5 / 31
本編
05.人間を持ち帰る
山にはこれまでどおり平和な日々が戻った。
でもどこか空気が違う。
二回も人間がやってきたので、おくびょうないきものは怯え、血気盛んないきものはどこかそわそわ落ち着かない。
ぼくも日課のおさんぽの時間を長めにとり、人間への警戒を強めていた。
そんな頃。
「アメトリン、助けて! 大ガラスが人間と戦ってる!」
青い小鳥さんがやってくるなりそう叫び、ぼくは考える間もなく走った。
あのとき逃がした人間だろうか。また新たな人間だろうか。カラスさんになにかあったらどうしよう。自分は仲間を助けられるだろうか……。
不安にかられながらも、走って走って、山の中を流れる川沿いにやってきた。
木々の合間から人間が見える。一匹だ。
その人間へ、黒く大きな鳥さんが何度も飛びかかっているのも見えていた。
「カラスさん!」
「来るなおまえたち! こいつはここで、ぐわっ」
カラスさんがこちらに向けて叫んだ瞬間の隙を、人間は見逃さなかった。
黒い翼が切り裂かれ、黒い影が川へと落ちていく。
「アメトリン?!」
冷たい水晶の体が熱い。
岩の裂け目から、か細い悲鳴がほとばしった。
なにかが体中からあふれ出して止まらない。
「だめよ、アメトリンっ!」
とても大きな音がして、声がかき消される。
熱い、熱い、あつい。
ぐらりとかたむく。
体に硬いものがいくつも触れ、その感触がふしぎで、周囲の様子が目に入るようになった。
「え……なにこれ」
あの一瞬、ぼくは寝てしまったのだろうか?
景色が一変していた。
足元に大小さまざまな石が天を目指すように広がっている。
灰色のもの、土をかぶって真っ黒なものから、ぼくの体のように透明なものまで、にょきにょきと地面にたくさん生えている。
石が突き出ているところはかなり広く、あの人間が立っていた崖際までも石だらけになっていた。
いろいろな色の結晶が、まるで花畑のように、いくつもいくつも生えている。
「アメトリン、気が付いた?」
「あぁ、小鳥さん。これは、いったいどうしたの」
「どうしたもなにも、あなたがやったのよ、アメトリン。魔力の暴走ね」
「魔力の……暴走」
そろりそろりと石を踏みしめながら歩くと、足の裏でぱきぱきと割れる音がする。
たしかに自然の石にしては硬さがいまいちだ。魔力の気配も濃い。
ぼくの魔力があふれ出て、こんな形になったのだろうか。
そこまで考えてはっとした。
「カラスさんが!」
石を避けつつ踏みつつ、崖沿いへ近づく。
川は急流で、黒い翼はどこにも見えない。
どこへ行ったのだろう、まさか流されてしまったのか。
「ここだ~、アメトリ~ン」
「カラスさん!」
聞きなれた声に身を乗り出し、ぐっと崖下をのぞき込むと、カラスさんはそこにいた。
水流のぎりぎりまで生えそろった魔力の石のひとつに引っかかったようで、川に落ちることなく、切り裂かれた翼をかばいつつも無事なようだ。
突き出た石を枝のようにぴょんぴょんと乗り移りながら、崖の上まで戻ってくる。
「いやぁ、万事休すかと思えば。助けてくれたのだな、アメトリン」
「うん……自分ではどうなったかよくわかんなかったけど、助けられてよかった」
「よくわからなかったのか? 危ういなぁ。して、あれはどうする」
「あれ?」
カラスのくちばしが指すほうを見ると、とりわけ大きな結晶の上に人間が引っかかっていた。
ぐったりとうつぶせて動かない。
「し、死んじゃった?」
「いや生きておる。しぶといやつめ。ま、あそこに野ざらしにしておけばそのうち誰かが食べに来るだろうよ」
「えぇ……」
弱った動物は肉食のいきもののエサになる。
これまでもそうだったし、これからもそうだ。
でも、ぼくがしたことで弱ったものが食われるとなると、少し、いやかなりモヤモヤする。
「……助けよう」
「なんと、アメトリン、正気か?」
「危険だわ」
鳥さんたちは止めるけれど、ぼくは折れなかった。
「ぼくは、人間たちにここを荒らさないでほしいだけだ。殺したいわけじゃない。それに誰かが死んだら……人間たちはきっと怒って、取り返しのつかないことになる」
