異世界転移したので旅してみました

松石 愛弓

文字の大きさ
4 / 9

マジックバッグ

しおりを挟む
「この本には、異世界の勇者様はとっても強いって書かれてましたよ・・?」
 リリちゃんは、ポシェットから1冊の本を取り出した。
 本の表紙には「異世界からやってきた勇者が無双!強すぎてビックリそりゃあもう大騒ぎさ~!列伝」と書かれてあった。どんだけ~。
 この小さなポシェットは マジックバッグと同じ性能があり ものすごい収納量で何でも入る便利グッズらしい。

「そうだね。異世界から来たといっても、強い人とそうでない人がいるんだよ・・」
「そうなんだ~?」

 リリちゃんはガッカリしたようではあったけれど、強くもないのに姉探しの旅に同行しようとしている僕に感謝の気持ちがあるような笑顔を見せた。
「よく確認もしないで連れ出してしまったのは私です。正直に言ってくれて、ありがとうございました」
 リリちゃんの笑顔に少しホッとする。

「では、まず防御力を上げましょうか。これなんて どうです?」
 リリちゃんがマジックバッグから取り出したのは 全身にトゲトゲの金属が付いた鎧。
「う~ん。お尻のところにトゲトゲがあると 座る時に痛いかも?」
「攻撃されて倒れたら トゲトゲが刺さってかえって痛いことになるかもしれませんね」

「じゃあ、これは?」
「木になりきるスーツか・・」
 幹と枝に見立てた茶色い全身タイツ。頭上と手のあたりには葉っぱがあしらわれている。
「森の中でこれを着ていると、木だと思って 狼たちも襲ってこないかも♪」
 リリちゃんが嬉しそうに言うが、
「でも、森の中で木が2本歩いてるのも異様だし、誰かに 木じゃないってバレた時に とてつもなく気まずくて恥ずかしい感じがするような気がする・・」
「そう言われれば・・かなり恥ずかしいわ! では、これは?」
「いろいろ入ってるんだね」
「収納量がものすごいから、とりあえず何でも入れてきたの♪」
「安全第一の黄色いヘルメットとか」
「日本のフリマで買ったの~」
「猫じゃらしにマタタビ?」
「獣魔に効くかな~と思って~」
「いろいろ考えてたんだね。えらいね」
 ああ、なんとかしなければ。

「そういえば!」
 リリちゃんがパン!と手を叩いた。びっくりした!
「この森に、勇者様が強くなると言われている滝があるんです。昔、異世界から来た勇者様がその滝を浴びて魔法が使えるようになったとか。行ってみませんか?」
「行こう!」
 だめもとで 何でも試してみよう!

 滝までの移動中、狼が襲ってきたら怖いと思ったので、とりあえず さっきの「全身茶色スーツ木の葉添え」を着て行くことにした。
 早速、役に立つとは思わなかった ^^;

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

追放された無能、実は全スキルを喰らう者だった

ruta32
ファンタジー
「スキル:無。追放します」——王に切り捨てられた蓮が最初に出会ったのは、己を殺そうとした野盗だった。気づいた時には、四人分のスキルが体の中に宿っていた。これは、世界最強への静かな歩みの記録である。

月が出ない空の下で ~異世界移住準備施設・寮暮らし~

於田縫紀
ファンタジー
 交通事故で死んだ筈の私は、地球ではない星の一室にいた。ここは地球からみて異世界で、人口不足の為に他世界から移民を求めており、私も移民として転移させられたらしい。ただし移民だから言葉は通じないし生活習慣も違う。だから正式居住までの1年間、寮がある施設で勉強することになるようだ。  突然何もかも変わって、身体まで若返ってしまった私の、異世界居住の為の日々が始まった。  チートなし、戦闘なし、魔物無し、貴族や国王なし、恋愛たぶんなしというお話です。魔法だけはありますが、ファンタジーという意味では微妙な存在だったりします。基本的に異世界での日常生活+α程度のお話です。  なお、カクヨムでも同じタイトルで投稿しています。

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

遊鷹太
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

異世界配信者ですが何か? 追放された俺のダンジョン配信がバズって勇者たちが土下座してきた件

たまごころ
ファンタジー
最弱職の実況者として追放された青年レオン。 だが、異世界でも配信アプリが使えることに気づく。 彼のゆるいダンジョン攻略実況は、なぜか全世界でバズり、貴族も魔王もスポンサーに!? 炎上、裏切り、ざまぁをスマホ一つで超えてゆく——無自覚最強配信者の異世界冒険譚、開幕!

異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています

仙道
ファンタジー
やり込んでいたゲームの世界に転移した主人公、渉。この世界では、渉にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。 渉は手加減を続けながら、美女たちを無自覚に救い出していく。渉は毎回「余計な手出しをしてしまった」と後悔するが、ヒロインたちはそんな渉の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、渉は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていく。

処理中です...