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第一章
私と梨乃
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私には所謂、第六感というものがある。
〝詩乃は真面目だねぇ〟
「うん?なぁに?」
〝講義始まる前から予習?〟
「だってもうすぐテストだもん」
講義前のざわめく講堂の隅で、そんな会話をしていると親友の歩美が声を掛けた。
「詩乃…、まーた独り言」
そう言って歩美はクスクスと笑う。
物心ついた頃から、私には人には見えないものが見えた。
かといって、そこらじゅうに彷徨う幽霊が見えるわけではない。
私に見えるものは、ある特定の人物だけ。
私には双子の姉が居た。
母のお腹の中で一緒に育ち、この世に誕生する。
これから始まる人生を、共に歩んで行くはずだった。
それなのに、双子の姉である梨乃は生まれ落ちた時には仮死状態で、そのまま亡くなってしまったのだ。
そう。
私の第六感は、双子の姉である梨乃にしか働かない。
そんな私も大学生になり、勉強にバイトに恋にと人生を楽しんでいる。
霊なのに私と同じように、見た目が成長していく梨乃と二人三脚で…。
私が髪の毛を切れば、なぜか梨乃も同じ髪型になり、服を着替えれば同じ服に変わる。
身体だってそう。
私の成長と共に、梨乃の身体も成長してきた。
まるで鏡のようで、時々、疎ましく思うこともあるけれど、やっぱり梨乃と一緒に居ると自然体で居られる。
それがとても、心地いい
〝ねぇ、詩乃…そこ、間違ってるよ〟
「え?どこ?」
〝ここ!しっかりしてよー。この前授業に出たばっかじゃん〟
「…あ、本当だ」
私には、こうしてそばに梨乃が居ることが当たり前だった。
〝そんなんで、今度のテスト大丈夫?これ終わったら夏休みなんだから、補習とかなんないでよー?〟
「…だよね」
周りから見れば怪奇だろう。
極力、気付かれないようにしていても、梨乃から話し掛けられれば、声に出してしまうこともしばしば。
「詩乃ー、怪しいってそれ」
「あぁ、ごめん」
歩美は、私に双子の姉が憑いていることを知っている。
「でもいいなぁ、間違ってたら梨乃が教えてくれるんだもんなぁ」
〝でしょー、羨ましいでしょー〟
私の代わりに梨乃が答えているが、当たり前に歩美に聞こえるわけがない。
「何?詩乃りん、また梨乃ちゃんに勉強教えてもらってたの?」
そこに遅れて現れたのは、歩美の彼氏である涼太とその親友の雄大。
歩美と涼太が付き合い始め、こうして四人でよく話すようになった。
もちろん、梨乃の存在も知っている。
「あんまり梨乃ちゃんに頼らずにやれよ?」
雄大が笑いながら、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて言った。
「わ…分かってるよ」
〝…詩乃、顔真っ赤〟
「り、梨乃っ」
私は雄大にほのかな恋心を抱いている。
それを知っているのは、梨乃と歩美だけだ。
「ん?梨乃ちゃんが何て?」
興味津々に目を向ける涼太。
「ううんっ!何でもない!」
しどろもどろで誤魔化した私は、ジロリと梨乃を睨む。
〝ごめん、ごめん、つい〟
梨乃はそう言って笑うと、一瞬で姿を消してしまった。
「…都合悪くなると逃げるんだから」
いつもの事ながら、ため息が零れる。
「ねぇ、夏休みさ、四人で海に行かない?」
楽しそうに話を切り出したのは歩美だ。
「いいね!いつ行く?」
その話に涼太が乗らないわけがない。
四人で…海…。
雄大と一緒に海に行ける。
私はドキドキしながら雄大の反応を窺った。
「雄大、いつがいい?」
「俺はバイトの日以外だったらいつでもいいよ」
いいの?
これって、所謂Wデートのようなものだよ?
