BLINDFOLD

雲乃みい

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番外編 性少年のクリスマス

番外編4

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 ああ、なんで俺断れなかったんだろ。
 もうとっくに放課後になったけどいまだに昼休みのことを引きずってる。
 羽純ちゃんに借りはつくるべきじゃねー!
 って、いまさら後悔先に立たず。
 とぼとぼ家に帰りついてベッドにダイブして枕にだきついてのたうちまわる。
「あー!!! 俺のクリスマスイベントがー!!!」
 優斗さんへのクリスマスプレゼントはもう準備してた。
 だいたい俺達が会うのは週の半ばに一回一緒に夕食とるのと、あとは週末のお泊り。
 優斗さんは忙しいから本当は週末だけがベストなんだろうけど残業がなかった日は会いに来てくれる。
 本当は今日ちょっと優斗さんのマンションに行こうかなって考えた。
 合鍵はもらってるから自由に出入りできる。
 でも今日は月曜日だし、疲れてるだろうし、わがままばっかいってたらダメだよなーって自粛。
 仕事の邪魔になったらいけねーから、優斗さんから電話があるのを黙って……つーか、ため息つきまくりながらごろごろして待った。
 だらだら情けねー俺のスマホが鳴ったのは8時くらいだった。
「優斗さん……」
 こんばんわ、っていつもの優しい声を聞いた途端、俺はすっげぇ脱力して情けねー声が出た。
『どうしたの、捺くん。なにかあった? 元気ないみたいだけど』
「……あのさ、あの……」
 あー、ため息が出る。
 一度約束したし、しょうがないって思いながらも諦めきれないヘタレな俺。
 でも羽純ちゃんとの約束から逃げられる気がしねーし……。
 スマホをきつく握りしめてまじで半泣き状態で口を開いた。
「……クリスマスイブ、バイト入った」
『……イブ? バイトって新しいの見つけたの?』
「ううん、実は――……」
 ため息ばっかりつきながら昼休みのことを話した。
 気が重いからぽつぽつとゆっくり喋っていった。
「……だから会えるの11時過ぎになるんだ」
 気分だけじゃなく、声までも重く喋り終えたのは数分後。
『――そっか。でも全然会えないわけじゃないから、ね?』
「そうだけど……。イブなのに……」
『バイト先まで迎えに行くよ。そしたらすぐに会えるしね。そのままどこか行ってもいいし。夜更かしして楽しめばいいよ』
「……ん」
 優しい優斗さんに少しだけ気分も浮上する。
『それに俺は捺くんに会えればそれだけでいいから、待ち合わせが遅くっても構わないよ』
「……」
 やばい。
 むちゃくちゃ顔が緩むのがわかった。
 さらっと狙ってるわけでもなく自然に言える優斗さんさってすげぇなって思う。
「……俺も……優斗さんに会えれば、いい……」
 イベントは好きだしクリスマス自体も楽しみだけど、それはやっぱり優斗さんがいてこそだし。
 全然会えなくなるわけじゃねーし。
 全部がダメになったわけじゃねーんだから、会ってからのことを考えたほうがマシだよなって気もするし。
『一度引き受けたことはちゃんとこなさないとね』
「うん」
『それに23日も会うしね?』
「うん!」
 そういや、イブの前日が祝日だから会うことになってた。
 そう考えたら気分ももっと浮上してきた。
 それから他愛のない話をして、電話切って。
 優斗さんと喋る前より明らかに俺は落ち着いてた。
 バイトの分、会えなくなった時間を取り戻すくらいイチャイチャしてクリスマス満喫すればいーんだよな!
 気を取り直した俺は食欲なくて放置してた夕食を食べにキッチンへと向かった。




 そしてあっという間に毎日は過ぎてって、ついに――クリスマスイブはやってきた。


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