「……ずいぶんと人間に詳しいようなことを言うのだな」
「え?」
そういえば、そうかも。
これまで見たこともなかった人間の考え方について、どうしてこんなにスラスラと答えられるのだろう。
ふしぎに思って首をかしげたけれど、わかるはずもなく、カラスさんもそれ以上なにも言わなかった。
それに今はそれどころじゃない。
「どうやって引き上げようか」
「落としたほうが早いのではないか」
「そうね、落としましょ」
「……」
人間を助けることに全く乗り気でない鳥さんたちは一旦おいといて、なるべく近くまで崖上を移動する。
元々の腕の長さでは届かないので、腕の長さを伸ばした。
にゅにゅっと伸びて、鳥の足のようにぐわっと変形させた結晶の腕を、ぎしぎし言わせながら崖下へ伸ばし、そうっと人間の胴をつかみ取る。
ゆっくり持ち上げ、ぼく自身はそろりそろりと後ろへ下がり、なんとか拾い上げることができた。
地面に生えている石を払って平たくし、そこへ下ろし、伸ばした腕を砕いて元通りにする。
見慣れた形の腕で人間を抱え、アメトリンはゆっくりと歩き出した。
「その人間、どこに持っていくつもりだ?」
「ぼくのうち」
「住処に人間を招くなど!」
「じゃあカラスさんのおうちに置いてくれる?」
「……」
カラスさんのおうちは木の上の巣だ。人間を置けるわけがない。
ぼくはなるべく人間の体が揺れないように歩いて、寝床につれていった。
今は子育て中のいきものはいないので、奥へ人間を寝かせる。
薄暗い洞穴の中で、意識のない人間をじっと見つめてみる。
「……本当に顔がつるつるだ」
ところどころ毛が生えているけれど、他の獣と比べて人間はずいぶんと薄毛だ。
それにどうやら、体に張り付いていた皮は脱皮するみたい。
生皮をはがしてしまったかとびっくりしたけれど、皮がとれても血がにじむことはなかった。
ぼろぼろに裂けた薄皮をそっと取り除く。
毛の少ない肌は白っぽく、ところどころ赤や青に変色していた。
これは知ってる。血の流れるいきものは打ち身でこのように肌色が変わるのだ。
洞穴を出て、沢の近くに生えている葉っぱを何枚か摘み取る。
以前サルさんの仲間が、肌の痛みにこの葉を使っていた。
オオカミさんにも効果があったので、人間にも効くのではないだろうか。
葉っぱをぺたぺた貼り付けても人間は目を覚まさなかった。
「まぁいいっか。起きたら話をしよう」
ぼくよりずっと細い手足。
薄い皮膚には血管が透けて見える。
黒っぽい灰色の毛がまばらに生えているだけ。
こんなに弱くてもろいのに、立ち向かってきた。
ふしぎないきもの。
いつまで見つめていても飽きない気がした。
でもどこか空気が違う。
二回も人間がやってきたので、おくびょうないきものは怯え、血気盛んないきものはどこかそわそわ落ち着かない。
ぼくも日課のおさんぽの時間を長めにとり、人間への警戒を強めていた。
そんな頃。
「アメトリン、助けて! 大ガラスが人間と戦ってる!」
青い小鳥さんがやってくるなりそう叫び、ぼくは考える間もなく走った。
あのとき逃がした人間だろうか。また新たな人間だろうか。カラスさんになにかあったらどうしよう。自分は仲間を助けられるだろうか……。
不安にかられながらも、走って走って、山の中を流れる川沿いにやってきた。
木々の合間から人間が見える。一匹だ。
その人間へ、黒く大きな鳥さんが何度も飛びかかっているのも見えていた。
「カラスさん!」
「来るなおまえたち! こいつはここで、ぐわっ」
カラスさんがこちらに向けて叫んだ瞬間の隙を、人間は見逃さなかった。
黒い翼が切り裂かれ、黒い影が川へと落ちていく。
「アメトリン?!」
冷たい水晶の体が熱い。
岩の裂け目から、か細い悲鳴がほとばしった。
なにかが体中からあふれ出して止まらない。
「だめよ、アメトリンっ!」
とても大きな音がして、声がかき消される。
熱い、熱い、あつい。
ぐらりとかたむく。
体に硬いものがいくつも触れ、その感触がふしぎで、周囲の様子が目に入るようになった。
「え……なにこれ」
あの一瞬、ぼくは寝てしまったのだろうか?
