ロスト・ナイン

キザキ ケイ

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 穏やかな日差しが降り注ぐ昼下がり。
 大きな窓を開け放ち、爽やかな微風が吹き込む明るい室内にあって、部屋の主はテーブルに突っ伏し憂鬱な溜め息を吐き出した。

「はぁー……」

 目立たないよう控えている従者が、声を掛けあぐねておろおろしている気配を嫌でも感じる。
 心配させてしまって申し訳ないと思う。
 それでも物憂げな様子と溜め息を隠しきれない自分の未熟さにすら、ヨウは気が滅入ってしまいそうだった。

(でもこんなこと、誰にも相談出来ない……!)

 悩ましく柳眉を寄せて嘆息する細身の青年の名はヨウ。
 この国の王宮に滞在する客人であり、極めて重い病を患いながらも回復した奇跡の人であり、現王の恋人でもある。
 ヨウは長らく病床に臥せっていた。
 それは記憶が徐々に失われるという病で、呪法という魔法に似た力によって齎されたものだという。
 恋人であるこの国の王────グーラを狙った悪意が、彼の傍にありながらも魔力が低く自衛のすべを持たないヨウに降りかかったのだと聞かされた。
 一度はすべての記憶を失い、生命すら脅かされる状態だったというが、その後無事快方に向かい、今では当時の後遺症もほとんどなく元気になった。
 喪失した記憶はいくらかは戻ってきたし、日常生活に困らない程度の常識知識や言語は再習得を果たした。
 記憶を失う前もまだまだ途上だったという勉学や、魔法、体術といった実技も日々習得している。
 現在は、魔法と呪法の害から身を守る防衛魔法を会得するため、日夜練習に励んでいる。

(勉強も実技も順調、言葉はもうつっかえることもないし、周囲の人たちもあたたかく接してくれる……けど、こればっかりはなぁ)

 重篤な病を患ったとは思えないほど順調に回復しているヨウを悩ませるもの。
 それは記憶のあるなしに関わらず誰しもが苦悩する事柄────恋人との関係だった。
 現在のヨウが持つ記憶は断片的だ。
 故郷のことはほとんど思い出せず、親の顔すら定かではない。
 一方ごく直近の、この王宮にやってきてからの出来事はそれなりに思い出せている。
 たとえばヨウがお気に入りの庭の四阿で恋人とお茶をしたことや、王宮の廊下で転んだ次の日には足運びがなめらかになる絨毯を敷かれていたこと、魔法の師であるティルクスと仲良く喋っていただけで悋気を起こした恋人にティルクスとの接近禁止命令を出されそうになったことなど。
 何気ない日常の断片が脳裏に蘇るたびつい微笑んでしまうのだが、ある日唐突に気づいた。
 ヨウとグーラが恋人らしい行いをしている記憶が、一切ないということに。

(考えられるパターンは二つ)

 到底集中などできずに閉じてしまった本の表紙を指先でなぞりながら、ヨウの思考は止まらない。
 一つ目は至極単純な結論だ。
 記憶を失う前のヨウとグーラは清い仲で、キスどころか手をつないだこともなかったというもの。
 そもそもヨウはカップルという存在を未だ直に見たことがない。
 記憶を失う前は当然恋人同士や夫婦を見る機会があっただろうが、自身の両親すら思い出せないヨウは、恋人らしい振る舞いの手本が全く無い状態だ。
 王宮内に留め置かれている現状、周囲の人間はほぼすべて仕事中で、恋人といちゃつく姿など見せるはずもない。
 頼みの綱は書物に代表される物語だが、どれだけ探しても手をつなぐことすらしない恋人同士の例は載っていない。
 紙上の彼らは流れるように口づけを交わし、当然のようにそれ以上にも及ぶ。

(で、でも、僕とグーラはどっちも男だし……男女みたいなことはできないだろうから、キスが最終目標だよね)

