8 / 19
8
しおりを挟む
しもべたちは、鬼瓦が借りている消費者金融へと案内してくれた。
俺は、従業員に顔を覚えられたくないためマスクを付け、店内に入った。
「鬼瓦道世を見つけた。身柄を引き渡すから、田辺陽菜の署名の入った書類を返せよ」
まだ気絶しているふたりを従業員の前にごろりと寝転がせると、従業員は何事があったのかと驚いて書類を出してきた。
俺は目の前で粉々に破り捨て、
「ふたりで作った借金だと言ってたから、ふたりから徴収するように。もう、田辺陽菜に関わるな」
と言って睨みつけ、その場を去った。
──これで陽菜は大丈夫なはずだ…
ひと仕事やり終え、緊張の糸が解けたような気分で、俺は空を飛んでいた。
「おまえたちのお陰だ。ありがとうな」
しもべたちに御礼を言うと、しもべたちは嬉しそうに、それぞれの寝床へと姿を消した。
心の綺麗な、可愛いやつらだ。
これで今夜は安心して眠れそうだ。
陽菜に早く伝えてあげなくちゃ。
でも、眠ってたら、起こすのは可哀そうだしなぁ。
マンションへ帰ると、陽菜はまだ起きていた。
ドアが開く音を聞きつけて、玄関まで走ってくる。
「諒ちゃん!大丈夫だった?ケガはない?わたし、心配で…」
「もう解決したから、大丈夫だよ」
「もう解決したの?!」
「鬼瓦さん見つけて、消費者金融に届けてきたから」
「え~~~っ!こんな短時間で?!どうやって?!」
「さぁ~、どうやってかなぁ~?」
そんなこと、言えるわけないだろ?
陽菜姉の、かわいい幼馴染でいたいのに。
俺は、従業員に顔を覚えられたくないためマスクを付け、店内に入った。
「鬼瓦道世を見つけた。身柄を引き渡すから、田辺陽菜の署名の入った書類を返せよ」
まだ気絶しているふたりを従業員の前にごろりと寝転がせると、従業員は何事があったのかと驚いて書類を出してきた。
俺は目の前で粉々に破り捨て、
「ふたりで作った借金だと言ってたから、ふたりから徴収するように。もう、田辺陽菜に関わるな」
と言って睨みつけ、その場を去った。
──これで陽菜は大丈夫なはずだ…
ひと仕事やり終え、緊張の糸が解けたような気分で、俺は空を飛んでいた。
「おまえたちのお陰だ。ありがとうな」
しもべたちに御礼を言うと、しもべたちは嬉しそうに、それぞれの寝床へと姿を消した。
心の綺麗な、可愛いやつらだ。
これで今夜は安心して眠れそうだ。
陽菜に早く伝えてあげなくちゃ。
でも、眠ってたら、起こすのは可哀そうだしなぁ。
マンションへ帰ると、陽菜はまだ起きていた。
ドアが開く音を聞きつけて、玄関まで走ってくる。
「諒ちゃん!大丈夫だった?ケガはない?わたし、心配で…」
「もう解決したから、大丈夫だよ」
「もう解決したの?!」
「鬼瓦さん見つけて、消費者金融に届けてきたから」
「え~~~っ!こんな短時間で?!どうやって?!」
「さぁ~、どうやってかなぁ~?」
そんなこと、言えるわけないだろ?
陽菜姉の、かわいい幼馴染でいたいのに。
0
あなたにおすすめの小説
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです
ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。
彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。
先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。
帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。
ずっと待ってた。
帰ってくるって言った言葉を信じて。
あの日のプロポーズを信じて。
でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。
それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。
なんで‥‥どうして?
Short stories
美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……?
切なくて、泣ける短編です。
君に何度でも恋をする
明日葉
恋愛
いろいろ訳ありの花音は、大好きな彼から別れを告げられる。別れを告げられた後でわかった現実に、花音は非常識とは思いつつ、かつて一度だけあったことのある翔に依頼をした。
「仕事の依頼です。個人的な依頼を受けるのかは分かりませんが、婚約者を演じてくれませんか」
「ふりなんて言わず、本当に婚約してもいいけど?」
そう答えた翔の真意が分からないまま、婚約者の演技が始まる。騙す相手は、花音の家族。期間は、残り少ない時間を生きている花音の祖父が生きている間。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる