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第3章 フィガロは広場に行く1 ニコラス・コレーリャ
パン屋の娘と腕利きの画家 1507年 シエナ、フィレンツェ
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<ソッラ、フランチェスコ・レモリーネス、ミケーレ・ダ・コレーリア、マルガリータとフランチェスコ・ルティ、画家>
ボルジアの紋章が入った剣がきっかけで出会い、恋人同士になったミケーレ・ダ・コレーリアとソッラだったが、ほどなくミケーレは共和国軍(通称市民軍)の司令官を解任されフィレンツェを去ることになった。ソッラは鍛冶屋をしている父親や家族には何も告げず、ミケーレに付いていくことにした。
ソッラの家族から見るならば、駆け落ちということになる。
ミケーレを解任するにあたって、フィレンツェ共和国の官吏であるニッコロ・マキアヴェッリは相応の退職金を用意していた。餞別(せんべつ)として持たせたかったのかもしれない。自身が招聘(しょうへい)したのに、出自で非難を受けて解任せざるを得なくなったことを詫びる趣旨もあっただろう。
それがあればしばらくは生活にも困らないが、早くどこか落ち着く先を見つけないと。ミケーレは真剣に考えなければならなかった。
彼の主君、チェーザレ・ボルジアはかつて中部イタリアをその手に収め、フィレンツェやシエナも征服する直前まで行ったのだ。しかし、チェーザレと同盟しているフランス王が難色を示したことで、それが現実になることはなかった。
ローマには行けない。
現在の教皇ユリウス2世はチェーザレの父、元の教皇アレクサンデル6世とは仇敵(きゅうてき)だった。ユリウス2世がローヴェレ枢機卿(すうききょう、すうきけい)だった頃、アレクサンデル6世の退陣をはかろうとして、逆に追放されてしまったからだ。
積年の恨みを晴らすかのごとく、チェーザレの追放にはユリウス2世が一枚どころか、二枚も三枚も噛んでいた。そのような背景を持つチェーザレの腹心がローマに舞い戻って、現教皇が喜ぶはずはない。よくてもカスタル・サンタンジェロに逆戻り、悪くすればティベレ川(ローマの川)の藻屑になるだけである。どちらもミケーレには好ましいものではない。
教皇庁にはまだチェーザレに縁の深い人間が残っている。
スペイン人の枢機卿、フランチェスコ・レモリーネスである。チェーザレ・ボルジアの家庭教師あるいは連絡役として重きを置かれていた彼は、チェーザレの追放後、ユリウス2世から当然のごとく敵視された。しかし、レモリーネスは粘り強く祖国スペインの国王フェルナンドとの関係を築き直す。そして、ボルジア一派としてではなくスペイン出身の枢機卿という立場を堅固にすることに成功した。その後ユリウス2世とも和解している。レモリーネスが長く側に付いてきたチェーザレの追放を喜ぶはずはない。自分が教皇庁で生き残らなければならないという強い責任感と忍耐力があったからこそできたことなのだ。
ミケーレは1503年の夏を思い出していた。
チェーザレの父である教皇アレクサンデル6世が死去し、チェーザレも倒れたときのことである。ミケロットは熱にさいなまれるチェーザレの指示に従い、教皇庁の城であるカスタル・サンタンジェロを封鎖した。いわゆる戒厳令である。そして、単身枢機卿会議に乗り込み、チェーザレの立場を守るために剣を抜きさえした。
あのとき、枢機卿団の中にいたレモリーネスは抱きしめるかのようにミケーレを抑えながら訴えた。
「おまえがここで誰かの血を流すようなことになれば、それが破滅への幕開けになってしまう。枢機卿を殺害するような愚を犯すな。頼む、ミケロット……」
レモリーネスの目は涙であふれていた。
だから私は剣を収めたのだ。
彼を頼ればあるいは……と一瞬ミケーレは考えた。
しかし、それはユリウス2世の不信を再燃させる結果になるかもしれない。
それはレモリーネスの立場、ひいてはスペインの立場を脅かすことになる。
ボルジア派はすでにローマにいないと考えなければならない。
それを思うと、ローマに足を向けるわけにはいかなかった。
それに、ミケーレには今、守るべき女性がいる。ソッラを危険にさらすような場所には行けない。
ロマーニャ地方をこっそりと通過し、スペインの同胞にあたっていくしかない、というのがミケーレの結論だった。
一方、ソッラはまずシエナに行きたがった。