景色が一変していた。
足元に大小さまざまな石が天を目指すように広がっている。
灰色のもの、土をかぶって真っ黒なものから、ぼくの体のように透明なものまで、にょきにょきと地面にたくさん生えている。
石が突き出ているところはかなり広く、あの人間が立っていた崖際までも石だらけになっていた。
いろいろな色の結晶が、まるで花畑のように、いくつもいくつも生えている。
「アメトリン、気が付いた?」
「あぁ、小鳥さん。これは、いったいどうしたの」
「どうしたもなにも、あなたがやったのよ、アメトリン。魔力の暴走ね」
「魔力の……暴走」
そろりそろりと石を踏みしめながら歩くと、足の裏でぱきぱきと割れる音がする。
たしかに自然の石にしては硬さがいまいちだ。魔力の気配も濃い。
ぼくの魔力があふれ出て、こんな形になったのだろうか。
そこまで考えてはっとした。
「カラスさんが!」
石を避けつつ踏みつつ、崖沿いへ近づく。
川は急流で、黒い翼はどこにも見えない。
どこへ行ったのだろう、まさか流されてしまったのか。
「ここだ~、アメトリ~ン」
「カラスさん!」
聞きなれた声に身を乗り出し、ぐっと崖下をのぞき込むと、カラスさんはそこにいた。
水流のぎりぎりまで生えそろった魔力の石のひとつに引っかかったようで、川に落ちることなく、切り裂かれた翼をかばいつつも無事なようだ。
突き出た石を枝のようにぴょんぴょんと乗り移りながら、崖の上まで戻ってくる。
「いやぁ、万事休すかと思えば。助けてくれたのだな、アメトリン」
「うん……自分ではどうなったかよくわかんなかったけど、助けられてよかった」
「よくわからなかったのか? 危ういなぁ。して、あれはどうする」
「あれ?」
カラスのくちばしが指すほうを見ると、とりわけ大きな結晶の上に人間が引っかかっていた。
ぐったりとうつぶせて動かない。
「し、死んじゃった?」
「いや生きておる。しぶといやつめ。ま、あそこに野ざらしにしておけばそのうち誰かが食べに来るだろうよ」
「えぇ……」
弱った動物は肉食のいきもののエサになる。
これまでもそうだったし、これからもそうだ。
でも、ぼくがしたことで弱ったものが食われるとなると、少し、いやかなりモヤモヤする。
「……助けよう」
「なんと、アメトリン、正気か?」
「危険だわ」
鳥さんたちは止めるけれど、ぼくは折れなかった。
「ぼくは、人間たちにここを荒らさないでほしいだけだ。殺したいわけじゃない。それに誰かが死んだら……人間たちはきっと怒って、取り返しのつかないことになる」
「……ずいぶんと人間に詳しいようなことを言うのだな」
「え?」
そういえば、そうかも。
これまで見たこともなかった人間の考え方について、どうしてこんなにスラスラと答えられるのだろう。
ふしぎに思って首をかしげたけれど、わかるはずもなく、カラスさんもそれ以上なにも言わなかった。
それに今はそれどころじゃない。
「どうやって引き上げようか」
「落としたほうが早いのではないか」
「そうね、落としましょ」
「……」
人間を助けることに全く乗り気でない鳥さんたちは一旦おいといて、なるべく近くまで崖上を移動する。
元々の腕の長さでは届かないので、腕の長さを伸ばした。
にゅにゅっと伸びて、鳥の足のようにぐわっと変形させた結晶の腕を、ぎしぎし言わせながら崖下へ伸ばし、そうっと人間の胴をつかみ取る。
ゆっくり持ち上げ、ぼく自身はそろりそろりと後ろへ下がり、なんとか拾い上げることができた。
地面に生えている石を払って平たくし、そこへ下ろし、伸ばした腕を砕いて元通りにする。
見慣れた形の腕で人間を抱え、アメトリンはゆっくりと歩き出した。
「その人間、どこに持っていくつもりだ?」
「ぼくのうち」
「住処に人間を招くなど!」
