レモネードのように。

はる

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密事①(※)

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結局、夕方まで遊び呆けてしまった。お店を任せっきりにしてしまった事、おじいちゃんに改めてお詫びをしたら「そっちの世界の住人はそんなに律儀なのかい?」と言ってくれた。

そして、その日の夜。俺は、トイレでこっそり抜いた。水着姿のルナと半日も一緒にいたし、昨日なんて一緒にお風呂に入ったんだ。正直限界だった。

部屋に戻ると、風呂上がりのルナがベッドの上で、ドライヤーで髪の毛を乾かしていた。そのなびくブロンドの髪をじっと見つめる。

2日経った今もまだ夢ではないかと思う。こんな綺麗な子と、ひとつ屋根の下にいるなんて。

「お風呂入ってきていいよー」

とルナは言った。

「うん、ありがとう。」

そう言うと俺はそそくさと浴室に向かった。でも、暫くしてバスタオルが無いことに気付いた。どこにあるのか分からなかったので、ルナに確認しようと思い、部屋に戻った。

ノックもせずにドアを開けたのは、本当に猛省すべきだと思う。

「はぁ…ん、ぁん…」

俺は目を疑った。ルナが、おおおおおなっ…オナニーをしていたのだ。

「…ぁ、ぁん…っ」

殺人的に可愛くて切なげな高い声が鼓膜をつきぬける。ノースリーブ一枚で、下半身裸のルナ。透き通るような白く細い脚。シャツの裾から除く細い腰。突き上げられた尻。妖艶に動く指。上下に扱く指の間から見え隠れする亀頭は、綺麗なピンク色。

自慰行為に没頭するルナの姿は、とてつもなく煽情的だった。

ルナみたいな可愛いくて純粋そうな子もオナニーとかするんだな、と俺は驚きと興奮を隠せなかった。顔を上気させて、可愛らしいそこを一生懸命扱くルナの淫靡な姿に思わず見惚れてしまう。

「…!え、リク…?嘘…っ、やだ…ッ」

ルナは俺に気付くと目を丸くし、大慌てで布団をかぶった。

「あ!ごめん!!」

俺は我に返り、慌ててドアを閉め、後ろ手にドアにもたれかかった。

「あの…、タオル!バスタオル見当たらなくて!ど、どこにあるかなって思って聞きに来たんだ。」

俺は、ドア越しにルナに言った。

「そ、そうだった、タオル渡すの忘れててごめん…入っていいよ?」

ルナの少し震えた声がドアの向こうから返ってきた。

「し、失礼します。」

と何故か敬語で返すと、ゆっくりドアを開けた。布団を体全体にかけて、顔を赤らめたルナがそこにいた。

「タオル、そこのクローゼットの中だから。」

あ、うん…。ありがとう。」

少し沈黙が続き、いたたまれなくなったかのようにルナが小さく言った。

 「恥ずかしい…」

そう言ったルナの顔は今にも泣き出しそうだった。

「ご、ごめん。俺がノックもしないで入ったから…!本当ごめん…」

「い、いいよ…、いいけど忘れてほしい…記憶から消し去ってほしい…」

「そんな無茶な…」

「うぅ…」

ルナが目を潤ませた。

「わー、ルナ!泣かないでくれ!」

俺は思わずルナの小さな体を抱きしめた。もはや考えるより体が先に動いていた。というかもう抱きしめる以外の選択肢がなかった。

「こんな事で泣いたりしないけどさ…。でも、リク…軽蔑した…?」

「する訳ないだろ!ていうか、その…俺もさっきトイレでこっそりしてたし…」

恐る恐る聞くルナに、俺も白状した。

「そ、そうなの…?」

「そうだよ。人様の家でそんな事して、軽蔑されるとしたら俺の方だよ。」

「軽蔑なんてしないよ。」

ようやく少しだけ安心したような様子でルナが笑ってくれた。このまま立ち去ればいいものの、俺はまた余計な一言を口にしてしまう。

「ルナ、まだ途中でしょ?俺が抜いてあげようか?」

「抜くって…、え!や、やだ、いいよそんなの…!」

ルナは案の定、狼狽し、布団を頭から被って自衛スタイルに入った。

「あ、ごめん…!くそ、俺また余計なこと言った…。本当ごめん。なんか俺、昨日からセクハラっぽいことばっかり言ってるよね。本当どうしちゃったんだろう。」

こっちの世界に来てから、ルナに対してついついセクハラ紛いな発言を連発している。本当に自分が嫌になる。

理由の一つは、気の緩みだと思う。現実世界では、ゲイである事を隠しているため、発言には神経質になっている。一方のこの世界では、どうやらそういった偏見がなく、しかも、俺の事を知る人はいない。だから、つい気の緩みで口をついて出てしまう。これが一つ目の理由。

もう一つは…

「ルナが可愛すぎて、俺、我慢が出来なくなってしまっているんだと思う…。」

声に出てしまったが、これが二つ目の理由だ。多分、こっちの理由の方が大きい。今までの人生、そういう感情や欲望を我慢していた分、可愛すぎるルナを見て自制が効かなくなっているんだ。

「可愛い…?僕が?」

ルナが布団からチラッと目だけを出して聞いてきた。

「うん、可愛いよ。凄く可愛い。俺、ルナと話が出来るだけで凄く幸せなんだ。今日だって、めちゃくちゃ楽しかったし、幸せだった。」

俺は、本心をそのまま答えた。もう遠慮したり、気を使ったり、そんな余裕が俺にはなかった。

しばしの沈黙の後、ルナが小さく口を開いた。

「…リク、僕の…して?」
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