シエナはフィレンツェから南へ約10レグア(50km)下った、さほど大きくない街である。彼女は少し前にシエナに引っ越した友人マルガリータに会いたいと思っていた。フィレンツェで最後に会ったときマルガリータは、ミケーレとソッラの噂をうっとりとして語っていたのである。
ソッラもそのときはまさか、マルガリータ言うところの「騎士」と駆け落ちすることになるとは思っていなかった。それも知らせたいし、マルガリータにとても会いたい。
ミケーレにそれを話すと、彼は優しく応じた。
「大丈夫だ。シエナからアドリア海の方に抜けることにしよう。友人とゆっくり話せばいい。アドリア海の方に行けばわずかだが、私の知り合いがいると思う。こんなことになってしまって、本当に申し訳ないことをした」とミケーレは悲しそうにソッラを見る。ソッラはいいえ、というしぐさをしてにっこりと笑う。
「あなたがいなくなったら、わたしの心は死んでしまう。だから、あなたと一緒にいられるなら、わたしはどこにでも行くって決めたの。でも……邪魔になったら、いつでもそう言ってね、わたしのだいすきなひと」
ミケーレはぎゅっとソッラを抱きしめて、長い長いキスをした。
ソッラは歩くと言い張ったが、ミケーレは可能な限り馬を調達することにしていた。
それが彼女に対する愛情のしるしだった。
単なる欲望のはけ口としての対象ではない、彼を丸ごと信じて、愛して、すべてを投げ出してついてきてくれた女性への敬愛といってもいい。
ミケーレは彼女を守る「騎士」だった。
シエナに着くと、目当てのパン屋がどのあたりにあるか、すぐに分かった。フィレンツェでも有名だったのだから、シエナで評判にならないはずはない。
パン屋への道を歩きながらミケーレはふっと遠い目をした。ソッラがそれに気がついて聞く。
「どうしたの? 」
ミケーレは笑う。
「ソッラ、学生時代にここのパーリオ(競馬)で優勝したことがあるんだ」
ソッラは目を丸くする。
「本当に? シエナのパーリオといったら荒々しいことで有名だわ。それで優勝するなんて! 本当にあなたは騎士さまなのね!」
ミケーレは慌てて付け足す。
「いや、本当は優勝したのか自分でもよく分からない。暑くてぼうっとしていたから」
ソッラは彼の慌てぶりがおかしくて笑った。初めて会ったときのミケーレはもっと怖くて、いかにも軍人といった風だった。こんな風に慌てたりするとはとても思えなかったのである。
彼女はミケーレのことを何も知らないまま、恋に落ちた。だから相手のことを何でも知りたいと思う。
ソッラ自身は鍛冶屋の話と、父と母がスペインから来たことぐらいしか話すことはない。ミケーレは違う。きっとたいへんな危機をくぐり抜けてきているのだ。本が何冊も書けるぐらい。
彼の人生を丸ごと知りたい。
もっともっと話を聞きたい。彼女は心からそう願っていた。
「ミケーレ、私誰よりもあなたのことに詳しくて……、えーと、誰よりもよく知っている人になりたいの。だからお願い、私にたくさん教えてね」
ミケーレは少し淋しそうに笑った。ソッラはその目を見て胸が締め付けられるような気持ちになる。
この人の悲しみはどこから来るんだろう。それはいつか教えてもらえるのだろうか。
ソッラとミケーレはマルガリータの父親のパン屋にたどり着いた。そこだけ人が集まっているので、すぐそれと分かる。ソッラが駆けていって店の中をのぞき込む。かたまりのパンを手渡している娘は間違いなくマルガリータ、今や懐かしささえ覚える親友である。マルガリータもソッラに気がついて手を振って、駆け寄ってくる。
「何でシエナにいるの!? 久しぶりね! まさかシエナくんだりまで職人全員分のパンを買いにきたわけじゃないでしょう」とマルガリータがソッラを抱きしめながら早口で言う。
ソッラは何から話したらいいのか分からずに、されるがままになっていた。
「ちょっと待ってて! 店番替わってもらうから」
カンポ広場までしゃべりながら歩いてきたソッラとマルガリータの前に、ミケーレはゆっくりと近づいていく。マルガリータが彼を見つけて仰天する。
「あら? 司令官さま!? なぜシエナにいるのですか? え、え、まさか……やっぱりそうだったんだ!」
一人合点がいったマルガリータはソッラの手を握る。ソッラは恥ずかしそうに肩をすくめる。
カンポ広場にある建物の階段に腰掛けて、3人は腰掛けてゆっくりと話をした。
ソッラはフィレンツェから出たことがないので、近場ともいえるこのシエナの広場の光景もたいへん珍しく感じている。そしてきょろきょろと辺りを見回す。
彫刻の施された泉が一角に設けられているのがたいへん美しい。
