叔父に狙われてます

夜山 楓

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急ぐ帰宅

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 叔父に両親の訃報を伝えられて、あたくしはカントリーハウスへと向かっていた。
「おい! もっと急がせろ!」
 叔父は御者に急がせました。馬足は早くなり、凹凸おうとつの多い道に体が跳ねましたから安全紐を強く握りしめます。


 唐突に馬車が止まりました。このような山中でトラブルが起こったのでしょう。窓から外を見ますと、近くに二頭立ての馬車がおりましたわ。
「どうかなさりましたの?」
 叔父は無言で立ち上がると馬車から降りてしまわれます。
「叔父様?」
 あたくしも外へ出ようとしますと、叔父に肩を強く押されて中に留められました。
「何を……」
 見返せば叔父は口許を弛ませて笑い、御者まで馬車を降りております。貴方、トラブル対応はどうなさったの?
「伯爵様、ただ殺すだけじゃあもったいないじゃあありませんかね」
「フン。この女は一応魔法使いだからな。反撃されたら敵わん」
「上玉なのにもったいねえ」
 殺す? 反撃? 何をおっしゃっていますの?
「そらいけ!」
 御者は馬を鞭で強く叩きます。当然、馬は走りだしました。
「え!? 叔父様!?」
 御者もいないまま……
 そして、浮遊感を感じましたの。入り口からの光景は急速に変わる。
「やああああっ!」
 自分のカバンと杖をネット越しに掴む。
「ウインディ・シールド!」 
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