 二つ目のパターンは、グーラとの恋人らしい行為をまだ思い出せていないというものだ。
 まだらに表出する記憶は内容を選ぶことができない。ふと蘇るものであり、いつ、どれだけの長さ、どんな場面の記憶が思い出されるかはヨウ自身にもわからない。
 だから当然、それまでは恋人らしいアレコレをしていたが未だ記憶が戻っていないだけ、という可能性も大いにあるわけで。

(でも、でもさぁ)

 呪法の魔の手から生き延び、再び恋人になったヨウに、グーラはなにもしてこない。
 彼が従者として振る舞っていた頃にはあった身体的接触も、今は絶えて久しい。
 恋人になる前より触れ合う機会が減るとはどういうことなのか。
 普通恋人同士なら、たとえ相手が同性でも、少しくらいは、触ったりしたいと思うものではないのか。
 つまりヨウはグーラと触れ合いたくてどうしようもなく悶々としているが、記憶を失う前にどのようにそういう雰囲気になっていたか思い出せなくて一人唸っているというわけであった。

「もうっ、どうしたらいいんだー!」
「何がだ」
「わぁっ!?」

 飛び上がるほどに驚いたのは、真横から聞こえた声が今まさに考えを巡らせていた恋人のものだったからだ。
 驚きすぎて椅子から転げ落ちそうになったヨウを、グーラが素早く支えてくれる。
 久しぶりに彼の体に触れた……などと喜ぶ余裕はない。
 ヨウが死の淵から生還して以来、グーラは自らの身分や立場を明かすことなく一人の従者としてヨウの傍にいてくれた。
 その間の王としての仕事をどうしていたのかわからないが、今彼は多忙な身だ。
 きっとヨウの近くにいるために仕事を後回しにしていたのだろう。
 ヨウには想像できないような難しい仕事をたくさん抱えているだろう恋人を煩わせたくない。
 その一心で気持ちを抑え込んだ結果、ヨウはグーラと顔を合わせることすら数日ぶりだった。

「ぐ、グーラ……どうしたの? 仕事は?」
「終わらせてきた。なんだ、俺が帰ってきてはいけなかったか?」
「そんなことない! う……嬉しい……」

 素直な気持ちは、消え入りそうな小声になってしまった。
 思わず俯いたヨウの髪を大きな手のひらが撫でて離れていく。
 横の椅子を引く気配があって、グーラが座った。急に体の右側だけ温度が上がったように感じてしまう。

「本を読んでいたのか」
「う、うん。最近は難しい言葉の出てくる本も読めるようになったから」

 ヨウの手元には数冊の書籍が重ね置かれていた。
 一番上のものは、この国と周辺国の草花の植生をまとめた本だ。
 専門用語が多いが挿絵も同じだけあり、辞書を引きながら読み進めるのが楽しい。
 他にも歴史や政治に関する資料集、庶民の生活を描いた旅日記、挿絵のない小説まで目についたものを図書室から何冊も借りてきた。
 読むのに相応の時間はかかるだろうが、全て一読してみるつもりだ。

「ほう、これは……」
「え?」

 だからグーラが積まれた本の下の方から一冊の書籍を引っ張り出した時、妙に含みのある笑みを浮かべた理由がわからなかった。
 彼の手にあるのは、美しい花のイラストが描かれた表紙の小説だ。
 まだ一ページも読んでいないが、あまり見かけない箔押しの題字と花弁の多い豪華な花の絵が見事だったので借りてきた。あらすじすら見ていない。

「グーラ、それ読んだことあるの?」
「あぁ。図書室にある本は一通り読んだ」
「すごい! どんなお話? 僕はまだ読んでなくて」
「そうか、内容を知らずに借りてきたのだな。これは男女の恋愛を描いた物語だ」

