13 / 24
想いを伝え合って サファーロ視点
しおりを挟む
翌朝。
空は曇っているが、雨は降りそうにない。
町の人たちに、白竜の情報を聞き込みにまわる。
「すみません。このあたりで白竜を見ませんでしたか?」
「白竜なら、たまに見るよ。上空を飛んでいて、とても大きくて綺麗な竜だよ!」
八百屋のおばさんが愛想良く答えてくれた。
「白竜の住む谷って、どこにあるか分かりますか?」
「竜の住処までは分からないねぇ…」
「そうですか…。ありがとう。この果物を4つ買います」
リンゴのような赤い実を指さした。
「これ、今が食べごろで美味しいんだよ~。1個おまけしてあげるね」
「ありがとう」
果物をアイテムボックスに入れて、道行く人にも手分けして聞いてみる。
数時間いろんな人に聞いてまわったので、広場のベンチで休憩することにした。
さっき八百屋で買った果物を皆に配る。おまけはモーリスにあげた。
乾いた喉に、瑞々しく甘い果物は最高だ。
「どうだった?」
僕が訊くと、モーリスが答えた。
「この町のほとんどの人が白竜を見ています。このあたりで数日待てば、白竜を見れる可能性は高い。しかし、白竜の住む谷について知ってる人はいませんでした」
「私たちも同じ意見です」シャルルがつぶやく。
「こんな曇り空では、もし白竜が上空で飛んでいても見つけられませんね」
モーリスが空を仰いだ。
「では、晴天の日に白竜が飛んでいたら尾行しようか。住処に辿りつくまで」
僕が提案すると、心配するシャルル。
「竜を尾行するなんて…怒らせて攻撃でもされたら危険ですわ!」
「では、透明人間になって空を飛ぶよ」
「サファーロ様! 俺も一緒に飛んで護衛します!」
「ありがとう、モーリス」
シャルルはまだ、心配そうだ。
「では、今日はこれで解散にしよう。昨日も大変だったし、たまには休みもしないと。
モーリス。エミリーさんとデートしてくるといい。夕方六時ごろには湖のほとりの家に帰ってくるんだよ」
「えっ。いいんですか? エミリー、行こう!」
「サファーロ様! お嬢様のこと、よろしくお願いしますね。行ってきます!」
ふたりは仲良く手をつないで歩いていった。
シャルルが頬を染めて、僕を見つめている。
昨夜、僕の背中に手を回して、抱きしめてきたシャルル。
僕は少し、自惚れてもいいだろうか…?
「もうすぐ白竜も見つかりそうだし、もし宝玉が見つかり、おばあさまに届けたら、その後シャルルはどうするのですか? 公爵家に戻って、新たな縁談を受けるのですか?」
そうだと言われたら、身を引くしかない…。
「いいえ…。私は公爵家には戻らず、修道院へ入るつもりです」
想像もしていなかった返事に、僕は驚く。
「…なぜです?」
「私は、サファーロが好き…。貴方が爵位の差を気にして私から離れていくのなら、貴方以外の人に嫁ぐくらいなら、修道女になったほうがましです!」
シャルルの瞳から、真珠のような涙が零れる。
彼女がそれほど僕を想ってくれていたなんて…!
僕の胸は、感動で熱く燃えた。
「修道院へ行くくらいなら、僕と駆け落ちしてください! いつか陞爵してもらえるような手柄をあげて、貴女と夫婦になれるように頑張りますから。それまで、僕の傍で婚約者として待っていただけませんか?
公爵家ほどの暮らしではなくても、不自由はさせません! 狐の和み亭のサイコロステーキだって食べ飽きるほどごちそうします。あなたの望むことは何でも叶えるように努力しますから!」
「本当ですか?! 俺たちも是非、ご相伴に預かりたいです!!」
デートに行ったはずのモーリスとエミリーが、僕らの座っていたベンチの後ろから現れた!
「また覗いていたのか!」
早速、モーリスはシャルルに説得を始めた。
「サファーロ様は心の優しい良い人です。駆け落ちしたって、きっとシャルル様を幸せにしてくれます!
それに! 今、OKすれば、皆で狐の和み亭のサイコロステーキが食べ放題なんですよ!!」
いつの間に、そんな話になってるんだ!!
「私、サファーロと駆け落ちします!」
「えぇっ!?」
サイコロステーキ効果?!
「「やったぁ~~~♪」」
踊りだすモーリス&エミリー。そんなに食べたかったのか!
