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「ぺトリコール」
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乾いた制服を取り出し、リイドさんと僕はコインランドリーの外に出た。
「あれ、雨上がってるね。」
「わ、本当だ。」
さっきまで土砂降りだった雨は、嘘のように上がっていた。
「雨上がりの匂いがするね。」と、リイドさんが言った。
「雨上がりの匂いのこと、"ぺトリコール"って言うんだよ。」
僕は大きく深呼吸をしてから「僕、この匂い好きなんだ」と言った。
反応がなかったので、どうしたのかと思ってリイドさんを見た。そして驚いた。
「え、リイドさん!?」
リイドさんの頬に一筋の涙が流れ落ちていた。
「あ…ごめん…昔の事を思い出してしまって。」
リイドさんは慌てた様子で涙を拭うと、僕に笑顔を向けた。昔の事…?
僕が何かを言おうとする前にリイドさんは続けて言った。
「服、次回会った時に返してくれればいいからね。風邪ひかない様に、帰ったらすぐお風呂に入って温まってね。」
そう言って踵を返し、花屋に戻ろうとするリイドさんに僕は慌てて声をかけた。
「明日!お仕事何時まで!?」
リイドさんはこちらを向いて「18時までだよ。」と答えた。
涙はもう拭ったみたいだった。
「じゃあ、明日の18時に服を返しに行きます。それと…あの…」
僕が口ごもると、「ゆっくりでいいよ。」という柔らかい声が聞こえる。
本当に優しい人だと思った。
「えっと、もし良かったらそのあと晩御飯でもどうかなって…お礼にご馳走させてほしくて。」
少し早口になったけどちゃんと言えた。
「うん、いいよ。ありがとう。でもわざわざご馳走して貰わなくても大丈夫だよ。」
「でも…なにかお礼をしたくて。昨日のお花だってタダでもらっているし。」
「うーん、じゃあ俺の行きつけのお店に一緒に行こう。マスターと知り合いで、安くしてくれるからさ。」
「えー、でも…」
「ナポリタンが美味しいんだよ。」
「行く。」
思わず即答してしまい、恥ずかしくなる。
でも、リイドさんのクスッと笑った顔が見られたから良かったかもしれないとも思う。
ていうか、なんで僕の好みがわかったんだろう。
「あれ、雨上がってるね。」
「わ、本当だ。」
さっきまで土砂降りだった雨は、嘘のように上がっていた。
「雨上がりの匂いがするね。」と、リイドさんが言った。
「雨上がりの匂いのこと、"ぺトリコール"って言うんだよ。」
僕は大きく深呼吸をしてから「僕、この匂い好きなんだ」と言った。
反応がなかったので、どうしたのかと思ってリイドさんを見た。そして驚いた。
「え、リイドさん!?」
リイドさんの頬に一筋の涙が流れ落ちていた。
「あ…ごめん…昔の事を思い出してしまって。」
リイドさんは慌てた様子で涙を拭うと、僕に笑顔を向けた。昔の事…?
僕が何かを言おうとする前にリイドさんは続けて言った。
「服、次回会った時に返してくれればいいからね。風邪ひかない様に、帰ったらすぐお風呂に入って温まってね。」
そう言って踵を返し、花屋に戻ろうとするリイドさんに僕は慌てて声をかけた。
「明日!お仕事何時まで!?」
リイドさんはこちらを向いて「18時までだよ。」と答えた。
涙はもう拭ったみたいだった。
「じゃあ、明日の18時に服を返しに行きます。それと…あの…」
僕が口ごもると、「ゆっくりでいいよ。」という柔らかい声が聞こえる。
本当に優しい人だと思った。
「えっと、もし良かったらそのあと晩御飯でもどうかなって…お礼にご馳走させてほしくて。」
少し早口になったけどちゃんと言えた。
「うん、いいよ。ありがとう。でもわざわざご馳走して貰わなくても大丈夫だよ。」
「でも…なにかお礼をしたくて。昨日のお花だってタダでもらっているし。」
「うーん、じゃあ俺の行きつけのお店に一緒に行こう。マスターと知り合いで、安くしてくれるからさ。」
「えー、でも…」
「ナポリタンが美味しいんだよ。」
「行く。」
思わず即答してしまい、恥ずかしくなる。
でも、リイドさんのクスッと笑った顔が見られたから良かったかもしれないとも思う。
ていうか、なんで僕の好みがわかったんだろう。
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