フィレンツェのシニョーリア広場より広くて素敵だわ。でもフィレンツェに比べると、広場の周りの建物が人混みのようにぎゅうぎゅう詰めになって寄ってくるように見える。まるで建物が広場に押し寄せているみたい。建物がその巨大な身体を揺すって動いている、そんな様子を想像して、ソッラは少しおかしくなった。もちろん建物がそんなことをするはずがない。広場を中心とした扇状になるように、人間が建てたのである。
そしてソッラはなぜ自分たちがここにいるのか、マルガリータに説明した。ミケーレと付き合うようになったいきさつ、そしてミケーレが軍司令官を解任されたこと、駆け落ちのようにしてソッラが家を出てきたこと、これからアドリア海のほうに旅をしていくことなどである。マルガリータは嬉しそうにうなずいている。そして服のパンくずをはたく。
雀がそこに集まってくる。
思いがけないごちそうだと言わんばかりである。
聖フランシスコ並の人気者だな、とミケーレは微笑ましく眺める。マルガリータは雀など眼中にないようで、ソッラの話に聞き入っている。
「そうね、やっぱり好きな人と一緒にいたいと思うものよね。応援するわ。もし、あなたのお父さんが行方を尋ねて店に来たら、そうねぇ、ナポリに行ったとでも言っておく。もしお腹がすいたらこっそり店の裏に来て口笛を吹いてね、私、いくらでもパンを持ってくるわ。シエナに隠れていなさいよ。だめ?」
ミケーレは笑う。ソッラの友人だというこのパン屋の娘は聡明で気取りがない。そして、清らかな美しさを持っている。
そのマルガリータは、ソッラの顔を見て何か言いたそうな顔をしている。ミケーレはすっと立ってソッラに耳打ちする。
「シエナは久しぶりだから、少し散歩してくるよ」
背中を向けて石畳を歩いていく元フィレンツェ軍司令官を見て、マルガリータは微笑んだ。そして、
「優しくて素敵な人。あなたはいい男に見初められたのね……」と淋しげにつぶやく。そして自分のことをぽつりぽつりとソッラに話し出した。
ミケーレがパーリオのコースをたどって戻ってくると、二人はすでに立ち上がってミケーレを待っていた。少しゆっくりまわり過ぎたようだ。ソッラが待ちかねたように駆け寄って抱きつく。
「ミケーレ! あなたが広場にいると私はいつもどきどきしてしまうの。だって、パンを抱えた私を初めて抱きしめてくれた場所だから。大好きなひと!」
マルガリータがくすくす笑う。
「ああ、ごちそうさまでした。私はせいぜいうちのパンでも食べて、ぶくぶくに太ってやるんだから。あ、そろそろ戻らないと。後で店に来て、焼き立てを用意しておくから!」とマルガリータは笑って去っていく。
「口調はざっくばらんだが、優しい女性だな」とミケーレが言う。ソッラは少し不機嫌になる。
「確かにそうなんだけど、だめよ、私以外の女性を見てはダメ! でもね、マルガリータもたいへんみたい」と釘をさしながら、ソッラは彼女の話をはじめた。
マルガリータのパン屋がシエナに引っ越す前、フィレンツェにいた頃のこと。そのパン屋によく来る客がいた。彼女の(いや、正確には彼女の父、フランチェスコ・ルティの)店はたいへん評判だったので、常連客が多いのは説明するまでもない。ただ、その客の目当てはパンではなく、マルガリータだった。その客はマルガリータと年齢もそう変わらない(ように見える)。強い瞳が印象的な美青年だ。彼は招かれてフィレンツェに来た新進気鋭の画家で、そもそも絵に使う道具としてパンを買いに来たのだった。
「店をやってると、結局お客さんに持っていかれてしまうのね」とソッラは笑う。ミケーレも苦笑する。
マルガリータはその画家に熱烈に口説かれた。ちょうどその頃彼は聖母の絵を描いていたので、「モデルになってほしい」と頼まれたのだ。もちろん最初は断ったのだが、何度も店にやって来る。この美しい青年に、マルガリータもはじめ嫌な感情は持っていなかったので少し迷ってはいた。
そして、モデルになるだけなら……と思っていた矢先、決定的なことが起こった。
薄暗い裏道で、彼が他の女性と抱擁する姿に出くわしてしまったのだ。まるで蛇がからみあっているような様子で、誰がどう見てもかなり深い関係としか判断できない。そのような経験のないマルガリータはひどくショックを受けた。
「あなたがそういうことをしていなくてよかったわ、本当に」とソッラはミケーレに言う。
マルガリータはその衝撃からなかなか立ち直れなかった。相手の熱のこもった口説き文句に誠意はかけらもなかったのだ。きっと、生娘だから簡単に引っ掛かると思ったのだ。あの愛人と二人で私のことを笑っていたに決まっている。バカにしてる、冗談じゃない!