「サファーロ様、おめでとうございます! では邪魔者は退散しますので、あとは若い二人でごゆっくり♪」
仲人のような口ぶりで、モーリスとエミリーは仲良くどこかへ消えた。
「私、サイコロステーキに釣られたわけじゃありません。サファーロがこれからも私の傍にいてくれることが嬉しくて…」
「泣かないで…」
シャルルの涙をハンカチでそっと拭う。
「これから、もっとシャルルを幸せに出来るように頑張るよ」
やさしく抱き寄せると、安心したように体を預けてくるシャルル。
「あなたが傍に居てくれたら、それだけで充分幸せです…」
「シャルル…」
今夜、僕はもふもふの銀猫になって、きみに存分にもふられるかもしれない。
空は曇っているが、雨は降りそうにない。
町の人たちに、白竜の情報を聞き込みにまわる。
「すみません。このあたりで白竜を見ませんでしたか?」
「白竜なら、たまに見るよ。上空を飛んでいて、とても大きくて綺麗な竜だよ!」
八百屋のおばさんが愛想良く答えてくれた。
「白竜の住む谷って、どこにあるか分かりますか?」
「竜の住処までは分からないねぇ…」
「そうですか…。ありがとう。この果物を4つ買います」
リンゴのような赤い実を指さした。
「これ、今が食べごろで美味しいんだよ~。1個おまけしてあげるね」
「ありがとう」
果物をアイテムボックスに入れて、道行く人にも手分けして聞いてみる。
数時間いろんな人に聞いてまわったので、広場のベンチで休憩することにした。
さっき八百屋で買った果物を皆に配る。おまけはモーリスにあげた。
乾いた喉に、瑞々しく甘い果物は最高だ。
「どうだった?」
僕が訊くと、モーリスが答えた。
「この町のほとんどの人が白竜を見ています。このあたりで数日待てば、白竜を見れる可能性は高い。しかし、白竜の住む谷について知ってる人はいませんでした」
「私たちも同じ意見です」シャルルがつぶやく。
「こんな曇り空では、もし白竜が上空で飛んでいても見つけられませんね」
モーリスが空を仰いだ。
「では、晴天の日に白竜が飛んでいたら尾行しようか。住処に辿りつくまで」
僕が提案すると、心配するシャルル。
「竜を尾行するなんて…怒らせて攻撃でもされたら危険ですわ!」
「では、透明人間になって空を飛ぶよ」
「サファーロ様! 俺も一緒に飛んで護衛します!」
「ありがとう、モーリス」
シャルルはまだ、心配そうだ。
「では、今日はこれで解散にしよう。昨日も大変だったし、たまには休みもしないと。
モーリス。エミリーさんとデートしてくるといい。夕方六時ごろには湖のほとりの家に帰ってくるんだよ」
「えっ。いいんですか? エミリー、行こう!」
「サファーロ様! お嬢様のこと、よろしくお願いしますね。行ってきます!」
ふたりは仲良く手をつないで歩いていった。
シャルルが頬を染めて、僕を見つめている。
昨夜、僕の背中に手を回して、抱きしめてきたシャルル。
僕は少し、自惚れてもいいだろうか…?
「もうすぐ白竜も見つかりそうだし、もし宝玉が見つかり、おばあさまに届けたら、その後シャルルはどうするのですか? 公爵家に戻って、新たな縁談を受けるのですか?」
そうだと言われたら、身を引くしかない…。
「いいえ…。私は公爵家には戻らず、修道院へ入るつもりです」
想像もしていなかった返事に、僕は驚く。
「…なぜです?」
「私は、サファーロが好き…。貴方が爵位の差を気にして私から離れていくのなら、貴方以外の人に嫁ぐくらいなら、修道女になったほうがましです!」
シャルルの瞳から、真珠のような涙が零れる。
彼女がそれほど僕を想ってくれていたなんて…!
僕の胸は、感動で熱く燃えた。
「修道院へ行くくらいなら、僕と駆け落ちしてください! いつか陞爵してもらえるような手柄をあげて、貴女と夫婦になれるように頑張りますから。それまで、僕の傍で婚約者として待っていただけませんか?
公爵家ほどの暮らしではなくても、不自由はさせません! 狐の和み亭のサイコロステーキだって食べ飽きるほどごちそうします。あなたの望むことは何でも叶えるように努力しますから!」
「本当ですか?! 俺たちも是非、ご相伴に預かりたいです!!」
デートに行ったはずのモーリスとエミリーが、僕らの座っていたベンチの後ろから現れた!
「また覗いていたのか!」
早速、モーリスはシャルルに説得を始めた。
「サファーロ様は心の優しい良い人です。駆け落ちしたって、きっとシャルル様を幸せにしてくれます!
それに! 今、OKすれば、皆で狐の和み亭のサイコロステーキが食べ放題なんですよ!!」
いつの間に、そんな話になってるんだ!!
「私、サファーロと駆け落ちします!」
「えぇっ!?」
サイコロステーキ効果?!
「「やったぁ~~~♪」」
踊りだすモーリス&エミリー。そんなに食べたかったのか!
「サファーロ様、おめでとうございます! では邪魔者は退散しますので、あとは若い二人でごゆっくり♪」
仲人のような口ぶりで、モーリスとエミリーは仲良くどこかへ消えた。
「私、サイコロステーキに釣られたわけじゃありません。サファーロがこれからも私の傍にいてくれることが嬉しくて…」
「泣かないで…」
シャルルの涙をハンカチでそっと拭う。
「これから、もっとシャルルを幸せに出来るように頑張るよ」
やさしく抱き寄せると、安心したように体を預けてくるシャルル。
「あなたが傍に居てくれたら、それだけで充分幸せです…」
「シャルル…」
今夜、僕はもふもふの銀猫になって、きみに存分にもふられるかもしれない。
10
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
猛獣のお世話係
しろねこ。
恋愛
「猛獣のお世話係、ですか?」
父は頷き、王家からの手紙を寄越す。
国王が大事にしている猛獣の世話をしてくれる令嬢を探している。
条件は結婚適齢期の女性で未婚のもの。
猛獣のお世話係になった者にはとある領地をあげるので、そこで住み込みで働いてもらいたい。
猛獣が満足したら充分な謝礼を渡す……など
「なぜ、私が?私は家督を継ぐものではなかったのですか?万が一選ばれたらしばらく戻ってこれませんが」
「その必要がなくなったからよ、お義姉さま。私とユミル様の婚約が決まったのよ」
婚約者候補も家督も義妹に取られ、猛獣のお世話係になるべくメイドと二人、王宮へ向かったが…ふさふさの猛獣は超好み!
いつまでもモフっていたい。
動物好き令嬢のまったりお世話ライフ。
もふもふはいいなぁ。
イヤな家族も仕事もない、幸せブラッシング生活が始まった。
完全自己満、ハピエン、ご都合主義です!
甘々です。
同名キャラで色んな作品を書いています。
一部キャラの台詞回しを誤字ではなく個性として受け止めて貰えればありがたいです。
他サイトさんでも投稿してます。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる