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青い薔薇
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「このお店だよ。」
案内されて着いたのはオシャレな純喫茶だった。
「ブルーローズ?」
僕は店名を読み上げた。
「そう。青い薔薇っていう意味だね。店名に花を使っているところも好きなんだ。」
リイドさんがそう教えてくれる。
本当に花が好きなんだなぁとか、こういう雰囲気の喫茶店が好きなんだなぁとか、リイドさんの事を少し知れてなんだか嬉しい気持ちになった。
「青い色の薔薇って実在するの?」
「青い薔薇って自然界には存在しないんだよ。でも、長い研究と努力による遺伝子の組み替え技術で作り出されたんだってさ。それに由来した特別な花言葉があるんだよ。」
リイドさんの話の途中で、お店のドアが開いた。
中からは、黒いハットにサングラスを掛けたかなり年配の髭の長い男性が出てきた。
「吾輩の店の前でいつまで立ち話をしておる。」
うわぁ…クセ強そうな人が出てきた…。
僕は心の中で思った。
「む。少年、今吾輩を見て"クセ強そう"などと考えておったな?」
「えっ、なんで…!?あ、あの、ごめんなさい…。」
心臓が飛び出すかと思った。
どうして考えていたことが分かったんだろう。
「どうしてって、それはもちろん吾輩が神だからじゃ。」
は…?え、神…?
「そう、吾輩は神である。」
「えっと…この方は神谷さん。個性的で素敵な人だよ。このお店のマスターなんだ。」
リイドさんがすかさずこの人と僕の間に入ってフォローをしてくれた。
リイドさんの知り合いのマスターって、この人なんだ…。
「ふ、まぁいい。ところで少年、君の名は。」
「あ、えーと、水沢瑠愛と言います。」
「なるほどなるほど、君がルア少年か。 こやつから話は聞いているぞ。」
こやつと言って、神谷さんはリイドさんを指差した。
「神谷さん…」
リイドさんはすこし慌てた様子でたしなめる素ぶりをした。
「おっと、すまんな。とりあえず中に入ってはどうかね。」
僕らは招かれるままに後について行く。
リイドさん、僕の事をこの人に話していたの?僕の何について話していたんだろう。
色んな事が起こりすぎて、さっきから僕の脳内は大忙しだ。
扉を閉めると、外の喧騒が静かに切り離された感じがした。
店内は思ったよりも天井が高く、少し黄味を帯びた照明が時間を丸く柔らかくしているようだった。
床は深い飴色の木張りで、壁には淡いベージュの塗装、その上に年季の入った大きな時計が飾られている。
カウンターの奥には黒光りするコーヒーマシンがあり、焙煎された豆の香ばしさとほんのり甘いミルクの匂いが混ざり合って漂っていた。
僕達はカウンター席に座った。
他に客はおらず、時間がゆったりと流れているような不思議な空間だった。
「いいお店だね。」
僕はリイドさんに言った。
「そうでしょ。ここに居るとすごく落ち着くんだ。」
こうやってリイドさんと横並びに座っているのが不思議な感じがして、妙に緊張してしまう。
何となくキョロキョロと辺りを見渡すと、とある違和感に気付いた。
「あれ、時計止まってる?」
大きな壁掛け時計が動いていなかった。
「あぁ、止まっておる。だが壊れている訳ではない。"動いていない"だけなのだよ。」
神谷さんがカウンターを挟んだ反対側から答えた。
「え、どういうことですか…?」
「まぁ…気にするでない。ところで、うちのメニューはコーヒーとナポリタンだけだが、注文はどうするかね。」
「俺はいつもその2つを注文しているんだけど、ルア君はどうする?」と、リイドさんが聞いた。
「えーと、じゃあ僕もリイドさんと同じにする。でもコーヒーは…」
「ミルクとお砂糖多め?」
「あ、うん…。どうしてわかったの?」
「なんとなく、そうかなって思っただけだよ。」
リイドさんは、神谷さんに注文をした。
リイドさんは僕の好みがなぜか分かってしまうし、神谷さんは僕の心がなぜか読めてしまう。