くやしい……。
それを真に受けた私は何て大バカなんだろう。マルガリータは恥ずかしさと怒りのあまり、店にあるパンの生地を引きちぎって叩きつけた。床にではなく、テーブルだったのだが。
翌日おそるおそる店に入ろうとした画家に、マルガリータは一言の弁明もさせなかった。
「もう来ないでください」と言って、バタンと扉を閉めた。
しかし、その画家はあくる日も、また次の日もパン屋の扉を開けて彼女に話しかけた。
「マルガリータ、あなたがつれなくするから、僕はつい、他の女性に心を惑わされたのです。あなたを傷つけたことは謝ります。せめて話だけでもしてもらえませんか」
マルガリータは黙って下を向いたままだ。画家はなおも切なく懇願する。
「僕の目に映るのはあなただけでいい。僕の耳に響くのはあなたの声だけでいい。僕の唇をふさぐのは……」
マルガリータは側にあった布巾(ふきん)を画家の顔に投げつける。その表情は怒りにあふれている。
「二度と来ないで!」
それでも画家はしばらく店に現れた。
彼女は一切返事をしなかったし、そのうちに彼の姿が見えたら店番を替わってもらい、隠れるようになった。マルガリータの父、フランチェスコもその画家の女性関係についての噂は知っていた。ただ、絵の腕前は超一流で、そちらの評判のほうがはるかに高かったので、愛娘とのこともあえて触れないようにしていた。しかし、当の本人がこれだけ拒んでいるのだから、なすべきことは決まっている。
ある日、現れた画家に父親は一喝した。
「お客さん、あんたに売るパンはない。もう二度と来ないでくれ、来たらこれでぶん殴ってやる! 娘をかどわかしやがって!」
生地打ち棒を手にした大柄なフランチェスコを見て、画家はさすがにそれ以上何も言えず、うなだれて帰っていった。
フランチェスコのパン屋がシエナに移転してから画家が顔を見せたことはない。
ただ、たまにマルガリータあてに手紙が届く。熱烈な恋文だが、それはマルガリータの父フランチェスコの弁で、当の彼女は見ていない。
父のフランチェスコは、「またこういうことがあるといけないから、腕のいいパン職人と結婚させる」と言っていて、それがマルガリータの目下の悩みらしい。
「とんだとばっちりよ。ひどいと思わない?」とソッラがミケーレに同意を求める。
「そうだな……男にもいろいろいると思うが……結局いくら威張っている男でも、女性に癒されることを求めるものだ。その画家は本当に彼女に恋をしているのかもしれない……」
ミケーレのつぶやきにソッラはまたふくれ顔をする。
「それって、女なら誰でもいいってことじゃなくて? ミケーレもそうなの?」
ミケーレはソッラのふくれっつらを見て愛らしいと思う。そして、シエナの空を見上げてつぶやくように言う。
「ソッラはソーレ(太陽)だ。たったひとつしかない」
ソッラは大輪のひまわりのような笑顔を見せる。ミケーレも微笑む。
冬がそろそろ本番になるが、シエナの太陽はまだ旅人を温めるだけの熱を持っている。
この先の道筋はミケーレの心にはとてもつらいものになる。本人もそれは十分に分かっていた。
しかしどんなにつらくとも、彼は再度その道を辿るべきだと考えている。
かつて、チェーザレ・ボルジアとともに進軍した道を。
ボルジアの紋章が入った剣がきっかけで出会い、恋人同士になったミケーレ・ダ・コレーリアとソッラだったが、ほどなくミケーレは共和国軍(通称市民軍)の司令官を解任されフィレンツェを去ることになった。ソッラは鍛冶屋をしている父親や家族には何も告げず、ミケーレに付いていくことにした。
ソッラの家族から見るならば、駆け落ちということになる。
ミケーレを解任するにあたって、フィレンツェ共和国の官吏であるニッコロ・マキアヴェッリは相応の退職金を用意していた。餞別(せんべつ)として持たせたかったのかもしれない。自身が招聘(しょうへい)したのに、出自で非難を受けて解任せざるを得なくなったことを詫びる趣旨もあっただろう。
それがあればしばらくは生活にも困らないが、早くどこか落ち着く先を見つけないと。ミケーレは真剣に考えなければならなかった。
