るか分からないということですか?」
「ええ、いわゆる賭けになるわね」
なんてことだろうか。
シドを助けに行かないといけないというこの場面で、どこに戻れるかも不確かだなんて……。
しかし、それと同じくらい重大な問題があった。陛下の指輪を、どうやって入手するかということだ。
前に陛下が、あの指輪のことを“王が引き継ぎし指輪”と言っていた覚えがある。しかもあのとき、これだけは譲れないと謎の念押しまでされた。
――そんな指輪をどうやって……。
途方にくれたような気持ちになる。だが、そんなことは言っていられない。
私は必死にあの指輪を入手する方法を考えた。そして、ある一つの手段を思いついた。
こんなことはしたくない。嫌すぎる。
でも、今回ばかりは背に腹は代えられない。
そう、意を決して告げた。
「あの指輪を入手する作戦を一つ思いついたわ」
「どんな作戦?」
ルニーさんとベリーが声を重ねて訊ねてくる。
だけど――
「……言えないの。ただ、信じて待っててほしい」
「分かったですよ!」
間髪入れず、アールの気がいい返事が耳に届く。
続けて、ベリーとルニーさんが少し間を置き「分かった」返事してくれた。
信用してくれた三人には、心から感謝しかない。
「ありがとう。どんな手段を使ってでも、必ず指輪を手に入れるからっ……」
◇◇◇
作戦決行予定の夜になった。すると、案の定ロイス陛下は私の元へとお酒を持ってやってきた。
「オーロラ、このワインは美味いんだ。飲んでみてくれ」
「ありがとうございます。でも、私ばかり飲んでも楽しくないです。どうぞ、陛下の分をお注ぎいたします」
私はワインボトルを手に取り、陛下と目を合わせて持ち上げた。
すると、陛下は途端に頬を緩め私にしなだれかかるように抱き着いてきた。
本気で反吐が出そうだ。だが、作戦のためにもここは耐え、より良い状態に持っていくことにした。
「陛下っ……」
「ん、どうした?」
陛下が嬉しそうに、私の顔を覗き込む。そのとき、私は近くにいた給仕の使用人たちに視線を移した。
「その……恥ずかしいですっ……」
陛下にだけ聞こえるように、耳元で小さく囁く。
すると、陛下はみるみると機嫌のよさが増した顔になり、給仕係に向かって払うように手を振った。
その瞬間、その場にいた給仕係たちは一礼をし、全員部屋から退室した。
「オーロラ、これで望み通り二人きりだな」
陛下はそう言って笑うと、私にワイングラスを差し出した。そして「今夜は飲み明かそう」と言い、私の手に持ったグラスにカチンとグラスを合わせた・
それから一刻が経った頃、陛下は完全に酔い潰れていた。乗せて乗せて、ワイン以外は度数の高いお酒を飲ませ続けたのだ。
「陛下、ベッドで休まれますか?」
「あ? ああ……そうらな、それあいい」
舌っ足らずになった陛下は、ベッドに行くことを所望した。その意に添うように、私は嫌悪感を押し殺し、陛下をベッドまで運んでいった。
ドサッ――
力が抜けきり重たくなった陛下を、何とか運びベッドに寝転がせる。
それからしばらくすると、陛下からスースーと寝息が聞こえてきた。
――よし、うまくいったわ!
つい上がりそうになる口角を抑え、私は指輪に目を向ける。
飲んでいる途中、何度目線を持っていきそうになるのを堪えたか。でも、今は眠っているから、いくら見ても陛下は気付かない。
この指輪をこっそり抜き取ったら、そのまま礼拝堂まで一直線に走る。そうやって脳内で入念なシミュレーションを繰り返す。
――よし、作戦決行よ。
ついに腹を括り、私は気持ちを引き締め直して、彼の指輪に手を伸ばした。
そのときだった。
「オーロラ」
「へ、陛下……?」
さきほどまで寝息を立てて眠っていた陛下が、突然目を開いた。かと思えば、指輪を取ろうと伸ばした方の手首を突然掴んできた。
そして、告げた。
「どこに行く気だ」
30
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる