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1章 夢現ダンジョン
13話【共有者】
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『真瀬敬命が職業《共有者》を獲得しました』
アナウンスが響き、僕は自分のステータスを見る。
職業ボーナスが、全ての能力についていた。
職業をタッチしてみると、職業についての説明が表示される。
【共有者】パーティー全員の職業ボーナスと、共有者の獲得した基礎ツリーで上げた能力値をパーティー全員で共有化する。スキルによる恩恵を他者に分け与え続けたものの職業。
とあった。ということは……。
「坊主は職業もえらいチートだな……俺のステもえらいことになったぞ。魔力、技力法力がめちゃくちゃ上がってる」
「私もですね。筋力と技力のボーナスは武藤くんの職業戦士によるもの、敏捷と運は真瀬君、法力と技力は有坂さんの回復師のものですね。上がり幅が大きい。お陰でMPも潤沢です」
「私も、ボーナスが追加されてます」
皆が口々に言う。
「みんなの役に立つ職業で良かったです。職業ツリーを見て欲しいんですが」
僕の職業ツリーは皆と比べると、割と特殊でレベルアップで覚えられるスキルはない。その代わり、5レベル毎に共有ストレージの容量が+10される。
1レベル毎の恩恵は、全員の各職業と僕の基礎ツリーで上げたものにボーナス+1。最大の50レベルまで上げれば+50にもなる。
技力は3人が各職業でボーナスを持つので+150となる。
個体レベルでの能力値の上がり幅は1~3、職業レベルで上がるのはボーナスがつく職業における能力値で1~5だというのがわかっている。
全員が全員のボーナス+αを得られる【共有者】はとても大きなアドバンテージになる。
それに共有ストレージが大きくなるのも嬉しい。
「真瀬くんらしい職業だね」
ふわりと有坂さんが笑って言う。
「そうかな……? でもみんなの役に立ててよかったよ」
僕の職業が生えたことで、方針としてはレベルアップ毎に回復師を2レベル、共有者を1レベル上げ、魔術師と戦士のレベルは交互に上げて行くことになった。
ガチャで出る経験点の碑石は基本的に宗次郎くんたちへ、ポーション類のいくつかも宗次郎くんたちの共有ストレージに入れてもらった。
今回のガチャは新しいスキルはなく、武器も特に更新はなしでストレージ送り。アイテムも残りはマジックスクロールとポーション類で終わりだった。
ツリーへのポイント振りも終わった僕らは、一度2階入り口へと引き返すことにした。新規パーティーたちが心配で攻略後に戻ろうと話した通りに。
だけどボス部屋の入り口の扉を開けようとした武藤さんが「開かねぇ……!」と呟く。
斬撃を当ててもびくともせず、壁も壊せなかった。原国さんの魔法でもそれらは壊れることはなかった。
道中も検証したが、壊せたのは1階隠し部屋の壁だけで、スキル攻撃で壁や扉は壊せないらしい。
「一方通行、ということですか」
ぽつりと原国さんが苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
その言葉の後に続きがありそうだったけれど、原国さんはそれ以上は何も言わなかった。
「戻れねえなら進むしかねえ。3階で苦戦してる奴らを助けに行くと思えばいいさ」
武藤さんがからりと言って、みんなを導く。みんなどこかほっとして力が抜けた。
武藤さんのお陰で、僕らに不都合で嫌な何かが起きても、悲壮感が長引かない。
僕がすごいなと思って眺めていると「どした?」と聞かれたので「武藤さんみたいなお兄さんが欲しかったなーって思って」と素直に答えた。
「俺も坊主みたいな弟欲しかったなあ」
と笑って、背中をぽんと叩いてくれた。その言葉も感触も嬉しい。
夢が覚めたら、有坂さん以外のみんなとはお別れなのかもしれないと思うと、少し寂しかった。
アナウンスが響き、僕は自分のステータスを見る。
職業ボーナスが、全ての能力についていた。
職業をタッチしてみると、職業についての説明が表示される。
【共有者】パーティー全員の職業ボーナスと、共有者の獲得した基礎ツリーで上げた能力値をパーティー全員で共有化する。スキルによる恩恵を他者に分け与え続けたものの職業。
とあった。ということは……。
「坊主は職業もえらいチートだな……俺のステもえらいことになったぞ。魔力、技力法力がめちゃくちゃ上がってる」
「私もですね。筋力と技力のボーナスは武藤くんの職業戦士によるもの、敏捷と運は真瀬君、法力と技力は有坂さんの回復師のものですね。上がり幅が大きい。お陰でMPも潤沢です」
「私も、ボーナスが追加されてます」
皆が口々に言う。
「みんなの役に立つ職業で良かったです。職業ツリーを見て欲しいんですが」
僕の職業ツリーは皆と比べると、割と特殊でレベルアップで覚えられるスキルはない。その代わり、5レベル毎に共有ストレージの容量が+10される。
1レベル毎の恩恵は、全員の各職業と僕の基礎ツリーで上げたものにボーナス+1。最大の50レベルまで上げれば+50にもなる。
技力は3人が各職業でボーナスを持つので+150となる。
個体レベルでの能力値の上がり幅は1~3、職業レベルで上がるのはボーナスがつく職業における能力値で1~5だというのがわかっている。
全員が全員のボーナス+αを得られる【共有者】はとても大きなアドバンテージになる。
それに共有ストレージが大きくなるのも嬉しい。
「真瀬くんらしい職業だね」
ふわりと有坂さんが笑って言う。
「そうかな……? でもみんなの役に立ててよかったよ」
僕の職業が生えたことで、方針としてはレベルアップ毎に回復師を2レベル、共有者を1レベル上げ、魔術師と戦士のレベルは交互に上げて行くことになった。
ガチャで出る経験点の碑石は基本的に宗次郎くんたちへ、ポーション類のいくつかも宗次郎くんたちの共有ストレージに入れてもらった。
今回のガチャは新しいスキルはなく、武器も特に更新はなしでストレージ送り。アイテムも残りはマジックスクロールとポーション類で終わりだった。
ツリーへのポイント振りも終わった僕らは、一度2階入り口へと引き返すことにした。新規パーティーたちが心配で攻略後に戻ろうと話した通りに。
だけどボス部屋の入り口の扉を開けようとした武藤さんが「開かねぇ……!」と呟く。
斬撃を当ててもびくともせず、壁も壊せなかった。原国さんの魔法でもそれらは壊れることはなかった。
道中も検証したが、壊せたのは1階隠し部屋の壁だけで、スキル攻撃で壁や扉は壊せないらしい。
「一方通行、ということですか」
ぽつりと原国さんが苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
その言葉の後に続きがありそうだったけれど、原国さんはそれ以上は何も言わなかった。
「戻れねえなら進むしかねえ。3階で苦戦してる奴らを助けに行くと思えばいいさ」
武藤さんがからりと言って、みんなを導く。みんなどこかほっとして力が抜けた。
武藤さんのお陰で、僕らに不都合で嫌な何かが起きても、悲壮感が長引かない。
僕がすごいなと思って眺めていると「どした?」と聞かれたので「武藤さんみたいなお兄さんが欲しかったなーって思って」と素直に答えた。
「俺も坊主みたいな弟欲しかったなあ」
と笑って、背中をぽんと叩いてくれた。その言葉も感触も嬉しい。
夢が覚めたら、有坂さん以外のみんなとはお別れなのかもしれないと思うと、少し寂しかった。
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これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
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