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第三章
響の想い
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年も明け、大学受験を控えた三年生はその日、午後の授業もなくそれぞれが帰宅していく。
「奏、私用事があって急ぐけど、途中まで一緒に帰る?」
千夏が帰る準備をしながら聞いてきた。
「ううん、この後小林先輩と待ち合わせしてるの」
「えっ?どういうことっ?……まさか、奏…」
「…あ、えっ?違うからね?より戻したとかじゃないから!」
その言葉を聞いて、あからさまにホッとする千夏。
「…最後の追い上げで、新しい問題集欲しくて。一緒に選んでくれるって言うから」
「そっか…。でもあんまり、期待させない方がいいよ」
「うん、分かってる…」
千夏に笑顔を向けると、一つため息をついて千夏は教室を出る。
すると、メールの新着が入った。
〝授業早く終わったから、校門で待ってる〟
それは、小林先輩からのメール。
え…、校門…
目立つなぁ…
まあでも、来てくれたのに別の場所に行ってもらうことも出来ない。
教室を出ようとしたその時、元女子バレー部、佳奈の彼氏が中庭からひょっこり顔を出して彼女を呼んだ。
「佳ー奈ー!」
一瞬、心臓がドクンと音を立てる。
もみじの季節に響と過ごしていた時間が懐かしくて、愛しさを思い出させたのだ。
頭をフルフルと振って前を向くと、私はそのまま教室を出る。
駄目だよ。
忘れるって決めたんだから。
これ以上、好きにならないって決めたんだから。
校門に向かうと、小林先輩が車で迎えに来ていた。
「…安全運転でお願いします」
冗談っぽく笑って言うと、
「当たり前だろ」
と、小林先輩も笑う。
その頃、校庭から校門まで見渡せる二年生の教室では、響が窓際から外を眺めていた。
「響っ!」
声と同時に、バンッと勢いよく開かれた教室の戸。
隣のクラスの和真だ。
窓際で外を眺める響の様子に、
「遅かったか…」と肩を落とす…。
奏と小林先輩が一緒に居るところを隣のクラスの窓から見た和真は、それを響に見せないようにと教室まで来たのだ。
「…和真、あの二人やっぱりより戻したんかな…」
「…」
和真は何と返していいのか分からない。
そして更に響は言葉を続ける。
「…一年の時も、こうやってあの二人の姿を見掛けてはヘコんだんだよなぁ…」
小林先輩の車に乗り込む奏の姿を見つめながら、響は小さくため息をついた。
「…響さ、奏先輩に気持ち伝えなくていいの?」
「今伝えても玉砕じゃん…」
「でも…、もうすぐ奏先輩卒業だぞ?このまま会えなくなってもいいのか?」
すると、響は和真に振り向いて目を伏せる。
「千夏先輩に言われたんだ。ただの先輩後輩じゃなく、それ以上を望むなら中途半端なことはするなって」
和真はハッとした。
「お前、もしかしてそれで…っ」
「陽菜とちゃんと別れるまで、奏ちゃんに気持ち伝えちゃ駄目っしょ…」
不器用な奴…
そう思いながら和真は響の想いの強さを知る。
響は、ゆっくりと顔を上げて言った。
「…一つ、分かんねぇのがさ…」
「うん?」
「なんで奏ちゃんが俺を避けてんのか…ってこと」
「お前、嫌われるようなことでもしたの?」
「分かんねぇ…。してないつもりだけど…」
和真は、〝受験を控えてて忙しいだけだ〟と慰める。
響は頭を抱えながらもう一度外に顔を向けた。
先程まで奏が居た校門を見つめる。
彼氏が居るからと諦めた恋、忘れられずに心の奥に閉じ込めていた想い…。
側に居て、一緒に笑っていられるなら、仲の良い先輩後輩でいいと思っていた。
それでももう感情を抑えられない。