彼の主君、チェーザレ・ボルジアはかつて中部イタリアをその手に収め、フィレンツェやシエナも征服する直前まで行ったのだ。しかし、チェーザレと同盟しているフランス王が難色を示したことで、それが現実になることはなかった。
ローマには行けない。
現在の教皇ユリウス2世はチェーザレの父、元の教皇アレクサンデル6世とは仇敵(きゅうてき)だった。ユリウス2世がローヴェレ枢機卿(すうききょう、すうきけい)だった頃、アレクサンデル6世の退陣をはかろうとして、逆に追放されてしまったからだ。
積年の恨みを晴らすかのごとく、チェーザレの追放にはユリウス2世が一枚どころか、二枚も三枚も噛んでいた。そのような背景を持つチェーザレの腹心がローマに舞い戻って、現教皇が喜ぶはずはない。よくてもカスタル・サンタンジェロに逆戻り、悪くすればティベレ川(ローマの川)の藻屑になるだけである。どちらもミケーレには好ましいものではない。
教皇庁にはまだチェーザレに縁の深い人間が残っている。
スペイン人の枢機卿、フランチェスコ・レモリーネスである。チェーザレ・ボルジアの家庭教師あるいは連絡役として重きを置かれていた彼は、チェーザレの追放後、ユリウス2世から当然のごとく敵視された。しかし、レモリーネスは粘り強く祖国スペインの国王フェルナンドとの関係を築き直す。そして、ボルジア一派としてではなくスペイン出身の枢機卿という立場を堅固にすることに成功した。その後ユリウス2世とも和解している。レモリーネスが長く側に付いてきたチェーザレの追放を喜ぶはずはない。自分が教皇庁で生き残らなければならないという強い責任感と忍耐力があったからこそできたことなのだ。
ミケーレは1503年の夏を思い出していた。
チェーザレの父である教皇アレクサンデル6世が死去し、チェーザレも倒れたときのことである。ミケロットは熱にさいなまれるチェーザレの指示に従い、教皇庁の城であるカスタル・サンタンジェロを封鎖した。いわゆる戒厳令である。そして、単身枢機卿会議に乗り込み、チェーザレの立場を守るために剣を抜きさえした。
あのとき、枢機卿団の中にいたレモリーネスは抱きしめるかのようにミケーレを抑えながら訴えた。
「おまえがここで誰かの血を流すようなことになれば、それが破滅への幕開けになってしまう。枢機卿を殺害するような愚を犯すな。頼む、ミケロット……」
レモリーネスの目は涙であふれていた。
だから私は剣を収めたのだ。
彼を頼ればあるいは……と一瞬ミケーレは考えた。
しかし、それはユリウス2世の不信を再燃させる結果になるかもしれない。
それはレモリーネスの立場、ひいてはスペインの立場を脅かすことになる。
ボルジア派はすでにローマにいないと考えなければならない。
それを思うと、ローマに足を向けるわけにはいかなかった。
それに、ミケーレには今、守るべき女性がいる。ソッラを危険にさらすような場所には行けない。
ロマーニャ地方をこっそりと通過し、スペインの同胞にあたっていくしかない、というのがミケーレの結論だった。
一方、ソッラはまずシエナに行きたがった。
シエナはフィレンツェから南へ約10レグア(50km)下った、さほど大きくない街である。彼女は少し前にシエナに引っ越した友人マルガリータに会いたいと思っていた。フィレンツェで最後に会ったときマルガリータは、ミケーレとソッラの噂をうっとりとして語っていたのである。
ソッラもそのときはまさか、マルガリータ言うところの「騎士」と駆け落ちすることになるとは思っていなかった。それも知らせたいし、マルガリータにとても会いたい。
ミケーレにそれを話すと、彼は優しく応じた。
「大丈夫だ。シエナからアドリア海の方に抜けることにしよう。友人とゆっくり話せばいい。アドリア海の方に行けばわずかだが、私の知り合いがいると思う。こんなことになってしまって、本当に申し訳ないことをした」とミケーレは悲しそうにソッラを見る。ソッラはいいえ、というしぐさをしてにっこりと笑う。
「あなたがいなくなったら、わたしの心は死んでしまう。だから、あなたと一緒にいられるなら、わたしはどこにでも行くって決めたの。でも……邪魔になったら、いつでもそう言ってね、わたしのだいすきなひと」
