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不思議な花に導かれ
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目覚めると、そこは異世界でした。
可憐な花々が咲く美しい泉のほとりには、可愛らしい小動物が集っています。
大きな尻尾を振りながらリスのような動物が豊かに実った木の実を食べ、鮮やかな赤や黄色の小鳥たちは森の中を楽しそうに飛び、金毛の子虎のような美しい獣が泉の澄んだ水を美味しそうに飲んでいました。
太陽の光が降り注ぐ、まるで南国のようなカラフルで明るい森の中で、私は茫然と佇んでいました。
こんな近距離に、虎? 肉食獣?
でもまだ子犬くらいの大きさだから、可愛いとしか思えない。
金色に輝くモフモフ…まるで神の遣いのように美しい。
丸いモフ耳、太いあんよ、ふわふわした虎模様の毛並み。
なでなでしたいな。
そんな可愛い顔でつぶらな瞳で見つめられると、もふもふしたくてたまらなくなってしまう~。
はっ!
可愛いベイビーに夢中になってる場合じゃない。
なんで私、ここに居るんだっけ…?
昨夜の記憶を辿ってみると…。
確か、社畜OLでアラサーの私は、連日の残業で疲れて、さらに会社内での人間関係にも疲れて、食事もまともに摂らずに一人暮らしのアパートに帰宅するなり、玄関でぶっ倒れていたのよね…。
そして、いろいろ辛かったこととか思い出してたら意識が遠くなってきて、「私の人生って、あまり楽しい思い出が無かったなぁ…」って、目を瞑りしんみりと呟いた時、
「それじゃあ、わしがおまえに楽しい思い出をやろうかの?」って、頭の中に、おじいさんのような声が聞こえてきたんだった。
目を開けると、ベランダで育てていたはずの植物の蔓が玄関までにょろにょろと伸びてきていて。
蔓の先の大きな丸い葉っぱの上には、黄色い花びらのような服を着た5㎝ほどの小さなおじいさんが立っていて、真剣な顔でじっと私を見つめていた。
ひと月前に、露店で偶然見かけた不思議な植物。支柱に蔓が何重にも巻き付き、黄色い大きな花を咲かせていた。とても甘くて良い匂いがして、なんとなく買ってしまったのだった。
今、思えば、売っている人は、どこの国の民族衣装なのか不思議な模様のローブを着ていたし、顔を見せなかったし、他に売っている物も、初めて見る不思議な形の物ばかりだった。武器や装飾品、観葉植物など、なんでも屋という感じだった。
もしかして、この小さなおじいさんは、あの黄色い花の妖精か精霊か何かなの?
…そんなバカな。私、相当疲れてる。こんな幻影を見てしまうなんて。
きっと夢だろうと思った私は、小さなおじいさんに言ってみた。
「本当? 私ね、6歳くらいの子供になって、自然いっぱいの綺麗な空気の田舎でのんびり楽しく暮らしてみたい。もう都会は疲れたの」と、冗談のつもりで。
「了解じゃ!」
「へっ?」
小さなおじいさんは右手に持っていた杖を優雅に振り、私は虹色の光に包まれた。
暖かくて気持ちいい、繭の中にでも居るような夢見心地で。
次第に視界が暗くなってゆき、私は眠りに落ちていった。
―――そして、現在に至る。
木漏れ日が眩しい異世界の森の中。小鳥たちの美しいさえずりが響き渡っている。
「どうじゃ、いいところじゃろう?」
えっへん!と胸を張って、笑顔で自信満々にのたまう小さなおじいさん。
「おぬしの希望通り、6歳の可愛い女の子にしてやったぞい」
そう言われて自分の手を見てみると、小さなつるすべ肌の子供の手だ。
「可愛いっていうのは、言ってなかったけど…」
「オプションじゃ♪」
「それはどうも。…で、元の私は?」
可憐な花々が咲く美しい泉のほとりには、可愛らしい小動物が集っています。
大きな尻尾を振りながらリスのような動物が豊かに実った木の実を食べ、鮮やかな赤や黄色の小鳥たちは森の中を楽しそうに飛び、金毛の子虎のような美しい獣が泉の澄んだ水を美味しそうに飲んでいました。
太陽の光が降り注ぐ、まるで南国のようなカラフルで明るい森の中で、私は茫然と佇んでいました。
こんな近距離に、虎? 肉食獣?
でもまだ子犬くらいの大きさだから、可愛いとしか思えない。
金色に輝くモフモフ…まるで神の遣いのように美しい。
丸いモフ耳、太いあんよ、ふわふわした虎模様の毛並み。
なでなでしたいな。
そんな可愛い顔でつぶらな瞳で見つめられると、もふもふしたくてたまらなくなってしまう~。
はっ!
可愛いベイビーに夢中になってる場合じゃない。
なんで私、ここに居るんだっけ…?
昨夜の記憶を辿ってみると…。
確か、社畜OLでアラサーの私は、連日の残業で疲れて、さらに会社内での人間関係にも疲れて、食事もまともに摂らずに一人暮らしのアパートに帰宅するなり、玄関でぶっ倒れていたのよね…。
そして、いろいろ辛かったこととか思い出してたら意識が遠くなってきて、「私の人生って、あまり楽しい思い出が無かったなぁ…」って、目を瞑りしんみりと呟いた時、
「それじゃあ、わしがおまえに楽しい思い出をやろうかの?」って、頭の中に、おじいさんのような声が聞こえてきたんだった。
目を開けると、ベランダで育てていたはずの植物の蔓が玄関までにょろにょろと伸びてきていて。
蔓の先の大きな丸い葉っぱの上には、黄色い花びらのような服を着た5㎝ほどの小さなおじいさんが立っていて、真剣な顔でじっと私を見つめていた。
ひと月前に、露店で偶然見かけた不思議な植物。支柱に蔓が何重にも巻き付き、黄色い大きな花を咲かせていた。とても甘くて良い匂いがして、なんとなく買ってしまったのだった。
今、思えば、売っている人は、どこの国の民族衣装なのか不思議な模様のローブを着ていたし、顔を見せなかったし、他に売っている物も、初めて見る不思議な形の物ばかりだった。武器や装飾品、観葉植物など、なんでも屋という感じだった。
もしかして、この小さなおじいさんは、あの黄色い花の妖精か精霊か何かなの?
…そんなバカな。私、相当疲れてる。こんな幻影を見てしまうなんて。
きっと夢だろうと思った私は、小さなおじいさんに言ってみた。
「本当? 私ね、6歳くらいの子供になって、自然いっぱいの綺麗な空気の田舎でのんびり楽しく暮らしてみたい。もう都会は疲れたの」と、冗談のつもりで。
「了解じゃ!」
「へっ?」
小さなおじいさんは右手に持っていた杖を優雅に振り、私は虹色の光に包まれた。
暖かくて気持ちいい、繭の中にでも居るような夢見心地で。
次第に視界が暗くなってゆき、私は眠りに落ちていった。
―――そして、現在に至る。
木漏れ日が眩しい異世界の森の中。小鳥たちの美しいさえずりが響き渡っている。
「どうじゃ、いいところじゃろう?」
えっへん!と胸を張って、笑顔で自信満々にのたまう小さなおじいさん。
「おぬしの希望通り、6歳の可愛い女の子にしてやったぞい」
そう言われて自分の手を見てみると、小さなつるすべ肌の子供の手だ。
「可愛いっていうのは、言ってなかったけど…」
「オプションじゃ♪」
「それはどうも。…で、元の私は?」
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