 グーラの語るあらすじをワクワクしながら聞いていたヨウは、次第に顔を赤くして俯くしかなくなった。
 性に奔放な男女が過ごすめくるめく一夜が題材となっていて、特筆すべきは寝台の上での詳細な描写。
 まるで目の前で縺れ合う二人────時には三人以上の男女の姿が目に浮かぶような、瑞々しく大胆な筆致が庶民の間で人気を博した。ただでさえ高価な紐綴じ書籍であるにも関わらず、出版当時飛ぶように売れたという。
 いわゆる、官能小説だ。

「そ……そんなお話だとは……思いませんでした……」
「責めているのではない。ヨウも年若い男子だ、こういう書物に興味が湧くだろうし、欲も溜まるだろう。本音を言えば、恋人である俺を一番に頼って欲しかったが」
「……っ」

 これはチャンスだ。
 ヨウは恥ずかしさを堪えて顔を上向けた。
 色恋の話など誰ともしたことがない。恋人であるグーラとも、記憶が戻って想いを伝えあったあの日以来だ。
 テーブルの上に置かれていたグーラの大きくて筋張った手に手を重ねる。
 彼のものに比べるとヨウの手は細くて白くて情けない。労働を知らず剣を握るにも頼りない、王たるグーラを支えるには力不足しか感じさせない手だ。それでも。
 怯みそうになる気持ちを鼓舞して、必死なまなざしで真紅の瞳を見つめる。

「僕だって、グーラと、その、そういうことを……っ」
「ヨウ? どうした」

 いつにないヨウの様子にグーラは戸惑っているようだった。
 遠回しにしても埒が明かない。
 ただ必死だった。追い詰められた気持ちで椅子から腰を浮かせ、伸び上がった勢いのまま唇を寄せる。
 やり方なんて知らない。
 だから互いの薄い唇越しに硬質な歯の当たる感触があった。ちょっとだけ痛い。
 でも目標は達成できた。

「ぼ、僕は、この小説の登場人物みたいにグーラに触れたいし、触ってほしい。僕は男だから、満足できないと思うけど……」
「ヨウ……」
「僕では、グーラの相手にはなれない?」

 自分で自分の言葉に傷つき、眦がじわりと濡れそうになる。
 泣きたくなんてないのに、悲しみや悔しさが綯い交ぜになって己を制御できそうになかった。
 考えてみれば、あまりにも慢心した独りよがりなことを言ってしまったように思う。
 世の中には小説みたいに即物的ではない恋人たちもいるだろう。グーラとて同じこと。ヨウは多忙なグーラの心をほぐし、癒やしていればよかったのかもしれない。
 自分の欲望など見せるべきではなかった。
 悲観して身を引こうとしたヨウの腰を、頑強な腕ががっしりと掴む。

「えっ、ん、んっ……!」

 顎を捕まえられ、視線すら逸らすことを許されず唇に噛みつかれた。
 小鳥のように口先を触れ合わせるだけだったヨウのものとは何もかも違う、奪い尽くすようなキスだった。

「ぁ、ぐ、ら……ぅ、ん……っ」
「何か勘違いしているな、ヨウ。おまえが俺の相手に不足なわけがない────これでも不意に触れてしまわないよう、必死に我慢していたのだぞ」

 俺をその気にさせた責任、取ってもらおうか。
 力強く迫力がある低音の声が、ヨウの耳には甘くとろけて聞こえる。
 病人同様であった頃のように軽々と抱え上げられたヨウは、瞬く間に部屋の奥の寝台へ放り込まれていた。
 早すぎる展開に目を白黒させているうちに、記憶にある限り初めてのキスはニ度、三度と繰り返され、いつしか一糸まとわぬ丸裸にされてしまっている。
 自らも王のための豪奢な衣を脱ぎ、躊躇なく床に捨てるグーラを見上げながら、ヨウはかろうじて疑問を口にした。