ミケーレはぎゅっとソッラを抱きしめて、長い長いキスをした。
ソッラは歩くと言い張ったが、ミケーレは可能な限り馬を調達することにしていた。
それが彼女に対する愛情のしるしだった。
単なる欲望のはけ口としての対象ではない、彼を丸ごと信じて、愛して、すべてを投げ出してついてきてくれた女性への敬愛といってもいい。
ミケーレは彼女を守る「騎士」だった。
シエナに着くと、目当てのパン屋がどのあたりにあるか、すぐに分かった。フィレンツェでも有名だったのだから、シエナで評判にならないはずはない。
パン屋への道を歩きながらミケーレはふっと遠い目をした。ソッラがそれに気がついて聞く。
「どうしたの? 」
ミケーレは笑う。
「ソッラ、学生時代にここのパーリオ(競馬)で優勝したことがあるんだ」
ソッラは目を丸くする。
「本当に? シエナのパーリオといったら荒々しいことで有名だわ。それで優勝するなんて! 本当にあなたは騎士さまなのね!」
ミケーレは慌てて付け足す。
「いや、本当は優勝したのか自分でもよく分からない。暑くてぼうっとしていたから」
ソッラは彼の慌てぶりがおかしくて笑った。初めて会ったときのミケーレはもっと怖くて、いかにも軍人といった風だった。こんな風に慌てたりするとはとても思えなかったのである。
彼女はミケーレのことを何も知らないまま、恋に落ちた。だから相手のことを何でも知りたいと思う。
ソッラ自身は鍛冶屋の話と、父と母がスペインから来たことぐらいしか話すことはない。ミケーレは違う。きっとたいへんな危機をくぐり抜けてきているのだ。本が何冊も書けるぐらい。
彼の人生を丸ごと知りたい。
もっともっと話を聞きたい。彼女は心からそう願っていた。
「ミケーレ、私誰よりもあなたのことに詳しくて……、えーと、誰よりもよく知っている人になりたいの。だからお願い、私にたくさん教えてね」
ミケーレは少し淋しそうに笑った。ソッラはその目を見て胸が締め付けられるような気持ちになる。
この人の悲しみはどこから来るんだろう。それはいつか教えてもらえるのだろうか。
ソッラとミケーレはマルガリータの父親のパン屋にたどり着いた。そこだけ人が集まっているので、すぐそれと分かる。ソッラが駆けていって店の中をのぞき込む。かたまりのパンを手渡している娘は間違いなくマルガリータ、今や懐かしささえ覚える親友である。マルガリータもソッラに気がついて手を振って、駆け寄ってくる。
「何でシエナにいるの!? 久しぶりね! まさかシエナくんだりまで職人全員分のパンを買いにきたわけじゃないでしょう」とマルガリータがソッラを抱きしめながら早口で言う。
ソッラは何から話したらいいのか分からずに、されるがままになっていた。
「ちょっと待ってて! 店番替わってもらうから」
カンポ広場までしゃべりながら歩いてきたソッラとマルガリータの前に、ミケーレはゆっくりと近づいていく。マルガリータが彼を見つけて仰天する。
「あら? 司令官さま!? なぜシエナにいるのですか? え、え、まさか……やっぱりそうだったんだ!」
一人合点がいったマルガリータはソッラの手を握る。ソッラは恥ずかしそうに肩をすくめる。
カンポ広場にある建物の階段に腰掛けて、3人は腰掛けてゆっくりと話をした。
ソッラはフィレンツェから出たことがないので、近場ともいえるこのシエナの広場の光景もたいへん珍しく感じている。そしてきょろきょろと辺りを見回す。
彫刻の施された泉が一角に設けられているのがたいへん美しい。
フィレンツェのシニョーリア広場より広くて素敵だわ。でもフィレンツェに比べると、広場の周りの建物が人混みのようにぎゅうぎゅう詰めになって寄ってくるように見える。まるで建物が広場に押し寄せているみたい。建物がその巨大な身体を揺すって動いている、そんな様子を想像して、ソッラは少しおかしくなった。もちろん建物がそんなことをするはずがない。広場を中心とした扇状になるように、人間が建てたのである。