鼓動は一気に高鳴り、私の心臓は爆発寸前だ。
そうして、夏休みに四人で海に行くことになった私たち。
夏休み中にも雄大と会える。
それだけで、嬉しくて楽しみで、待ち遠しかった。
〝詩乃は真面目だねぇ〟
「うん?なぁに?」
〝講義始まる前から予習?〟
「だってもうすぐテストだもん」
講義前のざわめく講堂の隅で、そんな会話をしていると親友の歩美が声を掛けた。
「詩乃…、まーた独り言」
そう言って歩美はクスクスと笑う。
物心ついた頃から、私には人には見えないものが見えた。
かといって、そこらじゅうに彷徨う幽霊が見えるわけではない。
私に見えるものは、ある特定の人物だけ。
私には双子の姉が居た。
母のお腹の中で一緒に育ち、この世に誕生する。
これから始まる人生を、共に歩んで行くはずだった。
それなのに、双子の姉である梨乃は生まれ落ちた時には仮死状態で、そのまま亡くなってしまったのだ。
そう。
私の第六感は、双子の姉である梨乃にしか働かない。
そんな私も大学生になり、勉強にバイトに恋にと人生を楽しんでいる。
霊なのに私と同じように、見た目が成長していく梨乃と二人三脚で…。
私が髪の毛を切れば、なぜか梨乃も同じ髪型になり、服を着替えれば同じ服に変わる。
身体だってそう。
私の成長と共に、梨乃の身体も成長してきた。
まるで鏡のようで、時々、疎ましく思うこともあるけれど、やっぱり梨乃と一緒に居ると自然体で居られる。
それがとても、心地いい
〝ねぇ、詩乃…そこ、間違ってるよ〟
「え?どこ?」
〝ここ!しっかりしてよー。この前授業に出たばっかじゃん〟
「…あ、本当だ」
私には、こうしてそばに梨乃が居ることが当たり前だった。
〝そんなんで、今度のテスト大丈夫?これ終わったら夏休みなんだから、補習とかなんないでよー?〟
「…だよね」
周りから見れば怪奇だろう。
極力、気付かれないようにしていても、梨乃から話し掛けられれば、声に出してしまうこともしばしば。
「詩乃ー、怪しいってそれ」
「あぁ、ごめん」
歩美は、私に双子の姉が憑いていることを知っている。
「でもいいなぁ、間違ってたら梨乃が教えてくれるんだもんなぁ」
〝でしょー、羨ましいでしょー〟
私の代わりに梨乃が答えているが、当たり前に歩美に聞こえるわけがない。
「何?詩乃りん、また梨乃ちゃんに勉強教えてもらってたの?」
そこに遅れて現れたのは、歩美の彼氏である涼太とその親友の雄大。
歩美と涼太が付き合い始め、こうして四人でよく話すようになった。
もちろん、梨乃の存在も知っている。
「あんまり梨乃ちゃんに頼らずにやれよ?」
雄大が笑いながら、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて言った。
「わ…分かってるよ」
〝…詩乃、顔真っ赤〟
「り、梨乃っ」
私は雄大にほのかな恋心を抱いている。
それを知っているのは、梨乃と歩美だけだ。
「ん?梨乃ちゃんが何て?」
興味津々に目を向ける涼太。
「ううんっ!何でもない!」
しどろもどろで誤魔化した私は、ジロリと梨乃を睨む。
〝ごめん、ごめん、つい〟
梨乃はそう言って笑うと、一瞬で姿を消してしまった。
「…都合悪くなると逃げるんだから」
いつもの事ながら、ため息が零れる。
「ねぇ、夏休みさ、四人で海に行かない?」
楽しそうに話を切り出したのは歩美だ。
「いいね!いつ行く?」
その話に涼太が乗らないわけがない。
四人で…海…。
雄大と一緒に海に行ける。
私はドキドキしながら雄大の反応を窺った。
「雄大、いつがいい?」
「俺はバイトの日以外だったらいつでもいいよ」
いいの?
これって、所謂Wデートのようなものだよ?
鼓動は一気に高鳴り、私の心臓は爆発寸前だ。
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