「あ、あの……僕たち男同士だから、ハグとキスくらいしかできない……よね?」

 ヨウには分からなかった。
 細い体躯を精一杯縮めて、涙ぐんで震えながら男を見上げる自身がどれだけ扇情的に映るかなど。
 グーラが浮かべた笑みは自信に満ち溢れ、男くさくて、どこか淫靡な気配を含んでいた。

「できないかどうか、試してみよう」

 それからはあっという間だった。
 ヨウは自室のベッドにそういう目的の香油があることすら知らなかったのに、グーラは手際良くそれらを使ってヨウの体を蕩けさせていく。

「あっ、グーラ、そんなとこ、だめ……っ」
「なぜだ。ヨウは何度もここで俺を受け入れてくれただろう?」
「知らな……お、覚えてな、いっ!」

 止める間もなくグーラの指が後孔に潜り込んできた。
 その刺激だけで気を遣りそうになり、ヨウは混乱の極地に至る。
 普段の生活で存在を意識することのない、ましてや性行為に使用するなんて思いもよらなかった場所を触れられただけで射精しそうになるなんて、絶対におかしい。
 そして思い至った。
 ヨウ自身は忘れていても、ヨウの体は行為を忘れていない可能性。

「前も、こんなことしてたの……?」
「あぁ。数え切れないほどにな」

 とんでもないところで蠢いているグーラの指は、思いのほか優しく慎重だ。
 ヨウも記憶がないなりに、体の力を抜こうとし、荒い呼吸を整えようとしている。肉体的な違和感は少ない。
 男同士でも深くまで触れ合えるんだ。
 それはヨウにとっては目の前が明るくなったと感じるほど嬉しい事実だった。自分はずっとグーラとの関係が不満だったのだと気づく。
 もっと触れたい、触れてほしい。
 重責を担い逃げることもできないこの人を、体の奥まで取り込んで癒してあげたい。そんな欲求が常にあった。
 いつの間にか三本に増えていた指が一気に抜かれる。
 変な声が出てしまったが、それを恥ずかしいと思うことすらない。
 グーラに触れられたらヨウは乱れてしまう。当然のことなのだから、声を殺す必要はない。

「ヨウ……いいか?」
「……うん。きて、グーラ……」

 未知の恐怖がないとは言えない。それでも、薄っすらと汗をかきギラギラと光る目でヨウだけを求める恋人を拒む気は起きなかった。
 ヨウのものと比べるのもおこがましいほど立派な屹立が、綻んだ後孔を押し潰しながら挿入される。
 中のものをきゅうきゅうと締め上げる動きで、肉壁が異物を喜んでいることが伝わってしまう。

「や、あ、あ────」
「挿れただけで果ててしまったか? 相変わらず素直で敏感な体だ」

 びくびくと跳ねる肉体を制御できない。
 下腹を串刺しにされたまま前や胸元を触られただけで、また達してしまいそうになる。
 こんなのは知らない、覚えていないのに。

「グーラ、ぁ、ぐーら……っ」

 目の前の逞しい体に縋りついたのは、恐怖からだった。
 それなのに恋人は容赦なく腰を使い始める。
 ヨウの感情に過敏なほど素早く反応してくれた従者だった彼は、今はヨウを追い詰める王様だ。
 怖いのに気持ちよくて、何も考えられず、ただ揺さぶられるだけ。

「ヨウ、愛してる……」
「────っ、ひぁ、あー……っ!」

 甘く濡れた囁きが落とされ、それを認識した瞬間に頭が真っ白になった。
 腹がびくびくと波打ち、グーラをきつく締め付ける。その感触すら快感に直結して、絶頂に至ったまま降りてこられない。
 初めての行為に翻弄されるヨウの髪を、グーラが何度も優しく撫でてくれたことは覚えてる。
 怖いくらいの気持ちよさに子どものように泣き喚いてしまったことも。
 しかしそれ以外のことは記憶できないまま、ヨウの意識は泥のように深く沈んだ。