そしてソッラはなぜ自分たちがここにいるのか、マルガリータに説明した。ミケーレと付き合うようになったいきさつ、そしてミケーレが軍司令官を解任されたこと、駆け落ちのようにしてソッラが家を出てきたこと、これからアドリア海のほうに旅をしていくことなどである。マルガリータは嬉しそうにうなずいている。そして服のパンくずをはたく。
雀がそこに集まってくる。
思いがけないごちそうだと言わんばかりである。
聖フランシスコ並の人気者だな、とミケーレは微笑ましく眺める。マルガリータは雀など眼中にないようで、ソッラの話に聞き入っている。
「そうね、やっぱり好きな人と一緒にいたいと思うものよね。応援するわ。もし、あなたのお父さんが行方を尋ねて店に来たら、そうねぇ、ナポリに行ったとでも言っておく。もしお腹がすいたらこっそり店の裏に来て口笛を吹いてね、私、いくらでもパンを持ってくるわ。シエナに隠れていなさいよ。だめ?」
ミケーレは笑う。ソッラの友人だというこのパン屋の娘は聡明で気取りがない。そして、清らかな美しさを持っている。
そのマルガリータは、ソッラの顔を見て何か言いたそうな顔をしている。ミケーレはすっと立ってソッラに耳打ちする。
「シエナは久しぶりだから、少し散歩してくるよ」
背中を向けて石畳を歩いていく元フィレンツェ軍司令官を見て、マルガリータは微笑んだ。そして、
「優しくて素敵な人。あなたはいい男に見初められたのね……」と淋しげにつぶやく。そして自分のことをぽつりぽつりとソッラに話し出した。
ミケーレがパーリオのコースをたどって戻ってくると、二人はすでに立ち上がってミケーレを待っていた。少しゆっくりまわり過ぎたようだ。ソッラが待ちかねたように駆け寄って抱きつく。
「ミケーレ! あなたが広場にいると私はいつもどきどきしてしまうの。だって、パンを抱えた私を初めて抱きしめてくれた場所だから。大好きなひと!」
マルガリータがくすくす笑う。
「ああ、ごちそうさまでした。私はせいぜいうちのパンでも食べて、ぶくぶくに太ってやるんだから。あ、そろそろ戻らないと。後で店に来て、焼き立てを用意しておくから!」とマルガリータは笑って去っていく。
「口調はざっくばらんだが、優しい女性だな」とミケーレが言う。ソッラは少し不機嫌になる。
「確かにそうなんだけど、だめよ、私以外の女性を見てはダメ! でもね、マルガリータもたいへんみたい」と釘をさしながら、ソッラは彼女の話をはじめた。
マルガリータのパン屋がシエナに引っ越す前、フィレンツェにいた頃のこと。そのパン屋によく来る客がいた。彼女の(いや、正確には彼女の父、フランチェスコ・ルティの)店はたいへん評判だったので、常連客が多いのは説明するまでもない。ただ、その客の目当てはパンではなく、マルガリータだった。その客はマルガリータと年齢もそう変わらない(ように見える)。強い瞳が印象的な美青年だ。彼は招かれてフィレンツェに来た新進気鋭の画家で、そもそも絵に使う道具としてパンを買いに来たのだった。
「店をやってると、結局お客さんに持っていかれてしまうのね」とソッラは笑う。ミケーレも苦笑する。
マルガリータはその画家に熱烈に口説かれた。ちょうどその頃彼は聖母の絵を描いていたので、「モデルになってほしい」と頼まれたのだ。もちろん最初は断ったのだが、何度も店にやって来る。この美しい青年に、マルガリータもはじめ嫌な感情は持っていなかったので少し迷ってはいた。
そして、モデルになるだけなら……と思っていた矢先、決定的なことが起こった。
薄暗い裏道で、彼が他の女性と抱擁する姿に出くわしてしまったのだ。まるで蛇がからみあっているような様子で、誰がどう見てもかなり深い関係としか判断できない。そのような経験のないマルガリータはひどくショックを受けた。
「あなたがそういうことをしていなくてよかったわ、本当に」とソッラはミケーレに言う。
マルガリータはその衝撃からなかなか立ち直れなかった。相手の熱のこもった口説き文句に誠意はかけらもなかったのだ。きっと、生娘だから簡単に引っ掛かると思ったのだ。あの愛人と二人で私のことを笑っていたに決まっている。バカにしてる、冗談じゃない!