不思議すぎて目が眩みそうだ。
単に僕が分かりやすすぎるだけなのかなぁ。
案内されて着いたのはオシャレな純喫茶だった。
「ブルーローズ?」
僕は店名を読み上げた。
「そう。青い薔薇っていう意味だね。店名に花を使っているところも好きなんだ。」
リイドさんがそう教えてくれる。
本当に花が好きなんだなぁとか、こういう雰囲気の喫茶店が好きなんだなぁとか、リイドさんの事を少し知れてなんだか嬉しい気持ちになった。
「青い色の薔薇って実在するの?」
「青い薔薇って自然界には存在しないんだよ。でも、長い研究と努力による遺伝子の組み替え技術で作り出されたんだってさ。それに由来した特別な花言葉があるんだよ。」
リイドさんの話の途中で、お店のドアが開いた。
中からは、黒いハットにサングラスを掛けたかなり年配の髭の長い男性が出てきた。
「吾輩の店の前でいつまで立ち話をしておる。」
うわぁ…クセ強そうな人が出てきた…。
僕は心の中で思った。
「む。少年、今吾輩を見て"クセ強そう"などと考えておったな?」
「えっ、なんで…!?あ、あの、ごめんなさい…。」
心臓が飛び出すかと思った。
どうして考えていたことが分かったんだろう。
「どうしてって、それはもちろん吾輩が神だからじゃ。」
は…?え、神…?
「そう、吾輩は神である。」
「えっと…この方は神谷さん。個性的で素敵な人だよ。このお店のマスターなんだ。」
リイドさんがすかさずこの人と僕の間に入ってフォローをしてくれた。
リイドさんの知り合いのマスターって、この人なんだ…。
「ふ、まぁいい。ところで少年、君の名は。」
「あ、えーと、水沢瑠愛と言います。」
「なるほどなるほど、君がルア少年か。 こやつから話は聞いているぞ。」
こやつと言って、神谷さんはリイドさんを指差した。
「神谷さん…」
リイドさんはすこし慌てた様子でたしなめる素ぶりをした。
「おっと、すまんな。とりあえず中に入ってはどうかね。」
僕らは招かれるままに後について行く。
リイドさん、僕の事をこの人に話していたの?僕の何について話していたんだろう。
色んな事が起こりすぎて、さっきから僕の脳内は大忙しだ。
扉を閉めると、外の喧騒が静かに切り離された感じがした。
店内は思ったよりも天井が高く、少し黄味を帯びた照明が時間を丸く柔らかくしているようだった。
床は深い飴色の木張りで、壁には淡いベージュの塗装、その上に年季の入った大きな時計が飾られている。
カウンターの奥には黒光りするコーヒーマシンがあり、焙煎された豆の香ばしさとほんのり甘いミルクの匂いが混ざり合って漂っていた。
僕達はカウンター席に座った。
他に客はおらず、時間がゆったりと流れているような不思議な空間だった。
「いいお店だね。」
僕はリイドさんに言った。
「そうでしょ。ここに居るとすごく落ち着くんだ。」
こうやってリイドさんと横並びに座っているのが不思議な感じがして、妙に緊張してしまう。
何となくキョロキョロと辺りを見渡すと、とある違和感に気付いた。
「あれ、時計止まってる?」
大きな壁掛け時計が動いていなかった。
「あぁ、止まっておる。だが壊れている訳ではない。"動いていない"だけなのだよ。」
神谷さんがカウンターを挟んだ反対側から答えた。
「え、どういうことですか…?」
「まぁ…気にするでない。ところで、うちのメニューはコーヒーとナポリタンだけだが、注文はどうするかね。」
「俺はいつもその2つを注文しているんだけど、ルア君はどうする?」と、リイドさんが聞いた。
「えーと、じゃあ僕もリイドさんと同じにする。でもコーヒーは…」
「ミルクとお砂糖多め?」
「あ、うん…。どうしてわかったの?」
「なんとなく、そうかなって思っただけだよ。」
リイドさんは、神谷さんに注文をした。
リイドさんは僕の好みがなぜか分かってしまうし、神谷さんは僕の心がなぜか読めてしまう。
不思議すぎて目が眩みそうだ。
単に僕が分かりやすすぎるだけなのかなぁ。
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