ルカ、振り向いて作戦

松石 愛弓

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僕だけを見て?

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 冬の寒い北風が吹いた、ある日。

 ルカが山羊の郵便屋さんのヤギきちさんを呼び止め話しているところを、偶然カイルは見てしまいました。

 ルカとヤギ吉さんは、なんだかとても楽しそうです。

 ヤキモチ焼きのカイルは、気になって仕方がありません。

 窓辺で物思いにふけってしまいました。


 僕とルカはラブラブだと思っていたのに・・まだ6歳なのに、早くも倦怠期? どうしよう!

 ルカはヤギ吉さんのどこに惹かれたんだろう?

 ヤギ吉さんの特徴といえば・・。
 白い。 ホワイト。

 ・・・美白か・・!


 なぜか、美白という答えを導き出したカイルは、早速、美白活動に取り組むのでした。

 外出時はつばの広い大きな帽子を被って紫外線予防(冬なのに)、美白クリームを塗り、夜は美白パックでお肌のお手入れをするようになりました。

 アヒル化粧品店で、白いファンデーションを物色していると、

「カイル、最近どうしたの? カイルは元々、肌が白いほうだから、美白しなくてもいいんじゃない?」

 不思議そうなルカ。

 しかしカイルは、

(ルカが僕を気にしてる♪)
 
 と、美白作戦に手応えを感じ、隠れガッツポーズを決めるのでした。


「そういえば、この間、ヤギ吉さんと、何を話してたの?」

 どきどきしながら気になってた事を聞いてみると、ルカは、

「えっと・・それはまだ結果が分かってないから言えないわ」と困ったように目を逸らすのでした。

「結果?」

 何の結果だろう?

 ますます気になるカイルは、さらに美白活動に力を入れてしまいます。
 
 アヒル化粧品店には、アヒル並みの白さを目指せる化粧品が揃っていたのでした。

「いらっしゃいませ! こちらにどうぞ♪」

 と、真っ白なファンデーションとパフを持って現れた陽気なアヒル店員さんに椅子に座るように勧められ、あっという間に白塗りメイクをされるカイル。クチバシ色の黄色い口紅は、さすがに遠慮することにしました。


 服装でも白を極めようと、ハロウィンの時に着た白熊の着ぐるみ服をクローゼットから引っ張り出し、着て歩いていると、

「カイルくん、可愛い~!」
「もこもこの白熊の子供ね?」
「萌え~♪」

 と、もふもふ好きな女の子たちが集まってきました。

 この機会に美白について女子の話を聞こうとカイルが考えていたとき、女の子のひとりが「あっ!」と、森に向かってスキップ散歩している5人の山賊を指さしました。

「あの人たち、指名手配中の山賊よ!」
「スキップが下手だわ! 右手と右足が一緒に出てるの。残念ね」
「そんなことより、あの人たちを見つけたら賞金が出るってポスターに書いてあったわ!」
「えぇっ! 皆で賞金を山分けしても、ポンポコケーキバイキングに行けちゃう?」
「皆でポンポコ温泉に行って、ランチしましょうよ~♪」
「「「いいわね~♪」」」

 というわけで、

「「「待て~~~~っ!! ポンポコ温泉&ランチ~~っ!」」」
「「「御用だ!御用だ!」」」
 温泉ランチに目が眩んだ女子たちと、なんとなく巻き込まれたカイルは、山賊たちを追いかけました。

「なんだなんだ?! 女子の大群が押し寄せてきたぞ! 遂にモテ期到来か?」
「違うって! なぜか俺たちがポンポコ温泉ランチに見えるらしい!」
「うきうき散歩スキップを楽しんでいただけなのに、なんてこったい!」
「とにかく、逃げるぞ! 大根足に踏みつぶされてしまう!」

「「「なんですってぇ~~!?」」」
 大根足という禁句を言ってしまった山賊たちは、女子たちの狩猟本能にさらに火をつけてしまったようです。

 山賊たちと女子たちは、ポンポコ山の遥か彼方までデッドヒートを繰り広げたのでした。




 その3日後。

 ヤギ吉さんが届けてくれた小包に、ルカが大喜びしていました。

「あっ、カイル! 懸賞が当たったの! これをカイルにプレゼントしたかったの! 当たってないかもしれないから言えなかったのよ!」

 ルカは、雑誌の『月刊ぽんぽこ!』の懸賞ページに、カイルが好きそうな『ペガサスの羽の羽根ペン』が載っていたので、密かにハガキをたくさん応募していて、郵便屋さんのヤギ吉さんに自分宛の小包がないか尋ねていたのでした。

「カイルはペガサスが好きでしょう? 貴重なペガサスの羽の羽根ペンなの。よかったら、使ってね」
 嬉しそうに小包を差し出すルカ。

 カイルが丁寧に小包を開けると、素敵なペンケースの中から白くて美しいペガサスの羽根ペンが現れました。

「ありがとう! とっても素敵な羽根ペンだ。ずっと大切にするからね。ところで、ルカは懸賞に何を応募したの?」

 小包を大切そうに抱きしめながらカイルが聞くと、ルカは、

「私のものは応募していないわ。カイルの羽根ペンだけよ」と、あっけらかんと言うのでした。

「僕だけのために・・7㎞先の郵便局までハガキを買いに行ってくれたの?」

「そうよ?」

「僕たちって、ラブラブだったんだね! わ~い! ルカ大好き~♪」

 ルカの腕にくっついた甘えたのカイルが、大切なペガサスの羽根ペンで1番に書いたのは、ルカへのラブレターなのでした♪
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