くやしい……。
それを真に受けた私は何て大バカなんだろう。マルガリータは恥ずかしさと怒りのあまり、店にあるパンの生地を引きちぎって叩きつけた。床にではなく、テーブルだったのだが。
翌日おそるおそる店に入ろうとした画家に、マルガリータは一言の弁明もさせなかった。
「もう来ないでください」と言って、バタンと扉を閉めた。
しかし、その画家はあくる日も、また次の日もパン屋の扉を開けて彼女に話しかけた。
「マルガリータ、あなたがつれなくするから、僕はつい、他の女性に心を惑わされたのです。あなたを傷つけたことは謝ります。せめて話だけでもしてもらえませんか」
マルガリータは黙って下を向いたままだ。画家はなおも切なく懇願する。
「僕の目に映るのはあなただけでいい。僕の耳に響くのはあなたの声だけでいい。僕の唇をふさぐのは……」
マルガリータは側にあった布巾(ふきん)を画家の顔に投げつける。その表情は怒りにあふれている。
「二度と来ないで!」
それでも画家はしばらく店に現れた。
彼女は一切返事をしなかったし、そのうちに彼の姿が見えたら店番を替わってもらい、隠れるようになった。マルガリータの父、フランチェスコもその画家の女性関係についての噂は知っていた。ただ、絵の腕前は超一流で、そちらの評判のほうがはるかに高かったので、愛娘とのこともあえて触れないようにしていた。しかし、当の本人がこれだけ拒んでいるのだから、なすべきことは決まっている。
ある日、現れた画家に父親は一喝した。
「お客さん、あんたに売るパンはない。もう二度と来ないでくれ、来たらこれでぶん殴ってやる! 娘をかどわかしやがって!」
生地打ち棒を手にした大柄なフランチェスコを見て、画家はさすがにそれ以上何も言えず、うなだれて帰っていった。
フランチェスコのパン屋がシエナに移転してから画家が顔を見せたことはない。
ただ、たまにマルガリータあてに手紙が届く。熱烈な恋文だが、それはマルガリータの父フランチェスコの弁で、当の彼女は見ていない。
父のフランチェスコは、「またこういうことがあるといけないから、腕のいいパン職人と結婚させる」と言っていて、それがマルガリータの目下の悩みらしい。
「とんだとばっちりよ。ひどいと思わない?」とソッラがミケーレに同意を求める。
「そうだな……男にもいろいろいると思うが……結局いくら威張っている男でも、女性に癒されることを求めるものだ。その画家は本当に彼女に恋をしているのかもしれない……」
ミケーレのつぶやきにソッラはまたふくれ顔をする。
「それって、女なら誰でもいいってことじゃなくて? ミケーレもそうなの?」
ミケーレはソッラのふくれっつらを見て愛らしいと思う。そして、シエナの空を見上げてつぶやくように言う。
「ソッラはソーレ(太陽)だ。たったひとつしかない」
ソッラは大輪のひまわりのような笑顔を見せる。ミケーレも微笑む。
冬がそろそろ本番になるが、シエナの太陽はまだ旅人を温めるだけの熱を持っている。
この先の道筋はミケーレの心にはとてもつらいものになる。本人もそれは十分に分かっていた。
しかしどんなにつらくとも、彼は再度その道を辿るべきだと考えている。
かつて、チェーザレ・ボルジアとともに進軍した道を。
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