 思いの外ぐっすりと眠ってしまったらしく、目が覚めて一瞬状況を理解できなかった。
 寝台の横のランプに火が灯されている。
 周囲には誰もいない。
 ベッドの周囲は天蓋から下がった紗が引かれ、ヨウ自身は全く着た覚えのない夜着を身に纏っている。
 いつの間に自分は寝てしまったのか。そして夜になってしまったのか。
 シーツの上に座り込み、ぼうっと考えて、疲れ果ててしまった理由を思い出して、かぁっと顔が熱を持つ。

(だ、大胆なことしたなぁ、僕……)

 僅かな午睡だったが、眠っている間にヨウはまた少し記憶を取り戻していた。
 記憶を奪われる前から恋人同士だったヨウとグーラは、それこそ数え切れないほど淫らな行為をしてきた。
 ヨウの体がすっかり快楽を受け入れるようになるまで、日を置かず一度に何回も求めあった。時には夜の交わりが明け方まで続いたこともあった。
 それなのになぜか今のヨウは、性的な記憶だけきれいさっぱり忘れていた。
 器用というか、都合がいいというか。
 しかしそのせいでヨウは暴走して先走り、自ら行為をねだってしまった。
 グーラに拒絶されなかったから良かったものの、とにかく恥ずかしい。
 数時間前の痴態だけ忘れられないものか、と顔を覆って蹲るヨウの元へ、静かで大股の足音が近づいてきた。

「ヨウ、起きているのか?」
「あ……お、オハヨウゴザイマス……」
「もう夜だぞ。体は大丈夫か? 久しぶりの触れ合いだったのに、少し無理をさせてしまった」

 グーラは飲み物と軽い食事を用意してくれたらしい。
 王様自らそんなことをさせてしまった罪悪感と、王様が直々に尽くしてくれるという僅かな優越感が混ざった微妙な顔を見られたくなくて、差し出された水のグラスを呷る。

「まさかヨウの初めてを二度も味わえることになるとは、今日は記念すべき日だ」

 不意にとんでもないことを言われ、ヨウは水でむせた。

「ゲホッ……ぇ、な、そ……そうなるの、かな」
「経験がないはずなのに、敏感に反応してしまう体に戸惑うヨウの艶やかなこと。おまえは本当に可愛らしい」

 褒められているのか、恥ずかしがる姿を愉しまれているのか。
 際どいからかい言葉に穴があったら入りたくなる。

「今夜はもう休むか」

 グーラの手のひらには労りだけが込められ、邪な意図など全くなかった。
 それなのに、腰をそっと擦る動きにヨウの体はまだ過剰に反応してしまう。
 この手に愛される喜びと、触れられれば無条件に受け入れるよう教え込まれたことを思い出してしまった。
 びくりと震え、あえかな声を零すヨウにグーラの動きが止まる。

「ぁ、これは、その」
「ヨウ、もしや物足りなかったのか」
「ち、違っ! そんなことは、」
「すまなかった。王の伴侶たるおまえ一人満足させられないとは不甲斐ない……夜は長い、続きといこうか」

 しおらしく謝罪する王という貴重な姿に驚く隙もなく、夜着を剥ぎ取られまた裸にされてしまった。
 貴人にあるまじき早脱がせと疲れを感じさせない物言いに、ヨウは目を丸くする。

「わ、ちょっと……っ! ず、ずっと何ヶ月もしなくてよかったのなら、またしばらくしなくても良いはずでしょ?」
「何を言う。俺はヨウが怯えてしまわないよう、ずっと機を窺って我慢していたのだ。これからは遠慮しない」
「そんな……ひ、ぁ、あっ……」

 数刻前まで翻弄されていた体は目の前の傍若無人な王を拒む気配すらない。
 強引だが優しいグーラの背に縋りつく。
 めくるめく快楽の渦に飲み込まれながら、ヨウの幸せで長い夜は更けていった。
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