やっと、もう一度自分の気持ちに素直になろうと動き始めた矢先のこのうまくいかない感じが、響にはもどかしくて切なくて、そしてどうしようもなく辛かった。
「奏、私用事があって急ぐけど、途中まで一緒に帰る?」
千夏が帰る準備をしながら聞いてきた。
「ううん、この後小林先輩と待ち合わせしてるの」
「えっ?どういうことっ?……まさか、奏…」
「…あ、えっ?違うからね?より戻したとかじゃないから!」
その言葉を聞いて、あからさまにホッとする千夏。
「…最後の追い上げで、新しい問題集欲しくて。一緒に選んでくれるって言うから」
「そっか…。でもあんまり、期待させない方がいいよ」
「うん、分かってる…」
千夏に笑顔を向けると、一つため息をついて千夏は教室を出る。
すると、メールの新着が入った。
〝授業早く終わったから、校門で待ってる〟
それは、小林先輩からのメール。
え…、校門…
目立つなぁ…
まあでも、来てくれたのに別の場所に行ってもらうことも出来ない。
教室を出ようとしたその時、元女子バレー部、佳奈の彼氏が中庭からひょっこり顔を出して彼女を呼んだ。
「佳ー奈ー!」
一瞬、心臓がドクンと音を立てる。
もみじの季節に響と過ごしていた時間が懐かしくて、愛しさを思い出させたのだ。
頭をフルフルと振って前を向くと、私はそのまま教室を出る。
駄目だよ。
忘れるって決めたんだから。
これ以上、好きにならないって決めたんだから。
校門に向かうと、小林先輩が車で迎えに来ていた。
「…安全運転でお願いします」
冗談っぽく笑って言うと、
「当たり前だろ」
と、小林先輩も笑う。
その頃、校庭から校門まで見渡せる二年生の教室では、響が窓際から外を眺めていた。
「響っ!」
声と同時に、バンッと勢いよく開かれた教室の戸。
隣のクラスの和真だ。
窓際で外を眺める響の様子に、
「遅かったか…」と肩を落とす…。
奏と小林先輩が一緒に居るところを隣のクラスの窓から見た和真は、それを響に見せないようにと教室まで来たのだ。
「…和真、あの二人やっぱりより戻したんかな…」
「…」
和真は何と返していいのか分からない。
そして更に響は言葉を続ける。
「…一年の時も、こうやってあの二人の姿を見掛けてはヘコんだんだよなぁ…」
小林先輩の車に乗り込む奏の姿を見つめながら、響は小さくため息をついた。
「…響さ、奏先輩に気持ち伝えなくていいの?」
「今伝えても玉砕じゃん…」
「でも…、もうすぐ奏先輩卒業だぞ?このまま会えなくなってもいいのか?」
すると、響は和真に振り向いて目を伏せる。
「千夏先輩に言われたんだ。ただの先輩後輩じゃなく、それ以上を望むなら中途半端なことはするなって」
和真はハッとした。
「お前、もしかしてそれで…っ」
「陽菜とちゃんと別れるまで、奏ちゃんに気持ち伝えちゃ駄目っしょ…」
不器用な奴…
そう思いながら和真は響の想いの強さを知る。
響は、ゆっくりと顔を上げて言った。
「…一つ、分かんねぇのがさ…」
「うん?」
「なんで奏ちゃんが俺を避けてんのか…ってこと」
「お前、嫌われるようなことでもしたの?」
「分かんねぇ…。してないつもりだけど…」
和真は、〝受験を控えてて忙しいだけだ〟と慰める。
響は頭を抱えながらもう一度外に顔を向けた。
先程まで奏が居た校門を見つめる。
彼氏が居るからと諦めた恋、忘れられずに心の奥に閉じ込めていた想い…。
側に居て、一緒に笑っていられるなら、仲の良い先輩後輩でいいと思っていた。
それでももう感情を抑えられない。
やっと、もう一度自分の気持ちに素直になろうと動き始めた矢先のこのうまくいかない感じが、響にはもどかしくて切なくて、そしてどうしようもなく辛かった。
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