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子熊のお使い
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森の奥深くに、熊の親子が暮らしていました。
母熊は子熊に「ハチミツを買ってきて」と、お使いを頼みました。
子熊は、行きつけの「ポンポコ商店」に行きました。
このお店の店主は、子熊に優しくしてくれるのです。
「ハチミツの大瓶をください」
「お使いかい? えらいねぇ」
狸のおばさんは棚から大瓶のハチミツを取り出すと、子熊の買い物籠に入れてくれました。
会計を済ますと、「これはオマケだよ」と優しく笑って、子熊の赤いチョッキのポケットにハチミツキャンディーを3個入れてくれました。
「わぁっ。おばさん、ありがとう~♪」ハチミツ大好きの子熊は大喜びです。
おばさんは、ヌイグルミのような愛らしい仕草の子熊をいつも可愛がってオマケしてくれるのでした。
「また来てね」
「うんっ♪」
おばさんに見送られて店を出ると、早速、ハチミツキャンディーを1つ食べ始めました。
「美味しいな♪ こっちの瓶のハチミツも食べたくなっちゃったな。ちょっとだけ味見しちゃおう」
子熊は帰り道の途中、切り株の上に座り、ハチミツの瓶を開けてしまいました。
ぺろ、ぺろ、ぺろ♪
やめられない、とまらない~、めっちゃおいしいやん!と、だんだん本気で必死で舐めてしまい、うっかり完食してしまいました。
「ありゃりゃ。ほんのひと口のつもりだったのに」
ハチミツを1滴残らず綺麗に舐め切った、ピカピカに光るガラス瓶だけが残っていました。
何て言い訳しようかな。
正直に、食べちゃったんだ。てへぺろ♪って言ったほうがいいのかな。
もんもんとしながら歩いていると、ミツバチが食虫植物に捕まって食べられそうになっていました。
ハチミツが大好きな子熊としては、この事態を見逃すわけにはいきません。
「ちょぉっと待ったぁ~!」
「なんだ? ねるとん式交際の申し込みか?(古い!) 今、取込み中だ!」
食虫植物はとんでもない勘違いをしつつ、子熊を睨みます。
「食虫植物さん、ハチミツキャンディーをあげるから、ミツバチさんを放してあげてよ」
「ハチミツキャンディー?」
「ミツバチさんは食虫植物さんを針で刺すかもしれないよ? 今ならハチミツキャンディーを2個あげるから。早く返事してくれなきゃ、1個に減らすよ!」
まるで、テレビショッピングで、30分以内ならもうひとつ商品をお付けします!というような口振りで子熊は言いました。
早く申し込まなきゃ損しちゃうわ!という気分になった食虫植物は、ハチミツキャンディーを2個もらうことにしました。
「分かったよ。約束通り2個だぞ!」
ミツバチは解放され、食虫植物は大きな口を、あ~ん♪と開けてハチミツキャンディーを待っています。
2個入れてあげると口の中がいっぱいになって、ご機嫌な様子の食虫植物。
一件落着したので、子熊とミツバチは歩き出しました。
「助けてくれてありがとう子熊さん。お礼にハチミツをごちそうするわ」
「本当? やった~!」
ミツバチは秘密のハチミツの木のところへ連れていってくれました。
「好きなだけ、ハチミツを持っていって。ちょうど、大瓶を持っているのね」
この瓶にハチミツを汲んだら、さっきつまみ食い(というか完食)したハチミツを取り戻せる!
