美人の流儀【R18】

RiTa

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『もう大学へは行かないので、お伝えしておきます。
一緒に待ってくれるって言ってくれてありがとう』

「!」

それに気付いたのは、敦が部活を終えた薄暗い時間だった

待ち侘びていたハナさんからのDMに一瞬浮かれたが
文面からポジティブには捉えられなかった

もう来ない…ってなんで
しかもコレって敦とのやり取りは
確実に最後を匂わせてる

どうすればいい?

『何かあったんですか?』

もう最後なら

『今、部活終わりなので、大学でずっと待ってます。
ハナさんが来るまで待ってます』

そうしようと決めた
一晩中でも待って
それで来なければ完全に諦める

ブルルッ
「!」
校門に着いたタイミングで鳴った通知をハナさんからのそれだと思い

『なにしてる?』

藍からの、催促を意味する連絡を咄嗟に既読にしてしまった

『ねぇ』
『ちょっと』
  ・
  ・
  ・
  ・
ブルル…ブルルッ…

着信に変わる
もういい加減にしてくれ

ブルル…ブルル…

もうムリだ
ハナさんと終わりになっても、藍とは別れよう

でも今日じゃない
今日はお願いだから大人しくしていてくれ

『ごめん。バスケのヤツらと飯食って遊んでくるから』

そんな意気込みで送ったのに、文面の最初がごめんだった事に敦は気付いてはいない

『女もいるでしょ』
『ありえないから!』

そこまで通知されたのを見て、敦はとうとう電源を落とした

次会う事があるのなら、刺される覚悟が必要になってしまった

そんな状態で別れ話なんてしたら、ネットニュースに名前が載るかもしれない

藍に別れを告げるタイミングは引き延ばさざる負えない

もし別れられたとしても、ストーカーにでもならなきゃ良いけど





校門の前で真っ暗な画面のスマホをしまい込んでいる時だった

スマホの明かるさを失うと同時に、大きな光が向けられて、視界を真っ白にさせられた敦は
咄嗟に右肘を高くして日陰を作り、その原因を探した

しかし明るさが敦を捉えたのは一瞬で、そのまま光は敦を過ぎ、そしてその光を放っていた1台の車が、敦の立つ校門の前に停車した

「ハナさん…?」

運転席から降りてきたのは、ハナさんだった

「本当に待ってたんだ。ふふっ急いで来たからちょっと寒いの」

薄い部屋着とも言えるスリップドレス風ワンピースにカーディガンを羽織っているだけだ
化粧もしているのか分からない
髪もざっくりハーフアップでまとめているが
その姿も韓流ドラマの女優っぽかった

「ちょっと乗ってもらえるかな?」

「は…はい!」

まさか来てくれるなんて

白いSUVの助手席に乗り込むと、ハナさんが纏う香りがした

ゆっくり走り出しながら

「ずっと待ってるなんて言うから、何かあったのかと思って焦っちゃった。敦くん何かあったの?」

「いや…ハナさんこそ、もう来ないって。
何かあったのかと思って…」

「ふふっそっか…驚かせちゃったならごめんね」

車はゆっくりのまま、駐車場の広いコンビニの隅で停まった

「私の方はね。もう待たなくて大丈夫って意味だったんだけど、分からないよね」

「………誰を…ですか?」

「んー…誰だろう…恋人でもないし…そんな人」

敦を見て微笑んだ顔は美しいのに儚げに見えた

「敦くん、お家どこ?」

「え?」

「ふふっ送るよ。帰ろ」

緊張と最後になりそうな予感とハナさんへの想い
全ての感情がコントロール出来ずに

「俺じゃっ…………ダメっすか?」

口走っていた。なんだかすごく子供っぽくて、そんな自分も恥ずかしく思える

「敦くん彼女いるんでしょ?JKの。
大切にしてあげなきゃ  でも、ありがとう」

「本気っすよ!」

あまりにも相手にされていない現実に腹が立って怒鳴っていた

「俺ハナさんの事本気だから!彼女だって、もうとっくに別れようって決めてるし」

「………でも、別れてないんでしょ?」

「別れるって!なんなら今別れるって言うから!」

敦は暗い画面のままのスマホを取り出し、電源を入れようとする

「やめて。」

それは、ハナさんの冷たい声だった
朗らかなハナさんの、突き放すような声に、敦は動きを止められた
それは一瞬で、直ぐに優しさを取り戻したハナさん

「敦くんはね、いきなり降って湧いた年上の女が物珍しいだけ。自分に都合良く幻想を抱いてのぼせてるだけ」

「違う!俺は本気でハナさんが…この短い時間でもずっと…ハナさんが…」

「酷いこと言うようだけど、きっと1回ヤッたら冷めるよ。なんならそうしようか?」

「!」

ハナさんにキスされると思った
その顔が見たくて瞬きもせずに、鼓動を早めたのに
ハナさんの唇の行き着いた先は敦の耳元だった

「敦くんは私の事何にも知らないでしょ?」

囁く声に全ての性感を刺激されたようだ
全身の毛穴までもハナさんの声を聞き逃さぬよう開ききっている

快感を待ち侘びる身体は、こうなるのだと、敦は初めて体感したのだ
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