「じゃあカラスさんのおうちに置いてくれる?」
「……」
カラスさんのおうちは木の上の巣だ。人間を置けるわけがない。
ぼくはなるべく人間の体が揺れないように歩いて、寝床につれていった。
今は子育て中のいきものはいないので、奥へ人間を寝かせる。
薄暗い洞穴の中で、意識のない人間をじっと見つめてみる。
「……本当に顔がつるつるだ」
ところどころ毛が生えているけれど、他の獣と比べて人間はずいぶんと薄毛だ。
それにどうやら、体に張り付いていた皮は脱皮するみたい。
生皮をはがしてしまったかとびっくりしたけれど、皮がとれても血がにじむことはなかった。
ぼろぼろに裂けた薄皮をそっと取り除く。
毛の少ない肌は白っぽく、ところどころ赤や青に変色していた。
これは知ってる。血の流れるいきものは打ち身でこのように肌色が変わるのだ。
洞穴を出て、沢の近くに生えている葉っぱを何枚か摘み取る。
以前サルさんの仲間が、肌の痛みにこの葉を使っていた。
オオカミさんにも効果があったので、人間にも効くのではないだろうか。
葉っぱをぺたぺた貼り付けても人間は目を覚まさなかった。
「まぁいいっか。起きたら話をしよう」
ぼくよりずっと細い手足。
薄い皮膚には血管が透けて見える。
黒っぽい灰色の毛がまばらに生えているだけ。
こんなに弱くてもろいのに、立ち向かってきた。
ふしぎないきもの。
いつまで見つめていても飽きない気がした。
あなたにおすすめの小説
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
過労で倒れかけの騎士団長を「カツ丼」で救ったら、なぜか溺愛され始めました。
水凪しおん
BL
王都の下町で、亡き両親が残した小さな食堂をたった一人で切り盛りする青年、ルカ。
孤独な日々の中で料理だけを生きがいにする彼の店に、ある冷たい雨の夜、全身を濡らし極限まで疲弊した若き騎士団長、レオンハルトが倒れ込むようにやってきた。
固形物さえ受け付けないほど疲労困憊の彼を救うため、ルカが工夫を凝らして生み出したのは、異世界の食材を組み合わせた黄金色の絶品料理「カツ丼」だった。
その圧倒的な美味しさと温もりに心身ともに救われたレオンハルトは、ルカの料理と彼自身に深く魅了され、足繁く店に通うようになる。
カツ丼の噂はまたたく間に王都の騎士たちや人々の間に広がり、食堂は大繁盛。
しかし、その人気を妬む大商会の悪意ある圧力がルカを襲う。
愛する人の居場所を守るため、レオンハルトは権力を振るって不正を暴き、ルカもまた自らの足で立つために「ルカ商会」を設立する決意を固める。
美味しいご飯が傷ついた心を癒やし、やがて二人の絆を「永遠の伴侶」へと変えていく。
胃袋から始まり、下町の小さな食堂から王都の食を支える大商会へと成り上がる、心温まる異世界お料理&溺愛ファンタジー!
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
祖国に棄てられた少年は賢者に愛される
結衣可
BL
祖国に棄てられた少年――ユリアン。
彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。
その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。
絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。
誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。
棄てられた少年と、孤独な賢者。
陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。