ミツバチがハチミツの木の蛇口をもどいてくれたので、子熊は喜んで大瓶にハチミツをためてゆきました。
上手にハチミツをためれなくて、体中ハチミツまみれになったけど、大瓶に溢れるほどのハチミツをもらったので母熊に言い訳しなくてすみそうです。
ミツバチと別れて道を歩いていると、子熊のハチミツの匂いに惹かれて蝶々たちが集まってきました。
「子熊ちゃん、ハチミツを舐めてもいい? たまには花の蜜と違う蜜を食べたいのよ」
「子熊ちゃん、わたしもハチミツを舐めたい♪」
「わたしも~♪」
いつの間にか子熊の周りは綺麗な蝶々でいっぱいです。
期待いっぱいの蝶々たちの視線に囲まれて、子熊は言いました。
「いいよ! 好きなだけ舐めて」
「「「「「わ~い♪」」」」」
蝶々たちに囲まれ舐められながら、子熊ちゃんは歩いてゆきます。
満腹になった蝶々たちが「「「「「ありがと~♪」」」」」と飛んでいったので、子熊は川でベタベタの体を洗い流そうと思いました。
川ではアライグマが洗濯中でした。
「やあ、子熊ちゃん。僕の洗濯がちょうど終わったから、子熊ちゃんを洗ってあげるよ。僕は洗うことが好きなんだ。この前も、わたがしを洗ったら溶けちゃって失敗したよ。ははは!」
陽気なアライグマは子熊を洗ってくれるようです。
「ハチミツでベタベタだね~♪」
「あっ、そこ。気持ちいい♪」
川の中でアライグマに体を洗ってもらっていると、2匹を狙う気配がありました。
はっと気付いたアライグマが、
「子熊ちゃん、しゃがんで!」
と叫んだので、とりあえず子熊はしゃがみました。
ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ!!
子熊の頭の上を、尖ったミサイルのような形の魚たちが飛んでいきました!
「突撃魚だよ。獲物にぶつかって気絶させて食べる肉食魚だ」
アライグマの説明を聞きながら、そんなこと知ってたらこの川に入らなかったよ!もっと早く教えてよ!と、こっそり思った子熊でした。
突撃魚たちは、子熊の向こう側にあったリンゴの木に突撃したようで、リンゴの木の下で伸びていました。
おまけに、木にぶつかった衝撃でリンゴがたくさん枝から落ちたようです。
「大漁だ!突撃魚が20匹に、リンゴが10個も♪」
子熊は買い物籠にリンゴを入れ、アライグマに魚を持ってもらい、夕食に招待しました。
子熊が家に帰ると、母熊は思わぬお土産に大喜び。
突撃魚のフルコースとアップルパイを作ってくれました。
アライグマも大喜びです。
楽しい夕食を囲みながら、またお使いに行きたいな、と子熊は思いました。
母熊は子熊に「ハチミツを買ってきて」と、お使いを頼みました。
子熊は、行きつけの「ポンポコ商店」に行きました。
このお店の店主は、子熊に優しくしてくれるのです。
「ハチミツの大瓶をください」
「お使いかい? えらいねぇ」
狸のおばさんは棚から大瓶のハチミツを取り出すと、子熊の買い物籠に入れてくれました。
会計を済ますと、「これはオマケだよ」と優しく笑って、子熊の赤いチョッキのポケットにハチミツキャンディーを3個入れてくれました。
「わぁっ。おばさん、ありがとう~♪」ハチミツ大好きの子熊は大喜びです。
おばさんは、ヌイグルミのような愛らしい仕草の子熊をいつも可愛がってオマケしてくれるのでした。
「また来てね」
「うんっ♪」
おばさんに見送られて店を出ると、早速、ハチミツキャンディーを1つ食べ始めました。
「美味しいな♪ こっちの瓶のハチミツも食べたくなっちゃったな。ちょっとだけ味見しちゃおう」
子熊は帰り道の途中、切り株の上に座り、ハチミツの瓶を開けてしまいました。
ぺろ、ぺろ、ぺろ♪
やめられない、とまらない~、めっちゃおいしいやん!と、だんだん本気で必死で舐めてしまい、うっかり完食してしまいました。
「ありゃりゃ。ほんのひと口のつもりだったのに」
ハチミツを1滴残らず綺麗に舐め切った、ピカピカに光るガラス瓶だけが残っていました。
何て言い訳しようかな。
正直に、食べちゃったんだ。てへぺろ♪って言ったほうがいいのかな。
もんもんとしながら歩いていると、ミツバチが食虫植物に捕まって食べられそうになっていました。
