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第七話 名倉やん
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とりあえず『俺』は学校に行くことになったらしい。チラッと聞こえた話では、俺が頭をぶつけて一時的に記憶喪失になったことにしておけば言動がおかしくてもどうにかなるっちゅー結論に達したみたいやねんけど、所詮オカンの考えることやし上手くいくかどうかは知らん。言うて、早よ学校行っとかへんと、あの太一郎っちゅーんも俺の体に慣れられへんやろしな。まあ、誰かがどうにかしてくれるやろ。
せやけど心配やし、結局こうして学校について来てまうねんな。猫やとどこでも行けるよってある意味好都合や。
「やだカワイイ! こんなとこに子猫がいるー」
え? え? え?
誰かに抱き上げられてもーた。いやいやいや、俺は一年一組に用があんねん。放してんか、コラ。
と思う間に女子に囲まれる。あ、こいつら隣のクラスのヤツやん。
「ねー、あたしにも抱っこさせてよー」
「いいよー」
猫って得やな!
「ねえこの子、教室に連れてっちゃおうか」
それや! そうしてくれ! できれば一組に!
「そのまま抱いてったらバレるよ。どうする?」
「スカートの中に入れてく?」
待て、それはアカンやろ。いくらなんでもそれはアカン。
「脚、引っ搔かれるかも」
「やだそれ痛いよ」
そんなことはせぇへんけどな。
「こんなに小っちゃくてもちゃんとサバトラだね」
「サバトラいえば一組の南雲って今日から出てくるらしいよ」
「なんでサバトラ」
「ゲーム動画配信者のサバトラさんているじゃん。あの人、南雲のお父さんだって言う噂だよ」
「え、マジで? それ凄いじゃん」
「名倉と一緒に階段落っこちたんだよね。名倉かわいそう。成績一番だったのにこれで順位変わっちゃうね」
「名倉って誰?」
「ほら、いつも髪の毛うしろで一つに結んでる背の小っちゃい眼鏡の子」
あ! せや、委員長、名倉やん。隣の席のめちゃくちゃ暗い雰囲気の子ぉや。
「四年生くらいにしか見えない子だよね。身長百四十八センチって言ってた」
「ちっさ!」
俺と三十センチ差やん。
「階段で南雲とぶつかって一緒に落っこちたんだよね。あんなバカでかいヤツと落っこちたなんて運が悪いよね」
バカでかくて悪かったな。
「大丈夫だったのかな。まだ登校してないんでしょ」
「てか、噂をすれば南雲来たし」
おっ、ホンマや。『俺』が登校して来よった。道わかったんかいな。と思う間もなく『俺』は俺に気づいたらしい。
「あ、お前は」
「この猫知ってるの?」
「ええ、まあ」
「南雲んちの猫?」
「いえ、ええ、そうです、はい」
どっちやねん、はっきりせんやっちゃな!
しゃーないから俺は『俺』によじ登って、頭の上に乗ったんや。猫シュミのクエストと同じや。
「やっだ可愛い! 猫シュミやってる」
「ほんとだ、猫シュミの積猫じゃん」
「さすがサバトラさんちの猫」
「は? ねこしゅみ? なんでしょうかそれは」
ああもう、『俺』はわからんのやったら黙っといたらええねん。
その時うちの担任の声がした。
「ほらお前ら、教室入れー。ホームルームだぞー」
「はーい」
結局俺は先生に引きはがされても何されても、『俺』の頭の上から降りようとはしなかった。先生もええかげん諦めてそのままにしといてくれよった。ええんかい?
せやけど心配やし、結局こうして学校について来てまうねんな。猫やとどこでも行けるよってある意味好都合や。
「やだカワイイ! こんなとこに子猫がいるー」
え? え? え?
誰かに抱き上げられてもーた。いやいやいや、俺は一年一組に用があんねん。放してんか、コラ。
と思う間に女子に囲まれる。あ、こいつら隣のクラスのヤツやん。
「ねー、あたしにも抱っこさせてよー」
「いいよー」
猫って得やな!
「ねえこの子、教室に連れてっちゃおうか」
それや! そうしてくれ! できれば一組に!
「そのまま抱いてったらバレるよ。どうする?」
「スカートの中に入れてく?」
待て、それはアカンやろ。いくらなんでもそれはアカン。
「脚、引っ搔かれるかも」
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そんなことはせぇへんけどな。
「こんなに小っちゃくてもちゃんとサバトラだね」
「サバトラいえば一組の南雲って今日から出てくるらしいよ」
「なんでサバトラ」
「ゲーム動画配信者のサバトラさんているじゃん。あの人、南雲のお父さんだって言う噂だよ」
「え、マジで? それ凄いじゃん」
「名倉と一緒に階段落っこちたんだよね。名倉かわいそう。成績一番だったのにこれで順位変わっちゃうね」
「名倉って誰?」
「ほら、いつも髪の毛うしろで一つに結んでる背の小っちゃい眼鏡の子」
あ! せや、委員長、名倉やん。隣の席のめちゃくちゃ暗い雰囲気の子ぉや。
「四年生くらいにしか見えない子だよね。身長百四十八センチって言ってた」
「ちっさ!」
俺と三十センチ差やん。
「階段で南雲とぶつかって一緒に落っこちたんだよね。あんなバカでかいヤツと落っこちたなんて運が悪いよね」
バカでかくて悪かったな。
「大丈夫だったのかな。まだ登校してないんでしょ」
「てか、噂をすれば南雲来たし」
おっ、ホンマや。『俺』が登校して来よった。道わかったんかいな。と思う間もなく『俺』は俺に気づいたらしい。
「あ、お前は」
「この猫知ってるの?」
「ええ、まあ」
「南雲んちの猫?」
「いえ、ええ、そうです、はい」
どっちやねん、はっきりせんやっちゃな!
しゃーないから俺は『俺』によじ登って、頭の上に乗ったんや。猫シュミのクエストと同じや。
「やっだ可愛い! 猫シュミやってる」
「ほんとだ、猫シュミの積猫じゃん」
「さすがサバトラさんちの猫」
「は? ねこしゅみ? なんでしょうかそれは」
ああもう、『俺』はわからんのやったら黙っといたらええねん。
その時うちの担任の声がした。
「ほらお前ら、教室入れー。ホームルームだぞー」
「はーい」
結局俺は先生に引きはがされても何されても、『俺』の頭の上から降りようとはしなかった。先生もええかげん諦めてそのままにしといてくれよった。ええんかい?
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