【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~

すちて

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4章 ダンジョンアポカリプス

120話【青き精霊】

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 地下25階、ボス部屋。この辺りになってくると、さすがに一撃で終わりという難易度ではなくなっている。

 とは言っても、武藤さんの二振り目でボスは沈み、階下への階段と宝箱が出現する。
 ダンジョン内は、1階層をクリアごとにモンスターや宝箱の中身などがリセットされる。上の方の階で遭遇した人たちもそれぞれに攻略を進めているだろう。

 僕たちもレベルが上がって、モンスターコインなどをMPやHPを増やすスキルツリーを育てている。
 途中部屋の宝箱は基本的にスルーして、真っ直ぐ攻略している。ここまでで約3時間。

 地下26階への階段を降りている最中、武藤さんが僕たちを手の動きで制止した。

「不明だった5人がいる」

 その言葉に僕たちは頷いた。ゆっくりと、彼らのいる階段部屋へと向かう。
 僕たちは全員が気配遮断を得ている。
 スキルはガチャで1つでも出れば複製が可能なので、有用なスキルを引いたら複製をかけている。
 ただ、複製ができるスキルと、できないスキルがある。

 レアリティで言えば、高レア。星8以上のスキル。それと運命固有スキル。
 複製スキルがレベルアップすることでその辺りの縛りが取れるのかは不明だ。

 5人は一塊になって、どうやら休憩をとっているようだった。髪の色や顔立ちから、外国人だとわかる。
 
 声をかけてみれば、彼らは日本へと旅行に来てダンジョンアポカリプスに遭遇したらしい。家族は安否不明。連絡がとれない、という。
 それでも、彼らの手に血の紋はなく、表情も暗くはない。

「もし亡くなっていても、血の蘇生術で順次蘇生は行っています」

 有坂さんが言う。血の蘇生術はギリギリ複製可能なスキルだったので、楓さんをはじめ、何人かで手分けをして蘇生をしている。
 スキルレベルが上がれば範囲も広がり、他国の人たちの蘇生も可能だ。

「国へ戻らなくていいんですか」
「戻る方法を得るために、俺たちはダンジョンを攻略しているんだよ」

 転移系スキルも長距離であればスキルレベルを上げる必要がある。
 日本政府でそれらのスキルを持つ人たちは、初期では暴動や暴力行為を行った外国人を国外追放するために使用されたり、現在では帰国希望者を帰国させたりしている。

 それでも手は足りておらず、この4日以内に帰国を目指すのであれば、ダンジョンでスキルを得るか、繋がった大陸を横断するしかない。
 転移スキル自体は、彼らは運よく手にすることができたらしく、スキルレベルを上げるためにダンジョン廻りをしているという話だった。

 言語に壁がなくなったことで彼らとの会話はとてもスムーズだった。
 それでも会話の中に、異文化の人たちなのだということがわかることがいくつもあった。

 彼らはイエス・キリストの再臨を信じている。
 この7日間、黙示録の日を乗り越えたのであれば、人は新たな地を得ると。
 ヨハネの黙示録について語ってもくれた。

 そうして休憩を共にして、いくつかの話のあと。
 日本のオタクカルチャー愛好家という彼らは、武藤さんを王の如く扱いだして武藤さんが困るという場面に少し笑ってしまった。
 彼らに挨拶をして僕たちは、先に出発をした。彼らの無事の帰国を祈って、防御系のスキルを渡した。

 苦戦することなく、30階まで到達。僕たちは無事精霊の卵を得た。
 精霊卵が選んだのは、有坂さんだった。

 ダンジョンを出ると、ギルドレベルも上がり、既に昼近くの時間になっていた。
 一度ホテルに戻り、食事を用意して原国さんの元へと戻った。

「主のごはんですぴ~」

 豚汁、おにぎり、卵焼き。肉野菜の辛味噌炒め、きんぴらごぼう。野菜スティック。
 おにぎりの具は梅干や昆布、鮭など定番にした。
 お弁当箱におかずをつめて、それぞれで食べられるようにして振舞えば、ぴよ吉がぴょこぴょこ跳ねて踊っている。

 楓さんと紅葉さんも集まって、食事をしながらこの数時間の話をする。

「私、ちゃんとした人の手作りのお弁当初めて。嬉しいなぁ……」
 紅葉さんが大事そうにお弁当箱を手にして、それを眺める。目がキラキラして、とても喜んでくれるのが嬉しい。

「有坂さんも手伝ってくれたんですよ。夜も作るから、食べたいものがあれば教えてくれると嬉しいです」
 僕が言うと「本当? 夜もいいの?」と、顔上げて子供のように笑顔を浮かべた。

「主ごはん最高ですぴ」
「肉野菜の辛味噌炒めは俺のリクエストだ。各自食べたいものを坊主に言うといいぞー」
 武藤さんが笑って言う。

 ギルドレベルが上がったので、楓さん紅葉さん母さんもギルドに入れることができた。
 母さんは父さんと共にいて、原国さんに協力する何か仕事をしているらしい。スマホでやりとり自体はしているし、元気にしているようだ。お弁当も受け取って食べてくれてるらしい。

 午後からもギルドメンバーを増やして、血の蘇生術を使ってもらうことになった。
 僕たちは次のダンジョンの攻略をする。

 紅葉さんのリクエストは肉じゃが。
 食事をとっていると、星格オルビス・テッラエが「あ」と声を上げた。

「どうした?」
「卵が孵る。早すぎるが、どういうことだ?」

 星格オルビス・テッラエの驚く声と共に、有坂さんのストレージから卵が転がり出て光と共に青いひよこがぽよりと生まれる。
「ごはん!」
 産声は、食欲旺盛な言葉だった。

「ええと……どうぞ?」
 有坂さんが戸惑いつつ、自分のおにぎりをひとつ渡すと、青いひよこも「ぴょ! 主ありがとですぴ!」と喜んで跳ねてついばみ始める。

「……もしかして、真瀬くんのごはんって精霊が好きなものなのかな」
「だとしたらダンジョン行く時に何かお弁当があったほうがいいかも?」

 食事を終えて、一息吐くと、青いひよこは「わえは魂の収集復元の権能ですぴょ」とくちばしにごはん粒をつけて言う。
 有坂さんがついたごはん粒を外して食べさせる。

「真瀬零次はじめの魂の収集、復元は可能ですか?」
 原国さんの問いに「主が力を得れば、できますぴょ」ぴちぴちと跳ねながら言う。ぴよ吉も隣でぴちぴちと跳ねている。

 どうやら、父さんは、蘇れるらしい。
 夢の中で会った父さんは、とても優しくて、母さんの話した人そのままだった。
 よかった。母さんが喜ぶ。ずっと会いたがっていたから。

 僕には殆ど記憶がないけれど、父さんがいてくれるのは、嬉しい。

 この復活が、ダンジョンアポカリプスにどんな影響を与えるのかは、わからない。
 父は、異星の魂を持つ人。

「真瀬零次はじめの復活は、極大の特異点になるだろう。彼は異世界、異星の記憶を持っている。このダンジョンアポカリプスの解決、僕たちの指針となるだろう」

 僕たちは頷き、そして星格オルビス・テッラエが、告げる。

「魂の銀貨が次のアナウンスを呼んだ。いってくる」

 星格オルビス・テッラエは姿を消し、そしてアナウンスが響いた。
 
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