彼氏と別れた事を幼なじみに言ったら突然告られて「裸を見たい」と懇願されました。

はる

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BELOVED

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ホールの入口付近でたーくんを待っていると、たーくんのお母さんとお父さんと会って挨拶した。

2人は今日そのままお母さんの実家の方に2日間くらい帰る予定らしく、たーくんより先に出てきたそうだ。

「匠1人じゃ心配だから泊まりにでも来てやって」と言われて「もう高校生だから平気ですよ」と言って笑った。

2人と別れて暫くしてから、たーくんが小走りでやってきた。

そんなに急がなくていいのにって思うとついクスッと笑ってしまった。

「レイちゃん、待たせてごめんね。」

「んーん、全然。演奏めちゃくちゃ良かった!マジで死ぬほどめちゃくちゃ良かったよ!!」

「ありがとう。レイちゃんにそう言って貰えて本当に嬉しい。心血を注いで演奏した甲斐があるよ。ところで、目、大丈夫?」

「目…?」

「赤くなってるから…」

「あぁ…演奏があまりに素敵で思わずいっぱい泣いちゃった。てか、たーくんも目赤いよ?」

「俺も感極まってさ…。」

「最近、俺らよく泣くよな。」

「ほんとだね。」

そう言って、笑った。

「たーくん、話があるんだ。外に出ない?」

「うん、いいよ。」

俺とたーくんは、近くの公園に移動した。

途中の自販機でたーくんがオレンジジュースを買ってくれた。

何も言わずに俺が一番好きなものを買ってくれるところとかもう本当優しいなって思う。

本当は、素敵な演奏を聴かせてくれたたーくんに俺が買ってあげたかったのに、いつの間にか買ってるんだもん。

しかも、俺にもプレゼントさせてって言って缶コーヒーを買おうとしたけど、たーくん強情でなかなか買わせてくれない。(強引に買ったけど)

でもこのやりとりのお陰で、今から話すことに緊張していた俺は少し気持ちが和らいだ。

俺達は並んでベンチに座った。

買ってもらったオレンジジュースを1口飲む。

甘酸っぱい味が口の中に広がった。

深く深呼吸をして、俺は話し始めた。

「たーくんはね、空気のような存在なんだ。」

「え、それって存在感薄いって事?」

「あ!違う違う!うぅ…ごめん…言葉のチョイス完全にミスった。落ち着け…落ち着け俺…」

「はは、どうしたのレイちゃん。」

「あのね、たーくん。空気のような存在って言ったのは、いつも当たり前のように側に居てくれて、もし居なくなったらきっと俺は息が出来なくて苦しくなるんだ。っていう意味。 」

たーくんは、少し驚いた表情で俺の顔を見た。

俺は、笑顔を作って話を続けた。

「たーくん、覚えてるかな。幼稚園の初日の事。一人でブランコにいた俺に声をかけてくれたよね。あの時、すごく寂しくて心細かったんだ。だから、たーくんが話しかけてくれて物凄く嬉しかった。花火の日、本当の自分を隠さないで、無理しないでって言ってくれたじゃん。たーくんの言う通り、ずっと無理してた。周りに心配かけたくなくて。でもたーくんはそんなところも見抜いていたんだなぁって。あのブランコの時から今日までずっとずっと見ていてくれていたんだなって改めて感じたんだ。俺…僕。すごく嬉しかった。」

久しぶりに自分の事を"僕"と言った。

たーくんの前では素の自分を出したいって思った。

たーくんは、黙って話を聞いてくれていた。

僕は、一呼吸おいて、続けた。

「ずっと僕の事を想っていてくれてありがとう。好きって言ってくれてありがとう。僕もたーくんのことが好きだよ。」

「レイちゃん…本当に…?」

たーくんは、目を潤ませていた。

それを見て、僕もまた泣きそうになる。

「本当だよ。たーくんのことが大好き。でもね…いつもたーくんは僕のことをいっぱい考えてくれていて、たくさんのものを与えてくれていたのに、僕はたーくんの気持ちにも気付かず、何も与えられていなくて、こんな自分でいいのかなって思ったりもしたんだ…。」

「違うよ。レイちゃんは何よりも大切なものを俺に与えてくれているよ。」

「大切なもの?」

「そう。俺の人生に意味を与えてくれたんだよ。」

たーくんの言葉に、自然と涙が零れた。

たちまち嗚咽で喋れなくなった僕の代わりにたーくんが言ってくれた。

「俺はレイちゃんに出逢えて心の底から良かったと思っているよ。そう思える人がいるのはものすごく幸せなことだと思う。俺は3歳にして出逢えていたんだ。こんなに幸せなことは無いよ、レイちゃん。」

「たーくん…たーくん…ッ」

「レイちゃん…!」

僕達は、どちらからともなく、強く抱き合った。

そして、どちらからともなく、キスをした。

綺麗な満月がまるでスポットライトのような演出で僕らを照らしているような気がした。
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