レモネードのように。

ねぇ、リク。(ルナ視点)

※ルナ視点

リクと出会ったのは、いつもより風が穏やかな朝。

浜辺を歩いていたら仰向けに倒れている人がいて、最初死んでるのかと思って焦ったけど、すぐに起きたからホッとした。

と思ったら、なんか一人でブツブツ喋ってるし、僕に向かって「天使か？」とか言ってくる。なんかもう面白すぎて笑っちゃった。

ねぇ、リク。

リクの目って凄く澄んでいるんだよ。

この海みたいに透明。

自分じゃ分からないよね。

こんなに澄んだ目をした人、見たことないよ。

そっちの世界の人はみんなそうなの？

それとも、リクがそういう人なの？

リクに興味を持ったから、うちに宿泊することを提案した。

絶対に悪い人じゃないってわかったから。

僕の心を踏みにじった”あいつら”とは絶対違うって。

あとね。僕、リクの顔、実は結構好きなんだ。

笑うと目が細くなって優しい顔になるところとか、可愛いなって思うんだ。

それと、リクの体、意外と引き締まってて、正直ちょっと興奮しちゃった。

本人には恥ずかしくて絶対言えないけど。

まぁリクもえっちなところあるから、お互い様って事でいいよね？

あの日、我慢できなくて、一人でその…しちゃった日。

まさかリクが戻ってくるなんて思わなくて、恥ずかし過ぎて死んじゃうかと思った。

でも、リクに手でされた時、すごく興奮しちゃって、信じられないくらい感じちゃった。

リクの世界では、同性同士の恋愛が少し特別みたい。僕には想像がつかなかった。

そんな中で、リクは自分の気持ちに蓋をしていたと言っていた。

本当は泣きたいくらい我慢してるくせに、自分の気持ちを相手に押し付けたりしない、リクのそんな優しいところに好感を持った。

リクがマサから助けてくれたこと、嬉しかった。

僕の歌を褒めてくれたことは、もっと嬉しかった。

ねぇ、リク。

リクってすぐ謝るよね。

僕、一度も怒ったりしてないよ？

急に頭を撫でたりするから、レモネード零しそうになったじゃん。

でも、実はもっと撫でて欲しくて、少し黙っていたんだ。

ピアノ弾けるなんてビックリしちゃった。

素敵な音色。

リクのピアノって魔法みたい。

リクの奏でるメロディが僕の中を川のように流れて行ったんだよ。

まるで全てを洗い流してくれるみたいに。

リクってちょっと照れ屋さんなのかな？顔を合わせるとすぐ目を逸らしちゃう。

リクの横顔をずっと見ていること、気付いてないでしょ。

横顔すらも優しそうで、なんかちょっと切なくなるんだ。

ねぇ、リク。

僕、少しずつリクに惹かれているみたい。

リクと一緒だと、なんだか心がフワフワしちゃう。

こんな気持ち、初めてだよ。

この時間がずっと続けばいいなぁ。そう思ったんだ。