ハチミツが大好きな子熊としては、この事態を見逃すわけにはいきません。
「ちょぉっと待ったぁ~!」
「なんだ? ねるとん式交際の申し込みか?(古い!) 今、取込み中だ!」
食虫植物はとんでもない勘違いをしつつ、子熊を睨みます。
「食虫植物さん、ハチミツキャンディーをあげるから、ミツバチさんを放してあげてよ」
「ハチミツキャンディー?」
「ミツバチさんは食虫植物さんを針で刺すかもしれないよ? 今ならハチミツキャンディーを2個あげるから。早く返事してくれなきゃ、1個に減らすよ!」
まるで、テレビショッピングで、30分以内ならもうひとつ商品をお付けします!というような口振りで子熊は言いました。
早く申し込まなきゃ損しちゃうわ!という気分になった食虫植物は、ハチミツキャンディーを2個もらうことにしました。
「分かったよ。約束通り2個だぞ!」
ミツバチは解放され、食虫植物は大きな口を、あ~ん♪と開けてハチミツキャンディーを待っています。
2個入れてあげると口の中がいっぱいになって、ご機嫌な様子の食虫植物。
一件落着したので、子熊とミツバチは歩き出しました。
「助けてくれてありがとう子熊さん。お礼にハチミツをごちそうするわ」
「本当? やった~!」
ミツバチは秘密のハチミツの木のところへ連れていってくれました。
「好きなだけ、ハチミツを持っていって。ちょうど、大瓶を持っているのね」
この瓶にハチミツを汲んだら、さっきつまみ食い(というか完食)したハチミツを取り戻せる!
ミツバチがハチミツの木の蛇口をもどいてくれたので、子熊は喜んで大瓶にハチミツをためてゆきました。
上手にハチミツをためれなくて、体中ハチミツまみれになったけど、大瓶に溢れるほどのハチミツをもらったので母熊に言い訳しなくてすみそうです。
ミツバチと別れて道を歩いていると、子熊のハチミツの匂いに惹かれて蝶々たちが集まってきました。
「子熊ちゃん、ハチミツを舐めてもいい? たまには花の蜜と違う蜜を食べたいのよ」
「子熊ちゃん、わたしもハチミツを舐めたい♪」
「わたしも~♪」
いつの間にか子熊の周りは綺麗な蝶々でいっぱいです。
期待いっぱいの蝶々たちの視線に囲まれて、子熊は言いました。
「いいよ! 好きなだけ舐めて」
「「「「「わ~い♪」」」」」
蝶々たちに囲まれ舐められながら、子熊ちゃんは歩いてゆきます。
満腹になった蝶々たちが「「「「「ありがと~♪」」」」」と飛んでいったので、子熊は川でベタベタの体を洗い流そうと思いました。
川ではアライグマが洗濯中でした。
「やあ、子熊ちゃん。僕の洗濯がちょうど終わったから、子熊ちゃんを洗ってあげるよ。僕は洗うことが好きなんだ。この前も、わたがしを洗ったら溶けちゃって失敗したよ。ははは!」
陽気なアライグマは子熊を洗ってくれるようです。
「ハチミツでベタベタだね~♪」
「あっ、そこ。気持ちいい♪」
川の中でアライグマに体を洗ってもらっていると、2匹を狙う気配がありました。
はっと気付いたアライグマが、
「子熊ちゃん、しゃがんで!」
と叫んだので、とりあえず子熊はしゃがみました。
ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ、ドゥッ!!
子熊の頭の上を、尖ったミサイルのような形の魚たちが飛んでいきました!
「突撃魚だよ。獲物にぶつかって気絶させて食べる肉食魚だ」
アライグマの説明を聞きながら、そんなこと知ってたらこの川に入らなかったよ!もっと早く教えてよ!と、こっそり思った子熊でした。
突撃魚たちは、子熊の向こう側にあったリンゴの木に突撃したようで、リンゴの木の下で伸びていました。
おまけに、木にぶつかった衝撃でリンゴがたくさん枝から落ちたようです。
「大漁だ!突撃魚が20匹に、リンゴが10個も♪」
子熊は買い物籠にリンゴを入れ、アライグマに魚を持ってもらい、夕食に招待しました。
子熊が家に帰ると、母熊は思わぬお土産に大喜び。
突撃魚のフルコースとアップルパイを作ってくれました。
アライグマも大喜びです。
楽しい夕食を囲みながら、またお使いに行きたいな、と子熊は思いました。
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